ピンクバッヂの壁の感想一覧

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆

 申し訳ない、作者さん的には「そこ?」って感想になるだろうのは承知の上なのですが、まずガンちゃんの話をしてもいいですか? ガンちゃん良い男すぎるくない???? 良い男っていうか良い奴っていうか……完璧……完璧じゃない? かっこよさ、かわいさ、たくましさ、優しさ、すべてを兼ね備えていますよね??? 気も利くし若くしてしっかりと働いているし上司に一目置かれているし明るいしガタイもいいし……ガンちゃん諸々の事情で地元を出てって久々帰ったケン坊が気を遣わないように色々と配慮しているし、それでいて気取りすぎない優しさっていうか、配慮していることに申し訳なさを覚えさせない程度の粗暴さも見せ、それでいて言うことはちゃんとビシッと言えるっていう……めっちゃ良い奴やん。てか >ドア近くの壁に、腕を組んでもたれていたガンちゃん このポージングが様になってしまう短髪筋肉質のガンちゃんあまりにもカッコよすぎてクラクラしてきた(※幻覚です)。そんでこんなに聡明で気の利く男でありながらバオバじいちゃんのケン坊に対するズルいと言えるまでの囲い込みの意図には気づいていないってもうね、もう良い奴なんですよ。狡さとかに疎いんですよ絶対。良い奴に決まってるやんな。こんなんもう運転が荒いことすら「ワイルドじゃん……(惚れっ」ってプラス評価になるのズルいでしょ運転荒いけど絶対無事故無違反のゴールド免許になるやつですやん……ほんと好き……こんなん皆好きになりますよね。ていうかガンちゃん・サキ・ケン坊の三角関係よ。「お前がその程度なら、俺が行かせてもらうぞ」もおおおおおおお急にそんなカッコイイ男のフェロモンみたいなん出したら(※幻覚です)全私が卒倒してしまうううう!!!!!ガンちゃんはケン坊と親友としてつるみながらサキさんがケン坊ケン坊言ってる云年間ずっとサキさんのことを思い続けてきたってことでしょ??(※そうは書かれていないのでこれも幻覚です)思い続けながらサキさんがガンちゃんにケン坊に対する愛のある文句をぶちぶちぶちぶち言う間にも笑顔でうんうんって言ってたんでしょ……サキさんが泣きながらあのバカもう絶対逃がさんって電話してきたときそれをウンウンって優しく宥めてあげながらその内心でああ俺には勝ち目ってあああああああもおおおおおおほおおおおおおおおえええええええマジでそんでそのケン坊の背中を押すこの……この男なんなの???菩薩……???菩薩なの???ケン坊とサキちゃんはもっとガンちゃんのことを慮ってあげないとダメですよ(※十分慮っているかもしれないので幻覚です)ガンちゃんは優秀だガンちゃんは万能だって言うけどガンちゃんだって人間なんだよ……??ガンちゃんも傷つくんだよ??嘘なんてつき慣れてない人間なんだよ?????サキさんそうやって何年間ガンちゃんに……ガンちゃんの気持ちに……いや待っていっそサキさんガンちゃんの方がよくない??ケン坊よりガンちゃんの方がいいのではないか???10000%幸せにしてくれると思うんですけど……アンズちゃんもガンちゃんにしときなよ……どうしてケン坊なんだ……ポケモンバトルが強い男はそんなに魅力的なのか!!ガンちゃんだってそっちの道に行っていれば絶対強いんだからなアアア!!(※幻覚です)ああでもガンちゃんは優しいからスポーツとかは得意かもだけどもしかしたら相手を叩き潰さなきゃいけないバトルは苦手かもしれない(※幻覚です)……なんて優しいんだ。サキさんもアンズちゃんもガンちゃんに行かないなら私が行くけどいいんですか?セキチクってどうやって行けばいいんだろう、私サファリに就職します。そしてガンちゃんに永久就職する……でも待って、ガンちゃんにも選ぶ権利あるからなあ……

