あなたと旅をしましょうの感想一覧

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 アイの目指していた場所、ハナダ付近で難関と言うなら、ハナダの洞窟。その奥にいるものと言えばミュウツー。ミュウツーに関係する『アイ』と言えば……という風に予想してはみたものの、原典の映画のアイに関してはネットで調べられる程度の知識しかないこともあり、よく分からず。(あるいは、ゴールドくんがポケiスiペっぽい?ので、それ関連の何かなのでしょうか)アイの行動の内容やその後に確証が持てないままお話が終わり、私の思ってるので合ってるのか……? と残された謎にばかり気を取られてしまったというのが、一読目の正直な感想でした。が、二周目三周目と読んで、ガラリと印象が変わりました。なんだろう、終わりよければすべてよし、って言うじゃないですか。でも、私、この作品、終わりは(アイくんの諸々に関して)釈然としないのに、めっちゃ良いなあ……としみじみ思ったんですよ。だから何が良かったのか、うまく言葉にできそうにないのですが……過程が良かったんだよなあ、やっぱり。アセビちゃんと、アイくん、そしてイーブイという三者が、出会って、時間を共にして、探り探り心を交わして、ほんのちょっとずつ近づいて、触れ合って……っていう、この過程が……本当に良かったんですよね……。うん、いいなあ。
 マサキさんの人の好さ、子どもたちに相対するときの絶妙な距離感とか。つかみどころのないアイくんの、不思議な格好良さとか。ムキになっちゃったりひりついちゃったりするアセビちゃんの、どうしようもないいじらしさと優しさとか。心身ともに傷ついたイーブイが、周りの愛情を受けて少しずつ少しずつ心を開いて、自尊心のようなものを取り戻していくのと比例して、アセビちゃんは少しずつアイくんのことを認めて。アイくんが傷ついて帰ってきて、心配してる自分にきっと気付いて、そんで不安定な心を見せはじめて。登場人物たちの不器用さや人肌のぬくもりが、もうねえ~……、実に愛しいのです。
 申し訳ないのですがどこをどう語ればいいのか分からないので好きなところ羅列します。しゃーって威嚇してるイーブイかわいい。イーブイがシャワーズになりきってルネシティを目指しているシーンがもうやばい好き本当に大好き、そのあと電気が点けられて驚いてみんながアワアワしてるシーンも本当に愛しい。夢に見るイーブイの言葉……。イーブイに嫌がられてシクシクしてるマサキさん本当に良い人。 
>「旅に出たりはせえへんのか?」
「女の子の一人旅は危ないから駄目って、お母さんが」
「おかんやのうて、アセビは旅に出たくないんか? それでええんか?」
 もう、良い人よね。言葉の選び方とか本当に良い人。大人。大人です。ほんで服のほつれを直してるアセビちゃん…… >手に取った服には、落とせない冒険の汚れがしみ込んでいた。 ううんエモすぎる……アイくんが風邪ひかないようにお風呂に入れようとするアセビちゃん……「友達に会いに行くんだ」……着替えを持って追いかけるアセビちゃん……あああ~愛しい……イーブイを抱き上げて回復装置を見下ろすシーン、耳が痛くないかと問うところ、"月の光"を練習してる二匹、それを見ながら行われる二人の会話。アセビちゃんの涙。アイくんの不安。寄り添っているブイズたち。ぜんぶ……愛しいんですよね……なんか愛しいと良いと好き以外の感想全然出てこないんですけどもうすべての語彙を押しのけて愛しい……って表現せざるを得ない自分の無力さを噛み締めています今。そして最後にイーブイが「君がいい」と言ったような気がするところ。お母さんが頭をよぎる、それでも「私も、あなたがいい」そう言えたアセビちゃんの変化。この小さくて穏やかであったかで、でも確かに変化した二人というエンディング。いいよね。いいよね。胸の隙間に優しく沁み込んでいくような……ここまで来たら、もう、アイくんと友達はどうなるんだろとか……もう……いいやってことはないんですけど、気になるんですけど……それが分からないところもこの作品の一部だろうと好意的に受け止められる自分がいるんですよね……一周目と打って変わって、描かれない方がよかったとすら思いはじめている……うん、過程よければすべて良し。いや終わりも良いです、全部良いです。あのね……語彙力なくて本当すみません……一言で言うと『エモかったです』……。永遠に読んでいたい、永遠に浸っていたいと思える、そんな作品でした。
 アセビの花言葉は「犠牲」「献身」そして「あなたと二人で旅をしましょう」。いや~……エモい!! 感想力低すぎで本当すみませんでした笑、大好きな作品です、素敵な読書体験を本当にありがとうございました。投稿お疲れさまでした!

