まちばりのワルツの感想一覧

狛織アオさん
評価:☆☆☆☆☆☆

冷たく寒い冬から柔らかく暖かな春を迎える、そんな感じの作品でした。ワルツとレオントドンの純粋に互いを想う描写が丁寧に描かれ、主要人物以外のポケモンの描写も可愛らしくて全体的にほっこりしました。アンナの父親が二匹と出会った時の描写やニックネームの由来も可愛い…。ドイツという舞台に自然に息づくポケモン達の描写や列車の旅のシーンがお気に入りです。執筆お疲れ様でした!

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆

ヨーロッパの町、冬、クリスマス、ポケモンも家族の一員という認識、そしてかわいい幼女……わたしの性癖てんこ盛りなのですが作者さんはエスパーでしょうか?えぇ、すきです、はい。
おじさん目線の性癖を抜きにしても、扱っている題材がかなり面白いなと思いました。
なるほど~~ポケモン交換をこんな感じで持ってくるのか!主人公のアンリちゃんパパ(わたしは勝手に「私さん」と呼んでいます)も、長年のパートナーにしてワルツちゃんの命の恩人でもあるレオントドンくんちゃんを手放すのはきっと苦渋の決断だったと思います。レオントドンくんちゃんが先生になついている、ワルツちゃんとはタマゴグループが違う。様々な事情があったかとは思いますがレオントドンくんちゃんが私さんの元を離れたがっていたかというと、実は明確にはなっていないんですよね。敢えてここをぼかしたのが、なんというか、ポケモン自身の意思を明確化しないことにリアリティさを感じてしまいました。ここでレオントドンくんちゃんの意思を作品に反映させるのも面白そうかもしれませんが、イタチごっこにもなってキリがなくなってしまいそうでもあって。
視点を私さんに一本化させたことで、作品の方向性が明確になっていたのが真摯さを感じました。
最後にアンリちゃんのお遊戯会のシーンを採用されているのもオシャレさを感じます。一人悲しく感傷に浸るわけでもなく、私さんが晴れ晴れとした気持ちになるというのが良かったと思う反面切なさもあって。この作品を読ませていただいたあと、レオントドンをググった時に戦慄しました。ぐぉぉぉぉぉお……。
また、この作品のリアリティさを強調させているのが、なんといっても実在の町を舞台にしているところ!ありそうでなかった舞台で、フランクフルトの固有名詞を見た時三度見くらいしました(笑)。個人的にはミジュマルの大群が好きです。御三家も野生で住みか作って生きているんだ!
切なさ溢れるお話をありがとうございました。
投稿お疲れ様でした!

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆

>今日はサボネアの群れが遊びに来ているようだ。

 あああああ(あ50個くらい省略)ああああああ!!!さっサボっ……サボネア!!サボネア出てきたよサボネア!!!!まって心の準備が!!!待って!!!!マラカッチかわいいなあ同じサボテンのノクタスもかわいいんだけどマラカッチもかわいいなあと思ってたらさっさっさっサボネア!!!!

>ステンレス製の長い滑り台の階段の前に10匹余り集まっていて、一列に並んで順番を守って滑っていくサボネアたち。

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ 順 番 を 守 っ て 滑 り 台 を 滑 る サ ボ ネ ア 良い子だね……なんだろう天使かな?良い子すぎる……かわいいね滑り台楽しいね良い子だねどうしてこんなことに ど う し て こ ん な こ と に

>サボネアの群れが少し遠くの砂場に移動していて、体を砂に埋めることで半身浴をしているのが見える。

 ぐ ば は あ あ あ あ あ あ あ あ サボネアにとって砂に入ることは入浴なの!!??!?そうだったの!?!?!!??!!?かわいい!!モグラ叩きみたいにしたい!!

>「さあぁぁぁぼねーあっ!」

 げ ん き だ ね
 えっ喋っ……喋っちゃったよ背景かと思ったのに台詞付き!?どうした!?背景だけで読者瀕死だよ?!どうした!?!?

>まるで”ミサイルばり”の出し方を教わっているような。

 〜 サ ボ ネ ア は 恋 の キ ュ ー ピ ッ ト 〜

 ゼエ……ゼエ……はっいかんサボネアの話しか出来ていませんね主役たちの話もしなくては……レオントドンも良いキャラしてますよね!強い男のレオントドン実に憎めないヤツだなあレオント

>レオントドンがよちよち歩きで近づいてくる

 よ ち よ ち 歩 き (ドオォォン……あまりのかわいさに読者は爆発した)