 みたいなガンちゃん過激派による感想です!(本企画史上最高に好みの殿方をありがとうございました(?))
 なんだろうな、最初は「悪意がある」と思っていたんですよ、バオバさんは広い世界が見たくて旅立って修行中のケン坊のことを、あの手この手で地元へ引き戻そうとする。それは田舎の閉塞感(実家継げ、他の選択肢ないぞ、的な。口ではあると言いつつ、母親や自分の体裁を考えると、その道を選ばざるをえない的な)、それが嫌だったケン坊に対する悪意の権化ではないですか。そのバオバさんの、キョウさんまで巻き込んだ町ぐるみで罠を張り巡らせるような方策に、見事に嵌り、旅を辞めることを選択する主人公。これはケン坊自身がどう思っていれど、「主人公、悪に屈する」というエンディングに私には見えてしまったんですよね。でも、よくよく考えると、違うんだよな。バオバさんは、最初から「実家を継がせること」が目的ではなく、「間違った道に進んでいく孫の目を覚まさせること」が目的なんだろうなあと。その結果として実家を継ぐことになるかもしれないけど、でもそれは単なる付属品の結果でしかないんでしょうね。「間違った道に進んでいく孫の目を覚まさせること」が目的なんだとすれば、それは、もう悪意ではなく、やはり優しさではないですか。猶予を与え終えた若者に対して、年長者として贈るべき檄ではないですか。それを放ってそのままセキチクを通過させていくほうが、迷子になっている子供を置いてどんどん先に進んでいってしまうようで、むしろ冷たいよね。だから、飲み会で友達たちがああだこうだと勝手なことを言って囃す中、一番近くにいてケン坊のことを一番知ってる親友のガンちゃんが、「調子に乗るな」と釘を刺したんですよね。これも優しさ。厳しいことを言える優しさ。この物語が優しさで出来ていることにすぐ気付けなかった自分が恥ずかしくなるくらい、これは厳しい優しさの物語なのですね。
 バッヂ集めは都合の良い逃げ。ケン坊の置かれていた状況、旅やバッジ集めや偉大なじいちゃんや大きなライバルであるガンちゃんのいる実家を継ぐ、なんて大それたことじゃなくても、色々な現実に当てはまる気がして、身につまされる思いがしました。それに気づくのが同じ目標に圧倒的に本気でぶつかっている少年との出会いであるという構図も、ポケモンらしさもあって好きです。

>「世の中には、本気の人ばかりじゃない。君の本気を叩きつけても、きっとうまくいかない事がある。人はそれぞれ色々な事情を持っているし、違う事を考えている。その本気さは、自分の中だけにしておいた方がいいよ」

 この台詞に宿る自身や世の中への諦念が虚しすぎる。創作の中でそんな世界を見たくはないなと思うと同時に、物語の世界から目を覚ましたとき、生きていくうえでそういう場面には沢山出会ってきたし、今後も出会っていくんだろうなと。実に達観したというか、大人になって生きることのエグさをうまく表現した台詞だな~と感じました。人間を書かれるのが巧い。同時に、これは私事ですが、『趣味で書く小説』を本気で語り合える仲間がいる今の環境、恵まれているな~とも、コッソリ思います。
 好きだったのが、バッヂ集めを諦めてセキチクに戻ると決めたとき、ケン坊が

> ゴーリキー、ゴースト、ナッシー。あの三匹のやる気を、リベンジを、無碍にする事なんて出来ない。それに、皆がまだジム制覇やバトルをする事を望むなら、その通りにしてやりたい。

 この選択をしてくれたことです。とてもホッとしました。きっとケン坊の三年間は、単なる足踏みなんかじゃなかったのだと思います。
 兄貴のドン坊が好きだったので、もっと活躍を見たかったです笑。というかサファリでバオバさんにしごかれて成長するガンちゃんのスピンオフとか読みたいですね!! 主人公のケン坊差し置いてガンちゃんガンちゃん本当にすみませんでした!!笑 投稿お疲れさまでした!

円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 望郷の念に駆られそうです。気付かぬ間に駆られていたかもしれません。それから、私もまだ立ち止まったままだなって。そんな状態でケンゴ君のような少年に出会っていたら、私はケン坊のようには反応できなかったでしょう。そこまで考えて行動できるのも、本気になれるのも、凄い事だと思います。そう思えば思うほど、自分ができていないことが残念でならなくなってくるんです。そこで上を向けたケン坊は凄いなって。
 十二から十三の間、サキの所にケン坊が行ったシーンを敢えて書いていないのが、粋だと思います。どうしてそう思えたのかは分からないですが、そう思ってしまったのだから仕方がないのです。

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆

石竹、いしたけ――いやこれセキチクだ!こうやって書くんだ!というのが第一感想でした、浅学で申し訳ないです…。

バッヂ集めの旅に出て、六つ目で故郷の街に帰った主人公。同窓会で懐かしい顔ぶれにも再会し、高い実力を持ち上げられちやほや…『壁』とタイトルにあるからにはやはり何かあるのかと思いきや、まさかの惨敗。そこから何か掴んで勝って旅を続けるのかな、ゴーストもゴーリキーも通信交換で進化するから、応援してくれる友達が力添えをしてくれるのかと思いきや結局地元に残ることに。

最初読んだときは、「みんなして世襲制みたいに親のやることを継がせようと画策するなんてかわいそう、本人の自由にやらせてあげればいいのに」と思いましたが、

>ポケモンバトルトレーナーとして生きていくのも、悪くない。

ここです。
二周目に読んではっとしました、主人公は実力を備えながらも本気でトレーナー稼業に打ち込もうとはしてないのです。結局は周りがどんどん立場を固めていくのが怖くて逃げ出しただけなのです。

>何を言っても無駄だな、と思いつつ、僕は僕の中が空っぽな事に気づいた。技術的な事や育成の事等、言える事はある気がするが、そんな事じゃない。もっと根本的で、精神的でお説教紛いな事が少しでも出るもんだと思っていたが、何も、出てこない。

周りに何を思われても、格が違うと言われても、ポケモンバトルに本気で向き合っているケンゴと向き合った時にこう思ってしまったわけですね。
それに気付かされ、逃げるのはもうやめにしてサファリの仕事に就こうと決心した主人公。「本気じゃない」ことをあらかじめ描写してあったことも含めて説得力がすごいです、お見事です!