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆

「アセビ」という特徴的な名前が気になって調べてみると植物の名前とのこと(馬酔木)。もしかして、と思って花言葉を調べてみると「あなたと二人で旅をしましょう」…はー!こういうタイトルの付け方ですか!おしゃれ!!
ポケモントレーナーが10歳で世界へと旅立つのが普通の世界なら、同じくらいの年齢の子がジョーイ見習いになるのも普通なんですかね。いやあポケモン世界の少年少女は立派だなあ…ついつい一人前になった気で発言しちゃってるところに背伸びしている印象を受けてちょっぴり微笑ましいです。

ロケット団のポケモンだったイーブイ、人間だけじゃなく同族の進化系でさえもすぐに受け入れられなかったところを見るに壮絶な過去があるみたいですね…ゲームやアニメではコミカルな描写や間抜けな描写がよく目立っていますが、マフィアを自称するだけあってかなりえげつない行為を働く輩もいるということでしょうか…
そして、マサキをよく思わないアセビの母。なぜ、と思いましたが理由を読めばすごく納得しました…あずかりシステムが整備されていない時代はもっと管理しているポケモンの数は少なかったでしょうし、必然的にポケモンバトルの回数も少なかっただろうからポケモンが傷つく機会も少なかったことでしょう…
母数が増えればトラブルが増えるのは世の常、トレーナーの民度が下がり悪いトレーナーが目に付くようになってきて、その遠因がマサキにあるとなれば好意的に見ることはもう無理でしょうね…便利なシステムを作った人間を嫌う人間なんているはずがない、そもそもそんなことを考えるにすら至っていなかったので、この着眼点には驚きました。いやあすごい。

ジョーイを志望するアセビは、果たしてイーブイと旅立つのでしょうか。
マサキの言うように、アイがアセビを連れ、アセビがイーブイを連れていくのでしょうか。
あなたと「二人で」旅をするのでしょうか、アイが一緒にいることをイーブイは良しとしてくれるのでしょうか、それとも…?

続きが欲しくなる作品でした!面白かったです!

円山翔さん
評価:☆☆☆

 あああ、もうちょっと続きが読みたいです……でもそういう戦略なんですね? 
 アイがアセビに言った、「無限の可能性と遊んでいる」という言葉。とてもいい響きだなって思いました。可能性と遊んで、自分に合った道を探している最中なのですね。対して、アセビは特にやりたいこともないまま、母に勧められた道を歩もうとしていた。レールの上を歩くのは気が楽で、苦労もおそらく少なくて。どちらの生き方がよいかと問われているようです。最後には、アセビはイーブイを手持ちにルネシティへ向かうことを決心。イーブイと出会って、アイと話して、自分で決めた道を行こうとするアセビを応援したくなります。
 最初にポケスペのゴールドらしきキャラクターがテレビでポケモンリーグに出ていたのは、バトルをする人の象徴として描いておられたのかなと思いました。ポケモンとの絆を大事に頑張っている人、でもよいのでしょうか(ゴールドというキャラクターを知っているからこそそう思えるのですが)。そういう人もいれば、アセビやアセビの母が忌み嫌うような、ポケモンを乱雑に扱う人もいる。そういう対比を描くためかなと解釈しました。

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆

23・あなたと旅をしましょう 主張するビンゴ・1  

フェアリータイプのワザを劇中で使う

『つきのひかり』を使用するシーンがあります。

劇中でポケモンバトルをする

『テレビの中でのポケモンバトル』も実際にバトルが
行われている事とそうそう変わりません。上手いやり方でしたね。

ポケモンを七種類以上登場させる

イーブイ ブースター シャワーズ サンダース ブラッキー エーフィ バクフーン ライチュウ……
画面のポケモンと合わせれば、7匹以上はまず行きそうです。

恋愛模様を描く

『淡い恋愛』と言うくくりで考えれば大丈夫でしょう。

イーブイかピカチュウを登場させる

イーブイが登場しています。

ストーリー評価 65点 減点 なし 総合評価 65点

『感想』

やり手の作者。ギリギリを突いて、ブイズの物語を完成させる。

『テレビの中でのポケモンバトル』は驚かされましたね。
その手があったかと。『絵にかいてある』『話に聞いた』はなかなか
そのポケモンが登場していると言い難いんですけど、画面の中とはいえ
確かに存在しているポケモンに対して『そのポケモンはいない』なんて
言い切る事は出来ませんよ。小テーマを知り抜いた、素晴らしいやり方でした。

ストーリーで言えば、『ポケモントレーナーは立派』と言うポケモン世界での
常識に『本当にそうなの?』と問いかける野心作だったと思います。
ジョーイの立場で見てみれば、ポケモンを使い潰して傷付いたらセンターで
治してもらえばいいや、と言うトレーナーを見て嫌な気持ちになる事もあるでしょう。
自分自身も、ポケモンを小説の駒にしている部分は否めません。
人間が主体になる小説作品もある中、ポケモンと人間との付き合い方を
真っ直ぐに見つめ、『それでもポケモントレーナーに憧れる少女』を
書き切った。かなりの才能の持ち主だと思います。

それと、とにかくイーブイが可愛い。
イーブイが『進化した自分の姿』を想像して進化後のポケモンの真似をするのは
読んでいて本当に癒されました。『無限の可能性』って言うのも素晴らしい。
人間と同じ様にイーブイには無限の選択肢があって、どの進化形になるのかは
まだ決まっていない。真っ白な絵に自分で絵を描いていく。
それは人間もポケモンも同じで、自由なんだ。
冒険と言う名の大海原に出発する事を予感させる主人公と同様に、
イーブイの自由な姿を楽しみながら読ませてもらった作品でした。

