チィタンの木の実の感想

花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆
絵本口調の物語が大変個人的な好みに響きました。
最終的にオボンは食べられてしまいますが、頑なにオボンを食べなかった食いしん坊チィタンが健気で、それでいて可愛らしくて。
優しい気持ちになる、と言うとちょっと違う気がしますが、じーんとするお話でした。
猫村さん
評価:☆☆☆☆
絵本を読んでいるように、絵が脳内に浮かんできます。可愛らしい世界観、ありがとうございます。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆☆
絵本のような語り口が特徴の可愛らしい物語でした!エンドの唐突っぷりがまた印象深かったです!
しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆☆
素晴らしいストーリーだ……童話のような優しい語り口調と相まって感動しました。
いや、ホントに凄いと思います。チィタンの優しさとか葛藤とかがすごく伝わってきて、どんどんお話に惹き込まれていきました。
チィタンは、やっぱり最後は死んでしまったのですかね……切ないですけど、大きな木として生まれ変わって、誰かの命を繋いでいっているんだと考えたら、これで良かったんだなと思えますね。本当に良い作品でした!
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆
無性にオボンを齧りたくなります。
チィタン、私にも一口……駄目?

好きポイント
・果実であるオボンが喋ると言うカオスさ。
・童話のような語り口で紡がれる、苛酷なストーリー。
・厳しい世界に沁みる、ゴーゴートのおじいさんの優しさ。
ionさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
文句なしのハッピーエンドじゃないですか。
あの、チィタンが生命活動として死んだ後の話です。
で、ここで終わってしまうと思うやん?ぼくは思った。
ですがわれらが先生は異なった。
(この文脈における)彼にとってのハッピーエンドの、そのハッピーさ(トゥルーエンドにおけるエンドのあり方のがまだ正確かもしれない)まで描いてるわけじゃないですか。
シンデレラで例えるなら(自分にとってのハッピーエンドの記号的存在なんで全くセレクトに他意はないです)、
幸せに暮らしました、で話を終わらせて予想に委ねる、と言えば聞こえはいいですが、そういう手段をとらず、
そこで想像力に甘えて締めずに具体的にチャーミング王子とシンデレラの暮らしをちょっとずつ描写しているみたいなもんです。
 そしてここに及んで、”これはチィタンの木の実だよ”ですよ。
タイトルを見た最初の時点では
“チィタンの所有している木の実”、あるいは
“木の実との友人という名義を背負うチィタン”、程度の意味だったものが、
“チィタンという名前や属性を持つ木の実”、
”チィタンが土に埋もれて栄養になったことによって芽生えた木の実”に色を変える瞬間。

萌えた、とか活力になった、って作品は何個かあっても、自分がガチで浄化されるのはレアケースなので。


 いや、無粋な(そうかどうかわからない)話、誰か一体(ゴーゴート再び通りかかるとか)が夢中になっているチィタンを強引にこの雪山から連れ出せばよかったんでしょうけどさ。
他の命が死ねば木は実を生やしたんですけど。
“あの絵”の使い方これ以上のものあんのか?って当時は思っていました。
あったのかはちょっとジャッジに困るところですね。

ここに書くわけじゃないんだけどさ、小学校のぼくにとって児童文学って名実ともに世界のすべてだったわけです。
いまちょっとだけ視野が広まって、みんなにとってはそうでないらしい、と心で理解してなお、
作者になんらかの報いがあって欲しいと願わざるを得ないし、本当の報いとは何なのか知っている作家もたぶん少数なんだろうな、と思います。

私が蟹に投稿するというオチに至ったのも、というかあの作品の表現を思いついたのも。
この作品ともう一作品のおかげなんです。
小説は意味があるって本気で自分にも信じさせてくれた。
自分の結果は、ああいう形ですが。本当にこの作品に感謝しています。
カイさん
評価:☆☆☆☆☆☆
大好きなお話です。童話風のテンポの良い繰り返しが非常に心地良い。
最初は自分のために「黄色い木の実はきらいだ」とうそをついたチィタンが、だんだんオボンに情が移ってきて、食欲としてではなく愛情として「オボンが大好き」になるのがとても感動的でした。疲労困憊の中、オボンを食べようかどうしようか葛藤するチィタンの姿にはとてもはらはらし、オボンの声が聞こえなくなった時にはチィタンと一緒に泣いてしまいました。
大きく成長したオボンの子孫が「チィタン」を名乗るという結末が、また美しい。いつまでもどこまでも繋がっていくチィタンやオボンの命について、遠く思いを馳せられる作品でした。ありがとうございました。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆
台詞の鍵括弧の前にスペースが開いているのが見受けられますが、これは意図的なのでしょうか。最初のうちはきのみが話す部分だけそうしているのかと思ったのですが、後々チィタンやムクバードの台詞の時にも同じようになっているので、疑問に思いました。文頭のスペースについても、塊の最初の部分だけが統一して開けられていましたね。
というどうでもいい指摘はおいておいて。健気なチィタン…!どれほどお腹が空こうとも、どれほど酷い目に遭おうとも、オボンのみの願いを叶えるために飛び続けたチィタン…!最後に喋ったきのみは、チィタンが運んだきのみでしょうか。それとも、名乗った通りチィタンが生まれ変わって…?途中で心がきゅっと縮こまって、でも最後にはじんわり温まるお話でした。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
可愛い話で終わるかと思ったら世界の摂理の話になってしまった…!
