愛憎の楽園(パラダイス)の感想一覧

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆

 うわ~お異能バトルですね!! 普段は人間のフリをしてて体の一部だけ他ポケモンに変身できるメタモンの男性、地面や石が内包するエネルギー“地脈”を操りどうぐの石を駆使して戦う女性。ポケモンという戦う力のある生き物の出てくるジャンルの二次創作で人間の異能バトルとなると、やはり正統派とは呼べないというか、言い方は悪いかもしれませんがイロモノ感が出てしまいがちなものですが、本作はそのイロモノ感を感じさせないほど実にしっかりした作りになっていました。展開するガルシアさんとトートの物語の中で、フェンくんの体質の特殊さやレオナさんの能力が浮いていないんですよね。説明も非常に端的で分かりやすいし。浮いてないどころか、トートと命の珠を引きはがす→エレキフィールドを展開→地脈の流れを歪めて命の珠とヤレユータンのつながりを弱くする、という見せ場への流れをつくるとき、『地脈』というワードがあることで内容がすごく分かりやすくなってるとすら思います。あと単純に、進化石のかけらを弾いて攻撃するとかめっちゃカッコイイし、石によって効果が違うところも面白いです(光の石が閃光弾になってるところ好き!)。フェンくんの腕が突然ゴーリキーになっちゃうところもびっくりした!! 自分でも驚くくらい、この作品の異質さを違和感なく楽しむことができました。
 ポケモンが人間を支配する島。だいぶ内容は違いますが、ミュウツーの逆襲を彷彿とさせるような雰囲気でしたね。捕まえられたり捨てられたり、人間の都合に振り回されたポケモンたちによる反逆を前にして、レオナさんがむしろポケモン達と共にある意味を前向きに受け止め、ヤレユータンを倒しに行く、という流れ。物語がテーマ以上に重くなりすぎることなく進んでいて痛快でした。最後にはガルシアさんとトートが和解し、けれど元のさやに戻るのではなく、別々の道を歩むことになる、というエンディングが、凄く味わい深くて良かったです。ガルシアさんのところにトートが戻れば二人はハッピーエンドだけれど、残された島のポケモンたちはどうなるんだということになっちゃいますもんね。道は違えど心は離れない。ガルシアさんの事業が立ち直ったらヤレユータンの使命の支援をする、という約束を交わしたというのも、なんだろう、都合の良いハッピーエンドよりかずっと建設的なハッピーエンドで、変な言い方ですが、大人な結末だな~と思いました。ブレず迷わずよく纏まった上質な作品であると感じました。
 フェンくんがねえ……なんかこう……かわいくって……いいですよね。結構好みの男性でしたね……一見穏やかながらめちゃくちゃ異形である殿方すごい性癖です……。かりんとう食べさせてあげたい……。レオナさんと、どうして一緒にいるのか、と話している牢の中でのシーンが、非常に印象に残りました。作中でさらっとは触れられていましたが、レオナさんとフェンくんがこれまでどんな出会いをしてどんな風に歩んできたのか、またエディさんともこれまでどんなふうに関係を気付いてきたのか、そのあたりのお話も見てみたいなあという気持ちになりました。投稿お疲れさまでした!

円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆

 人もポケモンも、一緒にいたいから一緒にいる。確かにそうだなぁと思わされます。誰かと一緒にいたいと思っても、その理由が思いつかないことが多いもので。ポケモンを逃がすということについても、かつて随分悩まされました。こうして怨みを持つ可能性もありますし、逃がされた先でひどい目に遭うかもしれない。人間から見て「心配を掛けたくないし、自分の手元にいない方がポケモンにとって幸せ」だと思っていても、ちゃんと説明を受けずに逃がされた方からしたら「裏切られた」となる……意思疎通って難しいなぁと思いました。お互いに通じる言葉が話せるならまだしも、人間とポケモン、会話なんて成立しないことの方が多い関係の中では尚更に。そう思えば想うほど、「一緒にいたいから」という理由で一緒にいられる関係が素敵に思えてしまうのです。今回のレオナとエディ然り、レオナとバチュル然り。
 地脈を操れる力、凄いですね。ゲンやアーロンみたいな波導使い見たいな感じなのでしょうか。こういう発想はとても面白いと思います。それから実験によるものとはいえ人間以外の姿に部分的にしかなれないメタモン、というのも非常に興味深く拝見しました。