花鳥風月さん
評価:☆☆☆

今大会の参加者さん達はイーブイに何の恨みがあるのか……いやむしろ愛ゆえにいじめたくなってしまうのか……?
この作品も例に漏れず、耳が折れ曲がったイーブイから物語が始まっています。
バクた……もしや!?ここで小ネタを挟んでくるとは!実際に時系列的に金銀・HGSSのロケット団壊滅後ぐらいみたいですね。
アセビちゃんはよくも悪くも熱い子なのかな?ポケモンを思いやる気持ちは大切なものですが、それが暴走してしまっては本末転倒。ここをキッチリ書いているの、すごく好感が持てます。イーブイなぁ、そりゃロケット団にひどい目に遭わされてたら何もかも気に入らなくなるよなぁ……。
そしてジョーイさん一家の影のような側面も見られた気がします。ジョーイさんにならないジョーイさんの家系もあるだろうに、自分の意思で進路を決めたワケじゃないアセビちゃん。さらに追い打ちをかけるかのようにポケモンの扱いが悪いトレーナーの存在と、それをよく思わないジョーイさん。アセビちゃんの序盤での暴走もそうですが、ポケモン界での「当たり前」に切り込んだ面もあると感じました。
>トレーナーは過信する。
> “ポケモンセンターなら治してくれる”と過信してやってくる。
> 駄目だった時の事を、考えもしない。
この3行がこの作品のテーマでもあるんじゃないかなぁなんて思っています。もちろん話の軸はアセビちゃんとイーブイになるのですが。

うぉおおおおおお敢えてそこで終わらせるとは!!!これは続編が見たくなりますね。イーブイとアセビちゃんでルネシティに行きながら、アイくんを探しに行くのかな?
もんのすごい欲を言うと、短編であるからにはアセビちゃんのこれからや、アイくんのハナダを出て行ったときの気持ちにもう一押し欲しかったかなぁとも思います。
もちろん、このままでも十分に完成に値する出来になっているので、これはあくまでもおじさんの好みとして流していただければ……!
これからの2人に幸あれ!
投稿お疲れ様でした!

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆☆

 丁寧に書かれた良作だなぁという感覚です。アセビの内面が少しずつ変わっていく様子が見事に描かれていて凄いなぁと。
 それだけに、これから先のアセビとイーブイの物語を読めないのが残念でなりません……

 楽しませていただきました!

ソラさん
評価:☆☆☆☆☆☆

なんというかポケモンの世界でも親の価値観に囚われた人がいるんだなーと思いました。
話が進んでいくにつれてだんだんアセビさんの本音が見え始めて、アセビさんは態度や口調は少し尖ってるかもしれませんが心の内では誰かが怪我をすることがとても怖いだけなんだなーと思いました。
アイさんが会おうとしていた『友達』が何者なのかは最後までわかりませんでしたがそれはそれで色々と想像できるのでよかったです。
最後になぜイーブイがアセビさんを選んだのかもわかりませんがきっとアセビさんの本音に気づいたのかなーなんて勝手に思ってます!
私の印象としてはこの物語は最初から最後までほとんど曇り空のような雰囲気で進行していました。
しかし、最後に主人公が大きく成長する一歩を踏み出した事で少し雲が晴れたような気分になり、この後アセビさんがどんな風にイーブイと付き合っていくのかとても楽しみになりました!
わかりやすくいうならば暗い雰囲気の中でも前に進もうとする姿勢がすごく好きということです!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆

ジョーイさん見習いのお話って珍しいなぁと思い、興味深く読んでいました……! 傷ついた状態で出会うからなかなか心を開いてくれないけれど、それでも辛抱強く関わって少しずつ距離を近づけていくというのは良いものですね……!
 特にイーブイが「無数の可能性と遊んでいる」という表現がすごく好きです……! 進化先が多くて、他のポケモンと比べてより多くの選択を迫られると思うのですが、そんな姿をポジティブに言い表してるなと思いました……! 旅番組が好きで、いろんな場所に行ったことを想像して楽しんでいる姿もすごく可愛いですね……!
 トレーナーとは違う切り口から描かれたポケモンとの友情にほっこりすると同時にこれからの日々も見てみたくなりました、ありがとうございました!

ptさん
評価:☆☆☆☆

アセビ、アイ、イーブイの三者が徐々に近い存在になっていくのが非常に良い
マサキの大人としての役割とコミカルなやられ役もぴったりハマってます
最初はルネに行くのかな~
旅をしている途中にうっかりリーフィアかグレイシアの進化条件になる場所に行ってしまうとか、なつき過ぎてエーフィやブラッキーに進化してしまうとか、それでマサキが研究のためにすっ飛んでくるとか、旅に出た後の話もとても気になりますね

アセビちゃんは例によってあのジョーイさん顔なのかな…

猫村さん
評価:☆☆☆

結構駆け足に文章が進んでいる印象を受けました。文字数足りなかったのかな…?
バクたろう!!!!!!!!テレビのトレーナーはゴールドですよね!!!!!ポケスペネタにテンション上がりました!!!!!うっひょい!!!!!
イーブイが可愛かったです。

カイさん
評価:☆☆☆☆

お題に「イーブイを出す」があるのでイーブイが登場する作品が多い中、人間に全くなついていないイーブイがメインキャラクターという点で、新鮮でした。
人間に痛めつけられ、心を閉ざしたイーブイの姿にはハラハラしましたが、イーブイの心の氷がゆっくりゆっくり溶けていく様を見守るのは、独特の心地よさがありました。
きっとアセビさんとイーブイは素敵な旅をするのでしょうね。それが想像できて自然と微笑んでしまうような作品でした。
あとマサキさんめっちゃええキャラしとったわあ。原作キャラクターですが、全然違和感なく馴染んでいて、すごいなあと思いました。

投稿お疲れ様でした!

