決意の感想一覧

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆

決意、とシンプルなタイトル、そして終盤で畳みかけるように用いられる『決意』という言葉。
けれども俺は読んでいて『選択』の物語なのかなあと思いました。人間とポケモンの在り方に関する選択…ガラルにおいて誰を『在来種』とするか、最初のパートナーを誰にするのか?トレーナーではなくともポケモンの世界に生きていれば必ずやってくる選択の時、そのときを描いた物語なのかなあと。
でも、

>一方で、在来種か外来種か決定を下す人にも、同情の目を向けざるを得なかった。人々の悲壮をどこに放り投げるべきか考える仕事。大人数で徹底的に討論しないといけないし、時間もそれなりに有するのだろう。

ここを読んで、「ああ、選択するってことはつまり、その人は決意してるわけなんだなあ」と感じました。
ガラルにおいて外来種と判断されたポケモンと別れるという選択には、間違いなく強い決意が必要でした。そしてそのポケモンが野生に帰り、周りの仲間たちと上手くやっていけていることを確認してもう会いに来ないという選択をするにも、決意が…
あまり深く考えていませんでしたが、どんな小さな選択にも決意は伴っているんだと気づかされました。最初の三匹を選ぶ上で選ばれなかった二匹を気遣ったり、その選択に苦しんで僅か一時間半で友達に電話したり…主人公はかなり繊細なだけに、一つ一つの選択に大きな決意を払っているのだなあ…気付かないうちに心をすり減らしたりはしていないだろうかとも思わされました、本当に考えさせられる作品でした。

ガラル地方で全種類のポケモンが登場しないことを『在来種』『外来種』という区分で解釈する世界観、説得力があってとてもよかったです!

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 いや、すごい……この作品から放たれる恐ろしいまでの”凄み”ですよ。圧倒されますね。これで二万字程度だというのだから本当に驚きです。初読読み終わったとき、興奮してヤバイヤバイと呟きながら廊下を右往左往してしまいました。三周しても四周しても、終盤の畳み掛けるシーンに到達すると、心臓がドキドキして目が滑ってまともに文章を終えなくなってしまいます。なんて凄まじい小説なんだろう。恐れ入りました……!
 これ、もう、この小説読んだ人、剣盾プレイして最初の三匹を選ぶとき、絶対この作品が脳裏を過ぎるでしょ笑。絶対過ぎりますよ。そしてうっすらと暗い気持ちが掠めるのを見ないフリして、選別するんですよ。んでちょっと後ろめたいような複雑な気持ちになりながら研究所を去ることになりますよ。も~ね、これは冗談ですけれども、失礼なことを言いますけれども、これ、みんなの楽しい気持ちに水を差してやろうと言わんばかりですよね笑。 >「別にさ、存在が抹消される訳じゃないんだから」 本当にそう思ってる!? 作者さんもそう思ってる!? 私嫌な発想が頭を過ぎりましたけども!! いや、冗談ですけどね、冗談ですよ! そんな想像が過ぎるほどにこの作品が私に与えたインパクトが凄まじかったということで、先の失礼な発言をご容赦頂ければと思います。
 序盤の一風変わったコミカルさからは想像しようもないような重苦しい問題にどんどん踏み込んでいきゾクゾクしました。トレーナーが手持ちポケモンを選択し、そのポケモンの未来を変えてしまうということの葛藤と、ガラル地方のポケモン選別問題を絡めて語られているのが、とてつもなく巧い発想だなと感じました。ガラル地方問題は非常にタイムリーですが、流行に乗っただけとは口が裂けても言えないレベルのキレの良さ。それを描く文章表現力そしてシナリオ展開のまた巧みなことですよ。この作品の上手さを語れるだけの感想力を持ちあわせていなくて恐縮なのですが、いやあ、作者さんめっちゃ賢いわ、そんな陳腐なことを言いたくなります。ポケスト25私的かしこさランキング1位です。
 研究所を出てからのシーンがすべて壮絶で素晴らしいのですが、

> 私の瞼に現在浮かび上がってくるのは、研究所であるポケモンに人差し指を向けたとき、他のポケモンが悲しい感情を一瞬だけ浮かべた後、すぐに笑顔に戻して拍手までしてくれた、あの瞬間。ああ、ポケモンはいつだって純粋で慈悲に溢れて、それでいて、自分の汚さをくっきり浮き彫りにしてくる存在だ。

 ここなどすごく好き……寄り添い、輝かしいまでの無垢さで人間に接するポケモンは、「自分の汚さをくっきり浮き彫りにしてくる存在だ」。本作のこのポケモン解釈に大変痺れました。懊悩し、どつぼに嵌り、自己嫌悪を繰り返してどんどん醜くなっていく人間のそばで、本作のポケモンたちはいっそう漂白されたような無垢さを露わにし、人間を癒し、そして苦しめるのでしょうね。

 >一応、とりあえず、今だけは、私は涙を流しても良いし、その涙を吹いてしまっても大丈夫だと思った。
>涙を拭き終えた私は、慰めてくれた私が選んだその子を、これが絆を結んだ瞬間だと満足感を得ながら、全力で抱きしめた。