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆

ガルシアから見れば、トートに苦労をかけさせないために“逃がした”。
トートから見れば、自分を頼ってくれずに“捨てられた”…一つの事象に対しても見方が複数あればすれ違い、齟齬が生まれる…悩ましい話です。そのすれ違いが大きくなっていった結果生まれてしまった、トートによる“楽園”。人の都合で振り回されるポケモンを憂い、逆に人間を自分たちの好きなようにしてしまおうというズレてしまった考え…見ていてつらくなりました。
宇宙戦艦ヤマト2199というアニメの中で、「真実が一つだけとは限らない、けれども事実は一つだけしかない。戦争は起こっちまった…」というセリフが存在します。読みながらこのセリフをずっと頭に浮かべていました、ガルシア側から見てもトート側から見ても真実として道理が通り、それぞれに色々な思惑がありながらも結局両者は衝突してしまった…誤解を解くにあたってレオナやフェンのような存在が来てくれて本当によかったです。

>「昔の人はこう言ったわ。愛はつまり憎しみであり、憎しみは愛である」レオナは小さく呟いた。「好きじゃないなら憎めないでしょ? 憎むのだってエネルギー使うじゃん。……皆がそうとは言わないけど、ここにいるポケモン達は元々人間が好きだったかもしれない。だからこそ憎しみから助けてあげたいんだけどね」

>人の都合で棄てられたポケモンが人を苦しめ、そしてまた人によってポケモンが苦しめられる。一度でも火がついた憎悪は矛の納める先を失ったどころかより大きく燃え上がり、互いを苦しめ続けるだけだ。

愛と憎しみは表裏一体、近い感情。相手を憎むエネルギーがあるなら、その分だけ相手を想う気持ちがある…この考え方を持っていたからこそ、レオナはフェンたちと力を合わせてこの事態を収めることが出来たわけですよね!素晴らしい!
「好きの反対は嫌いじゃなく無関心」という言葉を上手に物語の中に入れ込めていると思います。タイトルも相まって最初から最後まで愛と憎しみの交錯する雰囲気をしっかりと描けていた作品でした!

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆

24・愛憎の楽園(パラダイス) 主張するビンゴ・1

むしタイプのポケモンを登場させる

バチュルは『むしタイプ』のポケモンです。

本文を一万五千字以上にする

29000文字。今回は本当に3万字近くの作者が多いですね。

ポケモンを七種類以上登場させる

レントラー キノガッサ アローラゴローニャ バチュル ラプラス ウォーグル ドテッコツ

はがねタイプのポケモンを登場させる

ボスゴドラは『はがねタイプ』のポケモンです。

格闘タイプのポケモンを登場させる

キノガッサ・ドテッコツは『格闘タイプ』のポケモンです。

ストーリー評価 65点 減点 なし 総合評価 65点

『感想』

本当の『勝利』の為に。人間とポケモンが手を取り合って前に進む為に。

正義とは何なのか、そしてポケモンと人間の『共存』とはどうあるべきなのか。
トップバッターとなった『VICTORY』に非常に近い内容で、
細かな違いを楽しめる作品だと言えるでしょう。
ラストで、ミュウツーが人間を最後まで許せなかったのとは対照的に、
ヤレユータンは人間を許しました。それは、『命の珠』の影響で
負の心が増幅していたから、なのかもしれません。

ポケモンが『逆襲』を始めれば、当然人間は抵抗する事すら出来ません。
本気でポケモン達が人間を奴隷とした『ポケモン優先の世界』を作り上げようとすれば
ものの数ヶ月でそれは容易に達成出来るでしょう。野生のポケモンの方が
野生では無い人間が持っているポケモンより遥かに多いからです。
『猿の惑星』と言う作品があります。虐げられた知能の高い猿が人間に反旗を翻し、
最終的に人間を殺戮して人間を奴隷とする逆転現象が起こると言う映画なのですが、
この作品は『そうなる前に人間とポケモンが理解し合う事が出来た』違う世界線の
物語の様に読んでいました。作者の方はそれを望んでいたのだと思います。

映画の様な派手なシナリオ、登場人物が外国人、ポケモンが人間に反逆する等、
1との類似性が多く見受けられる小説作品でした。1人1作品と言う厳然たるルールが
存在する事が事前に知らされていなければ、同じ人が1と24を書いたのかと
錯覚する程よく似ています。しかし、細かな部分に違いがあり、両方とも
読者に大きな疑問を投げかけている。
『比較する楽しみ』が生まれた作品の様な気がしました。

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆☆

 ポケモンと人間の関係性について踏み込んで来たなぁ……と。ポケモンで二次創作をやる上で、ある種究極の問いだと考えています。
 今回その突破口になったのは、「憎」であろうと強いことには変わらない感情な訳ですが、もっと一般的にはどうなんだろうと思ったり、でも感情こそがカギなのかなぁとも思ったり……
 いろいろ考えさせられました。

 楽しませていただきました!

