ここは神様のいない星の感想

乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆
非常にきれいな世界観が魅力的でした。
コーディはカラカラなのですね。首から下がったパスケースの文字が「こんにちは わたし コーディ」というのも、宇宙的ですね。タクシーの支払いもやってくれる、カッコイイ一面を見せてくれました。
自分はどうにも文章中で彼がカラカラなのかガラガラなのか判別できず困っていたのですが、進化前なのに彼の年齢が仕事をしている主人公よりも上、というところがスッと入ってこなかったせいかな、と思います。これについては自分の先入観のせいかと思うので、気にする必要はないかと思われます。ポケモンもヒトとする世界観で彼の容姿についてあんまり説明しすぎるのも野暮だよなぁ、とも思うのです。
この世界だとポケモンって進化しないんですかね。ちょっと気になりますが、それを想像にお任せするのも含めてこの作品なのかな、と思います。
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆
軌道エレベーターだ!!それだけでテンションが上がります。SFチックですばらしい。
世界観が総じて全部好きです。人工物で埋め尽くされた世界、天気すらスケジュールされてる世界。気が狂って「全部偽物だ!!」って叫びたくなるのもわかりますが、でもちょっぴり暮らしてみたくもある…不思議な雰囲気。

コーディが“ヒト”って呼ばれてるのが気になりましたが、よく読むと“ポケモン”って言葉が一回も使われてないんですね。この世界では人間と同列に“ヒト”として扱われてることを表現してるのかな?コーディはタクシーを呼んで支払いもこなすし、主人公を宇宙空港まで連れていく手配もできる。宇宙においては人間より彼らの方が優れている、と言わせるあたり、この世界のヒトはかなり賢くて強いみたいですね。素敵。

最後の段落だけ、同僚の視点に切り替えられたのはなぜ?主人公が客観的に見ても見違えるほど元気になったことを表現しているのでしょうか。
“友人”がコーディのことを指しているといいな、と思いました。少々盛り上がりに欠けるというところが気になって評価は☆5ですが、個人的にはかなりお気に入りです。ありがとうございました。
雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆☆
身の回りにある物全てが人工物という惑星で暮らす主人公と、カラカラであるコーディさんの話。
世界観が私の好きなSFですね! 惑星の名前がエンジュなので一瞬エンジュシティを思い浮かべてしまいましたが、惑星のエンジュは未来勘感溢れる町並みのようですね。全てが調整され、新鮮さを感じられない生活を繰り返していたら、確かに大声で叫びたくなりそうです。
最初タイトルを見た時は一体どういう意味なのだろう、と思ったのですが作中の文章で納得しました。目に見える光景、全てが全て偽物。だから「神様のいない星」なのですね。もし神様がいるとしても、その神様ですら偽物なのでしょうか。
最後主人公はコーディさんが見せてくれた「海」を目にし、新しい仕事を始めるシーンがありましたが、一緒にやる「友人」とはコーディさんのことでしょうか。もしそうだったら、かなりいい終わり方ですね……。色々と想像が広がりそう。
素敵な作品をありがとうございました!
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆
細かいこと全部置いておくと一番好きな作品です。最高。
えっすえふ!えっすえふ!SFは…いいぞ…。
地球から遠く離れ人工物で囲まれた世界、とかそれだけでエモい(使い方合ってる?)
きゅ・きゅーい。がかわいいかわいいかわいいかわいいオブかわいい( あ、でも主人公より年嵩であるならかわいいと言うのは失礼か…。でもかわいい…。
美しいという感想は間違っているだろうか。でもこの話は美しいと思うんです。
正直、雰囲気は最高だけど細かいことよくわからないんですよね…。情報が不足している…。主人公は最後何を悟ったのか?この辺は頑張って読み取れや、なんでしょう。たぶん。説明しすぎると野暮ですしね…。でもごめんなさい、よくわからない。でもただただ、この話が好きです。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆
空も大地もなにもかもが人工の世界。神様のいなくなった星。
と、いうシチュエーションだけで無限にご飯が食べられます…
コーディの種族がいまいち把握できていないのですが(カラカラ系列?)