 というサボネアスキーの感想です!(?
 『ポケモンのいる日常』というものを非常に繊細に紡ぎ出された丁寧な作品だなあと感じました、素敵です。語彙力描写力や設定によるところもあり、また起伏の穏やかでゆったりとしたシナリオも暮らしというものを感じさせられて(キャラたちには大きな節目なので日常ではないのですが)むしろいいなあと思えました。マラカッチやクルミルやサボネア(サボネア)などポケモンたちの生態を活かした物語が展開されていくのも、生活の中にポケモンがちゃんと生きているという感じで大変魅力的に映りました。その生活へのポケモンの溶け込ませ方がどこを取ってもすごく巧みで感心させられるのですが、ひとつ例を挙げるとすれば雪の結晶のことを『フリージオ型の結晶』と表現されている点など、我々から見れば『フリージオが雪の結晶の形をしている』という風に捉えてしまうものですが、ポケモンの棲む世界の人間たちは『雪の結晶がフリージオの形をしている』という風に逆転して捉えることも確かにあるだろうなあと。まさにポケモンの世界に生きている人間の視点に立って語られているという感じですね。
 ちょっと寂しくて、ちょっと切なくて、でもほっと胸の温かくなるような、子供の小さな成長を感じさせるような物語でしたね。幼稚園、公園、人形屋さん、みたいな舞台も、小さい子たちの等身大でかわいい。アンナちゃんがワルツのお姉さんみたいにしているところがとても好きでした。夏って暑くて冬って寒いのに、冬の物語っていうと、なんだかあったかいような印象がしてくる。まさにこの作品は冬の暖炉の埋み火やそれに手をかざして得られる温かみみたいな感じです。お互いを思うからすれ違って、でもまた戻ってきて、繋がっているとあったかい。
>レオントドンとはタマゴグループが違うからって、ワルツの気持ちをわかってやれなくて。
 これなあ。臆病なワルツにとって、命の恩人であり唯一ポケモンの同居人であったレオントドンの存在は大きかった。読者としては、分かってやってよ!って思っちゃうけど、それをどこかでは理解しながらも、たまごグループが、という思い込みで、こうだと決めつけてしまう部分もあったんだろうかなあ〜。確かにポケモンと人間のいる世界では起こってしまいそうな話です。原作だと一緒にそだてやに預けたときたまごグループが違うと別々のポケモンと遊んだりするし、人間とポケモンが違う生物である以上、ポケモンの感情をたまごグループみたいな教科書的な判断で推測せざるを得ない・してしまう部分もあるんだろな的な。でも実際はやはりたまごグループの違うポケモンが仲良く暮らしている例も存在しているはずで、ポケモンくらいの知能を有している以上、その間にある愛は必ずしも繁殖を伴う愛だけではない、多分。そのポケモンたちによる多様な愛の形態について人間目線で判断するのって実は難しかったりしそうです。レオントドンが進化しない理由も、進化した方が彼のためというのも、結局は人間(主人公)の思い込みで、レオントドンの思いは明言されないまま終わるんですよね。明言されないけれど、「思いはいつも一緒だ」と信じて、通じ合っていることを信じて、一緒に暮らしていくっていうのが、必要なことなんだろな。そんなことを考えました。ポケモンと暮らすの、楽しそうだけど色々考えることも多そうだ〜。
 シーソーや赤い糸、シチュエーションも大変エモくてよかったです。 > シーソーが釣り合って、手の中のモンスターボールが、どっと笑ったように大口を開いた。 この一文がめちゃめちゃめちゃめちゃ好きです。あとここからは勝手な妄想なのですが、これ主人公と幼稚園先生が結婚したらすごぶるハッピーエンドになるのでは???パパが男手一つで〜という表現があるのや先生が独身なの絶対にフラグ立ってると思うんですよね……在園中はちょっとパパ友の目とかもあるのでアンナちゃん小学校に上がってからいい感じになったりしませんか? レオントドンの赤い糸で! その際は是非サボネアを恋のキューピットに……! ここまで妄想させて制限字数外で完全無欠のハッピーエンドを作り出すところまで作者さんの手のひらの上だったらどうしよう! すごすぎる〜っ!!笑 そんな感じで、おかわり妄想まで存分に楽しませていただきました。お疲れ様でした!

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆☆

 温かいな、という感じがしました。そっと包んであげたくなるような淡い恋慕。こういうものに感じる感覚を尊いと言うのでしょうね……と思います。

 楽しませていただきました!

猫村さん
評価:☆☆☆☆☆

読んですぐにクルミルの図鑑データをググって、うおおおおおすげえええええってなりました(?)ワルツも可愛い。いや、なんかもう人もポケモンも全部可愛い。
地の文がすごく主人公らしく丁寧で、するすると読めました。土地の名前をポケモン世界ではなく実際にあるものにしたのは、そっちのが読者がイメージ付きやすいからでしょうか?
ポケモンの特性も生かした素敵なお話でした。全体的に完成度が高くて、プロか!?ってなりました。
執筆お疲れ様でした!

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆

ほのぼののんびりとしたほっこり話…ですが、長らく仲良くしてきたワルツとレオントドンが離れ離れになってしまう、悲しいお話を描いてるんですよねこの作品。その別れの悲しさを極限まで埋めてしまう、作者様の優しい手腕に感服です。

>赤い糸の通った針を持ったワルツが、シーソーの反対側の板の上に立つ。彼女の乗った方の板が大きく下に傾く。
 釣り合わない。クルミルのレオントドンよりもマラカッチのワルツの方が体重が大きいからか。はたまた、2匹の思いが食い違っているとでもいうのか。彼女の思いの方が重いから? 

この比喩表現めちゃくちゃ好きです!!恋の駆け引きのシーソーゲームではなく、思いの強さを喩えるこの表現!!片思いを連想させる不安をラストシーンでほっこりと拭ってくれる、とても暖かな作品でした!
ただ、個人的に地名や情景描写がとても丁寧に盛り込まれている反面ちょっとくどいかなあとも思いました…もう少しワルツとの出会いやレオントドンの思い出に文量を割いて欲しかったなあとも思います!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 レオントドンが可愛いです……! 高速移動で跳び回るところとか、糸を吐いて家の中をホワイトクリスマスにしちゃうところとか、くしゃみしちゃうところとか、膝掛けを虫食いしちゃうところとか、ワルツとダンスするところとか、毛糸玉コロコロするところとか、シーソーの上で寝ちゃうところとか……! 元々クルミルという種族が可愛くて好きだったというのもありますが、そこに輪をかけてとても愛おしいです……! ワルツにセーターをプレゼントしたのも、あの小さい体で頑張ったんだなぁ、いい子だなぁとほっこり出来てとても好きです……! 
 綺麗な町並みの中にポケモン達と一緒に暮らしてるこの町に行ってみたいなぁとも思いました。僕もワルツに針を出してもらうみたいにポケモンと協力して暮らせたらなぁと常日頃思うタイプなのでそういった描写が出てくるとテンションが上がります!
 レオントドンと離れるのを悲しむワルツには胸が痛みました……! いたずらとか悪意ではなく、レオントドンの将来を思っているからこその決断だから、強引に止めるのも違うけど黙って受け入れるのも難しい
よなぁ、複雑だよなぁ、技の調子が悪くなるほどだから相当こたえてるんだろうなぁと切ない気持ちになりました。だからこそ最後にセーターをもらって、レオントドンと踊るのを楽しんでるのを見て良かったねぇ、と思いました……!
 穏やかな雰囲気の中で展開する繊細な物語、とても入り込むことが出来ました! そしてレオントドン大好きです! ありがとうございました!