ただただチィタンがオボンを見晴らしのいい場所に運んでハッピーエンド、にしなかったところが本当に素晴らしかったです。チィタンが帰ってこられなくてお兄さんたちが心配していたのでは、と思って再読したら「長い旅なので帰ってこられるか分からない」と説明もあるし、チィタンが「いってきます」じゃなくて「さようなら」って挨拶してるのを見て泣きそうになってしまいました…
オボンを食べられそうになって断る場面が三度、少しずつ違う形で繰り返されるのも物語の常道のようで趣深かったですし、オボンとチィタンが旅をする世界は、優しいポケモンだけの世界でなかったことが、わかりやすく、テンポの良い文章で表されていました。
オボンとチィタンは、旅の中で食べられたり傷ついたりしながら、生と死に支えられた世界を知っていきます。それらは全て、最後にチィタンが大切な記憶を思い出すシーンに繋がっている。自分やオボンや他の全ての命が繋がっていることを、チィタンは突然思い出したんじゃなくて、旅の中で知らず知らずのうちに分かっていったんだと思います。
心が洗われるような素晴らしい物語でした。ありがとうございました。
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
優しい語り口で、まるで絵本のような読み心地で。
心にあかりが灯るような優しい気持ちにしてくれました。
私の好みを的確についてくるような作品でとっても好きです!!
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆
今大会の温かい童話枠ですね。地の文の書き方も相まって、とても柔らかくて優しい雰囲気が作品全体から溢れ出しているように思います。オボンを運ぶために自身の食欲を抑えて頑張るチィタンの姿が、見ていて微笑ましいです。何故オボンが喋るの?なんて疑問は、このお話には無粋だとさえ感じます。こういう優しい物語を自分も書けたらなと思わずにはいられないくらいですね。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆
・挿絵が付いて絵本になっているような文体とストーリーでした。
・意外とアクションに力が入っていて面白かったです。
終夜さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
メレメレ島のポケモンスクールや、マリエシティの図書館に本として置かれていてほしい。
それこそ絵本だったら、子どもが寝る前の読み聞かせにもきっと重宝されていそう……などと妄想してしまうくらい、好きになってしまう文体でした。
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆
チィチィ鳴くからチィタンって時点で可愛い! 世のかわいさはツツケラに詰まっていた! 兄さんたちとオボンとのやりとりも微笑ましいですね。目的地を目指す道中いろんなポケモンたちに出会うワケですが、これがまた絵本をめくるようなワクワク感。バルジーナにチィタン自身が狙われたり、あれだけ大切にしてきたオボンが起きたらバチュルに食べられていたり、ひねりの効いた展開は読んでいて飽きさせません。繰り返し構造を何重にも仕込んだりして安心できるリズムもあります。
雪山で満身創痍のチィタンにオボンが「チィタン。ぼくは、春になればまた種が芽を出して木になれる。でもチィタンはぼくを食べないと死んでしまう。チィタン。本当は、チィタンは、ぼくが美味しそうで仕方ないんでしょう?」と自分を食べてもらおうとするところ。ずっとチィタンが我慢してきたことに気づいていて、油断していた読み手がボロ泣きするシーンなんですがでもこいつ……白々しい……誰のせいでチィタン死にかけていると思ってるんだ……! と感動に雑味が混じってしまいました。心がひねくれていると完全には楽しめない、素敵な仕掛けだったと……思います……(くやしい)。
一葉さん
評価:☆☆☆☆☆☆
