鬱金の橘の感想

カイさん
評価:☆☆☆☆☆
背景の古典知識が非常に豊富で、尊敬の一言です。ストーリーも大変よく練られていて、テーマ絵の描写も美しかったです。落ちた大橘の実が、鳳凰の羽に変わるのが印象的でした。
あと「縁寿の舞」は、HGSSでホウオウとバトルする直前の演出で流れるBGMですよね。個人的に大好きなイベントなのですが、ゲーム中のあの場面と音楽が脳裏に浮かんで、とても良かったです。意識しておられたのでしょうか。

白状すると、この作品を鑑賞するには自分のレベルが至っていないと痛感しました。話の大筋をつかむので精一杯でした。
まーむるさん
評価:☆☆☆
正直、さらりと読むには重過ぎた。個人的な嗜好でもあるけど、理解に掛ける時間が多いと読みたくなくなる。
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆
格調高い文章、時代に合わせた言葉の選び方に圧倒されました。平安時代にポケモンがいたら、本当にこんな感じなのかなって情景が思い浮かびました。
筆者さんの方はこちらの時代に思入れやゆかりがあるのでしょうか。
猫村さん
評価:☆☆☆
平安風味の世界観で殴ってくる発想がすごいな、と思いました。ふりがな入れてくれてありがとうございます。めっちゃ助かりました。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆
平安時代とポケモンという今までに類を見ない組み合わせを実現した本格的な作品が登場しましたね。改稿時に読み仮名が付いたことで滅茶苦茶読みやすくなりました。これがあるだけで単語の意味が部分的に分からずとも話が頭に入りやすくなりました。作者さんの心遣い、痛み入ります。
ポケモンの名前をただ漢字に直すだけでなく、りいしゃんやあずまおうのように漢字をあてないポケモンもいるというバランス感覚が好きです。
氷海だけは幻術に引っかからない、という序盤のくだりを後半でも活かしているのがうまいな、と思います。
最後の二の宮が鳳凰に乗っているシーンは本当のことなのか、夢か幻か。結局のところ、どうだったでしょうね。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
平安の頃を描いた作品でしょうか。一つ一つの描写が古文風に、丁寧に描かれていて、描かれている光景が浮かぶようでした。ポケモンはかつてこんな風に呼ばれていたのだろうかと考えると面白いものがあると思いました。随所で詠まれる和歌も、意味を想像しながら拝読しました。なんというか、雰囲気が好きで、あれだけ初期に出しておられた、つまり発表からそれほど時間が経っていないのに、これだけ長い物語が書けるのは凄いって思って。
秋桜さん
評価:☆☆☆☆☆
学が無い私には逆立ちしても書けない! 凄い!
ただ、学のないエンタメ大好きな凡愚なので、氷海さんの使いどころが(私の性癖に刺さる的な意味で)惜しく感じました。いっそもう一人敵陰陽師出して氷海さん&忍音コンビでいくとか。別物ですね。ごめんなさい。
半身が焼けただれて現れた氷海さんの登場シーンにとても滾りました。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
和歌がたくさん盛り込まれているのがすごく引き込まれました!後半に従って感情が読みやすくなるのも良かったです。
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆
古文も和歌も大好きなので楽しく読めました!和歌を作って小説に出すなんてハイレベルです…すごすぎます…!!皮肉ひとつとっても、皮肉と言う言葉を使わず和歌などで表現できるとても知識も力もある凄い作者さんだなと思いました。あと、その、キャラ萌えですね…!!若宮さんと忍音さんは本当にキャラ萌えでした…!!
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆☆☆
化生が見やうのありがたく、面影なつかし。
関東、城都が町の色が名にて使はるるはめでたし。
書き遣り給ふことの疾きは、ちるりの上のなべてならで、かしこし。
我わきて心に入りたるを秋の句にて詠み侍りつ。
「煌めける はの主が名を よばひぼし 流さする火にや あたと言ひけむ」
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆☆
初期投稿でのその密度にまず、驚きました。感服です。
ポケ二次ではあまり見かけない表現の仕方、そして時代設定。
私はこの時代がとても好きで、普段から陰陽師系統の著作を読んでいます。
まさかポケ二次で読むことができるとは思わず、純粋に嬉しかったです。
古風な言い回しのポケモンの表現が、よく考えられており、なかなか興味深かったです。
そうか、古風な言い回しだとそう表現できるのかと。
同時に、私には書けないなと。すごかったです。
物語も楽しく読むことができ、素敵な物語をありがとうございました。
そして、ふりがな編集、本当にお疲れ様でした。
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
初めて読んだ時の衝撃は忘れられません、「Aテーマってどんな作品が出るんだろう…とりあえず一作目を読んでみるか」と軽い気持ちで開いたあと、数秒硬直してました…これはすごい。すごすぎる。
一回目の時はルビがなくその世界観に圧倒されるばかりでありましたが、ルビがついてからはかなり読みやすくなりました。作者様の努力に感服いたします、ありがとうございます。

忍音のキャラクターが好きです。ストレートに毒を吐く堂々としたところが特に。セリフも他の登場人物と比べるとかなり現代口調に近くてとっつきやすかったなあという印象です。若宮を囮に使ったところの「死にゃしないんだし、別にいいじゃないですか」とか特に現代っぽい、年相応な言葉遣いだなあと思いました。