Pさん
評価:☆☆☆☆

手酷い扱いを受け人間不信となったイーブイと向き合う見習いジョーイ。重苦しさ一辺倒になってもおかしくない展開を当のイーブイや周りを固める進化形たち、そしてマサキの愛嬌でうまく緩和し、彼女が自分の道を歩むと決めるまでをうまく描いていると思います。
「人間は回復装置にかけられない」など見習いジョーイとしての視点からの語りも新鮮で、傷ついたトレーナーとポケモンを心配する姿はまだ見習いであっても、それが流されるような選択の結果であってもジョーイの卵なのだと思わされました。
主人公はアケビなのだから当然と言われればそれまでなのですが、年齢に比して相当の実力があるトレーナーとして描かれ、彼なりの目的を持って行動していると思われるアイの話をもっと聞いてみたかったという欲があります。その実力は何によって、あるいは何のために身につけたものなのか。なぜ彼はルネを目指しているのか、彼がルネから連れ出そうとしている「友達」とは何者なのか。場合によってはこれでもう一本書けそうなほどのバックグラウンドを予感させました。
タイトルからして旅のパートナーと出会う話となるのだろうとは予想していましたが、旅番組好きのイーブイの姿は完全に予想外でした。様々な進化先への度重なるイメージトレーニングというイーブイにしかできない目的と相まって非常にユニークで、様々な光景とともにどういった行動をしているか想像してみたくなります。

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆

この作品は終始重い雰囲気が漂っていますが、キャラの描写が良かったと感じています。
特にアセビ。 彼女はおそらく、親の前とかだと本音を出さないというか、無抵抗で引っ張られる感じだったのかもなと思います。安全に、というのが脳裏に染み付いてしまって。 だから深海に行く話に死んじゃうからと消極的だったのかも知れないですね......。
あとはアイについて。自分は孤高なタイプかと思っていた訳ですが、めちゃくちゃ友達思いですね......。 彼の友達は一体誰なのかが気になりますが、読者の想像に任せる感じでしょうか?
そして、マサキもキーパーソンだったなと感じています。彼は自由に生きる事の象徴だったと思いますし......。 本当にキャラに魅力があったなと思える作品でした!
投稿お疲れ様でした!

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆

 イーブイと彼を取り巻く進化系たちの描写がとても印象的なお話でした。旅番組を見ながら冒険心をたぎらせるイーブイの様子を『彼はとっくにシャワーズになりきっていた』『時にシャワーズになって海を渡り、時にブースターになって火山を駆け回る』『今日のイーブイは夜の森を探索するブラッキーで』と表現するセンスが素晴らしいと思います。そんなイーブイに振り回されながらも絆を深めていくアセビの心の動きも丁寧に描かれていたと思います。
 少し気になったのが『耳にオクタンが出来るほど言われている』という表現。『耳にタコ』の『タコ』は生物の蛸ではなくペンダコの胼胝(タコ)のことを指すのですが、作者さんはそれを理解した上でこの表現を使ったのかどうかが気がかりです。

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆

 これは多分ポケスペの世界観ということでいいのでしょうか、こういう企画ではかなり珍しい攻めた世界観ですね。
 全体的なストーリーとしてポケスペの世界観である必要があるのかなと思ってしまったのですが、多分作者の方はポケスペ好きでしょうからそんなことはどうでもいいことですね。
 マサキのキャラは結構好きでした、つい二行前にポケスペである必要性があるのか?と思ってしまったのですが、ポケスペのマサキはかなりイーブイに献身的だった覚えがあるので、そこを拾ってきたのだったらとても素晴らしい二次創作だと思います。
 イーブイが非常に可愛らしい良い小説で、テーマも一本筋の通った物があるとは思うのですが、ちょっとそれ以外の話の構築がちぐはぐだった印象を受けました。アイ周りでかなり匂わせ気味な設定があったと思うのですが、それらの設定をもっとわかりやすく凝ったものがアレばもっと星をつけたと思います。