それはそれとしてコーディの性格や佇まいがとても好きです。
「こんにちは、わたし、コーディ」この自己紹介だけで心臓持っていかれたし
主人公を呼ぶときの「きゅ・きゅーい」が凄く優しい音なんだろうな、というのが
文章だけで想像できてしまう。
良し悪しかなと思ったのが、ポケモンであると思われた生き物がすべて「ヒト」と書かれており
コーディの種族すら最後まではっきり分からないことで、
人とポケモンの境界線すら曖昧になったこの世界観を踏まえるとそうしたかったのは凄く分かるんですが、
もうちょっとポケモンがポケモンであることを読者向けに提示して欲しかった感はあります(さじ加減が難しそう)
それでもこの海外SFみたいな文体と世界観は無限に読める。無限に読みたい。ありがとうございます。
水のミドリさん
評価:☆☆☆
植民惑星の描写は緻密で説得力もあり、なにかが始まる予感で満ちていますね。ワクワク感がすごい。
――のですが、ポケモンとの親和性は低かったでしょうか。まずカラカラかガラガラか判然としませんでした(ドクロの奥から覗く黒目って描写はカラカラっぽいけど、母性あるのはガラガラだろうしなあ)。叙情的な文体は美しくこそあれ描写がふわふわして本質が隠れてしまいます。そもそもコーディが一般小説的な宇宙人でなくポケモンである必要性をあまり感じられません。これだけ宇宙開発が進んでいるなら、ポケモンと会話できる装置くらいとっくに発明されているのでは、とも思ってしまう。
作り出された風や色でも、人間は俯瞰してみると自分がちっぽけな存在だと認識するものなのでしょうか。ともかくきゅ・きゅーいさんが植民惑星を第二の故郷と認識できてひと心地でした。
個人的ベストタイトル賞。
Pさん
評価:☆☆☆☆☆
意味深なタイトル、比喩かと思えば文字通り! ポケモン世界で展開される宇宙ハードSF、堪能させていただきました。
自分を神経衰弱に追い込んだ「神様のいない星」にいるからこそ許される転職を志し、波音はなくとも母なる星の海を駆けることを目指す主人公の姿は眩しく、確かな回復の姿に希望を感じます。
欲を言うなら主人公の境遇や街のシステムについてだけでなく、我々と同じ「人間」と、我々がポケモンと呼ぶ「ヒト」が混在する世界=ポケモン小説の舞台としてのこのSF世界についての記述が欲しかったと思います。
この世界において、「ヒト」はどのような存在であるのか。作中で出てくる世話役として以外には主にどんな仕事に従事しているのか。「人間」との取り扱いの差は存在するのか。モンスターボールはどのように位置づけられているのか、それとももはや使用されることもなく過去の遺物になっているのか。それが「ヒト」と呼ばれるのは何故なのか。そもそも我々が思う、母なる星の野生に生きていた「ポケモン」と同じ存在であるのか。
掘り下げるときりがなくなってしまいそうな夢に溢れていると思います。あんまりやるとコーディさんが主役を持っていってしまいそうですが、ぜひお聞きしてみたい。
あまもさん
評価:☆☆☆☆
宇宙空間のような静けさを感じる物語と文章が好きです…!未知の世界のはずなのに不思議とすっと世界観に入り込めたのは、物語全体から感じる独特の静けさのお陰な気がしました。なんとなく、頭蓋という空洞をかぶっているカラカラというポケモンのチョイスも、この世界観にぴったりな気がしました。人に全て管理された世界を神様のいない世界と感じるところ、すごくわかります…。
秋桜さん
評価:☆☆☆
世界観や描写などとても上手かったです。もう少しストーリーがあると好みでした。
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
世界観がとても好きです。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆
ツイッターでも言いましたが! タイトルが!! 最高に好き!!!! です!!!!!
