消えなかったものの感想

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆
面白い構成でした。
記憶をだんだんと遡っていくたびに徐々に欠けていく様子が表現されていたのが素晴らしい。確か最初に読んだときはこんな演出じゃなかったような…?もし途中で思いついて加筆修正されたならお見事です。

記憶を移す、とんでもないお話。
キルリアは先に記憶をなくしていて、主人公もだんだんと記憶をなくしてしまう。お互いにすべてを忘れてしまうのはつらいから、自分の記憶をパートナーに渡す選択肢を選んだんですね…自身はリセットされてしまっても、大切な相手が大事なことを覚えていてくれればそれでいい、素晴らしい愛情の形だと思います。
きっと二人なら新しい生活もうまくやっていけるのでしょう。種族間を超えた愛情…。

麻酔をかけているのに脱水症状を訴えているところはちょっとひっかかりました。あとは三点リーダの数が二文字に統一されていないことと、文頭の一文字空けができていればいいなあと。
記憶をナンバリングで辿りながら思い出を振り返るって構成はとっても好きです。このアイディアは素晴らしかったです。
カイさん
評価:☆☆☆☆☆
記憶移植の後半、■のノイズで表現されたパートでは、なんだか不意に目頭が熱くなりました。雅とキルリアの美しい愛情。悲惨な事故と難解な手術をテーマとした、ともすれば重い話ではあったかと思いますが、きっとこの二人はまた幸せな時間を築いてくれるだろうと、爽やかな読後感のある物語でした。お題の使い方も違和感なく上手いです。
終夜さん
評価:☆☆☆
記憶喪失モノか~。自分がもしそうなったら、と考えるとなかなかきついものがありますが……個人的に、まずこの作品のお医者さんに関して色々と突っ込みたくなりました。
「うーん、確率は分からない。なぜならつい最近やっと確立された技法だからね。でも最善を尽くせると私は宣言できる」
つい最近の技法で確率が不明なのに、なぜに最善を尽くせると彼は断言できるのでしょうか?さてその自信は一体、どこから来ているんですかね……。
「ただその説明をした時にも言ったが、君の記憶が現存している時間には限りがある。もし君が覚悟を決めて、サインをする力があるのなら、私は今日すぐにでも開始するつもりだ」
えーっと、そんな性急な言い方ではもはや、患者にとって脅しに近いのでは……?
「先生、これで手術はすべて終了しました。……患者は麻酔が切れましたが……まだ…」
「バイタルに問題は無い。きっと今に覚める、…一人にしてやろう」
いやいや、たとえバイタルに問題なくても術後の患者を一人きりにしておくのは医療関係者としてどうなんでしょうか……?
この病院、大丈夫かなあ(汗)
主人公・雅さんとキルリアちゃんの再会場面やそれまでの記憶が抽出されていく場面は良かっただけに、お医者さん関連のあれこれがどうにも気になってしまい読後感すっきり、とまではいきませんでした。
登場キャラは雅さんとキルリアちゃんのみに絞っても、良かったような気がします。
あすぺふさん
評価:☆☆☆
記憶を失うときに■で隠れていく技法が特徴的でした。確率と確立のシャレも夏にぴったりですね。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆
記憶が抜け落ちても、そこに至るまでの過程を、体が覚えていた、ということでしょうか。キルリアに預けた記憶の通りに、雅さんは歩んでいくのですね。そして、キルリアはもらった記憶を確かめながら、雅さんを見守るのですね……切なくてあったかいお話でした。数字を若い順に遡ったら――このような形の書き方があるのだと、一つ勉強になりました。
砂糖水さん
評価:☆☆
細かいこと言い出すときりがないんですけど、そういうの全部置いておきましょう。うん。この作品はそういう話だと思うので。