照風めめさん
評価:☆☆☆☆

イーブイとアセビの交流が優しくて良いですね!
最初は人間不信でマサキのところのブイズ達とも揉めていたくらいだったのですが、時間が経つにつれて交友を深めていったのが好きでした。
他のブイズから技を教えてもらえるようになるのも可愛いなあと思いました。
マサキさんめっちゃ大人な感じでいい男でしたね〜。
アイはミュウツーの逆襲のアイツーをモチーフにしてるのでしょうか? だとするとアイが逢いに(激ウマギャグ)行こうとしてるのはミュウツーなのでしょうか。
さて、ここからは二つの仮定をします。外れていた場合は無視してください。
①アイが会おうとしたのはミュウツーである
②ゴールドがテレビに映っていたため、この作品はポケスペの世界観である
この二つがあるとすると、アイの存在がどうしても謎になってしまいます。ポケスペ世界ではミュウツーとの近親者はカツラのはずなので、どうもアイが介在する余地が無くなってしまうのでは? と思います。
いや、明言してないのでアイが会いたいのはハナダの洞窟の奥にいるパラセクトとかかもしれないので言いがかりかもしれませんが……。
もう少しアイ周りについてヒントを欲しかったなと思います。
>「いつか一つを選ぶとしてもね。いまは、無数の可能性と遊んでるんだ」
このセリフが一番好きでした。こんな頃もあったんだろなあ、と和みました。
親の言葉に縛られて自分の道を選べなかったアセビが、自分とは異なる境遇、価値観で生きるアイやイーブイとの交流でアセビ自身の道を決めるエンディングが素敵でした。花言葉もかけてあって良かったです!

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆☆☆

「無数の可能性と遊んでるんだ」
 すてき。
 言葉の選び方や、言葉の運び方が、全体を通してすごく魅力的です。とても真似できません。
 ブイズのでてくる作品はそこそこの数を読んできましたが、私のなかで一番のブイズ小説はこの作品。すごくよかったです。
 ルネシティのところが特に好きです。シャワーズになりきって泳ぐイーブイの想像の深海も、アセビのみた夢のなかの深海も、その「深海の電気が消えた」場面も、まるで目の前に映し出されるようでした。すてきでした!

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆

タイトルと主人公の名前が見事にリンクしている話でした(恐らく、いえ絶対意図的にそうされたとは思いますが←汗)。
ジョーイさんをしているからこそ、トレーナーのことを嫌いになる。仕事上傷つくポケモン達を多く見ている彼女達だからこそ、そうなってしまうのも納得できる部分があります。同じトレーナーが何度も似たような状態のポケモンを連れてくる、なんてのも珍しくないに違いないと思いました(ポケモン世界の闇が見えた気がします)。
最後に主人公はトレーナーになることを決め、パートナーも決まったようですがこれからどうなるのでしょうか。彼女達の未来が気になりますね。

早蕨さん
評価:☆☆☆☆

 読み終えた今、僕の中にはこのお話の中には謎が残っているのですが、これは僕が原作の設定を忘れているのか知らないだけなのでしょうか。
 バクたろうが出てきているあたり、ポケスペの世界観なのでしょうか。アイが助けに行こうとしている友達とは……? 
 僕のわからない何かが、物語のストーリー上重要な何かを占めているのであるとすると不安でしょうがない! 僕はこの作品を読めているのでしょうか!

 読めた中での話ですが、アセビさんとのイーブイの関係性が、わかりやすく良くなって、懐いて、という書き方、終わり方じゃなかったところが、僕の中では良かったなあと思うところでした。
 アセビさんの真面目で真摯な態度が回りにだんだんと伝わっていき、怖い人からそうじゃなくなっていく様が、はっきり語られないまでも見えてきていいなと感じます。
 アイ君もアセビさんの様子を見て少しずつ打ち解けていく様子も素敵で、マサキが良い感じの保護者感があって、ナイスキャラでした!
 後一つ気になるのが、お母さんとの事です。マサキの家に泊まり込むのは、ポケモンの世話をしてくるということでポケモンセンターに泊まっているという事になっているんだと思いますが、お母さんとの話はその部分だけですよね?
 その辺の話も本筋に絡んで来ると思ったので、そこをあまり絡ませなかったのは、作者さんの何か意図があるのでしょうか。
 投稿、お疲れ様です!

トビさん
評価:☆☆☆☆

アセビちゃんのキャラクタが非常にいいと思いました。一番最初に保護した自分よりもイーブイに懐かれているアイに対する感情が、ひいては自分はポケモンを一匹も持っていないという不満や、>安全に、確実に。全てお母さんが教えてくれた。 と、母に言われるがまま就いているジョーイさんという仕事への選択への疑問などに繋がっているのがいいと思います。
>アセビの口は質問に答えることを拒否していた。「それで×××です」「特に××××とは思い×××」ふよふよと、口が迷って形を変える。
この描写上手いなあと思います。
>アセビは自分の意思で進路を決めた訳じゃなかった。でも他になりたいものややりたいことがあった訳でもなかった。
だからアイくんに対して>「私よりきっとうまくやれるよ」とか負の感情が入り込んでいるんですよね。アセビちゃんを見て愛おしい気持ちになります。マサキとアイが自分の人生生きたいように生きてるのを見て、ポケモンと心を通わせているのを見てもやもやしているアセビちゃんが、最終的に解決されてかつ自分の意志を明確に出来て本当に良かったです。
イーブイやアイくんと出会わなくても、アセビちゃんはいずれ、どこかのタイミングで親のしがらみから逃れたいと思う未来もあったのかもしれないんですが、この出会いだったからこそアセビは >「私も、あなたがいい」ってイーブイに言えたんだと思うんですよね。イーブイもアセビちゃんがずっと隣にいてくれて一緒にテレビ見て同じ景色を見て、イーブイの中では冒険のパートナーとして既に旅をしている存在になってたのかなあと思うと、アセビちゃんと過ごしてる日常がイーブイにとってどれほど過去を忘れさせる癒やしになってたのかが分かります。
イーブイが進化系になりきる姿も可愛すぎる……。
バグたろうって言いかけてますし、ポケスペの世界観ですよね。アイくんはオリジナルキャラなのでしょうか。
>何故ポケモンセンターでなく、マサキの家なのか訊いたが、マサキは言葉を濁した。
このあたりも気になります。マサキはアイの正体を知っているんでしょうか。空も飛べない、ダイビングも使えない友達。誰なんだろう……。海底洞窟とかけてルギアかと思ったんですが違う気もします。他にも言ってたからゲーム世界のレッドに会いに行ってるのかなとか想像したんですけれども >僕は、そのどっちも使えない友達を迎えにいく。って言ってるから違うんだよなあ。誰なんだろう。