ソラさん
評価:☆☆☆☆☆

ポケモンと人間の関係性を明るい面ではなく暗い面に焦点を当てて展開される物語ですね。
人間の勝手な都合で振り回されるポケモンの中には憤りを心に秘めたポケモンもいることでしょう。
この作品のタイトルにある通り愛と憎という相反してそうな二つの言葉はどちらかがないと生まれないと解釈してるのが上手いなと個人的に思いました!
好きだったからこそ深く傷つき、憎しみを募らせてしまう…
楽園と称した場所も見方を変えるだけでそれは楽園なんかではないということになる…
すれ違いの果てに戦いがおきてどちらも一方的に悪いとは問い詰められないのがこの物語のポイントであり、悲しい部分でもあると感じました。
だからこそ最後はお互いに分かり合って自分なりに運命に立ち向かうという流れでお話が終わったのはよかっです!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 映画でありそうな熱さとかっこよさを感じました……! 逃がされたポケモンが人間に復讐するというテーマを、爽やかかつ後味の良い締め方で描ききった所が個人的にすごく好きなポイントですね……! 
 登場キャラの中では特にバチュルが好きです……! 最初ちょっとボールに入っただけなのに健気に着いてくるところとか、背中を撫でられて喜んでるところとかとても可愛いです! いい子だなぁと思うと同時に、最初がうっかり当たったボールから始まったところから縁の不思議さも感じられました……!
 爽やかでとても楽しかったです、ありがとうございました!

ptさん
評価:☆☆☆

とにかく、大人、大人、大人
地の文の言葉選びもオトナ、登場人物の反応のオトナ、という印象を受けました。とある島に監禁されて、人間に敵意を持つポケモンを目の当たりにしても冷静そのもの。
一方ついてきたバチュルがなーんにも分かってない子供さ! 対比でとてもかわいい。

人間に対するポケモンの反乱が主軸に置かれているようですが、残念ながら人間がポケモンにした仕打ちが(あくまでも人間目線で)薄すぎて、どうにもポケモンに感情移入できない。きっと我々読者は捨てられたポケモンが野生世界に馴染んでいく作品を腐るほど読んでいるから。読者がうまくレオナ、フェン、ガルシア側に立つだけのバランスを取ってくれています。
ちゅうか、ガキ臭すぎるトート一派に対してフェンがオトナすぎるんですよ。トート、ことヤレユータン、もうちょっと考えないといけなかったね

最後に、どうでもいいですけどレオナってレオナ姫ですよね。江崎玲於奈にはならないですよね。

カイさん
評価:☆☆☆☆☆

ポケモンは人間たちに一方的に使役されているのではないか、っていうのは私も時々不安に思います。野生のポケモンをいきなり捕まえて、ボックスに預けたり、時には人間の都合で逃がしたり。その仕組みはゲームとしての側面にすぎないはずなんですけど、ふと移入してしまう感情をテーマとして物語に仕上げた、素晴らしい作品でした。

フェンのキャラクターがすごく好きです。かりんとういっぱいあげたい。最初フェンは、人間だと思うじゃないですか。でもポケモンの言葉が分かったりして、ん?って思うんですけど、レオナさんも地脈読めるし、まあ異能者なんかなって思うじゃないですか。でも腕がゴーリキーになったあたりでちょっとまて何かおかしいフェン何者だってなって、正体が分かってからのあああ!なるほど!感はかなり爽快でした。フェンが何者か知りたい気持ちが文章を読む目線を引っ張ってくれる感じもかなり心地よかったです。もちろん、ストーリー自体の吸引力は前提としてです。

結局、人間がポケモンを自分本位で捨てちゃう問題はほとんど解決してないんですけど、それでもガルシアとトートが道を歩みだせたことは、とても勇気づけられる結末でした。愛の反対は憎しみではなく無関心ですものね。

投稿お疲れ様でした!