円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 ワルツというのは名前だったのですね。てっきり、誰かが躍るか、奏でるかするワルツかと思っていました。私のそうぞうりょくもまだまだです。
 ドイツの街に行ったことがある方なのかなって思いました。それくらい、風景の描写が細かくてきれいだと思うんです。ピアノの音も、知ってる人ならきっと「華麗なる大円舞曲」が想像されたことでしょう。私もタイトルが明かされる前に分かりました。
 別れたって心は一つ。こんな風にお互いを想い合える関係、いいなって思いました。クルミルがこんなに早く動けるなんて知らなかったのでもう驚いて。
 レオントドンとワルツの関係もさることながら、サボネア達とワルツの師弟みたいな関係もまた、いいなって思いました。

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆☆

2・まちばりのワルツ 主張するビンゴ・1

ポケモンのタマゴを劇中に登場させる

作中にポケモンのタマゴが確かに登場しています。

エスパータイプのワザを劇中で使う

ビビヨンが作中で『サイコキネシス』を使用しています。

むしタイプのポケモンを登場させる

むし・ひこうタイプのビビヨンが登場しています。

こおりタイプのワザを劇中で使う

『こおりのいぶき』が作中で使用されています。

フェアリータイプのワザを劇中で使う

ビビヨンが作中で『ドレインキッス』を使用しています。

ストーリー評価 70点 減点無し 総合評価 70点

『感想』

ひたすらに温かい物語。『生活描写』に重点を置き、リアリティを追求した

舞台はドイツ。実際の地名が作中に登場し、登場人物である人間とポケモンの関係が
丁寧に描かれています。特筆すべきは『リアリティ』。
ポケモンの息遣いが伝わってくるかの様な『生活感』はかなりのものです。
自分はあまりやらない『一人称』はその人物が見ているもの以外は書けないと
言う制約があるのですが、そのルールで殆ど完璧に仕上げています。

主人公の優しさ、生活を共にしてきたポケモンと離れると言う葛藤。
それでも自分の選択を尊重し、自分がしようとしている事は
間違っていないのだと思うまでの流れが丁寧で、他のキャラクターとの
掛け合いも読者を楽しませています。

ビンゴで言えば『ビビヨン』に八面六臂の大活躍をさせていますね。
ポケモンのタイプと覚える技を把握し、ビンゴを効率良く
完成させています。その辺りの考え方がスマートと言うか、
作者の方は片付けが得意なんだろうな、と思わされます。
どうすれば良い物語が書けるのか、そしてどう書けば
自然な形でビンゴを成立させられるのかを把握している。
恐らく、かなり順位が上になる作品になるでしょう。入賞に期待しています。

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆☆

この作品、ポケスト25で初めて読んだ作品だったのですが、これがきっかけとなって色んな作品を読み始めたんですよ......今となっては懐かしい......。まあ、自分語りはこのくらいにして感想に移りましょう。
まず、全体的にとてもほんわかとしたもので素敵だと思いました。クリスマスの季節という事もあってか、自分のイメージではヨーロッパのとても和やかな雰囲気が浮かびました。それが最後まで崩れる事が無かったのが本当に凄かったです!
そして、特筆すべきは、ワルツとレオントドンの関係についてでしょう。あの2匹の絆が暖かい雰囲気をこの作品に与えていたと思います。きっと離れてしまった後でも、たまに会って2匹で楽しく遊ぶんだろうなと思います。レオントドンがワルツにプレゼントをあげようとしたっていうのは本当に素敵でした!
何回言うんだって感じでしょうけど、本当にほんわかしていて、そして癒される......。この作品を最初に読めて良かったです!
投稿お疲れ様でした!

ptさん
評価:☆☆☆☆☆☆

読んでいて暖まる地の文の描写、するする動いていくキャラクターたち、ワルツとレオントドンのことを真剣に考えるシュミット父娘…
ケチのつけようがないいいお話でした。

個人的には現実のドイツに創作のポケモンワールドをうまく輸入、町の描写にも人間とポケモンの暮らしぶりがこれでもかというほど詰め込まれていて引き込まれる世界観を形成していたことに敬服しました。

タンポポと言えば綿毛、レオントドンはタンポポ、ワルツは綿毛。ああなるほど、これは必然ですね

ソラさん
評価:☆☆☆☆

クリスマスの時期、寒さに弱い植物型のポケモンはどんな様子なのかを上手く表現しているなーと思いました。
言葉の選び方がおしゃれで、海外って感じがなんかすごく出ていて、物語の雰囲気と噛み合っていましたね!
とりあえず読んでて、ワルツがただただかわいかったです!
照れたり、落ち込んだりする喜怒哀楽をわかりやすく描写していて、頭の花が閉じたり開いたりすることで人間側が体調を判断したりするのが言葉が通じない部分を補っているようでよかったです。
ワルツというとおり、ところどころで踊っていたのも想像してとてもかわいらしかったです。
願わくばレオントドンとまた楽しく遊べる毎日を過ごしてくれてるといいなーと思いました。