 ここからの。この、一応の平和的な締め、をちらつかせてからの。

>罪悪の意識が容赦なく体内に雪崩込み、五臓六腑をしっちゃかめっちゃか掻き乱した後、屁泥の如く心底にズッシリ沈み込み、懊悩を起こす確かな火種となって蓄積するから、過去の自分の行為を思い返す度に、寄せては返す後悔の波に何度も呑み込まれ、呼吸が塞がる私は目の前が真っ暗になっていく。

 ここから……!!あ~やばい何度読んでも鳥肌立つ。引用多くてすみません全部引用して「やばい」って言いたいくらいやばい(語彙は死んだ)。かっこよすぎる。かっこよすぎる。かっこよすぎる。この迫力……!!
 主人公が選んだポケモンがなんだったか、ずっと隠されているじゃないですか。隠したまま進むんだなって思うじゃないですか。でも、最後に、分かるじゃないですか。それも存在が描かれることなく、 >少女の綺麗な瞳に、その姿が映し出される。 この文で、そして最後のフレーズで、締められるじゃないですか。もうめっちゃかっこよくて……「あああああああ!!!!!!!!」って叫んでスマホぶん投げて逃げ出したくなるような凄まじさを感じるんですよね、でもそれが何故なのか表現する語彙を私持ってない……!!歯痒い!! いやこれヤバいですよ。本当ヤバいです。怪作ですよ。いや……もう……凄いですね……何も言えなくて本当すみません……ひたすら粉砕されました。

 ちょっと自分語りをさせてください。この主人公、作中では、ポケモンを選ぶシーンまで一度も「選んでいない」んですよね。お母さんに最後の晩餐のメニューを聞かれた時も、アイラさんに飲み物何にするか聞かれた時も、「なんでもいいよ」と答える。これ人によっては軽蔑するかもしれませんが、私この気持ちめっちゃよく分かります。人とご飯食べに行くときはお店自分で決めたくないし(自分だけが食うものは選べる)、人と旅行に行くときは行き先も宿もできれば自分で決めたくない。できれば誰かに決めて欲しい。私が決めたその選択によって何か悪いことが起こったとき申し訳ない気持ちになるのを想像して、めんどくさくなっちゃうから。最低なのは知ってるんですけど、でも他人に関わることなんにも決めたくないんです。でも決めなきゃならない。宿探さなきゃいけないしお店も悩んで見つけなきゃいけない。決めなきゃならない時ってあるんですよね。
 いつも悩んでます。例えば人の連載作品読むときとか。何から読むか、感想書くか、ツイートするかどうか。だって皆基本的にはまっさきに読まれたいに決まってるじゃん。読む順番なんか好きにすればいいって思われると思うんだけど、でも全部読めるわけじゃないし、けれど選ばれなかったフォロワーさんは私に

>「全員は救えない」と悟った口調で嘆かれたとき、本当に心の真髄から、納得感を得られるだろうか。心の表面部分では「これは仕方のないことだ」と、大人びた風の態度で拳をそっとおろしていく。しかし、そう落ち着かせつつも、やはりどこかでは恨みの感情を抱いていたり、納得いかない部分があるのかもしれない。「正論だけど、だからってずっと無視し続けて良いものじゃないよね」なんて言われたら、もはや私は悪役扱いされる他ない。そうだ、私は悪役扱いされたくない

 んですよ。
 企画だってそうでしょ。なんで私偉そうに評価つけてるんだろ。素人なのに。私はプロではないのに、なぜ評価をする権利が与えられているのだろう。

> 権利があると明確に証明できるなら、本当に私は楽になれる。高貴な神様になった気分で容易に杖を振り回すことが可能になる。
 けれど、証明なんてできやしない

 んですよ。
 なんだろう。あうう……つらい……つらいよね。わかる。つらいんだよォ……本当すみません。こんな刺さり方してるの私だけかな……(
 でも、決意しないと動けないでしょ。見ないふりして。救いと悲しみはシーソーだから。決意しないと。私も。この作品にも。あ~あ! 嫌だなあ~!!
 投稿お疲れさまでした!

円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 あまり考えたことのないことがいくつも出てきて、しかしそれらは凄まじい説得力をもって、私を納得させていきました。選ばれなかった子たちはどう思うのか。選ぶ側の苦悩。ブラックを遊んだ時、最初のポケモンを決めかねたのを思い出します(最初のポケモンだったか、ニックネームだったか覚えていませんが)。
 誰もが時として残酷な決断を迫られることがあるわけなんですよね。そして、選択によって世界は180度変わってしまうこともある。その都度「決意」しなければならない訳で。物語の後半のようになるのも頷けるんです。もしやこの物語の作者様は、UNDERTALEを遊んだことがある方なのではないか、なんて思ってしまうわけなのです。