反面、アンズちゃんやサキちゃんとの恋愛描写についてはかなり薄かったかなあと思います…正直ビンゴのマスを埋めるにはちょっと足りなかったかなあと…
そこがもっと描写されていると更に良かったかなあと思います!

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆

26・ピンクバッヂの壁 主張するビンゴ・1

エスパータイプのワザを劇中で使う

ナッシーが『念力』を使用しているシーンがあります。

大人を出す

主人公達の年齢は推定21。成立しています。

劇中でポケモン以外の乗り物に乗る

バスを降りて車に乗っています。成立です。

恋愛模様を描く

うーん、恋が始まる前って感じだなぁ。
『恋愛模様』と言う意味では微妙ですよね……

劇中でポケモンを逃がす

逃がしたと言う記述的にも大丈夫でしょう。

ストーリー評価 60点 減点 なし 総合評価 60点

『感想』

闇堕ちが見えている少年と、闇堕ちを免れた青年の熱い物語。

周りの人間を全て下に見ている少年。そして自分が絶対に優れていると信じているこの傲慢さ。
これ、アナキンフラグだろ……と思いながら読ませてもらいました。
傲慢な少年がアナキンだとするならば、主人公はオビワンかな……
ちゃんと自分の『正体』を解っていて、それを認めたうえで頑張ろうとする。
どちらが正しい道を歩いているのかは読者が決める事だと思うんですけど、
自分にはこの少年が正しい道を歩いているとはとても思えませんでした。

それ以外の所で色々書かせてもらうと、日常を切り取る力が凄い。
現実の世界にポケモンがいると言う風景を当たり前の様に書いて
それを成立させている。主人公とキョウさん、アンズとの会話も
自然で、違和感を感じる所がまるで無い。高い技量を感じます。
少年に対して本気でイラッとしたり、御爺さんに対して孫を思い
『見守る事』で様々な問題を解決しようとする思いやりを感じたりと、
文章が真に迫っているからこそ本気になれる。
キャラクターに感情移入出来る空間を作れると言う意味では
レベルの高さを感じました。

少年と青年である主人公の『その後』が気になる程、洗練された
物語でした。自分が貰ったメッセージとしては、『自分が見えていない程
愚かな事は無い』って事でしょうかね。少年は見えている様で
自分が見えていない。そしてそれが解らないまま先に進もうとしている。
一方主人公はやっと自分を冷静に見つめる事が出来たから
前に進む事が出来た。それが作者の伝えたい事だったのだと思っています。

ソラさん
評価:☆☆☆☆

主人公が長い時間、迷っていた事を認めて新しい1歩を踏み出す物語だと感じました。
バトルやポケモンよりも人間関係に焦点を強く当てた作品で今回の企画に投稿された他の作品よりも目立っているように感じましたねー。
場面転換をわかりやすくしていたので読みやすかったです。
ドラゴンタイプの認めさせ方が結構、納得のいくやり方でなるほどなーと思いました。
主人公が今後どのようにして成長していくのかが気になる作品でした。

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆

 本気でやるのはとても大切なことですよね、と改めて感じました。全力で書くからこそ、小説を書くのは楽しいものです。そんなことを思い出しました。
 ひとつだけ。バッジ、が正式名称です。タイトルなのでかなり目についてしまいました……。
 そこが気になることを除けば、完璧な話運びだと思います。
 楽しませていただきました!

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆

ガンちゃんの腕の太さ、もとい体格のよさを繰り返し書かれているあたり、ケン坊は小柄だったり細身だったりするのだろうか。そうだったらおいしい。そんなことを想像しながら読ませていただきました。

全体的に会話文が中心になって話が展開されていますね。ひとつひとつのシーンのテンポ感がすごくよくて話がすんなり入ってくるの強みだと思います。

セキチク以外のことを知らずにサファリを継ぐのは嫌だ。わたし、このケン坊の気持ちめちゃくちゃわかります。
ひとつの場所にとどまることを選ぶからこそ、広い世界を知りたいものですよね(ケン坊の真意がこんなんじゃなかったら申し訳ないです)
こういう跡継ぎ系のお家問題ってすごくシビアだなぁと思います。自分のやりたいことを選べば傷つく人、苦しむ人も出てくる。自分と大切な人々、どっちも譲れないからこそしんどいですね。
この世界のセキチクの小ささを表しているのもすきです、タマムシやヤマブキが近くにあるからこそ、こういう対比ができるのっておもしろい

>「サキに甘えんな。サキの事だけじゃなくて、いつまでもなあなあでいられると思ってんなよ。……分かってんのか? お前は、三年間セキチクに居なかったんだ」
>「俺の親友がその程度だったなんて、がっかりさせないでくれよな」
これがガンちゃんの真骨頂か……ケン坊いい友達もったな……

