赤紫色の見識の感想一覧

まーむるさん

何か色々深読みされてるけど、これ書く時大した事考えてないしビンゴも一番簡単なの選んだだけだからな! 自分の中にあるものをそのまんま手癖で出しただけのものだからな! 一番書きたかったのエアームドが無惨に殺される様だからな!!!! エアームドの甲殻から首の棘をぷすりと刺して、そしてじゅぷ、じゅぷ、と毒を流し込んでぎゃぼっ!! と口から血を吐き出すところに口を合わせて、目を閉じてごく、ごくと飲んでいく様を書きたかったんだ一番!!!! ああ、ペンドラーちゃん、ぼくもそんな風に殺されたいです。首の棘で軽く刺されて、押し付けられて、ふすーっと生暖かい息を掛けられながら見下されたいんだ。
ペンドラーちゃん! ペンドラーちゃんのお腹むっちむっち! ペンドラーちゃん! その眠たげで、そして獲物を屠る時はきっと冷徹に見下しているその目が最高! ペンドラーちゃんの首に捕まえられて媚毒を注入させられて全身性感帯になった後に思いっきり突き上げて欲しい! ペンドラーちゃん! どうしてそんな引いた目で僕を見ているの? 僕ね! 死ぬときはペンドラーちゃんの栄養になって死んでいきたいな! 生まれ変わったらそしてペンドラーになりたいんだ! いや、ちょっと違うか、ごめんね嘘ついちゃって! やっぱりペンドラーちゃんそのものになるよりペンドラーちゃんに虐げられたいんだ! 痛いのは嫌なんだけどね、一生ペンドラーちゃんの性奴隷になりたいの! ペンドラーちゃんの肉体を、精神を、その呼吸を、何から何までをこの全身で一秒たりとも欠かさずに感じ続けていたいの! 冬になったらそのむっちりお肉に半ば圧し潰されながらも眠りたいし、でも夏でもそのむっちりお肉に半ば圧し潰されたいの! ペンドラーちゃんが冷徹に獲物を屠る所を見ていたいの! 鳥ポケモンなんか鉄壁でへっちゃらで、そして突いてきたところを逆上して何度も突き刺して踏みつけてぐちゃぐちゃにしている怒り心頭なところも見たいし、毒を数多に流し込んで見下しながら敵がじわじわと死んでいくのを笑いを浮かべながらじっと待っているのも見たいの! 夏に水浴びをして元気なペンドラーちゃんも見たいし、子供に愛情をたっぷりと注ぐペンドラーちゃんも見たいし、そして強敵にまっすぐと立ち向かうペンドラーちゃんも見たいの! ハードローラーで相手の肉体をミンチにしていくペンドラーちゃん! メガホーンで肉体を穴だらけにするペンドラーちゃん! 毒を浴びせた後に更にベノムトラップで容赦なく追撃を仕掛けるペンドラーちゃん! その200kgの体重で相手を磨り潰していくペンドラーちゃん! あ、でも200kgってポケモン図鑑にあるけど、本当はもうちょっとあるよね? 別に別に悪い事じゃないんだ、ペンドラーちゃんが重い事はそれもそれで立派な魅力だからさ、この世界にペンドラーに押しつぶされたいって思わない人はきっと居ないと思うんだ、だってペンドラーちゃんだものペンドラーちゃんの魅力は世界、いや宇宙、いや、それは定理だものペンドラーちゃんが可愛い事は定理だから、もう誰にも書き換えようがないし世界が滅びようとも新しい世界が構築されようともずっと在り続けるの! だからペンドラーちゃんん゛っ゛! いだいよペンドラーちゃん、ああっ、その汚らわしいものを見つめるような目最高! もっとその目でぼくをっ! ぶべぇっ

北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 リアリティというのは本当に難しいものですね。描かれている創作世界がリアルに寄せられていればいるほど、ちょっと無理があるなという部分がどうしても気になってしまいます。それをファンタジーとして割り切って読むには、いささかリアルすぎる、リアルに描かれてるからこそ、と言いますか。ただ、そのリアルでないと私が感じている箇所も、この物語を最高の形で描きあげることを考えれば、もしかしたら最善なのかもしれません、実際今そうとも思えてる自分もいます。リアルを追求することで創作の中で死んでしまうものって必ず存在していますよね。でもそのリアルでない部分が目についてしまったとき、読み進める上で、しこりになってしまうんですね。う〜ん難しいなあ! でもね森という場所で何かを殺し何かに殺され呼吸をして生きている生き物としてのポケモンの姿をポケモン視点の一人称で、しかもこれほどに生々しく、表現されている作品を見れることはね、なかなかないと思うので、そして私そういう作品が読みたくていつもたまらないので、この作品が大好きです。ファンタジーの中で描けるリアルを追求した作者さんの腕前に私は天晴れを送りたいと思います。冒頭から長々とすみません!!