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆

19・決意 主張するビンゴ・1

むしタイプのポケモンを登場させる

キャタピーは『むしタイプ』のポケモンです。

本文を一万五千字以上にする

20000行。成立しています。

ポケモンを七種類以上登場させる

サルノリ・ヒバニー・メッソン・ジグザグマ・キャタピー・ワンリキー・クチート

7種類以上は確実に登場しています。

はがねタイプのポケモンを登場させる

クチートは『はがねタイプ』のポケモンです。

格闘タイプのポケモンを登場させる

ワンリキーは『格闘タイプ』のポケモンです。

ストーリー評価 65点 減点 なし 総合評価 65点

『感想』

1ビンゴの決意。『誰かの幸せの為には、誰かが不幸になる』。

『妄想代理人』と言うアニメ作品の中で、あるキャラクターがこんな事を言います。
『誰かが幸せになる為には、誰かが不幸にならなければならない』。
コレは人類にとって、不変のテーマです。誰かが優勝すれば、涙を流した2位・3位の人がいる。
誰かが国を支配すれば、その国と王様は幸せですが、滅びた国とその国の民は不幸せ。
誰が幸せになるのかを選択する。それが選民思想であり、究極の『幸せの分配』です。
全員を幸せにする事は出来ないから、自分達が選んだ優秀な人間だけを幸せにして、
他の全員を不幸にする。それが正しいのだ。幸せの量は決まっていると言う考え方でしょう。

この作品は『選民思想』と『選択を行う決意』に焦点を当てた作品です。
誰かを選ぶ事で他の誰かが不幸になるのではないかと恐れる主人公。
でも、決してそうではないと諭す友人。そして選ぶ側に回った幼女。
何が『本当に正しい正解』なのかは誰にも解りません。
主人公も、そして読者も、さらに突っ込んだ言い方をすれば作者本人もです。
でも、作者なりの答えが欲しい。答えを出したい。
悩みながら突っ走って書き終えた。そんな作品なのではないかと思いました。

それ以外の所で面白いポイントは、ガラル御三家の表現の仕方でしょう。
彼等が飛び跳ねたり、笑ったりしている所が目に浮かぶ程書き方がしっかりしています。
『状況描写』において、作者の方は相当勉強し、力を手に入れたのでしょう。
難しいテーマに挑んで、今出せる全力を出してそのテーマと向き合った。
苦悩の痕跡と頑張りが感じられる、光を感じる作品でしたね。

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 選ぶ。その行為の持つ意味。よく日常で悩まされてこそいますが、それをここまで明確に扱った話は今までで読んだことがなくて、だからこそ、御三家を選ぶ、と言われた瞬間に主人公ちゃんと同様に絶望感を持って聞いてました……。
 そこに自覚的でありたいものです。

 そして、主人公が選んだポケモンを明示することで、作者もそこから逃げてないんだなぁと感嘆しました。

 楽しませていただきました!

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆☆

この作品は、普段自分達が何気なくしている事について切り込んできたんですよね。こういうのは、答えを出すのが本当に難しい。それでもと挑んできた事がとても凄いと思います。こういう視点もあるのかと驚かされました!
「選ぶ」事って、絶対に必要不可欠なんですよね。そうしなければ、きっとうまくいかない事が多く起こる。......けど、それによって悲しむ者も出てきてしまう。これは本当にもどかしいですね......。最初のポケモンを選ぶのも、ガラルにはいられないポケモンがいるのも。
あと、フレア団の事もそこに絡めてきたのも凄いなと思いました。彼らは「全てのものは救えない」という思想を体現したようなものですし......。
......どうしよう、純粋な気持ちでポケモンをこれから選べなくなる() それほど考えさせられる内容でした。選ばれなかったポケモン達にも、良い未来が訪れますように。
投稿お疲れ様でした!

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

決意の2文字からは雰囲気が予測不可能で、どんな作品なんだろうとワクワクしながら読ませていただきました。
最初のガラル御三家の描写が、まさに御三家初見時のことを思い出させるようで丁寧だなという印象でした。
>ポケモンを管理する上で苦戦を強いられるのが、レベルを上げないこと。ポケモン達はレベル5から成長させてはいけない。レベル差があればトレーナーはレベルの高い子を選んでしまい、公平性が崩壊する。
これめちゃくちゃおもしろいですね。
過去にBW2でジムリーダーのポケモンはチャレンジャーに合わせるだとか、アニポケで不手際で御三家が進化しちゃったとかって話があった分、この一文はそれを裏付けていたように感じます

>ガラルにはポケモンが好きな人からすれば、割と酷なルールが存在した。それは、他地方を中心に生息するポケモンの内の一部は、ガラルの空気を吸わせていけないというもの。

>明確な定義に沿っている訳ではないのに、ガラルへ入場を許すべきか決定されてしまう。それにより悲しみに浸るポケモンや人がいるのは、どうしても受け入れにくかった。

うわぁあああああああああああ!!!!!まさかこの問題を小節で取り上げてくるとは!!!!!!!メタ的な話ではありますが、これを自然に小説の世界に組み込んでくると思いませんでした。
ひたすらにしんどい、しんどいですね、現に現実世界でそういう思いをしている人がたくさんいるということがあるからこそ、心が痛くなります。
それでいてアイラちゃんメンタル強くて涙ちょちょ切れそうになりました。かつてのパートナーの幸せを考えて身を引く決意をした。決意。決意。あぁ……。