>「私の事、いっつも子ども扱い」
>「そりゃ、子どもだからね。僕にとっては、かわいい妹みたいだ」
>「妹かあ」
>「嫌?」
>「嫌、じゃないけどさ」

作者さんがこれを何気ないやりとりのつもりで書かれたのか、何か含みを持たせたのかは作者さんのみぞ知るところですが、おじさんは可能性を感じました。もう子どもじゃないのに、みたいに思う子の甘酸っぱさ、いいですね。アンズだけに。

>「ジムリーダーの娘、って言われるのはあんまり好きじゃなかったけど、父上の娘って言われるのはあたい好きなんだよね。父上がセキチクのジムリーダーじゃなくなるって思ったら、途端に実感湧いて来てさ。怖いし、この先どうなるのかわからないけど、父上の代わりになって、ケン兄とか、ガンちゃんとか、サキちゃんとか、皆が居る、この育ったセキチクの役に立ちたいって、そう思えるようになったんだ。こうなるまでに、いろいろあったんだけどさ」

ここのアンズちゃんのセリフで、この物語がなぜセキチクを舞台にしたのかが分かった気がします。アンズちゃんもまたお偉い方の子であって、メタ的な話、ジムリーダーを継ぐことが約束されている。
>同じく大きな物を背負った存在として、僕はこの年下の少女に何度も助けられてきた。自分と同じような人がいる。それだけでも、救われたものだ。
それってケン坊にとってはこういうことなんですよね。本当にケン坊は周りの人間に恵まれていると思います。だからこそ、ケン坊がこのままじゃダメだと気づいた時にはホッとしたような気持ちになりました。
でもここで終わらないんですよね。ミニリュウとケンゴくんの騒動をきっかけに、ケン坊は自分の時だけが止まっていたことを突き付けられます。

この話、なかなかケン坊に対して厳しい世界だなぁとも思いました。ケン坊はケン坊なりの考えがあり、悩んでいるのに周りからはハッキリしないようにも見えて。挙句の果てに本気じゃない態度はダサいなんて言われてしまいます。
かといって、ケン坊に救いがなかったかと言われたらそんなことは全然ないんですよね。ガンちゃんもサキちゃんも、アンズちゃんもじいちゃんも。いろんな人がいろんな形でケン坊に関わってくれたから、ケン坊はセキチクに戻ることを選べたのかなと思います。
最後のシーンがセキチクジムのバトルになるのもオサレです。まさに今まで超えられなかったピンクバッヂの壁を超えてやろうという思いが伝わってきました。

投稿お疲れ様でした!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆

 里帰りで現実を突きつけられる感じ、重たくはなくともチクりときますね……! ケン坊のじいちゃん、なかなかの荒療治を仕掛けてきたなぁと思いました……! それでも最後には前向きに、ケン坊自身で道を決められたなら良かったのかなぁと感じました……! ポケモン達の気持ちも考えて、セキチクジムだけは突破するって決めた所がかっこよかったです。最後のジム戦の結果がどうなったのかも気になりますね……! ありがとうございました!

カイさん
評価:☆☆☆

セキチクシティのサファリパーク園長のお孫さんに焦点を当てるって、とても面白い発想だと思いました。セキチクシティのサファリといえば、街の一大名物ですものね。その園長の孫ともなれば、様々な期待や思いを背負っているのも納得できる、良い題材だと思いました。
個性的な登場人物が多くいましたが、キョウやアンズといった原作キャラも登場していたからか、大きな混乱なく物語を理解できました。特にケンゴくんは非常に印象深いキャラクターでしたね~。このお話の裏で活動していたケンゴくんだけで一本お話が描けそう…!
ケン坊が決意してからの展開はもう本当に疾走感にあふれていて、サキちゃんへの告白はどんなだったのか、そしてキョウさんとのけじめのジム戦はどんな様子だったのか、想像の膨らむ終わり方でした。

ところで特にプラスでもマイナスでもない感想なのですが、この作品では「バッヂ」表記が徹底されていたのが気になりました。badgeという英語に日本語の音を当てた表記なのでどっちでもいいと思うのですが、普通は「バッジ」じゃないのかな~と。何かこだわりがあったのでしょうか。あればぜひお伺いしてみたいです。

投稿お疲れ様でした!

ptさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

サファリパークの園長の孫で、セキチクシティのジムリーダーが(アンズじゃなくて)キョウさんの時代かー
意外とキョウさんがジムリーダーの時代って短いんですよね、すぐ代替わりしちゃうから
それでもって主人公世代はアンズちゃんより年上という。いや参った、こんな使い方があるとは