 仕切り直し!
 好きです!!(大声) この作品に感想を書くの正直すごく抵抗があるのですが、何故かというと私のような安っぽい言葉でしかモノを語れないやつがこの作品を語ってしまうとどうしても品位が……作品の品位に障るので……!(考えすぎです) すごく変な例えをしますが、青空文庫の小説を読むのにちょっとハマっていたんですけど、青空文庫でめっちゃ好きな作品を読み終えたときと同じ満足感を、この作品から得られたんですよ。どういう意味かというと、この作品は文学で、作者さんは文豪であるということです。 ……安っ!!言葉、安っ!! あ〜っカッコよく語りたいのに〜!!笑
 物語全編を通して霞のように漂っている、主人公の、誰も信じられない、孤独感、と言うべきものが、本当に良いんですよね。常に鉄壁を張り続ける彼女の性質がそれをよく体現してる。そしてそれって主人公だけじゃなくてこの森の中、ひいてはこの世界で生きている野生のポケモンたちすべてに言えることなのかもしれません。虫に対する鳥や獣、人間、と言った分かりやすい外敵だけではなく、スピアーとの会話の中でも駆け引きがあったり、ラグラージの言うことを心からは信用しなかったり。でも、マフォクシーや火事という『森そのものを破壊する』敵に対しては、スッと刃先の方向を揃えて戦うことができる。でもそれが終わったら、主人公がこの森を去ることに対しても、さして強い感傷は抱かない。森に住むポケモンたちのこの温度のない距離感というのが実に生々しい野生らしさで好きでした。
 そして、その森の中で、新たな番となるペンドラーとの出会い。そこで送られる安心感のある優しい日々、そのさなかでも、忘れることなく、落とし穴のことを思い続ける主人公。このペンドラーと出会ってからの流れが本当に大好きなのですよ。世界は歪んでいるのが普通。歪みのなかで懊悩し、じきに歪んでいくものたち。
>けれど私は受け入れられない歪みから、私が幾ら何をしようがきっと変わらないであろう程に強い歪みから、何もせずに逃げる事などは死の危険を伴おうとも出来ませんでした。
> 受け入れる事を出来なくとも、何をしても変わらなくとも、それでもほんの僅かにでも、私自身の力でその歪みに抗いたかったのです。
 この流れがねえええ……何とは言えないんですけど……本当にしみじみと良いなと思いました。だって、確かに彼女は私自身の力で歪みに抗い、そしてその企みは成功したのですけれど、だからと言って何が変わるわけでもないんですよ。人間がこの世から一人消えその手持ちポケモンが一人消え、ほんのそれだけ。もうほんとうにそれはちっぽけなものですよね、何も変わっていないに等しい。毎年行われる「虫」に対する理不尽な虐殺はこれからも行われていくのだろうし、それにより悲しい思いをする虫ポケモンたちは生まれ続け、また悲劇が起こるのでしょう。でも、本当に何も変えられない、歪みに対するほんの僅かな抵抗で、彼女の中の何かは確かに変わったんだろうなあ。それをさあ、 >確かにすっきりしましたが、私自身が想像していた程のものではありませんでしたね。 こう表現してしまうあたり。いやああもうねえ……いいなあ……本当に凄い。深い……(小並感
 正直絶対にバッドエンドなんだろうなと思いながら読み進め、バッドエンドにならなかったことに対して驚きがあったんですけれど、でもハッピーエンドなのかと言われると釈然としない。この、事が終わっているのにどこか鬱屈とした読了感、もまた本当にすごい良かったです。特に元の巣を後にして以降後半はものすごい没入感でした。こういう作品とっても憧れます、カッコいいです。拍手!! これから虫を理不尽に殺す時にこの作品を思い出して鬱になる自分が見えるようです笑。投稿おつかれさまでした!

あしゃまんさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 え、凄い……好き……。(語彙力)
 このシビアな世界観とペンドラーの内面を見事に描ききったなぁと……凄い……。

 楽しませていただきました!

猫村さん
評価:☆☆☆☆☆

野生が生きるために食って食われて、騙し合う。ポケモン小説ならではの作風だなと思います。グロいのは基本ダメなのですが、毒を注いだり殺したりする所がめちゃくちゃ引き込まれました。
ビークインは片角ペンドラーさんのことがまだ好きで恐らく一途なのに、片角さんは結構その辺ドライなのもまた…リアルというか、物語があるというか。
マフォクシー…いいいいいい!!!!
まふぉ…マフォクシー。゜(´∩ω∩`)゜。化けて出てきそうな死に方ををををを!!!
こここ、これは…これはきつい…マフォクシー好きにはきつい…
この主人公のペンドラーが幸せになって欲しいと思う。つぎの夏はきっと楽しい。うん!

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆

『ポケモンバトル』とは違う、ルール無用の激しい戦い。自然の中で生きていくためには、生温い制約など枷でしかないということを思い知らされる作品でした。
生きていくため、恨みを晴らすため。展開されたのは間違いなくポケモン同士の戦いでしたが、それはバトルとは違う…ビンゴラインから排除されているところがとても良かったです。

>そこまで耐えなければいけないのでしょうか? そもそも何故、私達はそんな事を耐えなければいけないのでしょうか?
 理解はしています。ただ、だからと言って納得は出来ません。
 その感情は、季節が完全に一周しようとする今でも疼いて残ったままでした。
 番の言葉が思い浮かびます。
「俺達が何をしたってんだ?」
 ええ。何もしていません。

やるせない気持ち、諦観、様々な感情がこもった“ええ。何もしていません。”ここがすごく刺さりましたね…
自らが快適に生きていくためには、必然的に他者を排除するしかない…理解しているからこそ恨みに流されることはない、無茶な争いはしない。でも心のどこかでは…という複雑な感情が巧みに描写され、かつそれを裏付けるだけの要素を描ききっている素晴らしい一作でした!
R-15描写はかなり重々しかったですが、過酷な自然のルールに生きているポケモンたちを強調するに最適な判断だったとも思います!

BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆

 これはまたハードな世界観の、しかし野生ポケモンにとっては避けて通れないテーマのお話ですね……! 時折モノローグで入ってくる台詞に印象的な物が多くありました。「もし、神様というものが存在したのならば私は切に問いかけたい事があります。私達は、貴方に気に食わない事でもしたのでしょうか?」や「生まれながらに私が罪を背負っていたとしても、そんなものは知った事ではありません」といった台詞から、彼女が冷静でありつつも理不尽を完全に受け入れ切れてないのだろうなと感じられました。
 重厚な雰囲気と共に、命のやりとりさえ真正面から描きった、パワーを感じる一作でした、ありがとうございました!

円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 弱肉強食とはまさにこのこと。正直私はまだ苦手ですが、しかししみじみとした感情が湧き上がるのを抑えることができません。ああ、これが生きるということなのだと。平和ボケした私ごときには理解できない世界なのだと。世界が歪んでいるという発想も、そういう厳しい世界の中で生きていてこそ出てくる発想なのだろうと。
 こういう静かで、しかししみじみと思うところのある作品が書けるようになりたいなって思います。

夜月光介さん
評価:☆☆☆☆

5・赤紫色の見識 主張するビンゴ・1

むしタイプのポケモンを登場させる

ペンドラーは虫タイプです。

本文を一万五千字以上にする

26000文字。小テーマを満たしています。

ポケモンを七種類以上登場させる

スピアー・ホイーガ・ペンドラー・エアームド・デンチュラ・ラグラージ・ミツハニー

7種類以上はもう確実にいますね。満たしていると思います。

はがねタイプのポケモンを登場させる

エアームドが登場しています。

格闘タイプのポケモンを登場させる

チャーレムが登場しています。

ストーリー評価 60点 小テーマ不合格 無し

総合評価 60点

『感想』

生きる為に殺すのは、罪なのか。巻き起こる復讐の連鎖。

ゾッとする様なストーリーと主人公の性格。
でも、色々なものを考えさせてくれる物語だと感じました。
物語は主人公の性格と同じ様に淡々と冷たく進んでいきます。
主人公は『自らの火の粉を払う』為に他のポケモンや人間を殺害し、
その事に関して罪の意識など全く持っていません。

しかし、実際そうなのではないでしょうか。
野生のライオンがインパラを食べた事に対して後悔するでしょうか。
野生のヒグマが人間を襲って喰い殺した事に対して後悔するでしょうか?
この物語の大事な所は、『理性のあるポケモン』と考える矛盾にこそあります。
ポケモンは人間の友達である前に野生の凶暴な生物なのです。
モンスターボールに入っていない野生のポケモンは
洗脳も何もされていないので、人を殺す事もするでしょうし、
他のポケモンも殺すでしょう。理性を持つ獣、それがポケモンなのです。

この作者さんは、『当たり前の事を当たり前に書いた』のです。
一見すれば嫌悪感を抱く様な内容であっても、この『当たり前』を
綺麗に書き切った所にこの作品の凄み、そして作者の実力の高さが垣間見えます。
ただ、残念なのはこの小説の内容があまりにも過激過ぎて
読者を選ぶであろうと言う事です。本当に内容は素晴らしい。
ココまで鳥肌が立つ作品を書く技量には脱帽するしかありません。
けれど、総合評価をそこまで高く出来ない。このジレンマがもどかしい所です。

この物語の後、主人公は恐らく死んだのではないかと自分は考えます。
『降りかかる火の粉』を払う為に次々にポケモンや人間を殺害していけば、
もう終わりが無くなるからです。そういう『結末の後の予想』に
興味が沸くのもこの作品の魅力なのではないでしょうか。面白い作品でした。

草猫さん
評価:☆☆☆☆☆☆

この作品を読んで思った事は、世界のどうしようも出来ない残酷さでした。
それを表していたのが、この物語の世界観だったと思います。やっぱり、ポケモンの世界の実態というのはこういう残酷さも秘めているんですよね。みんなが純粋無垢なわけじゃない。過酷な環境で生きなければならないという中で、情けなどは存在しない......。これぞまさに「弱肉強食」。
だからこそ、ペンドラー達はあそこまでしなければならないという考えを持ったのでしょう。何故なら、そうしなければ自分が死ぬだけだから。 そして、マフォクシーも、自分の主人をただひたすらに想っていただけ。人間も含め、誰ひとりとして悪者なんてものはいなかったんです。当然、殺し合いを止めようとしたチャーレムを正義とも言えません。どちらも大事だから選べないと思っただけのことですし。
自分の大事なものや命を守り、生きるためには命を奪わねばならない......。まさに自分達のこの世界そのものだと感じました。だからこそ、そうやってでも生きていく姿を「美しい」と感じたのかもしれません(うまく言葉では表せませんが) 。 本当に考えさせられる作品でした。
投稿お疲れ様でした!