猫村さん
評価:☆☆☆☆☆

英語を翻訳したような台詞回しが大好きです
外国のファンタジー小説の王道な感じがしました。夢中で読めちゃいますね!バチュルかわいい。

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆☆

まさに「愛憎」でしたね......。 本当にドロドロしているし、どっちを完全な正義、もしくは悪と思えと言われても無理だなぁと感じました。
トートとガルシアは本当に辛い運命を辿ってきてましたね......トートを逃がしたのは、彼のことを守るため。 ですが、トートにはそれは伝わらず、「捨てられた」という苦い記憶と憎しみが残った......。 というか、ガルシアはトートに真実をちゃんと伝えてから逃がしたのではなかったのですね......。 そうであるならとても悲しいですが、トートを確実に逃がすためには仕方ないのかも......。 何はともあれ、彼らがまた良い関係をつくり直せるのを願います。
そしてバチュル可愛い!! 偶然とは言えども、いきなり大変な事に巻き込まれたと言えども、レオナに出会えた事はあの子にとって幸せだったのでしょうね......! あのふたりがこれからも仲良く暮らせいていたら良いなと思います! 考えさせられるし、キャラの良さも感じられた作品でした!
投稿お疲れ様でした!

Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆

英語のことわざを交えた小粋な会話や冒頭のバーカウンターでの映像が目に浮かぶかのような洋画的な雰囲気、地脈や石に秘められた力を駆使した戦術やポケモンへの部分的変化など個性的な部分はありつつも「人間にポケモンを選別する/好きに扱う自由があるなら逆は許されるのか」「人とポケモンは何故ともに過ごすことを決めるのか」という、ポケモンとトレーナーの関係性において根本的な部分へと突っ込んだその問いはポケモンの世界観を考えれば普遍性あるもので、そのテーマがこの一本をまとめた大きな鍵であると感じます。
知能が高くモンスターボールを扱うこともあるヤレユータン、変身で姿を人間へ近づけることのできるメタモンとそのテーマに沿った人とポケモンの境界にある種族を登場させ、それぞれに人間の存在と深く結びついた来歴を与えている点もそうした印象を強めていました。
人間不信に陥り強大な力で説得や抵抗をはね除けようとするヤレユータンへと立ち向かい、憎悪や苦しみから解放しようとする主人公たちの姿は冒頭に登場する「できずとも、やるべきことならせねばならない」という言葉をこちらの脳裏に思い起こさせるようで、想定外の事態にもひるまず受けた仕事を遂行する冒頭の描写と合わせてプロとしての、そして人間を憎むヤレユータンに対しあくまで人間とポケモンの共存を望む立場としての主人公たちの姿勢を存分に描いていたと感じました。
その上でヤレユータンとトレーナーの関係を元に戻すのではなく、双方が納得した上で新たな道へ進むという結末も「共にいる」「敵対する」に対する第三軸を提示するようでとても好きです。憎悪に反転するほどの強い愛や結びつきでなくとも、互いをほんのり思い合うことはできるのですよね。

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆

 全体的に海外ドラマのような雰囲気が漂うかっこいい作品だったと思います。
 主人公とその相棒が異能系の能力者だったわけなんですけども、やっぱりこういうのはかっこよくていいですね。進化の石を使うアイデアが良かったです。
 この作品って結構作者の方が温めててた設定が使われているような気がするんですけど、それ故に少し出し惜しみと言うか、これの前後の話が気になってしまうような作りになっていたと思います。海外ドラマのようだといいましたが、ちょうどシーズン2の1話のようでした。

照風めめさん

というわけで連載します。
よろしくお願いします。

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆

>ショートパンツとキャミソールからすらりと伸びた長い手足は陶器のように滑らかで白い。サングラスを前髪の上に乗せると、横からアッシュグレーのロングヘアーがさらりと流れる。しかしサングラスの下から現れた表情は砂でも噛んだかのように苦い。
これ絶対レオナさんエロかっこいいおねいさんだ。そう思いながら読ませていただきました。
フェンくんは何歳なのかな?男性って書かれているあたり少年ではないのだろうか……?