チィタンかわいい
チィタンの木、チィタンが死んで木になったと言う意見も聞きましたが、チィタンが育ててくれた木と言う意味を推したいです
オボンの木がたくさん生えるほどの長い年月、チィタンがいたことなんて忘れてしまったくらい長い時間、ツツケラが何世代も受け継がれていく何十年、もしかしたら百年以上の時間が過ぎてしまっても、チィタンが運んで育ててくれたオボンの木は今も残っていて、そんなに時間が経ってもオボンはチィタンの事を覚えていて、なんて考えるのもありじゃないかな、と
もしかしたら、最後に出てきたツツケラも、チィタンの遠い遠い子孫かもしれない、なんて妄想もしていました、ほっこり
あすぺふさん
評価:☆☆☆
オボンのみが喋るという発想は奇想天外ですが、お題のイラストのオボンがひとりでに落ちていく情景がうまく表現されていると思いました。
また、チィタンのあどけなさとオボンのみの聡明さがマッチしていて良かったです。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆
イソップ童話や世界名作劇場を思い起こさせる語りと物語は本当に脱帽の一言でした。チィタンが本当に健気で可愛らしかったです。シーンごとに似たようなやり取りで最終的に「黄色い木の実なんか嫌いなんだ!」と繰り返すのも印象深く非常に効果的だったと思います。主人公であるチィタンに最後「自分は誰かの命を繋いで生きている」という気付きがあるのも本当に素敵です。最後「それから間もなく、草原にはあたたかい雨が降りました。」から一つ置いて、「分厚い雨雲が晴れ、空はすっかり青空です。」に続くのも物語の連続性が見えて本当に好きでした!
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
やられました。このお話を初めて読んだ時の衝撃はすさまじかった。いったい何をどうすればこんなにやわらかくて深みのあるストーリーが作れるんだと感動しました、素晴らしかった。
童話調の優しい語り口調からほのぼのストーリーを想像していましたし実際その通りなのですが、生命のつながりのわっかを根幹としたシリアスなお話にもなっているところが素晴らしいです。このまま絵本にできちゃうなあ。

ストーリーの素晴らしさもさることながら、私がいいなあと感じたのはリズミカルな文章回しでした。
序盤ではドデカバシのお兄さんの番、ケララッパのお兄さんの番、チィタンの番とセリフが気持ちよいリズムで続き、チィタンの旅が始まると様々な場所での出来事が同じようにリズミカルに語られる…これは間延びせずに読めるなあとあっという間に読了してしまいました。
時にオボンを食べられそうになったり、自分が食べられそうになったり、一口譲るのを涎を垂らしながら我慢したり。決してワンシーンの文量が多いわけではないのに出来事を鮮明に描き、記憶に残るように書いているところがすごいなあと感じました。

チィタンの木の実からなったオボンにツツケラが一羽やってきて、オボンはチィタンの名を語る…素晴らしい締めくくりじゃないですか。いずれまた第二第三のチィタンが現れて、遠い場所で命の繋がりを紡いでいくのでしょう…。
文句なしの☆7です。素晴らしかった。ありがとうございました!
あまもさん
評価:スキップ
まず、ご拝読いただき、本当にありがとうございました。たくさんの好きをいただけて本当に嬉しかった一方で、童話であるこの作品を好きと言ってくださった方の気持ちと作品へのご理解に、感謝しきれません。涙が出る程嬉しかったです。また、煽り文につきましても、「それゆけ」と児童向けのフレーズを入れていただいたのが本当に嬉しかったです。また、この作品はお題のイラストがなければ生まれることはありませんでした。この場をお借りして、お礼申し上げます。みなさん本当にありがとうございました。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆
なんでチィタン死んでしもたん……?