世界観が古の世界ではあるものの、公式のジョウト地方をきっちり踏襲しているところも流石でした。ぼんぐりをボール代わりとしていたところが年代に沿っているし、かがやくはっぱで冠を作っているし…とりわけ見事だと思ったのはポケモンたちを化生の名で上手に表現しているところでした、私個人としてはツイッターでほかの方が言われていた和歌よりもこちらが素晴らしいと思いました。ルビが振られてからはなお元のポケモンをイメージしやすくなっていたのもお見事。

黄金の実はそのまま原作の「おうごんのみ」でしょうか、まさか虹色の羽の正体がそれとは…鳳凰はイリュージョンで化けていた偽物だったとは…まさしく狐に化かされていたような読後感でした。
氷海は終盤でその才を発揮し、おおっと思わされましたが結局は噛ませ犬ポジションになってしまったのが残念。鳳凰との儀式をもって立場を固めようとする重々しい話の中で、恥をかかされたり姫君と接近したり、コミカルだったりシリアスだったりの移り変わりが面白いキャラクターでした。忍音とどっこいどっこいで好きです。

和歌の知識がないばかりにこの作品の魅力を100パーセント取り込めませんでした、申し訳ない…
まさかこのようなテイストの作品がスタートダッシュを飾るとは思いませんでした、いい意味で期待を裏切られた素晴らしい作品でした。ありがとうございました!
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
初っ端にこれを出せるなんて一体作者さんの脳みそはどうなっているんだ…。なんかもう、圧倒的ですね…。作品に比べて感想の貧弱さがつらいwww
ionさん
評価:☆☆
冷静に咀嚼して、忍音の人生(ポケ生)に凄まじいものがあるな、というのが感情的な面での感想でした。
たったひとりの若宮の笑顔を見たくてついた嘘をきっかけに、それに疑問を抱いた様子もほぼ見受けられず。ずっと戦ってきたんですね。
「あなたに笑っていてほしかったから」は、自称ポケモンクラスタとしては映画のキミにきめた!のピカチュウが喋ったシーンを回想せざるを得ないんですが、みんなの物語の方の、畏敬とかそういうのを湛えた「なんでそんなに頑張れるのよ!」っていう、凄まじいものを見た印象です。
彼らの関係、ラストシーンももちろんだけど、若宮に嫌われることを怖がってるあそこもまた健気で。
忘れ得ぬ名キャラのひとりになったと感じます。
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
冒頭から硬派な文章が展開されて、正直最初はスクロールバーを動かす手が止まってしまうのではって懸念がありました。ですが、実際に読んでみると全然そんな事はなく、気が付いたらこの作品の虜になっていました。おのれ、忍音の仕業ですか……。最初の情報量さえ乗り越えてしまえば、後は文章に慣れるにつれてスルメのように徐々にその旨みを理解していきました。あどけなさもありつつ野心に燃える若宮と、その若宮に誓いを立てて忠実に動き続ける忍音。この二人のやり取りと言い、結末と言い、本当に最後まで魅せていただきました。ポケモンを化生として扱い、種族名も異名で表記されている辺りに、徹頭徹尾世界観が練られているなあと感じました。いや本当、鬱金の素晴らしさはもっと語りたいのですが、リアル時間の都合で仔細まで語れないのが残念で仕方ないと思うくらいには、この作品のファンになりました。
浮線綾さん
評価:スキップ
作者です
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
一読して「うわあ難しい、無理!」と思ってしまい、ルビが振られた後に改めて読んでみたら……いざ作中の世界に入ってみれば、古典の知識も実はそんなになくても読み切れるし、何より宮中のキャラ達の思惑が入り乱れる様子がもっのすごく面白かった!
忍音に頼りきりで次の帝としての自覚がいまいち無い若宮。弟が疎ましい兄、政略結婚が憂鬱な桜花姫……私はヘタレというか不遇キャラが好きなので氷海さんが実は有能だったことを発揮するくだりが全体的にすごい好きなんですけど、何よりも忍音が!忍音が大好きなんですよ!有能なのに口が悪いし、突然笛なんかを歯でがりがり噛んでみせる野性的な面がたまらんです。(そして彼が実は人ならざる化生である、ということも示している。うまい)
で、このあれこれの思いが渦巻く舞のシーンで塔が焼け落ちて何もかも燃えていくクライマックスの盛り上がりようときたら、一作目からこんなんが来て良かったのかと思うくらい興奮しました。泣き笑いの表情を浮かべて母さんの敵を討つ忍音、半身を焼かれながらも使命を果たそうとする氷海さんの凄まじさ、そして何よりもラストの鳳凰の正体ですよ。なんとも言われてはいないのですが、察した瞬間に泣きそうになりました。最後まで忍音は若宮を次の帝にする、という使命を果たそうとしていたのですね…最初からほとんど無理な望みであることを分かっていて。
こんなに面白いのに、平安時代の知識がないから、ということで敬遠されてしまいがちなのは非常にもったいない!と思ってしまいます。……ただ、怒涛の歴史用語、専門用語というのはそれだけで人を怖じけさせるもので、私自身、文章の圧に跳ね返されそうになりながらもどうにか作品の世界に入り込んでいけましたが、そうなるまでに時間がかかったのも確かに事実ですし、結局服装のイメージやあちこちで出てくる色の意味はちゃんと分からないままですし、短歌の意味も他の方に解説されるまではろくに理解していませんでした(今もろくに理解できているか怪しい)。
とにかくキャラクターの動きにだけ注視していたので読み切れましたが、これは「サブイベントを全部無視してクリアしたRPG」のような読み方になってしまったなあ、という寂しい気持ちもちょっとあります。ただ、読み切ったからには自信を持って☆7をつけさせていただきたいと思います。これは間違いなく面白い物語でした。ありがとうございます!
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆
・まず第一に、このクオリティの作品をAの一番手に持ってきた作者さんの頑張りと技術が素晴らしいと思います。この一行書くたびに資料を確認しなければならないような文章をこれほどまでにまとめた技量はすごい。まずはそこに感動しました。
・更に凄いと思ったのは、ポケモンの設定や名前の当て字、それぞれの道具のギミックを作品内の世界観に落とし込み、それらに違和感がないことです、作者さんの技量とポケモンへのこだわりを強く感じます、自分ではここまで出来ません。
リングさん
評価:☆☆
ルビは打てても、注釈を入れられない大会ではやるべきではなかった作品です。誰が一番偉いのか、何のための施設なのか、わかり肉過ぎて、商業誌だったら読まなかったと思う……
ストーリーに入り込めなかったので、私にはちょっと難しいお話でした・
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ポケモン×陰陽師。
目から鱗。衝撃を覚えました。何たる親和性なのでしょうか。作者さん、貴方は凄いです。これは新ジャンルです! 発明です!
式神、螺子細工の施されたぼんぐり……溜まりませんねこれは。
世界観、ストーリー、キャラクター、何れも本当に良かったです。素晴らしかったです!