人間に逃がされたポケモンの行先って、ゲームではほとんど明確にされておらずアニメでは野生に帰る描写が少しなされていましたが、確かに増えると社会問題になりそうですよね。

>「まさか。昔の偉い人はこう言ったわ。If you can't, you must. If you must, you can.ってね」
ここのところ本文中ではフリガナがついてありましたが、フリガナの使い方がオシャレです。この作品の雰囲気にも合っていてすきです。

子が親を選べないように、ポケモンも『おや』を選べない。友情ゲットが多いアニメはともかく、よく考えたらそうなんですよね。ものすごい穿った見方すると、親も子を選ぶことは難しいのに、『おや』であるトレーナーは簡単にポケモンを選べちゃうんですよね。レオナさんの主張にうんうんとうなずいてしまいました。
そんなレオナさんは地脈を感じることができるようで。特別な能力といいますか、第六感に近いものなのかな?特別感が溢れててかっこいいですね。やっぱりかっこいい。

>フェンが語るに、ドテッコツは以前は人間と一緒に工事現場で働いていたらしいが、現場で右腕を怪我したことをきっかけに人に棄てられたらしい。詳細は分からないが、この島は我々がそんな人間たちに復讐するためのものだという。
>もし警察やレンジャーが来れば、囚われた人たちは救われる。しかしそれと同時にここにいるポケモン達は、きっと害獣として処理されるだろう。ガルシアもフェンも、今のレオナの言葉の裏からそれは察した。
ンヒィイイイ……!ポケモン達はポケモン達で団結して、人間達への復讐を目指しているのか。すごくポケモン達の気持ちは分かりますし、人間がそれほどのことをしてきたんだろうなぁと考えさせられます。かといって、自分達が受けてきた仕打ちを人間達にもしていいのかって言われると、それってまた別の問題になるのかもしれないですね。みんな幸せになれればいいのになぁと思いつつも、非常に難しい問題とも同時に感じます。

そして物語半ばで冒頭のヤレユータン・トートの登場!登場した瞬間に物語の山場を感じ、ゾワッとしました。テレパシーで人間の言葉でトートの台詞が表記されていることから、他のポケモンとは頭ひとつほど抜けた只者ではない感、もっとくだけた言葉でいうとラスボス感が溢れています。

>『人間がポケモンを無差別に捕まえるのは自由だが、その逆は許されない? そんな思想が人間の驕りだと言うのだ』
>『先程お前は私のためを思って逃した、と言ったな。ならば私はお前のためを思って、お前をこの島で「飼って」やろう』と、テレパシーを放ち、ヤレユータンは物陰をちらと見やる。『だが、その前に鼠を捕まえておかないとな』
いや~~~~これおじさんがガルシアさんの立場でも何も言えないです。先ほど「自分がされてきたことをやり返していいのか」と記しましたがこうもストレートに突きつけられると心にクるものがあります。
そしてここで明らかになるフェンくんの正体!ドテッコツのくだりの文(我々がそんな人間たちに~)のところは伏線だったのか……!

からの人間たちの反乱による脱走!ここで活躍するバチュルちゃんかわいいなぁ……。ちっちゃいのにファインプレーかますってかっこいい。かっこいい子達が多いですね。ひとりひとりにMVPあげたいくらいです。

>「僕は昔人間の実験体だった。その時受けた実験のせいで、人間の姿を取れる代わりに全身を自由に変身することができなくなった。自分が自分でない苦しみに自分で命を断とうともしたこともあります。それでも僕が今ここにいるのは、レオナという相棒に出会えたからだ」
このフェンくんの言葉めちゃくちゃ好きです。人間とポケモンが対等な関係であれること、相棒としていられることを示してくれてすくわれたように感じます。
バチュルもそうですし、きっとかつてのトートや島のポケモン達もそうだったのではないでしょうか。憎しみだけじゃないからこそ『愛憎の楽園』なのかもしれないと思いました。

重厚さとメッセージ性があり、それでいて分かりやすい。そして最後の大団円感あふれるハッピーエンド。読了感あふれると共に、彼らのその後を予想してみたいと思わせる一作でした。
投稿お疲れ様でした!

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆☆

 失踪事件、謎の島、そして特殊能力を持った二人組! 読んでてとってもわくわくしました!
 いろんなタイプがあって、いろんな技が出せる、そんなポケモンの世界のなかで、敢えて人が特殊能力を持っているというのはあまり見ないので新鮮でした。

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆

ポケモンと人間の関係について考えさせられる話。
この話では特殊能力がスッと出てくるのですが、私はそういう話が好きなので結構すぐに受け入れて読み進めることができました。石によって効果が変わるのってカッコいいですね(その分入手するのが少し大変そうですが……)。相棒のフェンさんも異能持ちなのもコンビの特徴を表していると思います(彼の場合、実験のせいでそうなったのですが)。
確かに愛があるが故に憎しみを生み出すことがあると思います。好きの反対は無関心だという言葉もありますし、興味がなかったらそもそも何も起こらないでしょうから。
最後にタイトルを出して終わるのがビシッと決まっていてカッコいいですね。色々と考える機会が増えそうな話でした。