絵本のような優しい口調ですが、厳しさやどうにもならない現実や、悟りのようなものを孕んでいて、大人の絵本だなぁ、という感じでした。
チィタンの木と名乗ったのはチィタンなのかオボンなのか諸説あるようですが、自分はオボンがチィタンを名乗っている説を推します。
Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆
しゃべる木の実と小さなツツケラ「チィタン」の道行き、童話のようにそれを語る文の間に独特のリズムで挿入される空行が雰囲気をかき立て、空行ごとのタイミングでめくられる絵本の1ページ1ページとそこに書かれた文章、そして絵までも目に浮かぶようです。
オボンが大好物なのに喋るオボンに感情移入して必死にオボンを食べまいとするいじらしいチィタン、実にかわいい。しかしその愛らしさがあるからこそ、野生ポケモンによって容赦なく食べられ喋らなくなってしまうオボンの姿や、種だけになってしまったオボンに必死に話しかけるチィタンの姿が胸に刺さります。
そもそも始めからして「帰ってこられるかもわからない旅」だという話もありましたが、その言葉通り旅路の果てにオボンとともに永遠の眠りにつくチィタンと、月日の流れた後自分もまた喋るオボンのひとつになったその姿は、まさに作中で語られる通り「命が巡り巡る」のを目の当たりにしたかのようでした。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆
こういうのすごい胸にグッときますね……。
幼いチィタンのこういう純粋な優しさって、打算的なものがないからとても純粋で尊く感じます。
ほんとはオボンが大好きだけど食べたい! 食べたいけど、必死に我慢してオボンの夢をかなえてあげたい。
そんな優しい世界観めっちゃ良いです……。しかもオボンの方から自分の事を食べてもいいよって言うのが優しい……。
そうしていく中でバルジーナが、
>「ぼうや、お前だよ!」
って言って物語がグワッとテンポよく進んでいくのも楽しくて、児童向け絵本を読んでいるようでワクワクしました。
生と死って比較的重いエピソードを取り扱っているのですが、この作品は重すぎず軽すぎず、本当に絶妙な巧さで描いているのがすごいなあと思います。
最後のオボンとチィタンのシーンと、新生(?)チィタンのシーンは特に印象的でした。
>「ドデカバシお兄さん、ケララッパお兄さん、さようなら!」
読み返すとこのセリフの時点でチィタンは「行ってきます」とは言ってないんですよね。戻ってこないのを分かっていたのかなあ……。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 陳腐な言葉で恐縮です、これは……「完璧」ですね……!! 今大会最も完璧だと思った作品だったかもしれません、童話として楽しむに一片の隙もなかったです。童話というジャンルの所以で突っ込むことがナンセンスに思え、私の中で隙がないという評価になってしまっているのかもしれませんが、だとすればジャンル童話を選んだ作者さんの好判断であるとしか言いようがありません。この作品の感想を書くにあたり、口を開けば無粋な感想しか出てこないのですが、例えば「木が果実が成らすのは、食べてもらうためなんやで……鳥みたいな移動する動物に食べてもらって排泄されることで種を遠くへ運んでもらうためなので、食べてもよかったんやで……」みたいな感想になってしまうのですが笑、童話にこんなことを突っ込むなよというね! こんな発想をしてしまう汚れた自分が憎らしいほどです!!笑
 繰り返し、繰り返しの表現が出てくるところが、とってもそれらしくてかわいかったです。チィタンもオボンも尊い、お互いを思いやる健気さがひしひしと感じられました。バルジーナが出てきて、雪山に落ちて、そしてバチュルに食べられてしまう、こんなに必死に頑張ってきたのに声が聞こえなくなってしまう、この悲しみがもう、うう、チィタン……(涙)そして、芽を出さないかなあと土のそばに寝そべったチィタンが、チィタンにかける言葉が、もう、もう、ううう……(号泣)チィタン、なんて尊い……。もしかしたら、ひとつ足りなければ、「いいお話だけどチィタン死んじゃったかあ~……」で終わっていたかもしれないんですよ。でもこのお話がそれで終わらなかったのは、ラスト前の「その時でした。」からのシーンがあったからなんですよね。命が繋がっていること。命は繋がってゆくこと。作品の根幹をなすこのテーマが描かれるとき、

>生きているものみんなが持っていて、生きているうちに忘れてしまう、大切な記憶でした。

 この一文が添えられている。この一文がもう……どうしようもなく……いいんですよね。この一文があることで、この物語が、チィタンとオボンの間だけにとどまるお話ではなくなっているんですよね。ここでぐわああと見えている世界が広がるというか。しかも説教くさくなく、この作品のメッセージで、読んでいる誰しもを無理なく内包することができる一文ですよ。いやあ凄かった。これ以上ない救いです。大人のための童話なのかもしれません、でも子どもにも読ませたいです。完璧だ……。
 やはり無粋な話になっちゃいますが、三万字制限のテーマAで、この作品8000字ですよね。テーマAで、しかも今回の大作揃いのこのメンツで、一万字以下で「この作品が優勝でもいいなあ」と思えるような作品に出会うことになろうとは、正直思いませんでした。笑 これ本当に凄いことだと思います。お見事でした! ブラボー!