 >私の身の回りでは、大洪水が起こりもしないのにノアの方舟に乗せる者を選別している、と嘲笑う人が多かった。仮に大洪水の到来を予言していたとしても、独り善がりに救済する人を選び取ってしまうのは、神に対する反逆というべき軽薄な悪行でしかなく、誰一人彼らの価値観に共感を示す人はいなかった。それは、当たり前のことだった。
 >けれど少し穿った見方をすると、外来種をガラルに入場させないことも同じなのでは。生物を主観的にこれは良いあれは駄目と選別し、生態系の保守を目指すことはある種、フレア団とやっていることが近いとも言えた。
 >しかし一方的に殺戮を行う訳じゃないし、彼らのように行き過ぎてる行為はしていない。ガラルへの入場を制限しているだけで、この世界から生物を消滅させている訳じゃない。やむを得ず駆除してしまう事態を避けるためにもちゃんとしたルールを作り出している訳で、むしろ正反対なのかもしれない。

これ、これなんですよ。
ポケモンの世界ってどうしても主人公サイドと悪の組織っていう線引きがされているんですけど、ここ近年は特にその線引きがあいまいになっている気もするんです。敵側の思想も分からなくもない、みたいな。我々のやっていることも、向こうの世界では非人道的と言われてもおかしくないことなのかもしれないですね。かもしれないというのは、そうと断定できないことも同時に意味しています。深い。
選ばれる側にとっては選ばれることが世界の全て。選ばれなかったことで悲しみに暮れる者はもちろん出てきます。神様じゃないのになんで悲しみを呼び起こすんだろう。この小説を読んで考えさせられたことを後半でぶつけられ、ゾクッとしました。これも作者さんの狙いだったら脱帽です。

>「でも、選ばれなかったポケモンがその後幸せにならないとは、限らないと思う。ガラルに入れないポケモンも、一緒に旅をすることがないポケモンも、きっと私達からは見えない別の世界では幸せに生きている。少なくとも、私はそう信じていたい」
この言葉に救われました。少なくとも、私はそう信じていたいっていう「そうだよ」って断定しないところがミソ。信じていたい、それでいいんだ。
そして最後の怒涛の決意ですよ。そうくるか、と思わされました。

怒涛の心理描写に、濃密なストーリーの両立。非常に読了感のある作品でした。
投稿お疲れ様でした!

ソラさん
評価:☆☆☆☆☆☆

人によってはこの物語の主人公の考え方が理解できない人もいるかもしれません。
けど主人公が言っているようにバランスが大事なんだと思います。
ちなみに私はめちゃくちゃ共感しました。
誰かを傷つけたくない人は相手を責めないで自分を責める癖があります。
まさにその心情を表現できていたなーと思います。
タイトル通り主人公は終盤に決意をたくさんします。
その1つ1つはとても小さいことですが主人公にとっては大きな事なんですよねー
読者に対して強いメッセージ性のある良い作品だと思いました!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 ガラルに連れてこれないポケモンがいる問題から、ここまで深いお話になるとは……! ポケモンを、命を選別するという所からフレア団の話が出てきたのもなるほどそうだなぁと思うと共に、題材選びの視野が広いなぁと感心しました……!
 御三家を選ぶという、ポケモントレーナーに等しく訪れる選択の瞬間もそう考えると少し残酷だなと感じられました……! 一方で、選ばれたポケモンの方は選ばれた事を純粋に喜んでるし、トレーナーに明るくいて欲しいという姿がすごく対照的に写りました。ストイックに自分を常に戒めながら、ポケモンに助けられつつ歩んでいく。そのバランス感覚はすごく繊細だけども、同時にかっこいいなぁとも思いました……!
 今だから、この世代だからこその物語だったと思います、ありがとうございました!

ptさん
評価:☆☆☆☆

皆さまお気づきでしょうが、この作品と全く同じビンゴ埋めをされている作品が、この作品より先に投稿されているのですよね
私は敢えてビンゴを被せていったこの作者に敬意を表します。本来なら同じビンゴに対して比較するのが相場でしょうが、私にはそんなことできません。

で、開幕早々テトリスですよ。縦棒ですよ。もう笑うしかない。申し訳ないけど笑うしかない。テトリスですよ。4段行消しですよ。さすがすぎるわぁ。あ、ポケスト25は5行だからペンタスか。
同じビンゴなのにこうも違うか。確かに自由度の高いビンゴだけれど!
ガラル地方の最初の三匹が可愛すぎる。あと、ガラルジグザグマとか、キリシタンジョークも、冷蔵庫にスコッチかティーしかないのも、まだ見ぬガラルの雰囲気を掻き立てるのに一役買っている。それがガラルに持ち込める外来種在来種のシビアな問題にまで発展しますか。いや脱帽です。
では、何か。私は正当にポケモンを選ぶ憲章を授与されたのか。
違いますよね。私は自分で決意したんですよね。ガラル風に言えば名誉革命でしょうか。
ちょっと私が吹っ切れるのが強引なところもありましたが、この私の決意の切れ味は随一です!

Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆

「選別する」という行為を軸にしてフレア団とガラルを、ガラルのポケモン種族制限とポケモントレーナーそのものを、そして旅立ちの一匹を選ぶという特別な瞬間を繋げて描かれる旅立ちはポケモン小説で数多く描かれる期待に満ちたそれとはひと味違った雰囲気で、その主題選定だけでも非常に独自性ある作品とすることに成功していると思います。
前半は誤用と思われる単語などがやや目立ち没入を削がれてしまっていたのですが、主人公がトレーナーになることによって思い悩み続けた「選別」の主体となるのだ、ということが主人公自身の自覚によって示される旅立ちのパートからはその問題意識に一挙に引き込まれ、主人公がどのような結論に至るのかということが気になりそのまま最後まで読み切ってしまいました。
手持ちとなるポケモンを選択することに伴う責任、ポケモントレーナーというポケモンへの一方的な選択権を持つ側に立つことの責任を誰に言われるでもなく悟り、選んだ後も終始思い悩むことを続け手持ちに慰められての後さえも罪の意識を抱え続ける主人公の姿は痛々しいものですが「選別行為は、時として極端な領域に到達してしまう可能性がある。だから、誰かを指差すときに罪悪感を抱くのは、決して間違っていない。」という作中の文章にも代表されるように、この時点でそれに気付いたことは確かに幸運だったのであろうということに思いを馳せたくなります。
後半から度々現れる「決意。」の三文字の厳粛さもそれを支えていて、ポケモンを捕まえる時=自分の手持ちとして選別する時にその自覚を持って使われていたと思われるその単語が、これから同じ道を歩もうとしている少女の決定を左右しかねないというシーンで使われての終わりはとても印象的でした。旅に出て様々な人と会うことは、大なり小なりその相手に影響を及ぼすことなんですよね。その影響先に人とポケモンの垣根はない。

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆☆

乱鴉に続き、発売前のガラル地方を描いた物語。
段々と主人公が選ぶことへの深みにハマっていく様が見ていて辛くなるお話でした。考えすぎるとドツボにハマる気がしますね、こういった問題は。人生何に悩むか分からないなぁと思います。10代の頃って特に。偶然のタイミングが重なってしまったのだなぁと感じます。
周りから見ると、主人公の悩みっぷりは恐らく滑稽に映っていたと思います。旅立ちからたったの1時間半で悩みをアイナに相談したり。主人公の視点だから大仰な感じで描かれてはいるけれど、恐らく周りからするとそんなでもないように見えているんだろうなぁと思います。でも主人公の目線だから表出してる以上に深刻で。そのギャップがこの物語の裏で流れていると思います。
少し目線を広げてみると、アイナと同じように「自分に選ばれなかったポケモンだって次来たトレーナーに選ばれるかもしれないのですから、そこまで深く考える必要なんてないはずなのに……」は思うのですが、彼女は悩んじゃうんですよね。選ばれなかったポケモンたちのほんのわずかな瞬間現れた本音を見逃さずに気付いてしまった彼女は、豊かな感受性の持ち主ですね。それを無視できないあたり、きっと優しくもなれると思います。視野を広げる為の旅でもあるのですしね。
ヒバニーの無邪気な慰めが本当に胸を打ちました。悩みを打ち砕くレベルの強烈なやさしさ。甘えてもいいんだと思います。パートナーだもの。道を踏み外すには、早すぎるんですね。彼女の決意が経験となり、成長の糧になることを願ってやみません。

それと、人ってどこで道を踏み外すんでしょうね。考えても答えは中々出ないことではありますが、じっくり考えていきたいものですね。
しんみりとした気持ちになれるお話でした。ありがとうございました!!!!

カイさん
評価:☆☆☆☆☆

ガラル地方だ~!まだ詳細の分からない地方を舞台に選ぶってすごいですよね。でもすっごくガラル地方って感じで、全く違和感なく楽しめました。
冒頭で描写されるサルノリ、ヒバニー、メッソンの様子が、とても丁寧で大好きです。彼らがきっかり10分でボールに戻る理由は後で明らかになりますが、それも踏まえて改めて読むと、制限時間の中でめいっぱいアピールしている様子がよく伝わってきて、その誠実さがますますいじらしく、ちょっと切ない感じもしますね。

この作品からは、一部のポケモンがガラル地方に行けないという事実から着想した印象を受けました。みんな同じポケモンなのに、なぜ人間の恣意あるいは都合で、一緒に冒険できないのか。ハッシュタグを作って激しく非難の姿勢をみせている人もいる中、(作者様が実際にそれを感じていたかどうかは分かりませんが)その怒りや悲しみを見事に作品として昇華させたな、という印象でした。