春さん
評価:☆☆☆☆

 ドイツの雰囲気がすごくいい。下調べをしっかりしたか、実際にドイツに行ったことのある人が書いたのかなって思います。良いな~ドイツ行きたいな~……。人形屋さんをポケモンと営んでいるってロマンのある設定ですよね、使っている材料もポケモンに協力してもらってたり、所々の街の描写にもポケモンが入ってくるので、すごくポケモンと人々の生活が馴染んでいるのが、リアルなポケモン世界って感じで好きです。レオントドンが進化しなかった理由は何だろう……学生時代からの付き合いがあるのに、先生の方を選んでしまったのは私はちょっとショックでした。いや、それはいいんですけど、その理由があまり明確にされなかったので、そこも書いてもらえると嬉しかったです。レオントドンが服をワルツちゃんにプレゼントして、ワルツちゃんが手作りのリボンをプレゼントしたところ、すごくロマンチックで好きです。プレゼント交換っていいよね……。しかもお互いに手作りってところがめっちゃいい。ラストシーンのダンスも楽しそうで、でもお別れの切なさも含んでいて、そこを考えると深みのあるシーンだと思います。個人的には、お父さんよりはワルツちゃんやレオントドン視点の方が面白かったかも、と思います。うーん、ワルツちゃん視点が良いかなぁ。ポケモンにとって、ずっと一緒にいられるかって、野生ならともかく、ゲットされたポケモンならトレーナー次第ですよね。それを考えると凄く切なくなるなぁ……。

カイさん
評価:☆☆☆☆☆

ドイツ風のポケモン小説かな~と思ったら、まさかのドイツそのまんま登場で驚きました。私はドイツに行ったことはないのですが、ドイツの風景や生活の温度がとても丁寧に描写されていて、実際に旅行しているかのような気持ちになれました。はぁ~ドイツいいなぁ~と思っていたら、当たり前のようにポケモンが生きていて、そうだこれポケモンの世界だ、とはっとさせられる不思議な感覚でした。「人とポケモンの暮らし」がリアルに描かれている、とても素敵な作品です。寒い季節のお話というのがまた、そこにいる人とポケモンの温度をより際立たせていて良いですね。レオントドンは先生のところに行ってしまうけど、彼らはきっとこれからも素敵な時間を紡いでいくのだろうなと、そんな手編みのセーターみたいにやわらかで心地よい読了感のあるお話でした。
ところで「レオントドン」って何だろうと思って調べたら、カワリミタンポポモドキというタンポポに近縁のヨーロッパ原産植物だったんですね。もしかして作中のキーアイテムタンポポも、分かりやすいようにタンポポとしていただけで、実際は「レオントドン」だったのでしょうか…なんて思ったり!いずれにせよ、よく練られたいい名前だなあと思いました。
あ、あと1個めっちゃ言いたいことありました。「みるくしょん!」可愛すぎ…!なぜそんなに愛らしいクルミルのくしゃみ声を知っているのですか…?作者様はゲッティンゲンに住んだことがあり、クルミルと一緒に暮らしたことがある方に違いない。

投稿お疲れ様でした!

照風めめさん
評価:☆☆☆☆

こういう人の営みの中にポケモンが融合したような作品めっちゃ好きなんですよ!
その中で異種族間の叶わない恋愛っていうのも素敵ですね〜〜。
舞台がドイツってのもなかなか粋で面白いですね。具体的な地名を出していただいたお陰でGoogle Earth見ながらちょっと小旅行気分を味わってました。ただこれ見てるとなおさら先生の自宅と職場めっちゃ遠いな〜、と思います笑。片道三時間の職場でも続けられるってことはよっぽど素敵な職場なのかな??
キャラクターも愛らしい雰囲気が出せているし、ポケモン達の所作もすごく可愛くて良いなあと思います。

さて、この作品をさらにブラッシュアップさせるためには「描写における選択と集中」が重要になるかと思います。
本作はおそらく作者さんの「書きたい!」という気持ちが迸っていると思うのですが、いかんせんそれが強すぎるあまり描写過多になっていると思います。
精密な描写はこの作品の魅力ではあるのですが、ストーリーに直接関係のない描写が増えれば増えるほど、肝心のストーリーがぼやけて(密度が下がって)しまいます。目に映ったもの全てを描写する必要はないので、選択と集中をして読ませたいものの輪郭を明確にするとより良い作品になるかなと思います。
また、本作は優しい雰囲気や情景を描きたかったと思われるのですが、それ故に疑問が残るシーンもあります。冒頭でレオントドンを引き渡す話はワルツには明日ちゃんと話すとお父さんが言っているにも関わらず、翌日先生の家では先生に交換の話をしている時にワルツにそういえば言っていない! という心理描写があり、お父さんの態度に疑問が残ることになりました。
その他レオントドンを育てられないからタマゴ(コフーライ)と交換する。というのも、このお父さんはキチンと育てられるのか? と感じてしまいます。描写のレベルが高いだけにキャラクターに対するツッコミが残ってしまいました。
すごく美味しそうに食べ物の描写をされていたり(めちゃくちゃ難しいと思う技術です)、全体的な情景描写のレベルの高さから書く力は十分過ぎると思います。
最後のレオントドンを捕まえるシーンも、赤い糸で最後〆たのもとても素敵でした。

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆

 まず最初に情景描写を始めとして文章がとても上手な作品だなと感じました。作者の書きたいドイツという舞台をリアルにかけていたと思います。作者の方は本当にドイツに行ったことがあるのでしょうか?自分はないのでそのリアルさをより強く実感できないのが残念です。
 ワルツの不調の原因が、作中で父親の想像以外でははっきりとわからないところがこのストーリーのいいところだと感じました。はっきりとした正解はないのかもしれませんが、それでも現状をより良くするために何かをしなければならないところに、微妙な心情の動きがありました。最終的に物事がうまく進んでいそうなところも良かったです。
 余談ですが、作中にある「鍛冶屋のハンマーで頭を叩かれたような激痛が走った。」という比喩表現は、登場人物の名前である「シュミット」とかけているのでしょうか?