バッジを集める旅を高校卒業から始めるっていうのは、この作品では早いんですかね?遅いんですかね?
某アニメの主人公は10歳から挑戦ですから、それを聞くとずっと学校に行ってる期間悩んでいて、高校を出てようやく踏ん切りがついたみたいに見えるんですよね。後半を読む限り、18歳でのプロ転向は遅いくらいでしょう。
そこから3年たって、ポケモンリーグに手が届くか届かないかくらい。きっとプロのトレーナーで食っていけるか、いけないかの分岐点だと思います。21歳ですから、いつまでも芽の出ないプロトレーナーをするわけにも行けません、かといって、プロトレーナーを諦めるほど成績が悪いわけでもなく……ただ、彼の場合は「サファリの後継者」という、他のくすぶってるプロ志望のトレーナーからしたら嫉妬で狂うほど羨ましい進路があったんですよね。プロをあきらめても。
でもプロってそういうもんですよね。同級生が居酒屋でやたら持ち上げてましたけど、彼らから見たら神童でも一般的なプロから見たら箸にも棒にもかからないレベルなんて、ポケモンバトルに限らずあらゆる分野でその通りですもの。
それでいて直後に11歳にしてミニリュウに認められた少年が目の前に現れたらもうプライドは崩壊しますよ。
本当に良かった。はっきり言って才能のないケン坊にも、この少年に対してできることがあって。はっきり言ってそこからはケン坊が惨め過ぎて見るに堪えませんでした。作者が悪いのではなく、単にケン坊に才能がないから。
でも、才能がなかろうと彼は3年間、21年間の積み重ねがあるプロですからね。自分の限界を見ても、目の前の、ポケモンリーグにははるか遠く届かないピンクバッジを最後に引退してやろうという気概を受け取りました。
作者の方が知っているかは分かりませんが、何か一つのプロスポーツの世界に詳しいか、はじめの一歩みたいなプロスポーツの漫画に詳しい方だったらきっと刺さる話をしてくれるでしょう。
評価する側の人間にあるまじきことですが、「個人的に好きなので」7点を上げたいと思います。書いてくれてありがとう

猫村さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

カントー地方に映画があるならこの話、エッセイ的な感じで上映されてそうだなぁ。とそれが第一印象です。キャラの置き方、生き様、各自が色濃く出ていてハチャメチャに好きです。
3年で5つかぁ…そりゃあ主人公級のトレーナーだと微妙だけど、一般トレーナーだと十分に凄いこと。はぁー…本気じゃなくてもとりあえずやってる人間とかリアルー…!グサグサ刺さる…!(私の精神にも)好き…。
「バッジ」ではなく「バッヂ」の理由が知りたいです。

Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆

初代表記準拠の「バッヂ」の文字が目立つタイトルが目を惹き、読む前から注目していた一作でした。
多くの作品においてポケモンバトルにおける実力者として描かれることの多いジムリーダーとのバトルが挟まる作品にもかかわらずあえて詳細なバトル描写を省き、代わりに地域のため尽力し人々から一目置かれる名士としてのジムリーダーへの目線を描く着眼点や字数配分は非常に面白いものだったと思います。
地域の目玉となるサファリゾーン、親の跡を継いだジムリーダー、年若くしてリーグ制覇を成し遂げた初代主人公とライバルの存在と、ゲーム中で存在する要素が余すところなく「トレーナーというモラトリアム」「地域の名士の子とその後継」という作品のテーマとそのための展開に紐付けられており、セキチクシティを舞台に選んだ理由にこの上なく納得できる作品でした。
主人公が年長者の面々の掌の上で思うまま転がされているようにも見える構図をどう取るかでかなり受ける印象が変わってきそうなのですが、むしろそれこそが年の功でありそうした形で人を導くことができるのも力の一つ、と映りました。また、そうした様々な作意があったことを明かされても主人公が翻意することがなかった時点でもう道は決まっていたのかなとも。
ポケモンがいるとはいえ非常に現実世界に近い世界観で描かれた作品故に個人的な状況とも重ね合わせるところが多かったのですが、そうして思いを重ねることができるような日常の小さなリアリティを細やかに描き出す筆致はとても見事なものだったと思います。

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 これはうますぎましたね。特にタイトルがすごいですわ。ここ数年いろいろな企画に顔を出してきましたが、その中でも一番のタイトルじゃないかと思います。
 ピンクバッヂの壁とはつまりセキチクジムのあの見えない壁を指していると思うんですけど。これはつまり主人公がなんとなく自分の中に作っていた壁とか、地元の友人との間にあったトレーナーに対する意識の違いとかを見えない壁という表現で表しているわけなんですよね!
 この小説では強烈なキャラクターを持った子供が出てくるわけなんですけれども、このキャラクターは主人公に対してその道を諦めさせるための理由になるのに十分なんですよね、ああ、このくらいの狂気が自分にはなかったんだなと。それで主人公は自分の壁に気がつくわけですよ。
 ここでタイトルの話に戻るわけなんですけども、普通ですね、こんなに抜群のギミック考えついたら普通作品の中で書いちゃうんですよ、その欲を堪えられないんですよ。それをね、あえてタイトルで押させるというこの采配がね、すごいですよ。
 中身とタイトルの相乗効果をとても感じる作品でした。