そして最高の設定。なんですかこれ、一万字で、あの三つのお題で、この発想がどこから出てくるんですか! すごい!! 文章も美しく、きゅ・きゅーいの響きもまるで讃美歌のようです。原初の惑星を捨て、人の手で完全に管理された、箱庭のような星。神様を必要としない、完璧な世界。あーもー最高じゃないですか。設定だけで十分お腹いっぱいになれます。ポケモンを「ヒト」と表記するのもまた素敵。もう垣根はなくなってしまったのでしょう。だって、神様のいた星はもうなくなってしまったから。神様の手を、彼らは離れてしまったから。とても美しいです。素敵の一言に尽きます。そして、軌道エレベーター!! よくぞ出してくださいました! スペースファンタジーなSFにはこれがなくちゃあ! よくわかっていらっしゃる!! 素敵!! もう素敵しか言えていませんが、本当にこの作品好きです。また、最後主人公が「友人」と宇宙貿易を始めるのももうとても良いです……! この「友人」は紛れもなくコーディを指しているのでしょうし、この神様のいない星の名前が「エンジュ」であることから、彼らはこれから星の海を渡って、宇宙に敷かれたジョウト地方の星図を旅するのでしょう。想像力が掻き立てられます、ありがとうございます!
終夜さん
評価:☆☆☆☆☆☆
ザ・SF!!
手塚治虫氏の『火の鳥』に出てきそうな、宇宙を色濃く感じる作品。
専属の世話役と共に三か月、社会から放りだされる……うーん、私だったらやったぜ!!と手放しでめっちゃ喜びそうな状況なんですが、それを「非常に長い停止を強いられたのだ」と仰る辺り、きっとこの主人公さんは元々真面目な方なのでしょうね……。
そんな主人公さんに寄り添う、慈愛に満ちたコーディさんの言動に始終ほっこりしました。
頼れるコーディさんかっこかわいい。きゅ・きゅーい、っていう呼び方もすごく好きです。
終盤、宇宙空港のエレベーターから見たエンジュについて

『その姿はまるで、私の故郷のようだった。
 そうか、そういうことだったのか。』

と、主人公さんが感じたところに関してはいまひとつ意図を読み取れなかったのですが、宇宙貿易という新しい仕事を見出したラストではひとまず元気そうで安心しました。
可能であれば、主人公さんとコーディさんのその後も見てみたいところです。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆
ほかの星に住んでいるのにすごく現実味のある文で、映像を浮かべやすかったです!きっと星が綺麗なんだろうなと思いながら読みました!
しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ばりばりのSF作品!「神様のいない星」というのはそういう事だったのですね……何もかもが人工物で出来た世界で、主人公は元いた故郷に帰ることができない……ちょっと切ないですね。
コーディが健気で可愛かったですね。主人公より年かさらしいですけど、そんな事も忘れてしまうくらいに((
そんなコーディのおかげで、主人公がこの人工物の世界を受け入れる事ができたのは良かったなと思いました。とても面白かったです!