 投稿お疲れさまでした!
逆行さん
評価:☆☆☆☆☆
 自分の汚れた心が綺麗に洗われるかのような小説でした。いやあ素晴らしかったです。チィタン可愛いですね。 
 オボンが急に喋り出して、しかも齧られてもずっと喋っているっていう展開は結構凄まじいですが、童話っぽい世界観なのであんまり気になりませんでした。種だけになったら流石に喋れないかあ。 
 文章も凄くテンポが良くて気持ち良かったです。『暴れん坊の嵐』とか『でも、チィタンはお腹がぺこぺこ。飛びつかれて、へとへと。』だとか如何にも童話って感じの表現も上手だなあと感じました。 
 捕食者と非捕食者の関係を上手く描けていたと思います。肉食動物と草食動物の友情を描いた作品は数多くありそうですが、草食動物と木の実の友情というのは新しいのではないでしょうか。 
 チィタン視点なのでオボン側の心情が見れなかったのがちょっと辛かったかなあと思いました。「食べないで」って言っていたのに何時の間にか「食べても良いよ」って言っていた印象だったので。中々自分を食べても良いって心変わりする様を描くのも難しいですが。もうワンエピソード挟んでも良かったかもしれません。 
 最後がすいません、まだちょっと読み取れてないです。チィタンもしかして死んでしまったんですかね。なんか象徴的なものになったのかなあ。あんまり難しく考えない方が良いですかね。 
 チィタン意外にも魅力的なキャラクターがいっぱいいて、それぞれがサポートキャラであったりお邪魔キャラであったりして、チィタンの冒険をしっかりと彩っていたと思います。面白かったのがチィタンを食べようとしていたバルジーナがウォーグルに狙われていた所ですね。食物連鎖のあり方をここで表現していたのが良かったです。 
 ゴーゴートのおじいさんも泣いているチィタンに救いの手を差し伸べてよかったと思います。 
 メッセージ性もしっかりとあり、よくまとまった完成度の高いお話であると感じました。このお話のメッセージはとても深く、正直自分は100%理解できてはいないのかもしれません。分かったつもりになってるだけかも。単なる食物連鎖だとか、命の大切さとかではなくて、もっと深い何かを感じるんですよね。 
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 絵本のような読後感でした。これはすごく私見ですけども、チィタンが大事に大事にしていたオボンが発芽して木になっていく時間をそばにいてお世話をしながら過ごして、ドデカバシになれるくらい一緒に成長して、たっぷり実らせた美味しいオボンの実をチィタンが一番最初に食べるというハッピーエンドが見たかったです。仲良くなった木の実の頼みごとだったとはいえ、遠い見知らぬ土地で、ドデカバシ兄さんやケラパッパ兄さんとの再会も叶わなかっただなんて。あまりにあっけない小鳥と植物の生死の対比が悲しすぎて納得がいかなくて、感動というよりもチィタンの実を恵んでもらったツツケラへの逆恨みが先行してしまいそうでした。投稿、お疲れ様でした。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 童話調の優しい雰囲気が特徴で、とても入り込みやすい物語でした。クチバシできのみを焼くドデカバシ兄さんや、種を飛ばすケケラッパ兄さんというポケモンらしさが活きた描写もすばらしかったです。その中にあって、チィタンの幼さのようなものが見えてくるところが、後の厳しい環境に飛び込んでいくところとのギャップを演出していて、チィタンを覚えず応援したくなってきますね。
 「たくさんの命が巡り巡って、チィタンとオボンは繋がっていること。」これが本作のテーマとしての最たるものだと感じています。チィタンがオボンを直に食べるのでなくても、種を撒き、それを育て、次の代へ繋げていく、という、ある種の自然の摂理ではありますが、これは非常に尊いものを感じます。「命のバトン」という単語が頭を過りましたが……どこかずれている上にきちんと言葉にできないところが悔しいところです。
 チィタンの出会う風景が非常に綺麗に演出されているのも素晴らしい。「そして今、濃紺の空が白んでいきます。 昇る太陽が、世界を横から照らしあげます。 するとそこには、美しい緑の草原が広がっていたのです。」こういう描写ですね。こういった風景を描き出す描写力も高いレベルをひしひしと感じます。
 ドデカバシもケケラッパも、どれだけかかるか分からない旅に思いのほかあっさり送り出すなあと思ったんですが、童話的なお話だから気にしない方がいいのかな、と思います。