ソラさん
評価:☆☆☆☆

ポケモンを1つの生き物として描いた作品だと強く感じました。
原作ではボカされている弱肉強食の部分を強く書いている点がこの物語の魅力の1つだと思います。
実際に人間から見た虫って大体、害虫扱いされてしまうんですよねー
作者さんがR15指定している通り、人によってはこの物語の残酷描写が受け付けられない人もいるでしょう。
ただ、そこで怯まずに残酷描写のシーンをボカさずに鮮明に書いているのが個人的によかったなーと思いました!
グロいのが好きとかじゃなくて、この物語において妥協してはいけないポイントだと思うので!
色々と考えさせられるような作品だったので、読者に何かしらのメッセージを残せる作品だと感じました!!

ptさん
評価:スキップ

人間もいる世界での喰う、喰われる、駆除される…という自然の摂理

しかも、どうやら人間とポケモン以外の動物が存在せず、命をつなぐだけならきのみでなんとかなりますが、動物性たんぱくを取ろうとなるとポケモン(あるいは人間)を食すしかない様子。
あとどうでもいいんですけど捕食対象の肉と明確な意思疎通ができるっておぞましいですよね。ね。

ただ、主人公の感じていた不公平というか世界の歪みを、この世界の住人全てが認識しているというわけでもないのですよね。それも、蹂躙される側の虫たちの共通認識というわけでもどうやらなさそう。
まあ当然ですよね。現実世界の我々だって全員が同じ不公平感を持っているわけではないのだから。
ペンドラーさん、自分の”歪み観”に近いものを持って理解してくれる雄に出会えて、一瞬でも安らげてよかったです。

春さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 好き!!!!感情の変化とか書くのってめちゃむずじゃないですか。私も書いてるとな~んか違和感あったり、読んでてもなかなか自然な形の心情の移り変わり描写の出会うことってないんですけど、この話はめっちゃ良かった。自然な流れで主人公の心情の変化についていけたし、なにより、私この主人公好きです。淡々とした描写の中に、何とも言い難い感情が渦巻いているのを丁寧に描写してるのがすっげぇ好きです。
 あ~でもどっちかって言うと前半部分より後半部分の方が好きです。片角さんと出会ってからの部分ですね。特に片角さんと語り合って時間を重ねていくシーン!!!!あそこでちょっとじわっときました。主人公も片角さんも、めっちゃくっちゃ大人なんですよね。それゆえの時間の重ね方で、あのしっとりとした感じが好き。主人公の落ち着きようも、感情との向き合い方も納得の仕方も、子供も持ったことがあって、色々と経験した主人公じゃないと書けなかったと思います。深みがある……。
 片角さんと語り合うシーンもめちゃんこ好きなんですけど、何より復讐の仕方がすごく好きです。激しい感情から復讐に走るでもなく、「趣味」と言いつつ、「誰か落ちないかな」って静かに考えるところ!!!!!なんて言うか、どうしようもないことだけど、納得できない事に正面から向かうんじゃなくて、自分なりに納得できそうな方法で、出来る範囲で抗ってみてて……あ~!!!!!語彙力が!!!足りない!!!!!!不足している!!!!!!!とにかく、すごく良かった!!!激しい感情ではなかったのが特に良かった!!!復讐の仕方ってとこ、個として認識してほしくて、でも復讐相手として認識してきた相手に対して、正面から個として戦うのではなく、あえて逃げて「森」に殺させたのもすごく良かったです。ていうか、復讐を復讐としてちゃんとやり遂げたのもいいですし、読後感の爽やかさといったら!!!!すげぇ!!!!!幼馴染のどっちつかず感も良かったですね~彼の気持ちも分からなくもない……。とにかく、この作品すげぇ好きです!好き!ラブ!!!!主人公も大好き!!!!!

照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆

>「不平等だけは平等だよ」
このセリフがシビアな死生観を感じさせる本作の導入にはほんと最適だったと思います。
他の作品とは一線を画す世界線で、通常のバトルと違って毒針や鉄壁が生存のために有益、というのも面白かったです。
さて、ポケモンの世界でも虫は忌み嫌われてるのか。ペンドラーは家族を殺されるも恨みややるせなさの狭間で苦しむ結果、罠作りという方向に寄せるのが面白い着地点だなあと思います。
そこから新しい番に出会っても、落とし穴のことを忘れられずにいるのは、死が当たり前の世界観でも前の番や子らの死を忘れていないことの証左なんだなあと思いました。
しかしペンドラーのあの巨大でどうやって落とし穴を掘ったのかは気になりますが…笑
端々に光る描写の美しさとそれに対する生物の生き死ににおける醜さのコントラストが素晴らしい、そんな作品だったと思います。
お題の形が落とし穴ではないか、という考察もあり、主人公の執心さを感じます!
にしてもこの世界、ラグラージがマフォクシーをあっさり殺してしまうあたり、トレーナーがいてバトルもしてるとのことですがポケモンバトルは血生臭くなりそうで大変そうですね……。ポケモンも人も……。

rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 最初から思い切り引き込まれました。特殊なキャラクターと世界観を持っているんですが、それを一瞬で理解させる素晴らしい導入だったと思います。
 この世界観における『虫』という立場の立ち位置と、それによる本人たちの考え、行動などは当然自分たちとは全く違う世界にあるはずなんですけど、何となくすっと理解できるんですよね、作者の方がどう意識していたかはわかりませんが『弱者』というものをうまく書こうとしていたのではないかと思いますし、それは成功していたのではないかと思います。
 物語終盤のマフォクシーの戦い方に人間との関係が深いがゆえの粗が出てしまう場面も良かったです。このマフォクシーは基本的に戦いというものを一対一でしか考えられなかったのでしょうね。
 テーマと世界観が持つクセを見事に使いこなした作品だという印象です。星は減らしません。

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆

こ、これはすごい!ポケモンの生態系のえげつなさを見たような気がしました。ポケモンって昔から、ポケモン同士の食物連鎖ネタありますがここ近年で強調されてきた気がします。