照風めめさん
評価:☆☆☆☆
この作品は本当に雰囲気というか世界観が素敵で、凄いと思います。もうこの世界観大好きです。
コーディがヒトと呼ばれているのは、故郷の惑星が滅んでしまってポケモンと人の境界が無くなった、ということなのでしょうか? その余韻の残し方がものすごく絶妙だと思います。
文章もすごい綺麗で、すらすらと読むことが出来ました。
ただ、作者さんの意図が「この世界観を見せたい」ということでしたら非常に申し訳ないと思うワガママなのですが、私としては折角ここまで素晴らしい世界があるのだから、ここで何か一悶着あってとかなんらかのドラマをがあったらもっと素敵じゃないのかなあ、って思ってしまいました。
リングさん
評価:☆☆
『我々はなにがあっても(たとえこの星が居住不能惑星になったとしてもだ)故郷に帰ることはできない』のに、『宇宙旅行をしないのは間違い。いまこそ原初の星で余暇を過ごす時』というのはいかに……設定がブレている気がします。
二次創作の作品を見て、『この作品でやる必要があるのか……?』というのはタブーではありますが、それを強く感じてしまった作品でもあるとおもいます。
 宇宙だと、ノズパスのコンパスも使えないとか、コロニーの重力がなんだかんだで、エスパー系のポケモンが不調をきたすとか、そんな描写があるわけでもなく、ぶっちゃけポケモンよりもガンダムか何かの世界観でやったほうがいいのでは……

あと、人工惑星という響きから、ガンダムの筒状のコロニーを回転させて遠心力で重力を発生させているのを想像していましたが、この星は球体で、何らかの科学技術によって人工重力でも発生させているんですかね……何というか、無理してSFに手を出して失敗している感が……
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆
「神様がいない」というのは、人工物に囲まれて自然のものが一切存在しない、ということの暗喩なのでしょうか。しみじみとした感慨に包まれたのですが、私はこの感情を表す言葉を持ち合わせていないようです。ポケモンが「ヒト」という形で、人間と共に暮らす世界。こうして対等に想い合えるのは素敵だなぁと思いました。
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆
 SFな世界の描写がすてき。それと、呼び方のくだりがすごく好きです。
 宇宙貿易を始めるということは、もう戻ることはなくとも、故郷の星に少し近づいた(精神的な意味で)ということでしょうか。にせもの、人工物で作られた星だけど、宇宙へ出たら全部本物で人工物じゃない。前向きな心の変化に思えてとてもよかったです。
春さん
評価:☆☆☆☆
 SFとポケモンってわりと相性がいいと思うんですよ私。元々の世界観が現代に近くて、地味に科学が発達しているからかな。この短編も世界設定がSFで、ポケモンも違和感なく溶け込んでいたように感じます。
 コーディはカラカラですね! 主人公と手を握るのではなく、骨を握っているのかと思うと少し微笑ましいです。原初の星はおそらく地球? 今は宇宙に人類が繰り出している設定なんですね、きっと。
 もともとの地球に戻れないとなると、そこにいた伝説のポケモンなどはどうなったんでしょうか……。ポケモン世界の神もかつての地球にそのまま残ったのだとしたら、タイトルの意味もそこにかかってるのしょうか。それとも、人工的な星だから「神様のいない星」なのかな。途中のエレベーターはSFおなじみ、軌道エレベーター? 主人公が見たのは、宇宙からの惑星の姿ですね。故郷はもうなく、人工的な星で息がつまりそうだと感じていた主人公にコーディが見せたものは、宇宙からの星の姿。これは……私には解釈が難しかったのですが、「地球という故郷を失った」と思っていた主人公が、「宇宙そのものが故郷」と気づかせた、とか? それで宇宙貿易に出ようと思ったのかな……と考えました。きっと他の解釈もできる。深みのあるいい話だと思います。それに、読んでいてコーディの優しさが胸に沁み込むようでした。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆
 美しい文章でした。特殊な世界観でありながら情景描写もよく入り込める文章でした。
 もっと文字数を使ったストーリーがあったらもっと星をつけたと思います。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆
 美しい、美しい。特殊で緻密な世界観、そして透明感のある美しい文章が非常に印象的な作品ですね。
>かくして私は専属の世話役と共に社会から放りだされ、三ヵ月という非常に長い停止を強いられたのだった。
>頭上ではまさに光が一瞬の衰退を演出していた。
>あの詩的な音階が膜一枚向こう側から聞こえてくる。
 この作品を作り上げているのは、世界観そのもの以上に、『詩的』な文章であると考えます。私の理解力や表現力ではうまく説明することができなくてもどかしいのですが、写真や目に見るそのものよりも情緒的に表現する絵画が存在するように、綿密に設定された世界を、目に見るよりも美しく演出するような文章。これは字書きのひとつの極致ですよね、良いなあ、素晴らしいなあと思います。凝っていながらすっと意味が分かるところがまた凄い。凄く好みの文章でした。こんな文章を書いてみたいなあ。
 お話はとっても綺麗だった……黒目がちなコーディの慈愛が物語のいたるところに溢れていました、きゅんとしました。我が家にもコーディ欲しい……!笑
 この世界観におけるポケモンというのはなんなんでしょうね、ポケモンという概念なのかも分かりませんが。発狂した人間を社会から放り出す時に『専属の世話役』として付き添いにあてられる存在。アニマルセラピー的な……とも考えましたが、介護、介助というか(詳しくないので言葉が適切でないかもしれない)そういうことを専門に職業にしているだけで、人間と同等の権限が与えられてはいそう。面白いですね。しかしカラカラというチョイスが絶妙だったと思います。
 投稿お疲れさまでした!