 重厚な描写に圧倒されたのと同時に、物語の展開があまりなく、読んでいて長さを感じることがありました。これは長所の一つでもあるので難しいところですが、もう少しテンポ良く読める作品だったら、もっと星をつけたと思います。

Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

ポケモンを頼りに営業する人形店という舞台を活かして描かれる生き生きとしたポケモンたちの姿にまず引き込まれました。寒さに弱い草タイプの防寒に心を砕く主人公や、マラカッチの出すミサイルばりという身体の一部・生き物の生産物を見てその心身の調子の変化に気付くシーンなど普段からポケモンとともに暮らしているからこそ出てくる目線が随所に描かれており、この前後の暮らしまでも想像できるような描写となっていると思います。
また「ポケモンが着る衣服」という珍しい題材を取り扱った作品ながら、クリスマスシーズンという寒い時期が舞台となっていることや草タイプで砂漠出身のマラカッチ、服作りの習性を持つクルミルというポケモンを選定したことで作中世界にはおおむねありふれたものという認識を受け入れやすく工夫されていると感じました。それが最後には贈り物の服となり、「人間を二人以上登場させる」「恋愛模様を描く」の二つを満たした作品では珍しいポケモン同士の恋愛模様を描くこととなる結末へもうまく繋がっていて、お題の使い方の自然さに唸らされます。
ゲッティンゲンはドイツの実在都市だそうですが、作者さんはお過ごしになった経験がおありなのでしょうか。そう推測させるような生活感ある街の描写、バックグラウンドとなる普段の暮らしを感じさせる主人公たちの生活描写、そして愛らしいポケモンたちの動作の数々と見所たっぷりの作品、ごちそうさまでした。「みるくしょん!」がたいへんかわいかったことは語り継いでいきたい。

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 冒頭で『ゲッティンゲン』というワードが出てきたとき、ええっ!? と思わずにはいられませんでした。まさかポケモン小説で実在するドイツの地名が出てくるなんて!
 作者さんは実際にゲッティンゲンやフランクフルトを歩いたことがあるのでしょうか。情景の描写が緻密で鮮やかで、目の前にありありと浮かんでくるようです。服や食べ物や天気の描写も同様で、作品の世界を鮮やかに彩っています。
 『交換』をお話の主軸に置いて、ポケモンどうしの恋愛を人間目線で描く、というお話の形も斬新で目を見張りました。

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆

 まさかポケモン小説でドイツの町を歩けるとは!
 観光旅行といった非日常というよりは、もっとこう日常を過ごしているような心地で、ていねいな描写のなか、町をゆったり歩くことができた素敵な作品でした! メインのワルツ、レオントドン(この名前がまたすてき)はもちろん、お食事中のココドラとか、公園で出会ったサボネアとか、とにかくとにかくポケモンたちがかわいい。毎日お散歩に繰り出したくなっちゃいます。

しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆

全体的に温かくて、ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれる、そんな作品でした。ドイツが舞台になっているっていうのがエモいですねぇ……!繊細な文章からドイツの街並みと雰囲気が良く伝わってきました!
自分よりも先生の下に居た方が、レオントドンにとっては幸せなんじゃないだろうかと考えるパパさん。だけどそれはレオントドンの事が好きなワルツを悲しませる事になってしまうと胸を痛めるところが、ポケモン交換という題材をリアルに扱っていてとても面白いなと思いました。
>「何もしてあげられなくて。レオントドンとはタマゴグループが違うからって、ワルツの気持ちをわかってやれなくて。針穴に通っていた糸を断ち切る糸切ばさみのような存在だね、私は」
ここのセリフ好きですね……!「糸切りばさみのような存在」という裁縫師であるが故に出たパパさんの自虐の謝罪が、「自分勝手な判断をしているのでは」という不安の気持ちを表していたように思います。
それからあえてレオントドン自身の気持ちを詳しく描写していない所も上手いですよね。パパさんの決断は決して間違ってはいなかったと、読者である私までもが切に願わずにはいられなくなれました。
でも最後のシーンはとても温かくて素敵でしたね……プレゼント交換のしあいっこ、とても微笑ましくなりました!
投稿、お疲れさまでした!

早蕨さん
評価:☆☆☆☆

 情景描写の綺麗な作品でしたねえ……としみじみしてしまいます。各キャラクターも可愛らしく、全体的にふわっとした良い雰囲気に包まれていた作品でしたね。
 かと思えば、アンナちゃんのお父さんと先生どっちが好き? のような子どもらしいド直球な質問だったり、お父さんが先生宅でレオントドン交換の話をした時にハっとするシーンとか、ぽつぽつ重いシーンもあって、ただのふんわりしたお話じゃないってところが強調されているようで、メリハリともいいますか、よい塩梅だったなあと思います。
 ただ、上述のお父さんが先生の前でワルツの交換の話をするシーンは、何故ああなってしまったのでしょうか。ハッとしたと書いてありますが、家ではアンナちゃんにシー! と内緒にしているのに、肝心な時にどうして……。ワルツの気持ちは……と思ってしまったところはありました。先生とこっそり話を進めている時に、予期せずワルツに話を聞かれてしまい、ショックを受けるくらいでよかったのではないかなあ……なんて思ったりもします。
 お父さんがポケモン想いの素敵な方ですので、食卓のシーンだけどうしても気になってしまいました。
 気になったシーンは一つだけで正直後はすっきり楽しめました! 特に僕が好きなシーンは、お前も向こうに行くか! とワルツがお父さんに言われたシーンです。レオントドンの事はもちろん好き。でも、お父さんと一緒に仕事したり、これまでの生活を想像して、悲しくて辛いけどそれでもお父さんと一緒にいる! っていうシーンは目頭が熱く……。レオントドンの事も大切だけど、お父さんもワルツにとっては大切なんですよね。
 ワルツの複雑な気持ちを想像すると、切なくなりますねえ……! 
 進化したレオントドンとワルツがいつか再開するシーンなんて想像すると中々……捗ります……。
 優しくかわいいお話をありがとうございます!
 投稿、お疲れ様でした!