 暖かい雰囲気のお話の中で、大事なテーマをきっちりと読者に伝える、私には書けないだろう一作という印象です。
雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆
 童話のような雰囲気の話でした。木の実が話しかけてくるって、かなりのファンタジーですよね。口はないからテレパシーのようなものを使っているのでしょうか。
 最後の文章と木の言葉から察するに、チィタンは長旅による疲労か何かで死んでしまったのですかね……。しかしその意思はオボンに宿り、別の命を助けていく。終わり方も童話のような感じで、主人公が死んでしまうにも関わらずどこか優しい気持ちで読み終えることができました。
 作者さんはこういう話を書くのが得意な方のでしょうか? 誰が書いたのかがとても気になります。
早蕨さん
評価:☆☆☆☆
 柔らかな雰囲気に包まれる作品ですね。チィタンとオボンの掛け合いやイメージできる映像が、小さい頃絵本読んでいたときのような気分になるような、好きな児童書を読んでいたときのようなそんな感覚になりました。
>>たくさんの命が巡り巡って、チィタンとオボンは繋がっていること。
 いい言葉だなって、しみじみ感じます。チィタンのオボンへの気持ちは、消えないし、オボンのチィタンへの気持ちは消えたりしない。それはずっとずっといろいろなものに形を変えていく。それってすごく素敵だなって思います。
はやめさん
評価:☆☆☆☆
 命の継承がテーマでしょうか。まるで読み聞かせをするような優しげな語り口、かつ児童が読むには、実は重いテーマを内包している、これらから、童話を意識したような物語だと感じました。作者さんは、こういう文章の形態で書き慣れているという実力がビシバシ伝わってきます。スムーズな導入、テンポの良い展開、悲しくも希望のあるラスト、昔話を読んでいる気持ちにさせられ、感じ入るものがあります。
 オボンは最初、自分が「見晴らしの良い、美しい景色」が見えるところで、大きな木になりたいという夢から、チィタンに運んでもらうことを決めました。ですが、おなかの空いたパチリスに自分を齧ってもらうことを提案して、どんどん自分自身が齧られて中身を失っていくくだりは、例えが適切なのかどうかちょっと分かりませんが、アンパンマンみたく「僕の顔をお食べ」といった、他者への施しに近い崇高な精神を感じずにはいられませんでした。ひとつの命は誰かの命をつなぎ、そのつながれた命もまた、誰かの命をつないでいくという連鎖。私たちもまた、生きていく上で何者かに影響を与え、また同時に与えられています。答えの一向に出ないテーマ性を描いているなと思います。
 ここでチィタンがオボンを食べてしまう、という話の流れも、ひとつとして考えられたのかなあと想像を膨らませてしまいました。その場合、チィタンはオボンを食べて、自分の命をつないだという罪悪感に駆られて生きていくことになりそうですがね……。そうではなく、チィタンはあくまでオボンを守り、運び、夢を叶えることを優先した。これもまた、崇高な精神であると思います。チィタンとオボン、両者の相手を思いやる気持ちは、もしかすると人間には無いようなものかもしれないし、私たちもまた、そうした気持ちを同時に持ち合わせているのではないかと、深く考えさせられる一作でした。
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 チィタンとオボンの旅の過程が、命が生きていくことの過酷さを思い起こさせるようでした。
 献身のために傷つき、時に思わぬ悪意に襲われ、時にはあっけなくらい簡単に掻き消えてしまう――それでも、オボンは種を残し、チィタンは名前を残していく。"たくさんの命が巡り巡って、チィタンとオボンは繋がっていること。"という一文に込められているこの作品のテーマを強く感じさせてくれるお話だったと思います。ともすれば重くなってしまうテーマですが、文章を童話のようなスタイルでまとめていることによって、すんなりと温かい気持ちで読めるようになっているのが巧みですね。
 "覚えていたはずなのに、いつの間にか忘れてしまっていた大切な記憶でした。生きているものみんなが持っていて、生きているうちに忘れてしまう、大切な記憶でした。"この一文が大好きです。
春さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 オボン……お前……(;ω;)ぶわっ。
 恐ろしく書き慣れた作者さん。童話調の文章を欠片も崩すことなく、簡潔な文章で読む側の想像力を軽やかに刺激してくる。あと人によっては涙腺も刺激してくる。作者さん……恐ろしいお方や……! 物語作りの見本ともいえる非の打ちどころのない完璧な構成と文章のため、後学のためにもぜひ参考にしたい。