照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆

このあったかさのある田舎の雰囲気だったり、大人になってからやる同窓会の雰囲気が堪らなく好きですね。
このガンちゃんの良い人具合がめっちゃ好きです。歯を見せて笑うの似合いそう!
三年経って自分は悠々自適にジムを巡って、それなりに成果も出してきたはずなんだけど、それ以上に地元に戻って旧友と出会うと旧友達の変わり具合についつい置いていかれたような気持ちになる。これめっちゃ共感できました。
それに追い討ちをかけるように、ジムでの敗戦、アンズ含め幼なじみ達とのやり取り、サファリでの一件。
タイトルにあるピンクバッヂの壁とあるように、見えない壁とぶつかっているなあと思います。
サファリでの少年のストイックさを見ると、やっぱケン坊とはトレーナーになるという点でも向き合い方が違うなあと思いますね。(ちなみにこの手の実力のあるクソ生意気なガキは好きです)
この物語はケン坊がサファリを継ぐ方向にある結果だったから結果オーライだったのですが、ちょっと周りからの圧がケン坊を追いつめてるようでそこがちょっとかわいそうだなあと思います。
ケン坊が今後果たしてうまくやっていけるかどうかはまだまだわかりませんが、園長もガンちゃんもいるしたぶん大丈夫だよね!!

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆

 思うように進めず悩むケン坊の悩みが、こと細かく描かれていたのが印象的でした。
 でも、最終的にケン坊が出した結論もケン坊が心から望んでいることではないことに変わりはない、という点が個人的に魚の小骨のごとく喉に引っかかります。何分ケン坊の周りの人間にとって都合のいい結果なので、周りが徒党を組んでケン坊を陥れたようにも見えてしまって、素直に良かったと思えないところがあります。

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆

この作品を読んで、自分の中では、どことなく懐かしさのようなものを感じました。自分は初代は未プレイですけど、それでも町の雰囲気が想像出来て楽しかったです!
まず、個人的に思った事を1つ。 ......ケンゴ君怖い() 何というか、心の弱いところをグサッとついてくるような気がしました。 これは「自分は本気になれていない」って思いますよね。 子供ながらあそこまで本気なのは怖いですし、こちらの心を思い切り動かしてくれた彼の描写はお見事だなと感じました。 一体彼はこれからどうなるのでしょう......?
そして、ケン坊が最後にセキチクジムには勝ちたいと言ったのは良かったと感じます。 ただ後を継ごうってだけでなく、集大成としてジムに挑むというのは、彼の決意を強くするでしょうし。 それに、彼のポケモン達の思いを考えていたのも最高でした! ポケモン達からすれば、今までずっと頑張ってきたのに急に終わりになってしまうということですので......。 いい感じで彼らの旅が締めくくられて欲しいですね!
投稿お疲れ様でした!

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆

 中になにが入っているんだ、ってくらい天才少年ケンゴ君のセリフがめちゃくちゃ強いですね。こういうキャラクターを書き切るのはとても力のいることだと思います。すごい。
 読書感想文推薦図書にありそうな、若向けの上等な文学作品という感じがしました。

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆

読んでいて心にグサリと来る部分がある話でした。いえ、刺さるということはそれだけ作者様の力があるということでもあるので、本当にすごいなと思うのですが。
最初に読み終えて思ったことは、「何か皆が主人公に対して手厳しい……」でした。いえ、向き合わなければいけない問題から目を背け、旅をしている主人公のことを考えるとその対応も納得は納得なのですが。とりあえずおじいちゃんがすごかったです。
目を覚ました主人公は、今度こそ壁を越えることができるのでしょうか。きっと乗り越えられると信じてページを閉じることにします。

早蕨さん

自作です。後語りはどこかで。

しろあんさん
評価:☆☆☆☆

上手い感想が出てこないんですけど、ケン坊には中々厳しい現実を突きつけられているなぁと思いました……!
外の世界を知らないままサファリを継ぐのが嫌で、バッヂ集めの旅に出たけれど、久しぶりに地元に戻ってきたらジムリーダーのキョウさんに勝てず、意味もなくバッヂ集めをするのを止めろと周りから暗に言われているのが、なんとも言えない気持ちになりました。
でもそれはガンちゃんを初めとした皆がケン坊の事を心配しているからなんですよね……ケン坊も皆に心配されているんだという事に気づいて、セキチクシティに残る事を決断したのが良かったです。
投稿、お疲れ様でした!

トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆

主人公のケン坊を、サファリゾーンの後継ぎという設定にし、経営者一族に生まれる人間の葛藤に視点が置いているが面白かったです。彼が抱えている感情の描写、そこから繋がる行動へのきっかけが丁寧に描かれているので、ケン坊や、彼を動かす登場人物に感情移入することが出来たので、とても作品を楽しむことが出来ました。
この作品の登場人物はみんな真っすぐというか、自分の生きる道の岐路に立つ若者ばかりだったのが印象的でした。主人公が旅をした理由も、おじいちゃんの後を継ぐのが怖かったからですし、ケン坊の友達もみんな(ケン坊から見れば)夢に向かってまっしぐら。そして、ケン坊が実際にサファリを継ぐと決心した要因も、ケンゴくんという幼さゆえの強烈な自我を持つ子に、揺さぶられ自分のいるべき場所を思い出したからです。この潔さというか、悪意が無いというか。そういった登場人物のポジティブに満ちているのがこの小説のいいところだと思います。ただ、この小説はケン坊の一人称で描かれているので、穿った見方をしないのは彼の性格なのかもしれません。本当は、ガンちゃんも、アンズちゃんも、そしてサキも、ケン坊には言えない複雑な感情を抱えているのかなとも思います。そして、みんなケン坊に優しく、それでいて厳しいのはケン坊がいい子だからなんだろうなとも思いました。

ケン坊は旅をしていた間、逃げてた、誤魔化してた、本気じゃなかったと言っていますが、共に戦って来たポケモン達と過ごしてきた3年間は、仲間と共に「上を目指そう、次も勝とう」と思ってたことは本気だったんじゃないかと思ってしまいました。ポケモン達が懐いていたのもサファリ経営者としてポケモンと心を通わせるのが上手いだけじゃない、ケン坊自身の目標に向かって突き進む惹かれて頑張っていたのではないかなあと考えてしまいます。しかしながら、ケンゴくんみたいな少年を見て、俺本気になってないから敵わないかもと悟り、更にケンゴくんから「本気になれる場所で頑張ればいいじゃないですか」と諭され 今まで逃げ続けてきたサキちゃんにまず会いに行く。ストーリー的には個人的に隙が無いなとも思いました。

感情をお互いに揺さぶりあいながら成長していく登場人物たちの、各々が持つ感情にリアリティがあり、自分も「自分が頑張れる、本気になれる場所」ってどこだろう? その場所をと考えてしまいました。

逆行さん
評価:☆☆☆☆☆

淡々とした文章ながら、主人公の悩みや決意、田舎町の様子がありありと伝わっている小説でした。とても落ち着いていてベテランの風格を感じさせる作品だったと思います。

冒頭で主人公が故郷に帰ってきたとき、色々な物は人が変わっている様子を発見する所が良いなあと思いました。机が小さく見えていたり、ガンちゃんがの腕が大きく見えていたりと、三年間の歳月の流れを上手く表現できたいたと感じます。
ガンちゃんとかアンズちゃんと容姿を変化を事細かに描写することによって、彼らが前に進んでいることがよく分かりました。ここの描写は素晴らしかったと思います。

同窓会の部分で、主人公はみんなに褒められたり神童だった言われたりして嬉しいと思っているシーンが、後にサキ責められるシーンの前フリになっているのが巧いなあと思いました。主人公を責める前に一度有頂天にさせておくのが、良い意味でサディストだなあと思いました(笑)

>明日はジム戦。ここをスムーズに突破して、本当にバッヂを集め切ったら、僕の中でも何か答えが出るのかもしれない。

主人公はトレーナーとしてやっていけば、勝手に答えが出るものだと誤解しているんですよね。目的意識があって旅するなら得るものはあるけど、目的意識がなく旅をするのは停滞していると何ら変わらないというのが、この小説を読んでよく分かりました。

この小説最初に読んだときは、トレーナーを辞める理由は描かれているけれども、サファリゾーンを継ぐ理由は描かれていないように感じていました。主人公がサファリゾーンを継ぎたくて継ぐのではなく、周囲の人が望むから継いでいるように見えて、そこが若干すっきりしない所でした。主人公が自分で決めた訳ではなく、周囲の人に押し付けられた感も少しありました。

ただ、よく読んでみると、主人公がサファリを継ぎたいと思った理由も、ちゃんと描かれているんですよね。

>「それにね、サファリに来るケンゴ君みたいな子を応援したくなったっていうのは、今の正直な気持ち。僕のやる気は、今そこに向いてるのかも」

ここですよね。ケンゴ君みたい子を応援したいと思ったから、サファリを継ぎたいと。それが正直な気持ちであると書かれています。

この一文だけで継ぎたい理由を語っているのが、少しあっさりとしているなあと感じました。サファリを継ぐ動機となる部分なので、もう少しここは強調して書くようにした方が良いと思いました。

トレーナーを続けるのではなく、途中で終わらせようと結論付けた所はすごい好みでした。トレーナーを諦めるというのは一見消極的にも捉えられがちです、主人公はケンゴ君みたいな天才ではないことはここまで語られてきていたことですし、非常に現実的で地の付いた結論だなあと感じました。

全体を通して、すごく安定していて完成度が高かったと思いました。赤緑の世界を舞台にしているのもあって、すごく懐かしい匂いのするお話でしたね。投稿お疲れ様でした!