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

ワルツやレオントドンがかわいい話でした!
ツイッターを見ていて知ったのですが、レオントドンはタンポポの一種(もしくはタンポポによく似た植物)らしいですね。だからタンポポが出てきたのか! と納得しました。舞台がドイツだったのも何か理由があるのでしょうか。少し気になります。
レオントドンはやっぱり交換されてしまうのでしょうか。交換せずにそのまま主人公さんの手持ちにしてワルツと一緒にいた方がいいのでは……なんて思ってしまいましたが、果たして。作者様の自作語りが楽しみな作品です。

トビさん
評価:☆☆☆☆

序盤から描写に圧倒されました。マラカッチのワルツちゃんが出すミサイル針や綿ほうしを、クルミルのレオントドンちゃんが出す糸を、ぬいぐるみづくりに活用するという発想が面白い。>糸がなくなったら、糸を吐いてもらい、それを私が赤絵の具で染め、レオントドンが”エアスラッシュ”を繰り出して風で乾かす。この連係プレイが家族の生活を支えているんですね。お父さんとレオントドンが協力してアンナちゃんの子育てをしているというのも面白い。ポケモンが日常に居たらこんなかんじなんだろうなあと想像するのが楽しかったです。公園でレオントドンちゃんを捕まえるときの赤い糸の演出もいいなあ。

逆行さん
評価:☆☆☆☆☆

とにかく描写の細かさが極まっていた小説、という印象でした。ポケモンの世界観を良く表現できており、作者さんの実力をひしひしと感じさせられます。

氷ポケモン達が商店街に雪を降らせたり、ミジュマル達がペアになってピアノの音につられて鳴き始めたり、描写が目の前に浮かんで非常に楽しく読めました。

文章力・表現力もかなり高く、全体的にハイレベルな小説であると言えるでしょう。

そして、主役のマラカッチとクルミルと一挙一動の描写も頬が緩むくらい可愛らしく、とても良かったです。寒さに弱いから服を着させてあげたり、凝りに凝った描写が光っていました。

人形屋という主人公の職業の描写も凄くて、ポケモンの技を効果的に使っている印象でした。マラカッチの針と、クルミルの糸を駆使して、人形を作っているアイデアが素敵です。

ただちょっとロマンのないことを言わせて頂くと、ポケモンの技を使う利点がそこまで感じられなかったかもしれません。綿はともかく、針はミサイルばりじゃなくて普通の針を使った方が効率的な気がします。ミサイルばりだと折れてしまうし、何回も針を交換しなくてはいけないのが良くはないんじゃないかなと。「滑らかな手触りにはうっとりさせられる」という記述はありますが、もう少しミサイルばりを使う理由の説明が欲しかったです。

お話の本筋の描写も非常に良く練られており、「ポケモンの交換」というゲームのプレイヤーが流れ作業かつ無心で行っていることを、ここまで濃密に、そして「痛々しく」描いたのが本作の魅力だと思います。

一見するとこのお話は幾千の描写に魅了されて可愛らしい印象を受けるのですが、じっくり読んでいくと結構切ないお話というのが分かります。自分よりも先生の方が良く懐いているしきっとハハコモリに進化させられる、だから交換したほうが良い、というのは苦渋の決断だったと思います。交換に出すことによって、マラカッチとクルミルが一緒にいられなくなってしまうことの申し訳なさは、非常に良く伝わってきました。そして、そんな状況下で「レオントドンはパパとせんせい、どっちがすきなのー?」と子供が無邪気に聞いてしまう所が、なんともえげつないですね。

終盤の鬼ごっこやシーソーのシーンは特に印象に残りました。
>釣り合わない。クルミルのレオントドンよりもマラカッチのワルツの方が体重が大きいからか。はたまた、2匹の思いが食い違っているとでもいうのか。彼女の思いの方が重いから? 
ここが凄く良いですよね。彼の心情を巧く表現しているなあと感じました。

このお話は最初から最後まで見て、非常に描写が濃密なのが特徴であることが分かります。特に先生の家まで行く所は、細かく描かれており、商店街のシーン、空港のシーン、座席に座っているシーン、先生の家で春のパン祭りが行われているシーン、グランドピアノを演奏するシーン……などなど、本当に挙げればきりがない程です。

これらの描写って、本筋と直接的な関わりを持つ訳ではないじゃないですか。(関係あるものもありましたらすいません)

この、本筋と関係ない描写を多分に描くことの、是非について少し考えてみました。

メリットとしては、
・時間の流れをゆったり感を表現することができる
・世界観を表現することができる
・キャラクターの性格をより細かく描写することができる

デメリットとしては、
・読者が途中で飽きて離脱してしまう可能性がある
・お話の本筋がぼやけてしまう可能性がある

が挙げられるでしょうかね。もうちょっとあるかもしれませんが、メリットとデメリットが両方存在するのは確かだと思います。

プロの小説でも本筋と関係ない描写をたくさん描いているものは確実に存在します。一方で、本筋と関係のない描写は徹底的に削ぎ落としている人もいます。

ただ難しいのが、このお話が3万文字という制約で書かれた「短編小説」という点です。短編小説の場合、ちょっとデメリットの方(お話の本筋がぼやけてしまう)が目立ってしまう側面はあるかもしれません。なので個人的にはもうちょっと描写を減らして、本筋と関わりのある描写やキャラクターの心情描写を増やした方が良いと考えました。(もちろんメリットの方もちゃんと伝わってきます)