誰を選ぶか。ガラル地方にどのポケモンを登場させるのか。もはや物理的にすべてのポケモンを登場させるのが難しくなってきた今、ポケモンの制作者様たちが選んだ「決意」に拍手を贈る、温かな物語のようにも見えました。
でもそういうメタな部分って、この作品を鑑賞している間は全然見えてこないんですよね。とても緻密に丁寧にポケモンのいる世界を描いていて、そこにあるのはただただポケモンと共に生きる人間の想いと葛藤と決意なんですよ。それが「ポケモントレーナーとして生きている自分」に心地よくシンクロしていくというか、メタな部分から着想を得た、非常に優れたポケモン世界の物語というふうに感じました。

投稿お疲れ様でした!

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 全体的にレベルの高い小説だったと思います。まだ情報のあまりないガラル地方の、メタ的なことを言えば互換切りの部分を、トレーナーがポケモンを選別することやゲットすることなどのトレーナーが負うべき責任を読者に問う構成が素晴らしかったです。
 それでいて外来種の語りの部分は非常に興味深ったです、単純に悪と決めつけるだけではなく「考え方によるよ」という観点を提示していることは素晴らしいと思いました。
 正直なところ初読ではあまり意味がわからず、再読後の夜にその良さに気づいた作品だったので、評価にはいまだに悩んでいます。もう少しストーリーに夢中になれる要素があれば抜群の出来だったのでは無いでしょうか。評価はまだ悩んでいます。

照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

ガラル地方ネタがまさかの2本目とは! 乱鴉とは対照的にまだわからないことに関しては徹底的に隠しに行くスタイル、面白いなと思います。
ストーリーラインがすごく綺麗に決まっていて、読んでいてハッとしました。
主人公の旅立ち前、という土台はシンプルな要素なのですが、外来種と在来種の話(ソードシールドに持ち込めないポケモン、の処理として凄く説得力が高かったです)、フレア団の話をして、「人間が他者の運命を決定づけることの烏滸がましさや難しさ」を説いておきながら最後の最後にそんな主人公に選択をさせる。やられた! と思いました。
選択するということは単純にそれだけでなく、選ばなかったものを諦めるという意味合いでもありますが、その事実と真正面から向き合って鮮烈に描いてくれていたのが凄い好みでした。
飲み物や晩御飯も決めれない主人公が、渋々でありながら決断していかなければならない。それを決意、と称しながら進めていくところに懊悩さを感じることができました。本当に面白かったです。

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 ああぁ好き……
 最後の最後で名前を出すのが、もう、ずるい。お披露目のとき、意識してるのかと思うほど3匹とも同じくらいの文量、同じくらいの温度で描かれていて、まったく差を感じさせなくて、なのでおわりまで選んだポケモンは明かされないものだと思って読んでいましたよ……
 名前が出てくることで、本当にあの3匹から1匹を選んだんだなあと、どすんと重みをもって降りてきた感じがしました。これはお見事。

 会話の空気感も好きです。
 アイラのさばさば淡々と乾いた感じが、逆に切なくなってきます。
「ん? 別に寂しくはないよ。もう忘れることにするから。忘れるのが一番良いんだよ」
 いくら定められたルールだからって、いくら個人でどうにもできないからって、お話の登場人物にこんなこと言わせるなんてなかなかできないことだと思うんです。選んだポケモンを明かしたことといい、この作品からは「ただものじゃない感」がにじみでてるように思います。この感じをうまく言葉にできないのがもどかしいですが、とにかく虜になっちゃいました。

早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 決意とは。辞書で調べると、意思をはっきり定める事、とあります。
 この小説の決意とは、「選別」により「犠牲」が生まれることを受け入れ、それと向き合って、悩みぬいていく決意だと感じました。
 悩みぬく事を決めたんだ。という最後は、分かりやすい決して派手さや華やかさはないものの、僕にはもの凄く美しい考え方だな思いました。
 どっちかに寄ってしまう事は簡単なんだと思います。諦めて、言い訳して、胡麻化せば、きっとすぐです。でも彼女はそうしなかった。寄ってしまった人を美しくないと言いたいのではなく、徹底的に自分と向き合うその姿勢、その考え方が好きだなって思います。
 決意。の二文字で区切られた段落がいくつかありますが、あれは全て彼女が悩みぬいていく姿なんですよね。しょうがないよ、とアイラさんに言われてそれに乗っかった訳ではなく、悩み抜く事を現した決意の二文字が、強く強く感じられてぐっときますね。ぐっとくるとか本当はここでは言いたくないんですが、なんでしょう、何て言えばいいのかな。
 彼女のこれから先の長い人生、ずっとずっと悩んで行くのであろう未来まで考え、その重さに圧倒されてしまうというか、その決断を尊敬出来るって言った方がまだ良いのかな……。
 寄らない決意って言葉にすると何か変ですが、僕の中ではしっくりくる気がします。
 どっちに行くよりも困難な道を選んだ彼女がいて、この世の中、そんな考え方をする人がどれくらいいるんだろうなあなんて思いつつ、そんな人と友達になりたいなって思いました。
 投稿、お疲れ様でした!