ionさん
評価:☆☆☆☆
 植民惑星第十二号エンジュの未来社会。そこで生きる本物とは。
23.ここは神様のいない星
テーマや本筋に限れば⭐︎4、それを除けば描写力と世界観から⭐︎5 世界観について「好き」なバフがかかって6
 種同士を分けて呼ぶ言葉が消えてる(具体的な箇所はすぐ指摘できないけど)のが一番好きなところです。
誰でも言葉としては思いつくものなんだけど、意外とそういうニンゲンとポケモンの境界がない感を真に出してある世界観って少ないんですよね。
ニンゲンがいる世界とポケダンのポケモンがいる世界があって、その辺の書きわけにも使えそうな発想ですけど。
僕にとっての理想的社会ってここって感じがします。もうそこを売りとしてこの話を売り出してもいいぐらいに感じたりもするんですが。
とはいえ作中の彼は母なる自然にホームシックを起こしてしまった。
公式チャット会で言った通り、なんで彼が神経衰弱から回復できたのか僕には理解しづらかった。
現実での他人の言動や行動なんて(細部を見落としているんで)全部そんなもんだ、というのが、僕の中で出してた答えにはなっているんですけど。
 そうか、そういうことだったのか。 ←どういうことかを共有するために。
直前を読み返すと、自然(宇宙)の中に自然からとられた素材で、自然物である人間が作ったエンジュは、偽物なんかじゃない自然の一部に違いない、ってニュアンス?
たぶん人間とヒトのタペストリーもそこで伝えたいものに含まれているんでしょうが。その上で外に、宇宙に行こうとした理由はわからないけど。
ちゃんと心でわかっている方(ex.Pさん?)がおられるようなんで、そこを詳しくその人に聞いてみたいですね。関係的に遠いんで聞くつもりはないですが。
 神様のいない星 ってタイトルは、人間がいちから作り上げ、支配している星ってニュアンスでしょうか。
直後にからっぽとも言っている。

 しかし前作の黒白に対するカラフルな冒険(ゲームXY直前PV)、ねえ…どういう意味だったんでしょうね。
ポケモンのできることを活かすという名目で能力をその特徴に特化させるような展開より、作中のようにすべて無色に染まっていくほうが、リアリティのある世界なのかもしれないな、とも思います。この現に存在する(しない)理想社会の前にはそういう議論なんてどうだっていいことなんですけど。
戦うべき相手などいなければヒーローが必要なくなるように、みんなが自分らしく生きられればそれを分ける言葉なんて要らないんだ。

描写を読み飛ばして展開だけ追おうとするとこの良さがわからなくなっていたタイプの作品です。
世界の描写のリアリティとか、その上で感覚に訴えかけることとか、そういうものに力を込めている小説なんだとわかります。
逆行さん
評価:☆☆☆☆
 世界観が非常に良く練られている印象を受けました。まさにSF! という感じでしたね。全てが人工物で出来た世界。太陽の光まで人工物とは。こんな世界にずっといたら確かにちょっと頭おかしくなっちゃうかも。でも一年くらいだったらこういう所に住んでみたい気もします。SFでは定番の軌道エレベーターにはロマンを感じますね。 
 パートナーのカラカラも良いですね。タクシー代を変わりに払ってくれたりと、まるで人間のような行動を取ったりできるというのも中々独特な設定。ポケモンではなく「ヒト」と呼ぶのも納得です。 
 オチの解釈が若干自信ないのですが、こういうことですかね。コーディがエンジュの美しい景色を見せる。主人公はその景色を故郷のようだと思う。そして人工物でできた紛い物の世界を肯定する。 