ラストシーンの鳳凰は今際の夢なのか、忍音の術なのか、あるいは本物なのか。その天下は長きにわたり続くのか、それとも……

好きポイント
・ポケモン×陰陽師の世界観! 和テイストアレンジのポケモン名。
・実際のところ、大変優秀な陰陽師だった氷海さん。幻影ホウオウをさっくり片づける白雪。
・虹色の羽根の、残酷な真実。
・若宮の心に呼応するように、忍音の首を絞めるマスコット枠・リーシャン。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆
ツイッターでも呟いたのですが、これを一番に投稿できるとか本当に作者様何者ですか……。和歌作るのもポケモンに和名与えるのも大変だったと思います、本当に素晴らしい。「なんて素敵にジャパネスク」とかお好きそう。歌の裏意味までは時間が足らず、読み込んでないんですが、もしかしてそこまで考えてあるんでしょうか!?!? 是非作者様から語って頂きたい……! キャラクターもまた魅力的ですよね。氷海さんが本当に人間臭くて好きなんですけど、本編通して不遇と言うか不運と言うか、なんとも可哀想で背中をさすって差し上げたい……! 彼が忍音に歌を返せていないシーンも(ここ多分、意図的なんでしょうね)また「あ~~氷海さん~~」ってなりました。めちゃくちゃ優秀なのに、出世できないタイプじゃないですか……。
最後のホウオウのシーンとかも臨場感があり、描写もとても綺麗でした。忍音がなんで「若宮に笑ってもらいたい」=「東宮(帝)にしよう」となったのかだけはいまいちよくわかりませんでしたが、跡目争いは意外に熾烈というか、本人の意思に関係なく権力争いに利用されるような時代背景があったんで、そのあたりの兼ね合いなのかなあとも思いました。
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
アッいとをかし……。古典に教養まったくないのですが次へ次へと読ませてしまう筆致、とてもをかしです。なんか薄っぺらい感想書くのもあなや、と思わせるくらい圧倒されてうまく言い表せないですよ……。「月の影って確か月の光のことだったなあ」レベルの義務教育知識で雰囲気読みしたのがかえって功を奏したのか、後半からすごい集中して一気に読み通せました。ついったで噂が飛び交っていて最後まで手を出せなかった作品なんですけど、うん、この作品を大会の〆に読めたこと、とても僥倖と思います。
悪狐の使い方、すっごい頭使わないと陳腐になるんですよね。すっごい頭使って魅せてらっしゃる……すごい。幻影にかかる、幻影が解けるシーンいくつもありましたが、その度にステキな演出が仕掛けられていて……。羽が大橘の果実へと戻りぼとりと取り落とす超重要カットを、実にアッサリと書いてしまう作者様の采配に舌を巻きました。
それでいてキャラも魅力的。あんな数のキャラをどうして平安テイストのみで書き分けられるんですか……。若宮やけに口調が時代錯誤だゾって思いながら読んでいましたら「――――次、ふざけた真似をしたら殺す」……!! 穿った視点で見てしまい申し訳ありませんお見それしましたカッコいい……! それでいてギャグみたいなのもこなしちゃうのですかよ……すき……じゃなかったいとをかし……。
終始圧倒されっぱなしだったのですが、ほんのちょっと引っかかったこと。大橘の香までごまかせた感じに書いてあるのはどうなんですかね……。幻影ってにおいまで出せるわけでもないでしょうし、まあ強めに香を焚けばいいのでしょうけど。それから管狐は飛べないから鳳凰も宙にいるときは実態ないはずで、そこに矢を射掛けてもすり抜けないでしょうか。「あなや神には矢も通じぬ〜〜〜」ってなるのかなって思っちゃったり、傷を負っても逃げる鳳凰の幻影を見せれば助かったんじゃないかとか、あっでも幻影の忍音でも首は締められるのか……幻影万能ですね?
とても個人的な話なんですけど、ポケストカーニバルの作品読む前にちょうど平安時代が舞台の一般小説読んでいたんですよ。だから若宮とか左大臣とか解説なしに出されても混乱しなかったのですけど、ちょっとキャラ数おおいので冒頭に簡易的な人物紹介は欲しくなります……。その一般書も冒頭に家系図ありましたし。
そんな違和感やとっつきづらさも圧倒的なみやびパワーの前では瑣末なこと……いとをかし……。
終夜さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ぎらぎらした眼差しの若宮さま……既に誰か射殺していそうな若宮さま……迫力が凄まじそうですね。かっこいい。
修正で、本文に多くルビを振ってくださった作者さんのお心遣いに感謝でいっぱいです。
大変に味わい深い作品をありがとうございました。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆☆
うおおおお、Aの一番最初の作品からフルスロットル!