今大会でもトップクラスのハードな描写が盛り込まれた本作品。ですが、文章は非常に繊細で自然の美しさを感じ取れるものでした。森の四季の風景が頭に思い浮かんできます。
緩やかに流れていく森の時間ですが、そこで繰り広げられているのは食物連鎖戦争。自然の美しさと怖さ、容赦なさの融合を両立できるのって、なかなかできないことだと思います。

>誰もが好きに生きたいのですし、誰もが死から抗っているのですから。そんな奔放な、冷徹な仕組みでこの世界は動いているのですから。
 生まれながらに私が罪を背負っていたとしても、そんなものは知った事ではありません。
この文から自然界の仕組みの残酷さがひしひしと伝わってきます。それを分かったうえで、森のポケモン達は生き延びているのかと思うと……あぁあ……幸せになって……。

いやちょっとまってエアームドもといはがねタイプに毒を効かせるってそんな……まさか……。R15の本気……。エアームド幸せになって……(違)。
虫ポケモン達も森の中で勢力を強めるのに、かなりの年月を要したんだなぁって感じます。こういう下剋上的な感じって、どんなポケモンにも起こり得ることなんだなぁと想像するとゾッとします。生態系がエラいことになりそうヒィィ。
とかなんとか考えていたら、垣間見えるビークイン女王様とペンドラーの恋愛要素にキャッキャしていました。でもこの恋愛といった要素も、よくよく考えると恋慕というよりも本能なのかもしれないですね。

>そこへ水辺から上がって来たラグラージが、動けずにいるマフォクシーの首を無造作に掴みました。
>「お前た」
> ボキッ。
> ラグラージは、何も聞かないままに首を折りました。そしてそのまま片手でぽい、と投げ捨てました。

ここ、エアームドばりに個人的容赦ないシーンです。生命のあっけなさと儚さが、この短い描写に詰め込まれているように思いました。

こうしたポケモンの生態をここまでストレートに、そして30000字以内に収め切った作者さんは非常に実力がお高いのだと感じました。容赦のなさに繊細さを感じる作品をありがとうございました。
投稿お疲れ様でした!

坑(48095)さん
評価:☆☆☆☆☆☆

 文字から毒が分泌されていてそれを吸わされているみたいな感じでした。これはすごい。
 苛立ちとか憎悪とか、どうしようもなさや倦んだ気持ちからうまれる仄暗い感情。あまりに親しみ深くて、あんまり自覚したくないものを直接見せてくるこの作品の凄みに踏み潰されそうでした。なんでこんな作品が書けるんだ……
 これは勝手に感じたことですが、彼女は自身の歪みを自覚しながら、そのことにほろ酔っているようにも思えました。
 心情の描写にブレがなく、ビンゴの絵のように真っ直ぐ貫いて書かれている印象でした。これはすごい。

フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 ポケモンが人間的な感情を見せるアニポケの世界観と、ポケモンが食ったり食われたりの殺伐野生ライフしてる第7世代以降図鑑説明の世界観をミックスさせたら、化学反応を起こして出来上がったヤバいもの、というのが第一印象でした。人間的な感情を持ち合わせたまま食う食われるの命のやりとりをするポケモンたち。はっきり言ってすごくグロテスクなのですが、一方で主人公のペンドラー考えには哀愁が漂っていて、凄く独特な世界が広がっていると思います。これはすごいです。
 合理的で非情な野生のシステムが、最適解だとわかっていても納得できない。このペンドラーの葛藤が本当に生々しくて心に刺さるんですよね。人間的な感情を持ったまま野生の世界で生きるってかなりの苦行だと思います。それをやってる姿を真正面から描いてるこのお話、本当にすごいです。こんなのよく思いついたなと感心するばかりです。

しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆

暗めな内容のお話でしたが、文章がとても繊細で読み応えがあるなと思いました。ペンドラーが人間に対して憎しみを抱いているけれど、復讐に燃えるというよりかは諦めに近い感情を抱いている様子や、エアームドやマフォクシーに対して一切の恐れを感じていない様子などが淡々とした語り口調からよく伝わってきました。
片角のペンドラーとのやりとりが良いですね。出会ってすぐに子を作る事を提案するあたりとか、自然世界に生きる者としての側面を強く表していたように思います。それでも保留にしてと言われたらその言葉を素直に受け入れている所も素敵です。
この作品はなんというか、キャラ達が悪人と善人でカテゴリ分けされていない所が特徴的だと思いましたね。人間もペンドラーも、その他のキャラ達も誰かを殺していたりしていますが、全て厳しい自然で生きる為に行っている事であり、そこに少しばかりの復讐心が混じっているだけなので、一概に誰かが「悪い」っていう感じがしませんでした。「世界は歪んでいるのが普通」っていう片角のペンドラーの言葉はこういう事を表しているのかもしれませんね……

とても深いテーマを取り扱った作品で、すごく面白かったです。投稿、お疲れ様でした!

Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

数多くの卵を生み数多くの個体が死んでいく、現実世界の虫と非常に近い生態を持つ虫タイプのポケモンと彼らが生きる弱肉強食の世界。そこで生き延びた女傑とも呼べそうな主人公や、その周囲のポケモンたちが持つ彼らなりの「見識」を存分に描いた描写の数々は非常に読み応えがありました。
彼らの生きる世界にもその場所なりの常識があり納得できる部分もあればできない部分もある。その「納得できない部分」へ抵抗するため、野生の眼と価値観を持つ彼女ならばどのような方法を思いつくのか、そしてそれはどのような結果をもたらすのか。
語り手の価値観が人間社会で生きる私達と離れていればいるほど、そしてトレーナーの元で生まれ育ったポケモンと離れていればいるほど楽しみになるそれにしっかりと答えてくれた終盤の展開は圧巻で、それまでずっと主人公の価値観やそれを育んできた環境、それに対する主人公の内心を描いてきただけに、相手がそれを露ほども知らないことこそが鍵となる展開は非常に力を持ってこちらへ迫っていました。
豊かな森の中を舞台とし、数多くの子孫を生むという虫ポケモンを題材にとっただけに登場するポケモンの個体数もかなりのものですが、それだけに終盤の「私達は虫という一括りではなく、それぞれが生きているという事を示したかった」という言葉が強く印象に残りました。
野生の常識は森に生きるポケモンに共有されていたとしてもそれに対してどのような感情を抱くかは万別であり、赤紫のペンドラーが複数いたとしてもこの「見識」=思考・意見とそこから導き出される行動は彼女独自のものなのだなと。

早蕨さん
評価:☆☆☆☆

 投稿期間前半でこれだけの文量を書くのは大変だったんではないでしょうか。まずそのスピードが僕には真似できません。すごい……。お疲れ様です。

 作品として、全体的に退廃的な雰囲気が漂う作品でしたねえ。リアルな世界観にぎりぎりまで寄せた作品なので、そりゃポケモンも食べるし殺すし駆除だってされるでしょう。……こういう世界観、好きです!(唐突)
 漂う不穏さがどういう結末になるのかいろいろ悪い方向に予想しましたが、僕の予想よりは落ち着いた結末になった気がします。むしろペンドラーが生きている終わりだとは思いませんでした、少なくとも、その辺は悲惨な結末が待っているような気がしていましたので……。マフォクシーがあの終わり方だったので、同じようなものを想像していました。
 番を殺された気持ちというのは想像しかできませんが、ああなってしまうものなんでしょうか。相手の命を絶つという事について、生物として避けられないものと、ただの欲望と、復讐という感情が入り混じったものが描かれているので、なんともポケモンが人間臭く、また動物臭くもありどぎまぎさせられます。
 番の死にあれほど憤り、揺さぶられているペンドラーが違う同種に子を作ろうと声を掛けられる様は、もうちぐはぐで何がなんだか。でも、理性を持ったまま、だけど生物の本能が色濃く残っている、というのがこの世界観でのポケモンである、と思わなくもありません。
 実際に、理性があるけど本能も色濃く残ったポケモンなんていたら、人間からしたら危なくて仕方がないでしょうし、きっと人間は害虫、害獣として駆除しても、人々はそれについて何も文句を言わないんでしょう。
 いや、頭の良いクジラを食べるなんて! という団体があるくらいですから、頭の良さそうだ、と人間が判断したポケモンを駆除するのは怒られたりするのかも……。世知辛い……。
 この退廃的な空気や現実的な世界観で書ききるのは大変だろうなあ……という想いが凄いです。なんというか、いろんな方面へバランスとって書かなければならない気がして、あまりにも大変そうだと思います。これを書き上げたのはお見事でした!
 投稿、お疲れ様です!

雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆

野生の世界がわかる作品ですね。
確かに夏の暑さなどで虫が増えてそれで鳥も増えると、森とか色々大変だよなと思いました(駆除される側としてはたまったものではありませんが……)。やりすぎてもバランスが崩れそうなので駆除する側も大変そうですよね。
勝たれそうなポイントは多いのですが、狩りのシーンがとても印象に残りました。確かにこれはR15なのですが、読んでいて惹きつけられます。これは作者様の実力が成せる業なのだろうな、と思いながら読み進めていました。是非とも他の小説も読んでみたいですね。

トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆

主人公の森の生き方の描写の一つ一つが新鮮でとても魅力的でした。エアームドの羽根の使い方とかなるほどー! と思いました。いつか自分がポケモンになった時に参考にさせて頂きたいです。この雰囲気好きだなあ。一人称の語り口がいいんですよねえ。最初の>私達は、貴方に気に食わない事でもしたのでしょうか? までの独白とかもう、すっごいいいですね。

ビンゴの上で、恋愛描写という項目にチェックが入っていないのは、見た目のスタイリッシュさを追求されたのかなと思うと同時に、ポケモン同士のやりとりは恋愛ではないという意味あいも込められているのだと思いました。本能と捉えてもいいのでしょうか。落とし穴を作って別の森で番を見つけた時の会話が本当にツボです。 >「互いに知り合う必要があるか?」ここ本当にいいですよね……。自分はヒトなので、こと子孫の繁栄に対しては些か面倒な手続きを踏まないといけない生き物として生まれてしまったのですが、この小説にあらわされている本能で生きている感、しかし本能としての性もありながらのあいての生を思いやる気持ちもあるというこの距離感、めちゃくちゃシビれました。このセリフ一つに詰め込まれた世界観が面白い。
何でこの森はこんなに虫ポケモンが増えちゃうんでしょうね。ヒトが居ない時はどうしていたんだろう。虫ポケモンがヒトのように生態系の頂点に立っていたのでしょうか。だとしたら、この主人公らが生きる世界線は、虫たちの黄昏、斜陽の時代ともいえるでしょうか? これらはヒトが増え過ぎた現代社会のメタファーなんだろうかとも考えました。この小説の中で虫を駆除してしまうヒトは、ヒトの立場に置き換えればそれこそ伝染病を媒介する虫だったりするわけですもんね。
そしてこのタイトルも好きです。ペンドラーがこの世界に対して持ってる考えって意味だと思うのですが、ペンドラーが見識を深めるさまを、この小説を通して読者が見守っていたのだろうと思いました。
とても新鮮な読書体験でした。ありがとうございました!