美しいですね。好きですこういう話。美しくて愛に満ちている。愛、愛ですよ。もはやわたしには書けない、美しく純粋な愛。素晴らしい。
全部置いておくって言ったけど一個だけ。手術の提案を医者からするのは違和感が。人間である主人公が記憶を失うことは主人公の心情以外にメリットはないはずで、それを医者から提案するのはなあ…と。
他はまあ、いいんだよ、これでいいんですよ、美しい話なんだから。
コメットさん
評価:☆☆☆
物悲しくなるような後読感を覚える作品でした。近いものから順に記憶の欠片が溢れ出てくる辺りなんかは胸に来るものがありますね。一人と一匹の未来が、これまでの思い出に負けず劣らず輝かしいものになる事を祈るばかりです。
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆
消えていく、大切な記憶の走馬燈。
もう一度彼らは始めていくのでしょう。切なくも、前向きな話だと感じました。
しかし、人の言葉を覚えるポケモンというのは物語で度々見かけますが、ポケモンの言葉を覚えた人間というのは珍しいパターンですね。
これが、愛の力……
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆
泣かせてくるタイプの怪文書。ナンバーが徐々に減っていくのは心にぶっ刺さりますわ。昔の記憶に遡るほど欠落があったり、アニメとかの映像媒体よりもストレートに伝わる小説的演出でした。あそこの流れを読めただけで満足感がすごかったです。
でもこれ手持ちがキルリアだから成立する話ですよねーーーこれがカメテテとかミノムッチだったら感動しないんだろうなァって思うとなぜか複雑。安易な可愛い枠のポケモンより、御三家とかのが友情をストレートに訴えられかつ違和感もなかったのでは。記憶を遡る上での出会いのシーンも想像しやすいですよ。
さねたかさん
評価:☆☆☆☆
正直に言って医者の話しぶりに始まって臓器移植の説明や、記憶の抽出と移植などなどあり得ない設定の連続でしたが、なに、SFならばしょうがない。自分はこれをSFと受け取りました。というのも医者と看護師が主人公から抽出される記憶を観察している描写が挿入されていたからです。完全にSFだ。
ところでここは本当に病院なのでしょうか。なにかの実験室に主人公たちは運ばれてしまったのではないでしょうか。記憶を喪いつつある怪我人に付き添いも与えず重要書類を与えるなんて、まるで悪の医者!見舞客も来ないですし、怪しい。
ここからやや真面目な感想。
大切な相手との思い出のみを喪うのなら、ヤルキモノとの戦いで受けたダメージだと都合がよすぎると思います。いっそエスパータイプのポケモンにしたほうが説得力があったと思うのですが、なにかヤルキモノでないとダメな理由があったのでしょうか。
SFとして面白いな、と思うのはおそらく作者様の狙いではなかったかもしれませんが、私の枯れた情緒では多くを受け取れませんでした。申し訳ない。でも面白かったです。
秋桜さん
評価:☆☆☆☆
有無を言わさない強固なものを感じました。これはハッピーエンドを迎える。
あまもさん
評価:☆☆☆
最初の一文でぐっと物語に引き込まれました。消えていく記憶の演出が切なかったです。どちらか片方しか持たない記憶、完璧なハッピーエンドとまではいかないまでも、大切なキルリアのために全てを捧げることができて、これからまたキルリアと新しい未来を作っていける主人公の気持ちは、本望なところもあるのかもしれないなとも思いました。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆
改稿の使い方が素敵です。
わたし自身、改稿によって大幅に作品に手を加えるのはあまり好きではないのですが、この作品はとてつもなくうまい!