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆

新作の問題(?)をテーマにされた話。
私もそのことを知った時、ロコンが出るのかどうか、その他の好きなポケモンは……とかなり気になってしまいました(スイッチを持っていない関係で、そもそも変えるのかどうかがわからないのですが←汗)。プレイヤーも辛いのですから、その世界に住む人からしても大切な仲間を連れていけないのは辛いですよね。
最後まで主人公が何のポケモンを選んだのかわからないまま終わりますが、それが読者の想像をかきたてるのだと思いました。

春さん
評価:☆☆☆☆☆

 うーん、前評判、というか沢山の方々にめちゃくちゃ絶賛されてて刺さった人多数だった“決意”なんですが、私は実のところ理解は出来るけどそんなには刺さらなくて、だからそういった人の一意見として読んでいただけると嬉しいです。
 読んだ時に思った事というと、“社会問題inポケモン”というイメージです。外来種在来種の問題を、ポケモンの選別の際の主人公の気持ちと絡めて語ったのかなぁ、と。外来種、在来種、という話は単語だけでしか知らなかったので、博士の助手が説明してくれたのが凄く勉強になりました。なんていうか、楽しい!面白い!性癖に刺さった!好き!っていうよりは、社会についてちょっと詳しくなれて、勉強になったぞ!っていう感じです。アホなのかな私……。比喩表現や文章表現がちょっと独特に感じたので、もともと作者さんのファンとか読んだことのある人なら、気づく人は気づく作風かもしれないです。とりあえず私は思い当たりませんでした。主人公ちゃんは、選ぶことが苦手なのですね。選ぶことによって生じる責任や、自分が悪い人になってしまうかもしれないという怖れがある。それに対するぐるぐるした気持ちを、客観的な感じで文章化されてるのは凄いと思います。ただ私は、主人公ちゃんよりは主人公の友達の子に賛同する感じです。つまり、「そこまで悩むことか?」と。だから理解は出来るけど共感は出来なかった。選ぶことは悪いことじゃないし、世界は多数の人々の選択によって形作られている。そして、「選ばない」という事も「選択しないという選択」だと思います。選ぼうが選ぶまいが、意思にかかわらず私たちは何かを選択して生きているのではないでしょうか。それを意識的に行うか否かの話だと思います。選択することが悪だというのなら、選択しない事もまた悪でしょう。少なくとも、私はそう思います。
 うむむ、私は、在来種外来種の選別の話よりは、ガラルはトレーナーも選別される地であるという話を絡めてほしかった気がします。ポケモンは選別される。そしてトレーナーも選別される。在来種外来種で攻めるなら、別の切り口もあったような気がします。でもやっぱり私個人が感じた事に過ぎないので、この形がベストと言われれば、そうなのかもしれません。

しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆

すごく考えさせられる作品でしたね……!何かを選択する事は絶対に避けては通れない事だけど、酷な事に選択には必ず責任が付きまとうっていう事を再確認させられたような気がします。
ガラル御三家のアピールタイムがとても可愛らしかったですね……この作品でのポケモン達の立ち位置はまさに「光」っていう感じがしました。ポケモン達の愛くるしさもそうですが、アピールタイムをきっちり10分と決めてそのルールを守っている所とか、主人公に選ばれなかったポケモン達が悲しい気持ちを抑えて笑顔で拍手してあげる所とか、罪悪感に溺れそうな主人公の事をなぐさめてあげるヒバニーとか……!
主人公が選択する事の責任に頭を悩ませる気持ちがよく分かると同時に、アイラの「でもそこまで頭を抱える必要性は分からない」っていうセリフも共感できました。この問題はいくら悩んでも解決しない事ですし、選ばれなかった子が本当に不幸になるとは限らないですからね。その上で、ある程度は仕方ないと割り切るべきだと分かっているけれど、付きまとう罪悪感から目を背けることが出来ないという主人公の気持ちが最後の決意の場面でよく伝わってきました。

ガラル地方という舞台を利用して、非常に難しいテーマに挑んだ作品だったと思います。とても面白かったです!
投稿、お疲れ様でした!

トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆

主人公が悩み考える過程に対して、抱いたその感情や疑問をどうやって解決させるのかというところに焦点を置いて読んでいたので、それを解決しないままできないまま、しかし開き直らず心にとどめて旅を続ける「決意」をするとは。ガラルに連れていけるポケモンが限られている、ガラルに内定するか否かは作り手が選別してるというメタなところを、こんな視点で切り取ってくるとは。新鮮でした。最後の決意ゾーン本当にかっこいいです。痺れました。
初めて読んだときには、ストーリーに出てくる主人公がひとつの思考の区切りをするきっかけが自分自身の経験ではなくお母さんや助手、アイラちゃんなど他人の経験の又聞きなのが個人的に物足りないなと思ったのですが、読み深めるうちにこれは、お母さんの、アイラちゃんの決意のお話でもあったんだなと思ったんですよ。
お母さんが一度だけ取れたジムバッジが飾ってある、って設定が本当に好きで、ここからこのお話を読み解くと、お母さんがどんな思いをして旅をして手に入れたのか。誰かと恋をしたのだろうか。そして子を産みそしてどんな気持ちで送り出すんだろうか。といろいろ考えてしまいます。そして、お母さんは今まで生きてきた人生のなかで何度も何度も「決意」をしたはずなんだよな、と。
アイラちゃんもそうです。内定落ちたポケモンを野生に帰すと決めた日のこと。故郷に残したポケモンのことを忘れられずに何度も通ったこと。そして、ポケモンと決別したその「決意」 それが、やがて引っ越してきて初めてできた、旅立つ主人公の「決意」になるんですね。これは本気でポケモンと向かい合い、そして本気でヒトと向かい合った登場人物たちのお話なんだなって思いました。かっこよかったです。

逆行さん

何か面白いことを書こうとしたけど何も思い浮かびませんでした

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 タイトルに偽りなし、と言わんばかりの『決意』という概念をストイックに問うお話でしたね。
 最初のポケモン、登場ポケモンの絞り込み、外来種と在来種、フレア団に至るまで様々な要素を盛り込んで、選択することの苦しさと、それに向き合うことの重要さを説く重厚なストーリーに、鮮やかで緻密に描かれた情景や心理描写が織り交ぜられて、非常に完成度の高い作品になっていました。『大洪水が起こりもしないのにノアの方舟に乗せる者を選別している、と嘲笑う人が多かった』というような、ハイセンスな暗喩表現がそこかしこにちりばめられていたのが特に印象に残っています。

ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

ポケモン小説(主に厳選とか周りのネタを扱う上で)の教科書としても、
自分の道徳観にしても、
その教科書にしたいと、これは自分の80%くらいの誉め言葉で、このコンテスト内最高の誉め言葉のつもりなんですけど、だがしかしこの熱量が言葉では伝わらない。

水のミドリさん
評価:☆☆☆☆

『圧倒的に判明していた』『私利に凭れた危機感』『ヤスリのついた乱気流みたいなもの』……などなど、耳に慣れない言い回しのオンパレード。難しい言葉を使わずにコロケーションで魅せる文章は読んでいて楽しいですねえ。ちょっと噛み合っていなさそうな言葉も言いたいことは伝わるから日本語ってすごい。
ガラルの在来種を守るために外来種を弾くこと、と、最初のパートナーポケモンを選ぶこと、って、そのまま並べて書かれても直接的なつながりなんて無さそうじゃないですか。そこの架け橋を、親友がジグザグマをガラルに連れてこられなかったエピソードや、カロスのフレア団の思想を交えて主人公に結びつけて考えさせる流れがとても丁寧で鮮やか。冒険に出る前から葛藤してしまう10歳のセンシティブさが等身大に描かれています。私もこんくらい悩めればこんな小説かけるのになあ。凝り固まった価値観を壊してくれる存在、この歳になってはとことん有り難いんですわ。(何の話)
最後の最後で主人公が選んだポケモンを明かす落とし方、思わず「おお!」と声が漏れました。ポケモン新作が発表されるたびに御三家を選ぶ小説は少なからず読むことができるのですが、たいてい誰を選んだかはぐらかして書かれていることが殆どで、本作もそんな感じなのかナァと途中まで思っていたのですが、ラストでハッキリさせてくれるのはありがたい。彼女の決意が形として見えます。その前の場面で気落ちする主人公を慰めていた絵がありありと脳裏へ蘇りました。そのシーンで具体的にヒバニーと書かなかったのも頷けます。なんならクチートと交換したポケモンも知りたかったですけど。直前に捕まえていたキャタピーとのバイバイバタフリーかな。
ラストの決意、決意、決意、の畳み掛けがな……すごいよ。圧倒されました。どこがすごいか言語化できないくらいすごい。この畳み掛ける文章よめてよかったです。満足。
しかし心理描写に重点を置きすぎたでしょうか。心理描写は読み手の想像する絵ヅラに変化がなくどうしても理屈っぽくなってしまいます。物語の展開を遅延させてまで理屈をこねくり回すことに意義があったかと考えるとウーム……難しいところですね。私はもっとヒバニーと戯れる絵が見たかった。他の2匹が感じる『選ばれなかった寂しさ』よりも、何倍も何十倍も強い『選んでもらった嬉しさ』を感じてるんじゃないですか、あなたのパートナーは。
あと冒頭の町の描写がテトリス、脱出ゲーム、RPGとゲーム類で統一されていたことの意図が分からなかったです。お気に入りのポケモンをガラルに連れて行けないポケモン剣盾の仕様を暗に示したかったのかな……とは勘ぐりますがイマイチ確信に至れず。

まーむるさん
評価:☆☆☆☆☆
セリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
白銀さん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
くちばシュウさん
評価:☆☆☆☆
鶴我 零さん
評価:☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