ただこれ本当に難しい所だと思います。自分もこの問題に関しては悩むことが多いです。本筋と関係のない描写は徹底的に削ぎ落とす書き方だと、内容がシステマティックになりすぎたり、無味乾燥なものになってしまう可能性もありますし。ただ自分の中では、あくまで短編というカテゴリにある以上は、もう少し関係ない描写は削った方が良いかなとは思いました。

こんな感じでしょうかね。全体的には非常に心温まる可愛らしい小説で、評価はかなり高いです。今後も作者さんの小説を是非追っていきたいと思わせる小説でした。

2番目の投稿お疲れ様でした! 3万文字に近い文字数にも関わらず、こんな高速で書けてしまうのは本当に凄いです。羨ましい。

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆

ドイツのオシャレな空間や生活の描写が印象的でした。
ポケモン用の服ってどんな感じなんでしょうね。それぞれの種族に合わせていろいろ作ってあるんでしょうか。想像が膨らみます。
「寝起きの悪い男」など、レオントドンを大人の男性のように扱う表現が個人的に好きでした。
読み込み不足でしたら申し訳ないのですが、なぜレオントドンが交換に出されるのか、そのあたりの経緯がよく分からなかったのが残念でした。

セリさん

 02 まちばりのワルツ 反省点

・ゲッティンゲンのマルクト広場のシーンで「観光客たちの注目を浴びる」とあるが、こじんまりとした都会に早朝から観光客が多いとは考えにくいから、「人々」でよい。
・フランクフルトのマインカイ通りは、河川敷というよりは整備区画された河沿いの遊歩道であるから、土手は存在しない。
・マインカイ通りのシーンの冒頭で「暖かい列車の中から降りたばかりで寒いのか」とあるが、これは少し先の「あちこち散策しているうちに、河に臨むこの通りに出てしまった」という記述と矛盾する。
・マインカイ通りでふくれっ面になったアンナが「濡れて」硬くなったブーツのファーを引っ張ってきたが、フランクフルトは雪が降っておらず、かつ、「私」たち一行は暖かい列車の中に少なくとも2時間はいたので、雪の積もったゲッティンゲンを歩いているうちに濡れたブーツのファーは、この時点では乾いているはず。
・マインカイ通りでアンナがワルツのことを呼び捨てにするシーンがあるが、正しくはちゃん付け。
・フランクフルト歴史博物館のシーンの冒頭で「スロープの上の石のベンチ」とあるが、より正確には、「スロープを登った先にある石のベンチ」。
・幼稚園先生宅での食事会を「春のパン祭り」と形容しているが、これは日本の製パン業者による販売促進キャンペーンを意味するのであって、本作の世界観に合致した表現とはいえない。
・先生宅のシーンでアンナが食事の席を立つときに「よいしょ」と言っているが、身軽な幼稚園児がそのようなジジくさい掛け声を上げるとは考えにくい。
・ケルテンハムパークのシーンでアンナの青い瞳を「西欧人特有」と形容しているが、語り手の「私」自身も青い瞳をもった西欧人であり、東洋人等と比較した場合の身体上の差異を強調すべき特段の事情は見当たらないことから、この修飾語は不要。
・ケルテンハムパークの砂場の縁石に体育座りしている「私」の背後にサボネアが近づいてきたとき、サボネアが叫ぶ直前に「そんな中、背後に忍び寄る影が一つあった」と書かれているが、これはサボネアの声を聞く前の段階では「私」の知りえない情報であり、もっぱら神視点からの記述であるから、不適切。
・お遊戯会のシンデレラのシーンで「ピンクのドレスに身を包んだアンナ」とあるが、日曜の朝の場面でも「おニューの洋服に包まれた娘」とあり、表現が若干重複するので、前者を「〜でおめかししたアンナ」などといったふうに言い換えるとよい。
・お遊戯会のシンデレラのシーンで「意地悪なお姉さんが金の靴を履こうとして出血する」とあるが、幼稚園側が4〜5歳の幼稚園児に流血描写までをも再現させる意図を有していると解すのは相当ではないから、「出血」は不要。
・園児たちが普段使っている教室を説明する記述は、正しくは「四方をぐるりと囲むベージュの壁には、手作りリースや(×に)星型のストローオーナメント、園児たちの描いた(中略)が貼り付けられていて」。
・全体的に心理描写に乏しい。

 はじめまして……の方がほとんどですよね。作者のセリと申します。まだまだ書き慣れておらず、人間が登場する小説を書くのは今回が初めてだったので、上記以外にも至らない点だらけだったかと思います。まして本作は、文字数が多いわりには精進料理のように薄味かつ終始同じ調子で描かれる平坦なストーリー展開。退屈に感じた人もいるでしょう。そうでなくとも、どこか漠然とした印象を受けたかもしれません。発想としても、

①縫い針と刺繍糸のポケモンで別れの物語を書きたい
②ポケモンと一緒に人形屋さんを営んでいるって設定とか面白そう
③人形やおもちゃといえばドイツ、ザイフェンは行ったことないし、お伽話の世界みたいで私的に印象に残っているゲッティンゲンを舞台にしよう
④季節はクリスマス、お別れ会も兼ねて、針と糸のポケモン同士のプレゼント交換で締め括ろう
⑤「あなとまた一緒に遊べるのを待っている」っていうメッセージを伝えるために、プレゼントに待ち針を添えよう
⑥タイトルに「まちばり」を入れよう(ちなみに構想段階では、同時並行的に人間同士の恋愛模様も描く予定で、先生と結婚することによって、交換に出されたレオントドンと再び家族としてつながれる日が来るのを待っていてほしいと『私』がワルツに約束するという意味での『まちばり』でした。色々なシーンを削らないと書ききれないですし、物語がどうしても駆け足になるので断念しましたが、Twitterの感想で結婚エンドについて触れてくださった方がいて本当に嬉しかったです。先生を独身にしたのは、これから『私』と先生の距離が縮まっていくという可能性を少しでも残したかったからなんです……!!)