 自分を神経衰弱にまでさせた世界を、最後に良いものだと認めるという構成が見事だと思います。人工世界とは言え、主人公にとって、あるいはこの世界で生きる人々にとって、大切な世界なんだなあと。 
 せっかく世界観を良く練ったのだからもう少し長く書いても良さそうな気がします。まだ4000字ちょっとしか使ってなかったので、文字数制限ギリギリまで書いて良いと思います。長く書いても十分読者を惹き込めるレベルだと思うし、せっかくの独特な世界観がもったいない気がしました。こういう独特な設定のお話は長ければ長いほど強さを発揮すると思われます。 
 後タイトルが凄く好きです。『ここは神様のいない星』。全てが人工物で出来た世界というものをよく表しているし、例え神のいない世界だろうとこの世界を愛していくという力強いメッセージを感じます。
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆
 上手いですね。徐々に世界観の外郭をなぞりながらも説明臭を漂わせず、おっ、と思わせるような自然な導入に惹かれました。コーディアル・ヴィア・ホイットなる何者かは、おそらくカラカラとまでは予想出来る。この作品は世界観の特殊性において、大会随一を誇ります。世界観部門優勝です。
 「返されたハンカチをウエストポーチにしまい込む」のはごく普通の動作ですが、これがもしかするとポケモン、恐らくポケモン小説の範疇なのでやっぱりポケモン、と考えると、人とポケモンの境界が敷かれていない新鮮な世界だと認識できます。ポケモンがヒトという風に人間とは区別こそされるけども、似たような動作をとるように発達、或いは適応??したのでしょうか。
 ところで、読み返してから気付いたんですけども、
>久しぶりに聞いた自分の声はがさついていて
 という表現が気になって、おや? と思ったら、
「あ、ありがとう、コ、コーディ……」
 という台詞や「きゅ・きゅーい」と呼ぶ声以外、それまで「」での台詞表現はほとんど用いられていないことが分かりました。なので「久しぶりに聞いた自分の声はがさついていて」の部分が、単に主人公らの気分ではなく、本当に台詞を発していなかったのだと作中の描写にも念を入れている様子がうかがえて、好印象でした。
 さて、この作品のキーポイントは「そうか、そういうことだったのか」に集約されていると思うんですが、正直これはメッセージ性が強いので理屈よりも感覚として理解したいところかなぁ… 難しいな、いろいろ考えられるとは思うんですよ。人工の景色に、故郷の景色を見出した、というところですかね。
(余談ですが、ヒカルの碁で最強棋士だった藤原佐為が主人公のもとからいなくなってしまったのち、最終的には自分の打つ碁に佐為の姿を見つけた、という構図を思い出して、この作品の持って行き方はそれと似ているなぁ、などと思ってしまいました。勿論関係ないですが…)
 よろしければ作者さんの狙いをお伺いしたいです。
 欲張れば、まだまだ書けたかもしれないし、ここで終わるのが丁度良い塩梅で、余韻を出せる作品だったかもしれないと、果たしてどっちだったのかなと迷ってしまうぐらい、もっと読みたい!! という想いにさせてくれる作品でした。
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 テーマB個人的トップ3の一角です。 