逆行さん
評価:☆☆☆☆☆

凄く切なくて、なんかこうエモいお話でした。目的を達成するために死んじゃうかもしれない危ないことに挑んでしまうトレーナー達。そしてそんなトレーナーを非難的な目線で見ているジョーイさん。この関係性か凄く深く、僕は良いなあと思いました。

進化先のマネを色々するイーブイが凄く可愛らしくて良かったです。

>「「関係ないんだよ、彼には」
>「 アイは笑った。
>「いつか一つを選ぶとしてもね。いまは、無数の可能性と遊んでるんだ」
> 庭のイーブイは月の光を使えなかった。でも、一生懸命ポーズをとってみたり、月を睨んでみたりして、とても楽しそうだ。彼は彼なりに、先の事を考えてあれこれ試しているのだ。

ポケモンなりに将来に憧れを抱いて色々やっている様子を「無数の可能性と遊んでいる」と表現してたのが、凄く心に来ました。

色んな可能性を持っており、外の世界に出たいとも思っているイーブイと、親のしがらみや恐怖があってやりたいことをやられていないアセビ。この2人の対比が凄く巧いなあと思いました。トレーナーとして旅をするっていうのは危険性が伴うことだし、親も反対することだと思います。でもその恐怖がときに好奇心に敗北することがあって、そういったときにどういった行動を取るべきなのか。この話は凄く考えさせられるなあと思いました。

更には自分だけでなく、自分のポケモンも危険な目に合わせてしまう可能性があるんですよね。だからポケモンを治すジョーイさんという仕事をやっている人がトレーナーをどんどん嫌になっていくのは分かる気がします。しかもトレーナー達はポケセンに来れば、どんな怪我でも治してくれると過信してるんですよね。それがまた辛い所で、医師の重圧感というものは半端ないんだろうなあと思いました。実際イーブイの耳は治らなかった訳で、ポケセンでも治せないものってあるんでしょうね。そういった状況下で、ジョーイさんが何を思うのか、トレーナーはジョーイさんを責め立てたりするのだろうか、とかそんなことを色々想像してしまいます。

アイは「友達に会いに行く」と言っていましたが、誰に会いに行っているのでしょうか。ハナダの洞窟のミュウツーに会いに行っているのかもしれないし、あるいはそこらへんの草むらにいるポケモンかもしれないですね。いずれにせよ彼にとっては重要なことで、目的を果たすためなら無茶だってするし、自分を過信して突き進むしかないという。そんな彼の愚かさというものに、自分は凄く惹かれるんですよね。そしてそんなアイを誰も止めることができないのが、運命だなあと思いました。

このお話は最後、親に反対されることを心配した時点で終わります。また、アイが無事に帰ってくるかどうかもまだ分かっていません。アセビとイーブイの旅は、もしかしたらできないかもしれないんですよね。この後どうなるのかを読者に委ねてくるのが良いなあと思いました。色々書きすぎないで想像の余地を残してくるのがすごく巧いなあと思いました。

個人的には凄く好きな作風なので、ぜひこれからも作者さんの作品を追っていきたいなあと思いました。この小説の良さはあまり上手く言い表せませんが、とにかく好きなんですよね。あまり多用すべき言葉ではないかもしれませんが、「エモい」という言葉をここに関してだけは使いたくなりました。エモいという言葉はこういうときのためにあるんだなと、始めて気が付きました。投稿お疲れ様でした!

しろあんさん
評価:☆☆☆☆

あぁイーブイちゃん、耳……一体誰がこんな酷い事を……!((
いやぁ、愛くるしいポケモン代表(?)のイーブイがここまで他者に懐かないっていうのが新鮮で面白かったです。そりゃ耳折られたら簡単には人を信用したりできなくなりますわな……
アセビのお母さんがジョーイさんでありながらポケモントレーナーを嫌っているっていう設定もなるほどと思いました。確かにバトルをさせる以上、トレーナーはポケモンに怪我を負わせる可能性があるわけですからね……おそらくアセビさんもお母さんほどではなくても、ポケモンを怪我させるトレーナーの事はよく思ってないのでしょう。いや、もしかしたらこれはジョーイさん全体に言えることなのかもしれませんね。
それから進化先をイメージしているイーブイがとても可愛らしかったです……アイくんの「無限の可能性と遊んでる」って表現が凄くグッときました!