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆

森で暮らすポケモンたちの、残酷な世界。でもそれが野生。
これが野生ですが何か? と言わんばかりに、当たり前のように騙しだまされ殺し殺される世界が広がっており、一本筋の通った書き方をしているところが素晴らしかったです。
ペンドラーの口調が丁寧なのが猶更陰湿な雰囲気を醸し出していると思いました。
最適な行動を取っているわけでもなく、ただ遊ぶように殺すのはある意味野生を越えているような感じがしました。昔は人間性と対になる言葉は獣性だったと読んだことがありますが、まさに獣性という言葉がピッタリのような気がします。
得るものがなくても奪われたら奪い返すという、自分からしたら無意味に思える行為でも、ここまで純粋だと物凄く説得力を生むような気がします。
穴の様子が気になるという描写が少し引っ張り過ぎかな、という気もしますが、結末のあっけなさもまたこの物語ならではの味だと思います。うまいです。ありがとうございました。

カイさん
評価:☆☆☆☆

生きることの原罪を仄暗く煮詰めて凝集しガラスの小瓶に入れて光に透かしたような物語、だと思いました。
この作品が描こうとしていたものが何なのか、私は上手く言葉にすることができないのですが、「生きなきゃなあ……」と長いため息と共にぼんやり思う、そんな読後感でした。

投稿お疲れ様でした!

逆行さん
評価:☆☆☆☆☆☆

なんともグロテスクで、そして深みのあるお話でした。何が理不尽な何が理不尽でないのか、世界は歪んでいるのかどうか、難解なテーマに真正面から立ち向かった小説であると感じました。

思わず目を背けてしまうぐらいグロテスクなシーンも数多く存在しましたが、このお話はしっかりとR-15であることに意味がある作品だと感じました。特にエアームドが殺されたシーンは中々にエグみが強かったです。毒を体の内部に注入されるシーンは中々凄いなあと思いました。主人公が殺しというものに快楽めいたものを感じているのが、色濃く出ていますね。

お話のテーマがとても深く、何度も読み返してやっと理解ができました。

ポケモンの数が増えれば、駆除するのが自然で、それが全員が幸せになるには最適なこと。そう分かっていても、眼前で大切な人を殺されてしまっては、受け入れられる訳がないのは分かります。

受け入れられない感情に折り合いをつけるために、落とし穴を作って、駆除しようとしてきた人を殺そうとするという発想が凄いです。まあ、実際に駆除に向かう人は下っ端だし、上司から言われた通りにやっているだけだと思うので、彼らを殺すのは些か理不尽なんですけどね。でも、だったらどこに怒りをぶつけるんだって話ですからね。しょうがないですね。

主人公の行為を復讐ではなく『趣味』と表現した所になんとも趣を感じます。殺された番達の無念を晴らすという意味よりも、あくまで自分の気持ちを明るくするために殺しを行う。それは確かに、趣味と表現した方が幾分か正しいでしょう。
普通生き物は、食べるためか、自分の身を守るためしか、他の生き物を殺したりはしません。人間でさえ、楽しみ目的で生き物を殺す行為は禁ずるべきものとして捉えている人が多いです。ですが、この主人公は楽しみ目的で人間を殺そうとしている。これは異常なことではあるのですが、少しだけ共感できてしまうのがなんとも不思議な所ですね。

主人公はちょいちょい落とし穴に誰か落ちたかどうかを気にしている描写が、細かくて良かったですね。穴の中に誰も落ちてなかったらどうしようと不安になるのも、なんとなくではありますが、共感できる所がありました。趣味を達成して、晴れ晴れとした気持ちにはならなくてもちょっとだけ前向きになるのも、そうだろうなあという感じですね。

こういう、重くて深いテーマを描けているのは素晴らしいと思いました。

ただこの小説は、とてもレベルが高く深い反面、非常に敷居が高いとも感じました。何回も読み込まないと、このお話の真髄を味わうのは難しいかもしれません。自分も今こうして感想を書いていますが、果たして作者さんが描きたいことをちゃんと理解しているのか不安があります。

このままでも特に問題はないと思いますが、あくまで「敷居を下げる」という観点から改善をするのであれば、もう少しキャラクターの数を減らした方が良いかもしれません。非常に難解なテーマを扱っている上に、様々なキャラクターとの因縁や関係性を描くと、読者を混乱させてしまう恐れがあると思います。スピアーとか、ラグラージの子供とか、ミツハニーとか、ワンシーンしか出てこないキャラも多く、少し減らしても問題はないかなと。まあ、それぞれの会話シーンもとても面白いんですけどね。

後、チャーレムが出てきたシーンは、ちょっと読んでいて置いてかれる感覚がありました。冒頭に伏線はあったものの、アサナンが言っていたという情報はないので、唐突感があり若干分かりにくいかもしれません。アサナンが言っていたということを示す、なにかしらの描写を入れた方が分かりやすくなると思います。