 地の文の美しさがひたすら印象に残る一作でした。ラストシーンの星の海のみならず、"行儀よく並んだ白色の建物群、濡れたようにかがやく歩道、既定の間隔と速度で走っていく自動車たち"といった、主人公にとっては苦痛になるほどの日常風景でも、読み手の僕にはとても美しく見えてしまって。この自然とのめり込んでしまえる美しい地の文が、ともすれば理解が追いつかなくなってしまいそうな独特の世界観へ入っていくためのちょうどいい足掛かりになっていると思います。"コーディが骨を杖代わりにして歩くと、歩道タイルから音楽が生まれだす。お互いに足取りが軽やかになる。"この一文が特に好きです。
 単に文の形が美しいのみならず、主人公の生きる世界の切り取り方がとても丁寧なんですよね。スクリーンに端末をかざす人と、その次の段落の主人公の置かれた境遇の対比の鮮やかさ。様々な"ヒト"で混雑する宇宙空港の人ごみを抜けた先の、軌道エレベータから見る広大な宇宙。これらのシーンの文章の展開のうまさに痺れました。
 ここから先は個人的な気になるポイント。軌道エレベータから宇宙を眺めるシーンで主星の恒星のような星の描写がないのが気になりました。エンジュは主星からかなり遠く離れた惑星なのか、それとも自由浮遊惑星なのかな? と考えています。作者さんにそのあたりの設定の詳細をぜひ伺いたいです!
 この世界に神様は確かにいる。そう思わせてくれる美しいお話をありがとうございました。
早蕨さん
評価:☆☆☆
 なんだろう、難しいです。感じたことを言葉にするだけなのになんと難しいことか。全てが人工的な世界におかしくなりそうになる主人公は、何故他惑星に移り住んだのでしょうか。資源が枯渇した、というのは、元いた星に住む人数を制限しなければならなくなったということなのでしょうか。コーディとの関係は。コーディをヒトのように描写する理由とはなんでしょう。
 >>その姿はまるで、私の故郷のようだった。
 この一文が大事っぽいですが、僕の頭では難しかったです……。
 察する能力が圧倒的に足りていないのでしょうか。なにか感じ入るところがあるのですが、それを落とし込めなくて悔しいです。 何度も読んだのですが、また再読させていただき、落とし込めるようにしたい作品でした。
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
 とても好きです。全体的にたいへん美しい……息苦しさとか、コーディさんの素敵さとかが心にしみます。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆
 SF的な世界観、それを描き出す文章が非常に魅力的な作品でした。世界観の設定を一段落にまとめてあるところでも、特に読みにくさや引っかかる感じも受けず、エアタクシーとか環境調整パターンといった語句にも引っかからずに読めるというのは文章力の高さによるものだと思います。全て作り物であることをして、「神様のいない星」とタイトルを付けたというところも非常にセンスを感じるところです。
 読んでいて「水層の中の脳」という仮説を思い出しました。主人公は見ている世界が偽物だということを認識していますが、我々は果たして。
 宇宙エレベーターにコーディが主人公を連れて行くくだりが、いつの間にか、といった描写になっていたのですが、もう少し「溜め」を作ると、星々の海という情景を最大限に演出するのには効果的なのだと思いました。主人公の心情描写ももう少し増やしてもいいかもしれません。コンパクトにまとまっている全体の雰囲気を崩さずに書き加えれば非常に良い物語になると思っています。まあ個人の好みですけれども!