まだ旅をすると決まったわけではないけれど、アセビさんとイーブイはきっと素敵な旅をするんだろうなぁと思います。それから、アイくんの友達って一体誰だったんだろうと少し考えました。
投稿、お疲れ様でした!

ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆

23.
正直に申し上げたら実質5かもしれないです。
この作品をスト25に出して、読ませてくれてありがとう、という気持ちはきっと完成度を評価する上で正しいんだ、って感情に流された結果6になっています。

ミュウツー作品群の中でこれが一番好きです。
アセビちゃんがジョーイさんの職業への誇りを未然ながら持っていて(ここもすきです)将来有望だったり自分の夢に踏ん切れてなかったりするメインのストーリーラインは、
それは印象として完成度を上げることには役立っているんですけど、

ごめんなさい。少年アイの存在にやられたんですよね。
名前だけ出せばいいってだけじゃなく、
「自称友だち」で、会いにいこうかどうか、それはあっちは求めてはいないのかもしれないっていう、近所の洞窟の何者かに対する距離感は、アイの名を持つ何者かがやる行動として、僕はとても好きでした。
それは、自分にとっては好ましいものです。

それだけは形に残る形であるここの感想欄で何よりも言っておきたかったものです。

まあ、近所の洞窟の何者かが何を思っているかわからないんと同じぐらいに、
ハナダ洞窟関連の何者かが関係しているということ自体、全部僕の勘違いなのかもしれないですがね。

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆

マサキの家にて、イーブイの保護と看病をすることでアセビ自身も成長していくお話でしたね。
イーブイが最初警戒心が強かったところを、まずは先住ポケモンたちから、そしてアセビちゃんと、時間をかけてゆっくりと周囲に馴染んでいく描写が非常に丁寧でした。リアルの保護猫のような感じを思い出させる丁寧な作りでした。イーブイがシャワーズになり切っていたり、ブラッキーに月の光を教えてもらっていたりしているところが可愛かったです。
ポケモンの面倒を見ることに重きを置いているなあと思いました。人間はただ見守るのみ、というスタンスを徹底していたなと。
再読して気付いたのですが、アセビちゃん11歳なんですね。若い……!!
見習いみたいな感じなのでしょうけど、多分背丈とかで分かるかなぁと思うのですが、結構ジョーイさんと見間違われているような感じがしたのですが、何ででしょうね……。
時間の問題だったのでしょうか、残念だったのは物語のこの先まで見たかったことです。アセビちゃんが旅に出て、再びアイ君と巡り合うところも見てみたかったです。

春さん

あとがき的な何か
 色々と作者予想も出てたみたいですが、なんとか誰にも当てられずに発表を迎えることが出来た、とたぶん思います。たぶん。少なくとも10月13日現在では。作者当て探偵でお馴染みのとらさんにはオフ会で別作品の作者だと予想され、でも全く違う作品名だったので私の反応に「誤魔化してるの? 本気なの? どっちだ!?」と混乱されたようで非常に面白かったです。来年も大会があるならまた逃げ切りたいなぁ。とはいうものの、実のところ私は他の作品の作者さんをあまり当てられる自信がありません。とらさん凄い。

 今年は何かを狙ったというよりは、制限を自身に課した上で、出来るだけ素直に書いたつもりです。バトルや激しい動きのあるシーン、何らかの事件が起こったり、といった話を書くことが多かったのですが、今回は「バトル禁止」「激しい動き禁止」「じっくりと心情を描く」を念頭に書きました。今までにない試みでしたが、色々な人に確実に意見がもらえるコンテストという場で出すメリットは、大きかったと思います。

 察していただけた方が多くて嬉しかったのは、ミュウツーの存在、ハナダの洞窟、アイツー関連です。実はDVDを幾度となく見るほどミュウツーの逆襲の大ファンでして、それだけにエボリューションでアイツーのシーンが全カットされたのがショックで仕方ありませんでした。アイを出そうと思ったのはそれが理由です。「アイは結局なんだったの?」という感想をちらほら見ました。アイの正体については一応設定上は決めてあるのですが、それをしっかり明記するかどうかは、かなり悩みました。映画でもアイツーはそこまで深く語られる存在ではありません。幻のような、一夜の夢のような儚い存在です。私は、みんなにアイツーの存在を忘れて欲しくなかった。消えてしまったアイツーのように、アイも簡単に消える存在にはしたくなかった。ただの一キャラクターを超えた神秘性を持たせたかった。

 神秘というのは、深く語られず、謎を残すから神秘なのです。魔法というのは、理解しきれないからこそ、力を持つのです。

 書いた時にそこまで考えていたのかは分かりませんが、私はこの作品のアイを通して、忘れられない魔法を読んだ人にかけたかったのかもしれません。ですが、私の筆力不足もあり、それが成功したのか、失敗したのかは分かりません。今でも、アイについてこのままで良かったのかと悩む瞬間があります。けどオフや感想でアイの正体について考えたという話が出たので、少し安心したのを覚えています。