学が足りずに非常に恐縮ですが、作中の短歌をあまり理解できませんでした。是非解説などをお聞きしたいところです。
平安時代の時代背景の捉え方が凄いです。元々知識を持っていらっしゃる方なのか、それとも今回のためにお調べになられたのでしょうか? 会話はとても現代調に喋ってくれるので、内容の理解がとてもしやすかったです。
ポケモンの和名のセンスが面白いと思いました。単純に漢字だけでなく、仮名交じりというのが雅ですね。
氷海さんがとてもお気に入りです。噛ませっぽいけど、きちんと実力を持っている人で物語を良い感じにかき混ぜてくれたなあ。おがあちゃああああん! 忍音と若宮の関係性もすごく素敵でしたし、桜花姫も含めてネームドキャラの個性が強かったのもとても良かったです。
ストーリーも素敵でした。桜花姫と忍音との対峙から一気にクライマックスへ走り出して、九重塔での鳳凰の幻影との対峙からぐおおおっと惹き込まれて読んでました。かあさんの、かたき、に込められたメッセージもとても強く感じました。
虹色の羽根の幻影を見せてまで忍音は若宮を立派な帝にしたっかったんだなあ。もっとエピローグもプロローグもまだまだ読みたい、と思いました。
雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆
 読者の教養が試される話(おい)。
 あの短時間でこれだけ密度が濃い小説が書けるものなのか、と非常に驚きました。一回目は読み切るのに体力を使い、内容はあまり入ってきませんでしたが(え)、二回目以降は「なるほど」と思いながら読むことができました。和歌の意味など細かいところに気付けばもっと楽しめたのだろうな、と思っています。
 若宮は羽を持っていなかったという衝撃の真実が待っていましたが、忍音さんとリーシャンのお陰で人々に「帝」と認められてよかったと思っています。氷海さんが真実をバラさないかどうかが心配ですが、朝廷のことや他の人が氷海さんの話を信じるかどうかを考えたらバラさない、またはバレないと考えていいのでしょうね。
 色々と楽しめる作品をありがとうございました!
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 最初に断らせてください、当方理系でして……いや理系であることを言い訳にしてはいけませんね、中高と古典の時間はだいたい昼寝に費やしてしておりまして笑、また歴史系科目もダメダメときております。この作品を丁寧に読解するための教養が圧倒的に不足しております、「いんようしってなんだろう?(検索)あっこれでおんみょうじって読むんだ……」みたいなレベルの人が読んだ感想であることは、申し訳ありませんがご理解ください。こんなことになるならば真面目に勉強していればよかった……ッ!笑
 と、言いつつも、非ッ常に楽しませて頂きました、読解の苦労を差し引いても心底面白いと思ええた作品です。恥を忍んで申しますが、和歌部分だけでなく意味の分からない単語が多く、調べながら読み進めたわけなのですが、「調べてでも読みたい・分かりたい」と思わせる力がこの作品にはある。それは技巧に富みつつも(+単語の意味が明確に分からなくても)文意の取りやすい絶妙な文章の力でもあるし、それぞれに魅力のありすぎるキャラクターの力でもあるし、怒涛の勢いで進んでいく華やかなシナリオの力でもあるんでしょうね。面白かったです!!
 いかにも時代らしい道具や振る舞い・思惑・光景等の数々、それらを描き出す言葉選び、ポケモンの呼び名など、徹底的な世界観の作り込みが素晴らしい。また豊富な語彙を以て描かれる情景描写は、狂おしいほど鮮やかで、絢爛豪華な色彩が瞼の裏に浮かぶようです。テーマイラストを凶夢として物語の真ん中に組み込んでくる手腕もお見事! 読み返すとどのシーンも魅力的で、何を感想に書くべきか悩むのですが、なんていうか忍音さんがめっちゃ好き……めっちゃ好きなんですよね……。クールで知的で有能で情熱的で健気な彼のキャラクタ性が性癖に刺さりすぎてしんどいです。あの……袖からしれっと《菖蒲鼠》を取り出す忍音さんとか……しれっと《三ツ尾牛》を調伏する忍音さんとか……酩酊して寝ちゃうなんてかわいい有能なのにそんな一面もあるのね……と思ったら替え玉だった忍音さんとか……若宮に睨まれてしどろもどろになってる忍音さんとか……兄宮の幻影で桜花姫を煽ってる忍音さんもかっこいいし……ぼんぐりに入れられて閉じ込められちゃう忍音さんはかわいい。そんで作り物だった今までのすべてが若宮にばれて、今度は……微笑する……忍音さん、

>「時じくに なほし見が欲し 花橘 天の光に 笑み栄ゆるを」
>━━あなたに笑っていてほしかったから。

 ここ……ッ! 好き……っ!! しんどい……っ!! そっそっそしてそのあとの黄金の実にかぶりついている忍音さんはそこはかとなくセクシー!!(ここまじでたまりませんね) そして