ただし、分かりやすくすることが、この小説にとって本当にプラスかどうかは分かりません。読者が理解しやすくすればするほど、作品の風情が削がれることはあると思います。あくまで「敷居を下げる」という観点から見れば、こうした方が良いかなという感じです。

このお話の深さはとてつもなく、ここまでの物を描ける作者さんの力量はエゲツないと思います。心理描写、情景描写、ストーリー展開、そしてお話のテーマ、全てにおいてレベルの高い小説でした。

狛織アオさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

 当然のごとく起こるであろう生存戦略のお話。人間の都合で始末される理不尽も人間の世界から見れば生存する為の選択で、抗う側も自らの生存権を勝ち取る為の選択。理知的なペンドラーも自らの生存を脅かす者を容赦なく潰していく。時と経験を積むことで賢くなれたからこそ幸せとはいかずとも彼女は最後まで自分の納得する生き方で寿命を全うできたのかなとその先の物語に少し思いを馳せたりしていました。下手な罪悪感を抱かせなかった点がドキュメンタリーでよくある視聴者側に情で訴えかけるものではなく、違う世界で生きてきた生き物だと思わせてくれて彼女の生きてきた経験を彩っていたのだと思います。残酷だけれど歪んで歪んで真っ直ぐな一本の線に繋がったように感じられた好きなお話でした。執筆お疲れ様でした!

水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆

生き物としてのポケモンの生活をありありと書いた作品。ゲームではもちろん、アニメでも野生のポケモンがどんな考え方を持っているかって描かれませんよね。RSの冒頭でオダマキ博士をポチエナが追いかけ回していましたが、その真意は分かりません。Twitterで見かけたのでソースはないですが、アニメピカチュウの声優を演じている大谷育江さんは「ピカチュウは完全にはサトシの言うことを理解していない」と考えているのだそうです。あんなに人間どうしみたいにコミュニケーションを取り22年来のリーグ優勝を飾ったのに、ですよ。
本作は「ポケモン」という生き物について作者様が出したひとつの回答なんだと思います。人間的でそれ以上に動物的でもあるペンドラーの物の見方、見識について、彼女がどのように野生を生きているのか。人間やほかのポケモンとの関係性、他者を殺すこと繁殖すること……。すべてが野生ポケモンの等身大で描かれています。冒頭『私達が強く繁殖しては私達自身困る事が多い』と自覚しているあたり、かなり知能はある様子。それでいてその解決策として同族の虫であるスピアーたちに嘘を吹き込んでエアームドに殺させる、だけれど強者のラグラージとは争わず暗黙のうちに認め合う仲だったり、同種と出会ってすぐタマゴを作る話が出てきたり……。倫理抜きにして生きていくうえで最適な手段を選んでいるのがまさに野生ポケモンの世界って感じしますよね。この塩梅うまいなあ。
それでいて、ただ生き延びるだけではない人間的な考えも彼女は持っている。互いに番を喪ったペンドラーたちの会話。

 世界は歪んでいるのが普通、というのは言われた時にすとんと胸に落ちました。(中略)そしてそれらは生きていく為に必要な事柄でしょう。世界は歪んでいるからこそ、その歪みを受け入れなければいけない。その歪みの流れに身を委ねなければいけない。
「ただ、その歪みを受け入れられなかったら、どうすれば良いのでしょうね?」
 私は聞きました。
「それは、あんたがしようとしている事がその答えだろう」
 落とし穴を作る。
 結局のところそれは、真正面から受け入れられない歪みに対して立ち向かう事も、それから逃げる事もせず、私自身も歪む事で、私なりに形を合わせようとしたのでしょう。

私自身も歪むこと=落とし穴で人間を殺すこと=趣味。彼女の抱えている混沌とした心情を表すのに煩雑な心理描写などなしに『趣味』と簡潔に描写してしまうの、すンごいなって思います。本当に。チャーレムに止められてもマフォクシーとの殺し合いを中断しなかったのは、脅威からの遁走や繁殖=生きること、それ以上に大切な趣味を遂行するためなんだろうなあ。
そんな流れで火蓋を切ったマフォクシーとの戦闘も、ああ、ああ、結果そうなるんですね。相性の悪い相手の意識外から屠る、どこまでも動物的なポケモンの戦い方。人間に馴染みあるバトルなんかする気はさらさらなくて、炎を撒き散らしデンチュラやラグラージに排除されるであろう彼に憐憫し、そのまま殺されて迎える、途轍もなく呆気ない趣味のおしまい。それでも確かに心は軽くなっている。しかもその理由が『虫という全体ではなく私という個に憎悪を向けられたこと』。――あまりに人間的じゃないですか。そう結論づけた彼女の気持ちを完全に理解することは私にはできないし、けれど納得しているんですよ。充分に分かってやれるんです。いや、え、すごくない? なんで? なんで私いまこんな気持ちになっているの? どことなく寓話的な、それでいてあまりにもグロテスクな文章に圧倒されました。言いたいことちゃんと言えている気もしませんがステキなものを読ませていただけて感無量です。
ぜんぶ読み終えた後にビンゴ見たら、縦一列に塗りつぶされたそこが落とし穴にしか見えなくなりました。私は落ちました。エアームドの刃が刺さり毒が回ってしにました。ありがとうございます。

セリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆
はやめさん
評価:☆☆☆☆
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
白銀さん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆☆
くちばシュウさん
評価:☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