早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 まるでアニメの一幕を見ているようなお話でした。映像が浮かんで来るっていうのは、凄く良いなあって思います。
 フェン君は元実験体のメタモンだからこそ、人間の言葉を話せるんですかね? そうじゃなかったら人の形にはなれても喋れなかった設定なんですかね。フェン君の過去編。フェン君とレオナさんの出会い編。いろいろ話が広がりそうで、いろんな事を想像しちゃいます。
 大きな物語の一幕のように感じられるお話でしたが、このお話単体でも規模的には大きなお話でしたね。
 主だったキャラクターの紹介から始まり、物語の根幹である仕事内容の引き込み方もいいなあって思います。「ま、最近同じような仕事ばっかだもんな。「たまには違うもんでもやれば良い。丁度お前らに頼もうとした仕事なんだが、人捜しとか久々にどうだ?」の文章が、メタ的にはなってしまいますが、小説としてはいつもとは違う仕事=ただの人捜しでは終わらないことが想像できますから、どんな展開になるんだろうなあって、次を読ませます。
 僕的にはかなり斜め上の展開でした。偶然にもバチュルを捕まえてしまった事。それについて思うレオナさんの一幕が前振りにはなっている気がしますが、ここまで大きな話だとは思いませんでした。
 島での緊張感もいい感じに次を読みたくなる感じですし、間で差し込まれるフェン君の謎でほおおお、となりつつ、ガルシアさんとトートのお話まで結構すんなりいけるので、これだけ長いのにほとんどひっかかりなく読めたなあと思いました。いや、それって本当に凄い事だと思います。
 このお話だけじゃなくて、レオナ、フェン、エディで繰り広げられる別の物語も見てみたいなって思います。エディがもっと掘り下げられているところも見たいです!
 
 良い物語をありがとうございます。投稿お疲れ様でした!

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 人間に捨てられたポケモンが復讐に走るという王道的なストーリーに、ポケモンの世界に存在する『異能の力を持つ人間』を主役として配置したお話づくりがとても面白いなと思いました。この構図を作ることによって、人間側がポケモンを介することなくポケモンと直接対峙するという局面を作り出しているところが、お話の筋とうまくマッチしていますね。
 トートとガルシアは和解するも、トートがガルシアのもとへ戻ることはなく、ポケモンだけの楽園を作るというトートの望みも否定されないエンディングになっている点も素晴らしいですね。すべての面で人間にとって都合のいい結果にはなっていないところに、マイノリティであるトートたちを尊重する意思が感じられます。

逆行さん
評価:☆☆☆☆☆

すごく重厚で読み応えのあるお話でした。次から次へと巻き起こる展開に目が離せなかったです。それでいて、深い考えさせられるものもありました。小説としての完成度は非常に高かったと思います。

主人公達が牢屋にぶちこまれても慌てず騒がず、周囲の状況を把握し始めている所が、こういう経験をこれまでに何度かしてきたんだと感じさせられました。

キャラ同士の掛け合いも読んでいて非常に面白くて、始終飽きずに読むことができました。冒頭の「他に隠していることあったか?」と聞かれて、ゴローニャのことを思い出すくだりとか好きです。
また出できたキャラを最後まで余すことなく活用していたように感じました。特についてきてしまったバチュルも活躍シーンともしっかりと用意されていたのが素晴らしいと感じました。

全体を通して非常にレベルが高く、文章もとても巧いと感じました。情景も思い浮かびやすかったし、バトルシーンの組み立てもよく出来ていると思います。

ただ、ちょっと設定を詰め込みすぎている部分はあったかもしれません。フェンくんがかなり特殊な能力を持っていたり、命の珠の力にヤレユータンが呑まれていたり、色々な設定が複雑に絡み合っており、それが物語のメッセージを受け取る上で蛇足だと感じることも正直ありました。でも、楽しんで読ませる上ではこういった異能設定などはむしろ積極的に入れるべきなのかもしれないし、ここは非常に難しい所ですね。

>「だから無差別に人を攫ったというのか!」ふり絞った声でガルシアはトートと呼んだヤレユータンに語り掛ける。
>『人間がポケモンを無差別に捕まえるのは自由だが、その逆は許されない? そんな思想が人間の驕りだと言うのだ』

ここですよね物語の肝は。ポケモンを無差別に捕まえるのは違和感を抱かないのに、なぜそれを逆にすると嫌悪感を抱いてしまうのか? という着眼点はなるほどなあと思いました