>「かあさんの、かたき」

 突然の「かあさん」……ッ!! クッ……!! たびたび幼さを垣間見せる若宮とは違っていままで十二歳(多分)の鱗片も見せなかったのに!! そしてあああ~っ《りいしゃん》の紐を! 紐を! そんな風に!! ああ!! からの若宮が自ずから手をかけああああ~っ!! そして二人は……城都の夜空に……血の滴るような紅葉を吹き散らしながら……ッ!! うっすごい……作者さん!! ちょっとこの高尚な作品にこんなアホみたいな感想を書くの本当に憚られるんですけど、性癖ドストライクのキャラクタが性癖ドストライクのキャラクタに首を絞められる(性癖ドストライクの行為)そして二人で夜空へ……完全に一撃必殺でしたね……本当にありがとうございました(?)忍音さんがぼんぐりに捕らえられたあたりから読者的にもヒートアップして読むのが止まらないという感じなんですが、この終盤がものすごく好きですね。最後、回想シーンに戻って終わる、このラストの一文が、

> けれどこれで償える。誰かのため、命を懸けても何かをしようと思ったのは、後にも先にもこの時だけだったから。

 これがもう……この締め方がもう……余韻がもう……凄いですよね。これが、いつの間にか忘れていた若宮の決意。もう凄い好きなんですよ……本当に頭の悪い感想で申し訳ありませんがめっちゃ好きです……ありがとうございます……
 扇使いの巧みな若宮のキャラクタもすばらしいです(時折見せる年甲斐の幼さとここぞって時に垣間見せる帝王の鱗片のギャップが良い)し、忍音さんとのコンビがものすっごく好き。氷海さんのキャラクタも凄く好きです、ただの噛ませじゃあ全然ないんですよね、強いんですよね。憎きライバルなのに酔って寝てる忍音さんに同情する優しさも持ち合わせているんですよね、とても人間臭い。そして桜花姫の行動も女性らしくて凄く好き……桜花姫のいる場所の描写もすごく好き。美しい光景ばかりでここが見てみたいなあと思うシーンがたくさんあるんですが、血の滴るような紅葉を吹き散らす忍音さんと若宮に並んで、視覚的に印象に残ったシーンでした。あと月見の宴の庭園……あと