水のミドリさん
評価:☆☆☆

ラストの終わり方が「正解」って感じでしたね。サキのとこへ行っても、父親のとこへ顔を出しても落とし所として成立するじゃないですか。タイトルがそうってこともあるんですけど、やっぱり最後に〆るべきはキョウさんなんだなあ。ジムバトルのリベンジ戦こそ書かれていませんでしたがゴーストゴーリキーナッシーたち、辛くも勝利を納めてそう。舞台が初代と金銀の過渡期って感じで、物語の前日譚と後日談を想像しやすいのもイイ読後感ですね。そうかサファリゾーンなくなっちゃうのか……。
アニポケDPヒカリの幼馴染と同じ名前のケンゴくん、メチャクチャ生意気でいい味だしてます。レッドグリーンに憧れて強いトレーナーを目指すのに、ミニリュウのプライドを弄んで手持ちに加えようとするの、お前は何を見てきたんだあァ〜って私叫びそう。『トレーナーに年齢も才能も関係ない』って思っているのに振りかざす手段それか〜〜〜〜。リーグあたりまでは順調に行けるんだけどそこでワタルさんにボッコボコにされてほしい。ドラゴンタイプの育て方を根本から否定されればいいんだ……そんでセキチクで出会った主人公の言葉が頭をかすめて「俺は……俺は違う……!」みたいになればいいんだ。
話を本筋に戻しますが、ケン坊だって根本は『トレーナーに年齢も才能も関係ない』と理解していたと思うんです。ケン坊、家業を継ぐのが嫌で飛び出してからの旅でしたけど、ちゃんとトレーナーしてたじゃないですか。キョウに敗れたあとポケセンで手持ちたちをちゃんと心配するし、逆に手持ちからも慕われていました。再挑戦するためには何がまずかったかを反省し、くじけず別の方法で挑もうとしている。順調にジムを巡ってバッヂを集める旅も三年続いたし、ジム巡りを断念すると決めた時も、手持ちたちの意思を尊重した。もし、もし彼が旅の途中で本気になれていて、トレーナーでやっていけると信じ突き進んでセキチクに戻ってきていたとしたら、『ピンクバッヂの壁』を用意した祖父はなかなかにイジワルだなあ。三年間の彼の成長をひと目見もしないままケン坊に圧倒的な挫折を与えてサファリの後継を考えさせることになりますよね。もしくは旅に出ようとアイツは何も変わりはしないと決めつけていたのか。どちらにせよ悪辣なイメージ。昔の親友やらジムリーダーの娘やらもけしかけて町ぐるみで彼を留まらせようとするの、なんだか陰惨たる田舎的な印象を受けてしまいました。むしろケン坊バトル以外で物語最後まで自主的な行動に移すことがなく、サファリを継ぐとなっても具体的に仕事している描写がないんですよね……有能と認められた親友と同じ職場で、はたしていさかいなく仕事できるんでしょうか。むしろそこを書かないことでサファリ閉園の暗示をしている? にしてもケン坊やっぱりトレーナーが天職なんじゃないの? 主人公の旅を後押ししてくれる居酒屋仲間が後半もうちょい絡んできてほしかったのかも。

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆☆

サファリゾーン園長の孫として生まれたケン坊の、トレーナーとしての旅の終わりの物語。
ケン坊にとって、トレーナーとしての旅はまさにモラトリアムだったのですね。
自分も似たようなモラトリアムを体験していたので、ケン坊の気持ちを自分に重ねながら読むことができました。地に足の着いた未来を望んでいるのが好意を持ってくれている女子っていう構図もね……こう、リアルですよね。
ガンちゃんの存在もいいですよね。
>僕が高飛車で嫌な奴に成り下がらなかったのは、ガンちゃんのおかげだ。何事にも真面目で、結果も出すガンちゃんを見ていると、常にお尻を叩かれているようで、引き締まる思いだった。
こういう人って大事なんですよね。本当にいい友達だと思います。ケン坊もそこそこに頭がいいと思うんですよね。周りをよく見る視野の広さと冷静さを持ちつつある、大人になりかけの人物として描かれているのかなと思います。
祖父にはもう全部ケン坊読まれているのが、やっぱり親には敵わないものだなぁと思いました。ケンゴ少年のこともそうですが、アンズちゃんもまさかグルだったとは……いや~敵わないですよね。
ケン坊の手持ちが交換して進化するポケモンの1進化形態というのが、彼の旅がどういうものなのかが少し見えてくるポイントになりそうですね。恐らく、ポケモンを交換してくれるようないい出会いは旅先にはなかったのでしょうね。
それでも手持ちのポケモンとはトレーナーとしてのケン坊とずっと頑張ってきた、というところもしっかり大事にしていて、良かったです。
>「キョウさん。僕にとってはピンクバッヂがゴールになります。三年間の経験、いや、僕の二十一年間を全てここにぶつけますから、今回はジム戦として、頼みますよ」
このセリフがまさに、ケン坊の出会ってきた全ての人たち(ポケモン含む)に対して最も誠実な態度が何なのか、答えを出せたんだなあと鳥肌が立ちました。
途中で旅が終わる人の気持ちをここまで肯定的に捉えたポケモントレーナーものを読むのは初めてかもしれません。本当に良かったです。ありがとうございました!!!

春さん
評価:☆☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆☆
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ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
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評価:☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