 チィタンが山越え谷越え、襲われたり誘惑されたりしながらもオボンの夢を叶える為に頑張る心温まるストーリーかつ、実はハートフルボッコストーリー。読者として作者さんの掌の上で転がされてる気がしてならない。
 話を組む時、見せ場や「転」を作る基本は「主人公に究極の選択を迫ること」にあるが、チィタンの話における選択とは「チィタンはオボンを食べてしまうのか否か?」であると思う。実際、チィタンは苦しい時も病める時も健やかなる時もオボンに愛を……じゃなくて、何度かオボンを食べそうにはなるものの、オボンに「食べてもいい」と言われたってオボンを口にしない。この話を読んで即座に思い浮かべたのは「嵐の夜に」だった。こちらはヤギと狼がお互いの正体を知らないまま仲良くなるという話。何が共通なのかというと「捕食者と被捕食者間に友情・愛情は成立するのか?」という命題をテーマにしている点。これはとても難しい問いかけで、人によって回答もかなり違ってくる。やり方によっては安っぽいメロドラマになってしまうのだが、この作者さんはとても上手に調理された。なおかつ、「生命の繋がり」にまでテーマを膨らませた手腕はお見事。
 捕食者・被捕食者の関係をテーマにした話では、必ず捕食者が腹を空かせ、被捕食者を食らうか否か悩むシーンが入る。大抵は被捕食者が捕食者に対して身を差し出し、捕食者はそれを拒否する。最終的に捕食者が被捕食者を食らうか否かに、作者さんの価値観が大きく反映される。チィタンはオボンを食べてしまってもおかしくなかった。チィタンがオボンを食べた場合、話の展開と結末は、仮にシーンを同じものにしたとしてもかなり意味が変わったのではないだろうかと考える。チィタンが木の実を食べていたとすれば、終盤の「命のつながり」のくだりはチィタンだけに限定された一本線だけになっていたんじゃないかな。また、オボンの実は最初自分のことだけ考えていたけれど、後半には空腹のポケモンたちに自らを差し出すようにまでなった。チィタンがオボンの実の事を本当に大事に想い、必死で本能に抗う姿を見て、オボンの実も変わっていったのだと思う。ストーリーが進むにつれて、彼らのお互いへの愛情は自己犠牲的愛にまで昇華されていった。オボンの凄いところは、チィタンの一歩先を行く愛情を持った事にあると思う。動けなかった、というのもあるかもしれないが、オボンは愛するチィタンではなく、他のポケモンに自分を分け与えた。これは、オボンが心の底からチィタンに親愛を寄せていた事も意味している。そしてチィタンは泣きながらもオボンの願いを成就させた。チィタンは悲しみから種を独り占めするのではなく、オボンの最後の願いを叶えた。このシーンが入ることによって、「生命の繋がり」「想いの繋がり」の両方を表現したと思う。さらにチィタンが一人でそれを成し遂げるのではなく、援助者となるゴーゴートのおじいさんがいる。誰かを失った後、また他の誰かに支えられてチィタンはオボンの願いを叶えるのだ。これはチィタンが生命のつながりを実感するシーンの強化につながっている。そもそもこのシーン以外でチィタンに優しくしてくれたのが兄×2を除けばこのおじいさんだけだったので、ほんとに挟んで良かったと思う。じゃないとチィタンが闇落ちしてもおかしくないような気がする。
最終シーン、オボンの木は自分の事を「チィタンの木」と名乗った。シンプルかつ、この物語の終わりを締めくくるにふさわしいセリフだったと思う。長々と考察しつつ感想を書きましたが、いろいろ解釈の出来る話なので、また他の人の感想も読みたいと思いました。
作者さんありがとう!
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆
 まるで絵本をめくっているみたいに、その時その時のシーンが優しいタッチのイラストになって目に浮かぶようでした。
 あれだけがんばって運んでいたオボンが、無情にも途中でバチュルに食べ散らかされてしまう。このあたりが特に容赦なくてすきです。
 ただ優しいだけじゃないお話というのは、ほんとに、心にくるものがありますね。
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆☆☆
わやさん
評価:☆☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆
秋桜さん
評価:☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
茶兎さん
評価:☆☆☆☆☆