> 高い空に鰯雲が満ち、金風が紅葉を吹き散らしては都に錦を織り上げ、川の水を紅に染め上げる。

 雅ですよね……(ほれぼれ)いや好きなシーンがありすぎますね……とりとめのない感想になり本当に申し訳ないです。
 すいません永遠にここが好きと言い続けてしまいそうだ、そろそろ締めます、キャラクタ、シナリオ、描写、全てにおいて非常にレベルの高い作品であると感服致しました。古典アレルギー持ちがこの時代観でここまで興奮できる作品に出会えたことにめちゃくちゃ感動しています、お陰様で少し苦手意識が払拭できたような気がします……!!笑 
 投稿お疲れさまでした!
春さん
評価:☆☆☆☆☆
 忍音と若宮の掛け合いが楽しかった。気安い関係性であることがうかがえる。ただちょびっと気にかかったのは、地の文がしっかり雰囲気を作っているだけに、時代背景に沿った単語はともかくとして、会話が現代的にすぎるように感じた。地の文とのギャップがあると思う。地の文を現代にもう少し寄せるか、逆に会話部分をそれらしくした方が調和がとれるのではないか。
 主な筋はたぶん①若宮の元服(縁寿の舞の完遂?) ②桜花姫の策謀 ③忍音の正体 ④氷海との確執 ……かな。桜花姫と忍音のくだりがやや唐突に感じられた。シーン自体の密度は濃く、一応つながっているはずなのにバラバラしているようにも感じられた。ストーリー全体を貫く筋があいまいになっている、のかなと思う。そのため読む側としても理解力と処理能力が求められた。また、展開についていくのが精いっぱいになって、登場人物の心情を理解したり、入っていくのが難しかった。作者さんも展開をさばくのが大変だったのではないだろうか。もし私の読解力不足などが主な原因であるなら申し訳ない。氷海は終盤で美味しい役目にいるので、もう少し対等なライバル感があってもよかったんじゃないかなーと思った。完全に終盤近くまで三流小悪党全開であまり好きになれなかったという個人的えり好みもあるかもしれない。
 主人公はおそらく忍音? 若宮かとも思ったけど、物語の中心人物ではあるがシーンとしての露出が忍音の方が多いかったため、そう判断した。もし若宮だったのなら、シーンの展開は東宮を中心に寄せた方が良かったと思う。忍音とするなら、序盤の始まりは忍音に寄せたシーンにした方が良かったのでは。主人公がどちらかはっきりせず、視点の置き場に少し困った。忍音の心情は終盤になってようやく垣間見えてきた気がする。読みつつもいまいち何を考えてるのか分かりにくかった。人物の関係性や陰謀によって展開を転がしていく手腕は見事だった。なので、キャラクタの心情をもっと伝えてくれると嬉しい。東宮の性格は好き。忍音は切れ長の瞳の涼やかな美少年で脳内補完してました。
 文章自体は読みやすいが、一文一文が長くなりがちで読んでると息切れしやすい。前半部分の文章は修飾語句が過剰なようにも感じられたが、後半は読みやすかった。
 物語の後半に入っていくと、舞台がジョウト地方のエンジュであることが判明する。最初は並行世界的な話かな、と読んでいただけに、ちょっと嬉しかった。
 キャラや設定、地の文は良かった。展開の密度も組み立ても良かった。主人公が東宮と忍音とどっちつかず感があったので、どちらかに絞って書いた方がより心情が強く伝わったしまとまりも出たと思う。〆が若宮だったので、主人公は結局若宮……なのかな。なら、なおさら若宮の出番を増やしてあげてください。
「あなたももう元服なさったのだから。……どうか自身で決断を」
のシーンとセリフはめっちゃ好きなので、若宮中心に改稿されることがあればぜひはせ参じて読みたく思います。あと「次、ふざけた真似したら殺す」も地味に好き。若宮自身のキャラはとても好きです。それだけに若宮の心情をもうちょっと知りたかったな~と思ってしまいます。
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆☆
 何が凄いって、これがポケストカーニバルの二番手を飾っているところですよね。どれだけ筆の早い御方なのでしょうか。
 自分には幸い平安王朝の知識が残っており、和歌も多少(ほんとに多少)なりとも読めるので、入りで躓くことなく、世界観の再現に圧倒、翻弄されながら楽しむことができました。この「あはれ」な雰囲気にゾロアやゾロアークはすごく合ってましたね。
さすがに台詞まで古文調にするといよいよ読めなくなりますからそこは仕方ないですが、現代語風にくだけた言葉で古語を訳すとこういったやり取りに近付くんじゃないかと思いました、なんとなくですが……。作者さんが「読ませる、読んでもらう」ために苦心・工夫していらっしゃるな、という印象を抱きました。
 さて、お話の中身としては、完全に権力争い、感覚的に古典を読んでいるようでした。流れにも無理がなく、全編に渡ってどのキャラクターも強いクセを持っており、それがストーリーの中に活きていた印象です。和歌なども含め全てを理解しきれたわけではないのですが、忍音の、幻影に頼ってでも偽りの王を仕立てようとする強さが素晴らしいなと思いました。この作品では、氷海さんと忍音さんが好きですね。あと、随所に登場する「ぼんぐり」を旧モンスターボールと見立てているから、使い方が光っていました。重要な局面でボールに戻す、を二回ほど使われていたかと記憶しています、アツい展開でしたね……。
 最後のホウオウの文章がめっちゃ好きです。ちょっと自分の読み込み不足で最初ホンモノかと思い込んでしまったのですが、他の方の感想などを拝見して、忍音がホウオウに化けたのかなあという解釈に今は落ち着いています。あの後忍音どこいった? みたいな感じですしね……。それに本物は現れない、と作中で説明されてますし。ですが、本物が光臨したかと思わせるほど、荘厳な言葉遣い、伝説の威光、筆致を感じさせるすさまじい文章でした。ちょっとここは読んでいて、万歳。万歳。っていう言葉の連呼がどこか神や帝王を称え崇めるような響きを持っていたことと、クライマックスの興奮と合わさって内からゾクゾク震えましたね。
 自分が今まで読んできた古典系のポケモン小説として最高レベルのものを読ませていただき、大変感動しております。今大会の中で一際異彩を放ちながら、高い完成度を誇る作品でした。
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 テーマA個人的トップ3の一角です。
 こういった教養にあふれる作品は大好きです。時代背景に即した用語の数々、それらに併せて考えられた"化生"の表記。僕自身はこの時代のことには疎い人間なのですが、そんな僕でも作りこまれた世界観を深く感じることができて、リアリティに富んだ『ポケモン世界の平安時代』を垣間見ることができました。この緻密な世界観をもつ物語を2週間弱で作り上げた作者様の力量には敬畏の念を抱かざるを得ません。