 この雰囲気は今の私には真似できないですね……。非常に心地よく読めた一作でした、
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆
 SFモノですね! ポケモン二次創作なのにも関わらず、ポケモンの種族名が1回も出てこないという、これまた新しいタイプの作品でした。こういうのもアリですね! SFモノ好きな人にとっては二度おいしい作品なのではないでしょうか。植民惑星『エンジュ』ということは、他の植民惑星として『コガネ』とか『ヨシノ』とかあるのでしょうか。
 植民惑星ならではの光景に飽き飽きする主人公と、それを支えるコーディ。このコーディなんですが、ポケモンなんでしょうか。骨、ということはカラカラ、もしくはガラガラなんでしょうか。それとも元から惑星に住み着いていた宇宙人だったり……? まあどちらにしてもコーディがかわいいことには変わりないのですが! 首にパスケースをぶら下げて『こんんちは わたし コーディ』とかかわいいに決まってます! しかも『きゅ・きゅーい』ですよ。でも最初読んだときは少し怖かったです。頭蓋骨のマスク、普通に考えればカラカラか何かと考えるところなんですが、この作品の性質上そうとは言い切れない部分がありまして、この得体のしれない感じにゾクゾクしてました。果たして彼はいったい……。
 すべてがヒトによって調整された惑星。ここは神様のいない星。永遠のゆりかご。このへんすごくSFチックですよね。そしてコーディに連れられて辿り着いだ場所。それはなんと宇宙エレベーター! ロマンですよね、かっこいい。黒い海の中にたたずむ『エンジュ』……。それを見て涙を流した『きゅ・きゅーい』。SF好きな人にとってはぶっ刺さる作品なのではないでしょうか。最後もいいんですよね。元同僚というのが『きゅ・きゅーい』で、その友人というのが恐らくコーディなのでしょう。しかもこの作品、人間とヒトとで登場人物が示されているんです。これは個人的に大好きな表現でして、グリーンのセリフである『人間もポケモンの一種なのではないか(要約)』がもう本当に好きでして、たまらない表現でした……!
 作品投稿、お疲れ様でした!
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 SFチックな雰囲気が素敵でした。この作品の世界観では、人とポケモンの関係がほぼ対等なのでしょうか。コーディの行動や知能がとても人間的で、人間の主人公がポケモンのことを(おそらく)ヒトと呼んでいますし。生まれた場所が元々植民惑星ならまだしも、旅立った故郷の記憶が残っているなら望郷の念が湧くこともきっとありますよね。ちなみに「私」はなぜ、宇宙船に乗る道を選んだのでしょう。援助金や職業選択が目当てだったのでしょうか。性格が淡々としているので、「私」の思考は理解できるのですが感情が読めないところが少々あったように感じました。宇宙旅行、私は興味とロマンをおぼえます。タイトルの「神様のいない星」の意味を最後まで呼んでも理解できず、自分の至らなさが悔しいです。惑星の名がエンジュなので、神様とはホウオウのことだしたら、ホウオウのいないまがいもののエンジュ、という意味かなあ……等々想像したのですが、いまだにこれだという答えにまだたどり着けていません。投稿、お疲れ様でした。
コメットさん
評価:☆☆☆☆
SF感満載って雰囲気です。徹頭徹尾、世界観の描写が丁寧で、光景がありありと浮かんでくるようです。ある意味ポケモンの世界観から一番遠い印象でしたが、それはそれで興味深い。タイトルもまた上手い表現だなあと思いました。人工物の世界の寂しさと美しさをしっとりと魅せていただきました。
カイさん
評価:☆☆
SFですね。なかなかロマンティックでした。小説としての筋は良いかと思うのですが、ポケモンの二次創作という点について少々疑問が残ったので、申し訳ありませんが2ptです。
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆
SFっ!
コーディさんはカラカラだと推測しますが、タクシーを呼べて、料金の支払いもできる彼は、本当に我々の知るカラカラなのでしょうか……?
植民惑星第十二号「エンジュ」の響き、そして上から下までSFな世界観が大変良かったです。

それにしても、寂しげな瞳のカラカラとSFって、相性が良いですね。これは発見です!
586さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
80年代のSFっぽい文体・設定が非常に好きです。話もきっちり〆られていて著者の技量の高さを感じずにはいられません。こういう作品を書けるようになりたいとつくづく思います。
トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆☆
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆
風間深織さん
評価:☆☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆
黒糖さん
評価:☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆
天波八次浪さん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆
えびフライさん
評価:☆☆☆☆
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
小樽ミオさん
評価:☆☆☆☆