 自分でもかなり気に入っている夜の語り合いのシーンですが、あれを書いた時の私はリアルでいろいろあってかなり精神的に参っていて、だからこそ書けたシーンな気がします。書いてた時も、「今この瞬間の精神状態じゃないときっとこのシーンは書けない。だから這ってでも書ききらなくては」と思いました。今は色々あって、一応落ち着きました。「ミュウツーの逆襲エボリューションが出た今の時期だからこそ、この作品を書くんだ。あとじゃ絶対駄目だ」って気持ちもありました。

 イーブイが心を開いていく過程は、出来る限り丁寧に書きました。虐待された子供や人は、早々に心を開かないものだと思います。かたく閉ざされた心を癒すのに必要なものは、私は夢や希望といった、未来への想いだと思います。この作品で一番大きく心情が動いたのはイーブイなのかな、と思います。ブイズ可愛いとのご意見も多く嬉しかったのですが、あれは実のところ可愛さを意図して書いたものではなく、ブイズ達が一生懸命イーブイに関わっていこうとする過程を描いた結果でした。イーブイが自由に未来を想像する姿を描くのは、私もとても楽しかったですし、また羨ましくも感じました。アイの「無数の可能性と遊んでいるんだ」というセリフは、そうであって欲しいという、私の願いを込めたものです。イーブイの心情の変化は、欲をいえばもっともっと丁寧に書けた気がします。その点も少し心残りですが、こだわりすぎるとキリがないですね……。

 アセビのしがらみは解決した訳じゃないし、アイが友達に会えたのかは謎のままだし、イーブイの怪我が治った訳でもありません。全て綺麗さっぱり解決しました!という流れにする事も、可能といえば可能でした。けど、そうはしたくなかった。現状が簡単には解決しなくたって、それでも前を向いて、私たちは歩いていかなくてはいけません。たとえ未来が、一寸先が何も見えなかったとしても。変えられるものがあるとすれば、それは心だと思います。現状が変わらなかったとしても、アセビやイーブイの心境は大きく変わった。それでいいんだと私は思います。アイが帰るところまで書かなかった理由は、これも迷ったのですが、完全なハッピーエンドにしたくなかったというのもあります。アイはちゃんと帰ってきたのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それでも、無事に戻ってくる未来を想像して待つことに、意味があるのではないでしょうか。

 今までと大きくやり方を変えただけに、受け入れられるかどうかは不安でした。理解されないかもしれない。かなりの批判を受けるかもしれないし、逆に無反応で話題にすら上らないかもしれない。それでも、この作品を書いたことは、私にとって大きな意味を持ちました。批判されたとしても、無反応だったとしても、書いた時点で意味があったから、それでいいと半分は思っていました。予想に反して、好きと言ってくださる方がちらほらいたことにホッとしました。読んでくださった方、本当にありがとうございました。

 とはいっても、未熟であることには変わりありません。うまく出来なかった点も多々あります。今回の感想を真摯に受け止めて、精進したいと思います。運営の方並びに参加者の方、お読みくださった方々、本当におつかれさまでした。改めてお礼申し上げます。

水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆

ブイズがワイワイしているシーン、ああなんかもう可愛いなあ! ポケモンの鳴き声なので何言ってるのかちょっと分かんないんですけど、それでも雰囲気は読み取れてしまうから不思議なものです。慣れない様子のイーブイが後ずさりしてアセビにぶつかってからのてんやわんや、大騒ぎになった部屋の中は想像するだけで楽しいですね。
イーブイがテレビの映像を通して、シャワーズに進化してルネの湖を泳ぐシーン、ステキです。同じ部屋でも明暗を切り替えることで、ルネの深海が部屋へ投影されるかのような美しさ。直後のアセビとアイの会話。

「ポケモンの作った空気の膜につつまれて、トレーナーは深海を探検する」
 アイの澄んだ声がじわりと脳にしみ込んでいく。
「……行きたくなんかない。死んじゃうもの」
「ポケモンが一緒だから、大丈夫だよ」

がすごい伏線的に効いてきますよね。こんな短いやりとりなのに神秘的とさえ思えてきます。ジブリの名シーンにありそう。ブラッキーと月光を浴びたり『無限の可能性と遊んでいる』イーブイになぞらえて、主人公が将来を見つめ直す転換点になるという流れ、ちゃんと物語になっているなあと。それまで母の言うがままにジョーイ見習いをしていたアセビの視野が、イーブイと出会って広がった、成長したことがはっきりと書かれずとも分かるのがね……ステキ。ラスト結局アセビはルネにたどり着けるか書かれていないし、そもそも母を押し切って旅に出れるかも定かではないですが、あなたと旅をしましょう、と決意したことで確かに彼女は変わっているんですよ。あ、タイトルがおしゃれですよねえええ!
章ごとの冒頭に挟まれるひとことポエムみたいなのの意図があんまし掴めなかったですごめんなさい……。アセビの見た深海の夢だったり、アイくんの素性だったり、他にぼんやりとした空想的なシーンが多かったのでこういう匂わせる系文言で雰囲気つくるのはいらないかなあ、って思っちゃいました。

まーむるさん
評価:☆☆☆☆
セリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆
はやめさん
評価:☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
白銀さん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
くちばシュウさん
評価:☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