 また、これだけ独特の世界観を描いていながら、ポケモン原作にちなんだ小ネタをあちこちに散りばめているところも見逃せないポイントです。カントー地方やジョウト地方の地名の元ネタ担っている色の名前を物語に出したり、カロス地方の地名の由来になっている単語を地の文に盛り込んだり。リーシャンが産まれたばかりの殿舎で清めの香が焚かれているところなんかは、かなり凝った作り込みだなと思いました。
 そして物語そのものも素晴らしい。登場人物はそこそこ多めながら、陰謀渦巻く宮中で動くひとりひとりの人間のバックボーンがしっかりと描かれているのはポイント高いですね。難しい言葉も多いながら、それをものともせずに物語にのめり込める力の源がまさにそこにあると思います。若宮と忍音が最後どうなったのかは解釈が分かれそうですが、ラストシーンの"命を懸けても何かをしようと思ったのは、後にも先にもこの時だけだったから。"という文章を見るに、やはりふたりとも……と僕は思っています。
 読むだけでもハイレベルながら、力を注ぎ込んでも読む価値がある、と思わせてくれる素晴らしいお話をありがとうございました。
逆行さん
評価:☆☆☆☆☆
 またこれは一発目から色んな意味で凄いのが来ましたね。良くこの短期間でここまで密度の濃い物を書き上げたなあと作者さんには感心するばかりです。  
 実を言うと自分は理系なんですよね。しかも工学系だから全然古文漢文も勉強してないし、歴史上の人物もフランシスコ・ザビエルしか知らないような有様でして……。なのであんまりこの小説の時代背景を把握出来ないまま読んでしまった所があります。とりあえず『譲位』っていうのはようするに『社長交代』ってことで良いんですかね。たぶん、だいたい合ってるはず、うん。 
 なんとか知識が無いなりに感想を書いてみようと思いますが、もしかしたらだいぶずれたことを書いてしまうかもしれません 。その場合はスルーをお願い致します。たぶん古文漢文を大学でみちっり勉強している人とかがちゃんとした感想を書いてくれると思いますので(いやでも専攻の人いるのかな?) 
 何が印象に残ったかなあって思い返したとき、凄いキャラクターが魅力的だったなあっていうのがありました。若宮も忍音のキャラも立っていて可愛らしい感じで非常に良かった。二人の距離感も程良い感じでしたし、この時代のポケモンとトレーナーの関係だなあって感じました。完全にパシられているシーンとかもありましたけどね。まあでも最後には、若宮も忍音のために何かをしようって思っていたことを思い出したのが良かったです。二人の友情を感じました。 
 でもやっぱり読みにくいっていうのはどうしても感じてしまう所ですかね……。読みやすくしようっていう配慮が全くなかったという訳ではなくて、会話文の所は現代調にしたり、主語をなるべく多めにしたり(本来の古文は主語が省かれているせいで理系のやる気をことごとく削いていく)様々な工夫が施されていたように感じます。後個人的にありがたかったのは、一から四まで番号を振って区切りを明確に分けてくれた所。中々これを一気読みするのは疲れるので、一を読んで休憩、ニを読んで休憩、みたいな感じで、途中で区切りながら読むことができてすごい助かりました。ただ、ただ、そこまでやっても、まだやっぱり読みにくいんですよねえ。知識がない人にとっては辛いですね。仕方がない所だと思われます。 
 強いて改善点を挙げるのであれば、キャラに皮肉や冗談はあまり言わせない方が良いかなあと思います。特に前半ですね。頑張って読解しようとしているときに皮肉や冗談が出てくると、頭がこんがらがってきちゃんですよね。皮肉や冗談は控えめにして下さると、少し読みやすくなるかなあと思います。 
 前半は読解するのに必死な感じだったんですが、後半になってから徐々に物語に入り込むことができました。忍音がボールに閉じ込められてからは夢中になって読みましたね。こういうポケモンの世界観からワザと遠ざけている作風で、「ポケモンの話だ!」っていうのが明確に分かるような描写が入ると一気に惹き込まれます。 
 若宮が最後に鬱屈した暮らしの中で忘れていた決意を思い出し、最終段落でその決意を抱くシーンを描くというのは非常に美しい幕引きで印象に残りました。古文苦手で読むの苦労したけど読み終えて良かった!って思いました。余韻の残るお話だったと思います。 
 非常にレベルの高いお話であったことは間違いないと思います。これを書くために作者さんはこの時代について丹念に調べたか、あるいは、タイムマシーンでタイムスリップを繰り返したのではないかと想像致します。とてつもない熱意を感じました。 
 ただ自分の知識がちょっと追いつかない部分があって、そこは申し訳なかったなあと感じているところでありま
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆☆
 ねずみとみかんのシーンで「ああっ晴明の」と気づき読みながらにやけてしまいました。古典の類には明るくないのですが、まだまだ小ネタが隠されているようですね。
 小ネタといえば、ポケモン側もきよめのおこう、のろいのおふだ、かがやくはっぱとふんだんに織り交ぜられていて親しみやすいのがよかったです。
 忍音、隙のない子かと思ってましたが実は健気な子だったんですね。とてもすきです。
レイコさん
評価:☆☆☆☆☆☆
 すごい……です。作者様は現代の紫式部かどなたかであらせられるのでしょうか。古文調のポケモン二次小説というものが大変好きでして、しかし自分は謙遜でもなんでもなく知識も文才も欠けていて自給自足できないので、拝読できたことを嬉しく思います。実在の古典は主語が抜けていたり語句の意味が違っていたりとトラップだらけで、内容を味わうより正しい文章理解に気を取られるのが苦でしたが、こちらの作品は地の文の隅々まで耳触りのよい和の表現が美しく、古き良き日本語ともいうべきエッセンスを堪能できました。ここで私の読解力のなさをさらすのは野暮ですけれども、なぜ忍音とその母が共謀して若宮を東宮に仕立て上げたのか、分かりませんでした。それこそ、若宮のためを思うなら虹色の羽で一芝居打つよりも、臣籍に下った方が平穏無事な暮らしが叶ったのではないでしょうか。狐の親子に若宮を利用した先の別の野心があった、と考えるなら筋も通りますけれど、忍音の若宮への献身を見る限りでは下心など見えません。後味が良い結末とは言えませんが、氷海殿が生存ルートだったのがせめてもの救いでした。笙とショオー!はゲーム本家様も雅な言葉遊びを狙ってるんですかね、気になります。投稿、お疲れ様でした。