 という至って単純なものです。私自身日常アニメ(『ちびまる子ちゃん』や『あたしンち』など)が好きということもあって、そういった日常の何気ない風景の描写を大事にしたかったので、描写を削るということは全くしませんでした。大筋に肉付けするような形で、書きたい風景を自由気ままにのほほーんと書いていったらあっという間に字数が膨らんでいったという感じです。本作のメインがドイツ描写なのではと言われるのはそのためかもしれません。正直あまり深いことは考えていませんでした(ただ、レオントドンが先生を選んだ理由を明示しなかったのだけは訳があって、人とポケモンとの間を取り持つ糸──つまりレオントドン──というのは気まぐれで、ずっと人間の手元にある一途な縫い針──つまりワルツ──とは対照的に、一旦糸切りばさみによって切られると針穴をするりと抜けていくという意味で恣意的な存在であり、結び付きに明確な理由などないのではないかと解釈したからなのですが)。
 皆さまから頂いた貴重なご意見は、今後ある程度字数のある短編を書くときの励みにしたいなと考えております。特に心理描写については今後の課題としたいです。このたびは拙作をお読みいただき、誠にありがとうございました。

水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

かンわいいいい! おきがえマラカッチちゃん可愛いねえ。バンザイしたところを青色のセーター被せられる彼女、とても微笑ましかったです。からっかからっか鳴くのいいですねえマラカッチぽい。おとなしいけれど親愛のクルミルが交換に出されると聞いた時の『暖かな部屋なのに耳の花は萎れていて、俯いたまま、自分の身長くらいの長さのフランスパンを両手で抱きかかえている。硬いパンの柔らかい部分を少しだけちぎっては、それを空の皿の上に置き、またパンをちぎるという動作を繰り返』すワルツちゃん、うわあああ言葉少ななのに彼女の心情が手に取るようにわかります。純粋な子だあああああ。でも乗ったシーソーが傾いたからって、女の子に体重が大きいなんて言っちゃいけませんよ。ピアノでねこ踏んじゃったを演奏するクルミルも、パンを焼くのが好きなビビヨンも、みんなみんな可愛い〜〜〜作者様ポケモンを可愛く描くの上手すぎですね。それだけでどんどん続きを読みたくなっちゃいます。
この3万字近い大作、あらすじを書こうとしても簡単には書けないんですよ。というのも冒頭から末尾まで主人公の置かれた状況は「クルミルを交換しようとしている」だけ(劇中で交換には至らないし、ビンゴも「ポケモンを交換する」マスは開けていないんですね。私は読んだ後に心の中でそっと開けました。)で、それにまつわる情景・心理描写が延々と続きます。ドイツのクリスマスは本当に店が閉まる(らしい)とか、駅ですれ違ったトルコ系移民とかケバブとか、雪雲に混じって浮かぶバニリッチたちとか、博物館がありすぎるとか、とてもとてもリアリティ。その上で可愛らしいポケモンたちが醸し出す暖かい雰囲気が最高でした。ストーリーの展開しないまま続く描写万博で読者を飽きさせないのはひとえに作者様の力でしょう。

 前歯を見せて笑う女性。その肩の上に、ワルツの膝の上で寝ていたレオントドンが勢いよく飛び乗る。そのまま自分の小さな頬をすりすり、すりすり。真っ白な頬に、メイクが崩れてしまうのではないかと思わせるくらい強く擦り付けているのを見て、「よく懐いていますね」と挨拶代わりに言ってみる。「そうでしょうか」と照れくさそうな返事が返ってくる。「レオントドンばっかりずるーい!」と、アンナが垂れ目を作って、すらりとしたシルエットのジーンズに抱きつく。いつだって先生は皆の人気者だ。


 女性に名を呼ばれるや否や、後ろから遅れてやって来たワルツに口づけ。そのまま私をスルーし、華麗にムーンサルト。女性の肩に乗っていたレオントドンの後ろ脚を蝶の長い脚で掴み、大きな翅で包み込むようにして口と口をくっつける。ちゅー、という何かが吸われているかのような音まで聞こえてくる。おかげでレオントドンの頬は、酔っ払ったオクタンのように真っ赤っか。後ろを振り返ると、ワルツのギザギザ口の口角が片側だけ吊り上がっていて、どこか不機嫌な様子。挨拶代わりに”ドレインキッス”をしてくるとは、相変わらず大胆なビビヨンだな、と感じさせる。

どちらもキャラクタが大勢いいるシーンの描写なんですけど、一段落に詰め込んで一切混乱しない書き分けが光ります。読み手の視点誘導というかリズムの付け方というか、引っかかりを覚えないんですよ。
序盤と後半では情景描写と心理描写が明確に分けられているのもすごい。情景・人物描写の切り上げってタイミングが難しくて、それがなくても読み手が会話文だけでキャラクターや背景を自然と想像できることが望ましいと私は思うのですが、それをとても上手に使いこなしている印象。
ホワイトクリスマス、ドイツ郊外の幼稚園の狭い教室で、ピアノのワルツに乗せて踊るマラカッチとクルミルを、大人と子供が笑顔で見守っている。なんて優しい、なんて優しいラストカット。大好きなクルミルが去ってしまう寂しさを、ありったけの優しさで包みこんだロールキャベツみたいな幸福感があります。浄化されました。このシーンを読者に想像させるために3万字の描写があったんだなあ。

まーむるさん
評価:☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆
はやめさん
評価:☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
白銀さん
評価:☆☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
くちばシュウさん
評価:☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