でも、確かに人間だけずるいと言えばずるいんですよね。別に知能もポケモンと人間でそんなに変わらないし、ポケモン側だけ支配される理由がないんですよね。ただ、ポケモンの人間も合意の上で、そういった関係を今まで築き上げてきた訳ですから。自分が望んで人間に付き従っているポケモンを確かにいて、そんな彼らを邪魔をする権利はどこにもないんですよね。

だから逆に、ポケモンに付き従うことを望む人間がいるならば、それも尊重すべきなのだと思います。人間が納得しているなら、ヤレユータンに支配されるのも別に問題ないんですよね。そんでもって、自分のフォロワーさんとかには結構、ポケモンに支配されたいと思っている人がたくさんいるんですよ(笑)だから、そういう人達にとっては、「パラダイス」になりうるのではないかと思っています。いやまあ、別に冗談で言っている訳でもなくて、それが平等ってことなんだと思います。

最終的にヤレユータンは、「人間の都合に振り回されたポケモンをこれから守っていく」という方向に落ち着いたのがとても良かったです。人間に同じことをし返すのではまさしく、憎しみしか産まないし、この結論の出し方が一番良いのではないかと思いました。

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆

洋画的な雰囲気が漂うストーリー、息もつかせぬ展開が魅力的でした。畳みかけるように次々と事態が進んでいき、引き込まれて最後まで一気に読めました。
レオナとフェン、どちらの魅力もしっかり描かれていたのが良かったです。二人の息もピッタリでかっこいいんですよね。大事なシーンでのフェン君の過去語りもアツい。レオナについても、本人の口からは語られないものの、ポケモンたちからの信頼の厚さから彼女のひたむきさが伝わって来ました。
よく読むとフェンがメタモンであるという伏線は序盤のゴローン捕獲のあたりで張られているんですね。最初読んだとき会話の意味が分からず「?」となりましたが、うまいなぁと思いました。
このお話はポケモンのチョイスの渋さに好感が持てました。敵のリーダーがヤレユータンだったり、バチュルがいい活躍してたり。更に各ポケモンの良さを生かしていて良かったです。
いたいから一緒にいる。シンプルな物語の帰結も個人的には大好きです。
ただ一つだけ、レオナの地脈を操る力の理由の解説が恐らくなかったのが少し残念でした。物語のスピード感を重視するとどこに挟むかというのは難しい問題だとは思いますが、そこまで詰めて展開が練られていれば、100点満点のエンタメに仕上がっていただろうな、と思います。
良質なアクション映画を見ているようで、非常にワクワクしました。ありがとうございました!!

しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆

洋画チック!異能モノ!そしてポケモン!!
私の好きな要素がいっぱい詰まっててとても楽しめました!レオナさんとフェンさんすっごいカッコいいですね……!
捨てられたポケモン達の復讐劇。ストーリーはとても分かりやすく、ポケモンが人間の事を馬車馬のように働かせているシーンがとても印象に残りましたね。
>「昔の人はこう言ったわ。愛はつまり憎しみであり、憎しみは愛である」
>「好きじゃないなら憎めないでしょ? 憎むのだってエネルギー使うじゃん。……皆がそうとは言わないけど、ここにいるポケモン達は元々人間が好きだったかもしれない。だからこそ憎しみから助けてあげたいんだけどね」
ここのセリフが凄く好きで、同時にタイトルの「愛憎」って言葉が上手くこの作品を表しているなぁと感じました。そうですよね、皆元々は人間の事が大好きだったんですものね……それ故に憎しみに燃えているというのも、ポケモン側の気持ちがよく分かりました。

それからガルシアさんがトートを捨てた理由が……!うわああ切ない……!トートが誤解したまま復讐を続けているっていう事実がまた……もうね……最後に二人が分かり合えて本当に良かったなぁと思いました。
それはそうとしてレオナさんとフェンさんめちゃくちゃカッコ良いですよね(あれ、これ言うの2回目なのでは←)
進化の石を武器に使うっていう発想は無かったですし、想像するとめちゃくちゃかっこ良いですよね……フェンさんまさかメタモンが人になっていたとは思いもしませんでした。彼女らの過去や、出会いのキッカケなんかも凄く気になりました!

シンプルな纏め方になってしまいますが、すごく面白い作品でした……!二人の活躍をまたどこかで見てみたいものです。
投稿、お疲れ様でした!

トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆

素晴らしい完成度の作品だなと思いました。ポケモンの種族の名前にふりがなで愛称を入れる事でで文字数のロスをなくし、3万文字ギリギリまで内容を詰め込む事が可能になっていますね。映画を一本見た気分です。文字数を感じさせない圧倒的な構成力、そしてストーリーの取捨選択のうまさ、キャラクタの描写や能力の描写の仕方が素晴らしいと思いました。
イッシュから南西千マイルのオールトシティ。イッシュは23番までしかないですもんね、75番どうろって遠いんだな感が伝わります。
この小説の一番好きな所はバチュルというキャラクタの使い方です。序盤にレオナのミスで捕獲する形で登場してから、主人公二人が捕まったあと再度登場し、この小説のマスコットのような活躍をしつつ、最後にはレオナとタッグを組んでトートを倒し、そしてポケモンとヒトの関係というテーマにも触れている。このキャラクタが本当に素晴らしいと思います。
レオナとフェンも最高のバディですね。初見の印象と再読した時の序盤のシーンの印象が全然違います。本当に面白かったです。

ionさん
評価:☆☆☆

バチュルお前ゴローニャのくだりを目立たせるちょい役かと思えば。
見た目が可愛くて可愛い扱いをされているのを知っているから、出るだけで可愛いなあって思っちゃうからずるいよなバチュルお前。

“逃がす”のお題消化か!とても魅力的な消化の仕方ですね。

> だったらやって見せてくださいよ!」
かあーっ、主人公最高って感じですね。気持ちの上では。
冒頭の英語セリフにもつながってくる。

水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆

初読時わたし「いきなり捨てられた……つら。フェンくんポケモンの言葉分かるのつよ。バチュルかわE……うわ急展開やん。フェンくん……えっフェン? 腕……えっフェンさん??? レオナも何言ってんの? あーアンコールね……って采配か! トートの気持ちもわかるよ……。フェン脚も――フェンしんしてたの! レオナ何言ってるか分からんが石アクションかっけええ! ふぇ〜〜〜ん! トートこれ命の珠の代償で死ぬヤツやん……ラストはバチュZかい! まさか誰も死なないハピエンとはね(満足顔)」
静かに読みましょうね。でも盛り上がるシーンや緩急がちゃんとついていてずっと面白かったんですよ。レオナとフェンのやりとりも軽妙でふたりのキャラや関係性、テーマなんかも過不足なく読み取ることができました。かりんとフェン好き……。
それから戦闘シーンがお上手なんです。ポケモンバトルだとポケモンが戦闘のメインを張るのですけれど、この主人公ポケモンと同じくらい戦闘力持ってるじゃないですか。そこは「なんで?」と思うんですけど、それにいちいち回りくどい説明を挟まないのは英断でしたねえ。説明もしているんですけど、それがすべて描写に直結していて説明文的な重さを感じさせません。フェンの腕がゴーリキーになるあたりもそうですが、そういった説明を省略する技巧が光る文章力。こういった味付けの濃い主人公を据えると、そうしてもそこにフォーカス当てたくなるじゃないですか。タイトルも『石の少女』とかにして(雑)。そこを脇へ押しやることで作者様の書きたいことが書けておりスルスルとストーリー展開にのめり込みました。
私の個人的ツボなのですが、敵側のポケモンとしてヤミラミとオオタチがいたじゃないですか。バトルでは鳴き声のひとつもないモブだった訳ですけど、私、彼らもまた捨てられた(他地方だしさぞ辛い思いをしただろう)ポケモンなんだろうなとか、ヤレユータンが拾って仲間に誘ったんだろうなとか、そういうところまで想像しちゃって。自分の側近に置ける朋友を見つけて、人間への愛情と憎悪を募らせながら復讐の計画を練りあげ、3匹から仲間たちを集め島を作り人間をさらい、後に引くこともできないくらいにまで計画が肥大し、野望を阻止された後も同じ傷を負う仲間として生きていく……。軽く泣いたんですよ。そう感じ取ることができたのも、ひとえに戦闘シーンまでに作者様が作り上げた世界観とテーマの地盤なんだろうって思うんです。バトルでそんなことまで描写できるってヤバくないですか???
黒人系スキンヘッドのエディときたらもはやマーフィーじゃないっすか。ここ非常に笑いました。

春さん
評価:☆☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
セリさん
評価:☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆
はやめさん
評価:☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
白銀さん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
くちばシュウさん
評価:☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