早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆
 この速度でこの密度のものが出てくるとは……。そこがまず凄いですね。僕の教養で読めているのか甚だ疑問ですし、評価がなんとも難しい……。非常に文章を読み進め辛いのは、僕の教養が足りていないのか、こういう文章に慣れていないのか、いろんな理由があるのだと思いますが、なんにせよそこを評価基準にするのは違うんだろうなあと思っています。しかしこれはわざとなのかどうなのか、後半になるにつれて話が入り込みやすくなってくるというか、だんだん話が腑に落ちてきて、終わったときにはおお……ってなりました。まだ読み切れていないところがきっとあると思うので、評価としては何度か読んだ現時点で星をつけさせていただきますが、またゆっくりゆっくり読んでみたいですね……。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 Aの一作目にこんな大作が来るなんて誰が予想したでしょうか。いや、ない(反語)。
 エンジュのあの京都モデルの雰囲気から平安時代な世界観を描き出す発想それ自体もとても良いのですが、その平安貴族の生活の中にポケモンを混ぜ込むという点で完璧にそれを体現してみせた、その筆力に感服であります。ポケモンを調伏してみせる催し物とか、占術比べとか、ぼんぐりみたいな道具を呪具と呼ぶところとか、そういうところに世界観の作り込みを感じますね。にじいろのはねを託される選ばれた人間=次の帝という設定はすごい説得力ありました。それこそ伝説のポケモン=神に近しい存在みたいな観念を抱いている私としてはストンと腑に落ちた感覚です。作中の描写も時代背景に沿ったものを選ばれているように思えて、レベルが高いなあと。まあ私自身は別段古文の知識があるわけでもないので、雰囲気でそう感じたっていうふんわりとした感想になってしまいますが。
 緻密に練られたストーリーの中で、若宮と忍音の関係性というのが実に濃く描き出されている、そんな印象です。世界観に圧倒されがちですが、物語の所々で和歌を詠み合うところに、二人の通じ合ってる感がよく表れていると思います。この作品内での和歌って現代的なセリフの中で雰囲気ががらりと変わる決めゼリフ的な使われ方をされているのだと思います、それも素晴らしい。
 忍音のスタンス、たぶん「破滅してもいいから若宮の笑顔が見たい」であり、かつ「破滅するわけにはいかないけど非情に徹しきれない」みたいな感じだと解釈しています。氷海に負けてやるつもりだったけど、というくだりがそれを如実に表しているのではないかと。自分の術を術と見抜けるのは氷海どのしかいない、というセリフもありましたし、逆に言うと氷海というキーパーソン(みっともないシーンもありましたが、忍音は随所で高く評価していますよね)がいなければほとんど忍音の思惑通りだったみたいですし。そこからして忍音の目的は「若宮を帝にすること」よりも「若宮を喜ばせること」だった、そのためにどこか短絡的になってしまった忍音の詰めの甘さというか、そういうところに人間臭さみたいなものを感じて素晴らしいなと思いました。実際ポケモンだったわけですが、ずっと人として生きてきた彼の、感化されてしまったみたいなところを描き出すのが上手いなあと。
 兄宮あるいは桜花姫の手の者がホウオウに矢を射かけるところがちょっと引っかかったですかね。財力と権力でどうにでもなるみたいな忍音の考察がありましたが、羽根を無くせば礼を欠き流罪になるレベルの存在、これを討ち取るという大罪をそう簡単に塗りつぶせるものなのか(そもそも討ち取るとかできるのか)? みたいな感じの疑問です。ホウオウは偽物=管狐であると知っていること前提かなと思ったんですが、忍音にそのあたり自白させた描写がない以上、そういうわけでもなさそうです? 奇襲で討ち取れれば勝ち、でなければ負け、みたいなかなり危ない賭けに出るほど、兄宮もやぶれかぶれだったのかもしれませんが……ホウオウありきの帝政そのものから全部ぶち壊せばいいと思ったのでしょうか……。ここを含め、忍音の兄宮に対する呪詛返し(兄宮を亡き者にして若宮の地位を盤石にしようとした?)とか、氷海にぼんぐりの中身は忍音だと教えなかった理由(氷海のプライドが折れるから?)とか、私なりに理解はしましたが、そういった説明が欲しいところはありました。私としてはそのへんを考えるのはとても楽しかったです。
 あと、和歌はざっくりとニュアンスを読み取るのが精いっぱいでした……。申し訳ない。魅力的ですが、読むのに詰まってしまったところではあります。
 作者さんの知識と技量の為せる業、物語全般に散りばめられており、読み応えのある一作。「人を化かす」能力を存分に活かし、謀略の匂いを漂わせ、最後のシーンの使い方も上手い、総じてハイレベルな作品だと感じました。
Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
A部門トップバッターとは思えない密度、そして熱量!
ポケモン世界の平安時代を極めて緻密に描写しており、香として使われるマダツボミや陰陽師の式神として存在するキュウコン、皇位継承に影響を及ぼすホウオウの羽などその時代背景を巧みに利用したポケモンの配置が非常に面白かったです。
お題の取り込み方をみても、若宮の故郷「黄金の国」に佇む橘=オボンの木にかかるホウオウの虹、またオボンが木から落ちることまでも取り込んで若宮に降りかかる事態を暗示した凶夢とした処理法、そしてそれが現実となって作品後半にかかってくる伏線としての使い方など、とても巧みであると思います。
しかしその緻密な平安描写は読む側にも大量の事前知識を必要とし、また巧妙に張り巡らされた伏線や忍音の虚言、和歌によって比喩的に伝えられる登場人物の感情など小説の技巧としても高度なものが多く使われているため、フェス作品中でもかなり難解な作品となっていると感じました。
ですが物語の芯となる部分、気の置けない友人にして主従である若宮と忍音の「何をしてでも報いる」という互いへの情が生んだドラマは十分に現代にも通じるものであり、そこはしっかりとブレなく描かれていると思いました。
わやさん
評価:☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
一葉さん
評価:☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
茶兎さん
評価:☆☆☆☆