改稿以前はで文字が隠されていなかったんですが、改稿後は見えなくなっていました。そのに該当する記憶は何だったかな…、と悩む様は本当に主人公の追体験のようで、巧みだと思いました。
再び術後にキルリアと会った時、失った記憶から逆順でキルリアにルビーのような瞳、だとかポケモン語を習得するね、と言うのが綺麗です。
お題の使い方もとても好きでした。
余談ですが、人間がポケモン語を理解しようとする、というのも、逆こそよくあるんですがこれは目新しさを感じました。面白い設定だと思います。どうやって習得するんだろうなあ。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
忘れてしまった後のキルリアとの再開シーンで無条件に泣いてしまうので冷静な感想が無理になってしまうのですが…
雅の記憶。まずは新しく具体的なエピソードがいくつも語られ、その中のちょっとしたやり取りや何気ない仕草の描写が、二人の重ねてきた絆の深さをしっかりと物語っています。
ここで語られるキルリアの無邪気で活発な様子が物凄く可愛らしくてもうそれだけで胸が痛くなります。特に雅が小さい頃に使っていたバスタオルを「雅の子供の匂いがする」と表現する場面に、いつ読んでもストレートに涙腺をやられてしまいます。
だから、少しずつ記憶が短く不鮮明になり、言葉にできなかった記憶のほうが多くなっていくところ、一言、一言、水滴をこぼすように、伝えたかった気持ちや思い出が絞り出されていくところでは、私も涙をこぼします。
そして全ての記憶を移植し終わり、キルリアと再開するシーンは、それまで語られた記憶の断片を思い起こさせる単語や小道具がそこかしこに散りばめられていて、締めの一言までが映画のワンシーンのように美しいです。
一万字にも満たない短編なのに、二時間の映画を見終わって証明ついても席を立てないときのような感覚になりました。ありがとうございました。
Pさん
評価:☆☆
主人公を襲う突然の「きゅうしょに あたった!」そうですね、普段つい普通に流してしまいますが、順当に考えると大変なことになりますよね。
命が消えそうでも記憶が消えても、消えなかったものは想い。記憶にまつわる話では王道のラストを迎え、二度目のはじめましてを交わす主人公達の姿が眩しいです。
しかし話の核となる手術、その内容は分かるのですが、想像されるものと描写されるものがどうにもズレているような気がして自分の読みに自信がなくなってきました。
てっきりストーリー中で遡っていくエピソード記憶の主体になる(主人公側が体験した記憶をキルリアが持つようになる)のだと思っていたんですが、ラストを見るとそうでもない様子。
ラストのキルリアさんは「記憶を失っても主人公が同じ事をした」からつい涙を流したんだと思っているんですが、それはキルリアさん自身の記憶と整合性がある=キルリアさん自身の記憶が残っているせいでは、と思っていました。しかしそうなると「キルリアはトレーナーとの思い出を完全に失った」という記述に矛盾してしまいまして。
この点に関してはぜひ作者さんのお話を伺いたく思っております。
しかし展開されていく数々の思い出とその美しさは、まさに作中での言及通り「とてもありふれていて、どうしようもないくらいに美しい」もので、その言葉を噛みしめるように実感していました。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆
世界仰天ニュースとかでありそうなエピソードですね。愛情は物質からできているけど、確かに愛なのですよね。
記憶が無くなっても、またキルリアを好きになれる予感がするいいラストでした。
徐々に記憶が消えていく時の黒塗り描写もグッドでした。
凄く細かい所ではあるのですが、隠す文字はもっと推測できるかできないかギリギリのラインを攻めても良かったかな、と思います。
最後は懐かしみよりも懐かしさと言った方が、それらしい気がします。最後の最後で違和感のある表現だったので、凄く惜しい気分でした。
雪椿さん
評価:☆☆☆
バトルにより主人公との記憶を失ってしまったキルリアのために、主人公が記憶を渡すという話。
編集前は番号(記憶)が段々と少なくなっていって最後に1が来て、という感じでしたが編集後では番号が少なくなるにつれ、薄れているのか穴だらけなのですね。時の移ろいと共に記憶が薄れている、という感じが出ていていいと思いました。
主人公から記憶は消えてしまったものの、タオルや目の件など確かに「消えていなかったもの」があるとわかる描写があり、なるほどと思いました。二人はこれからどのような「新しい」生活を始めるのか、楽しみですね。
ionさん
評価:☆☆
ハッピーエンド!文句の余地のないハッピーなエンドじゃないですか!
結果的には『消えたもの』は時間だけだったというか、彼らの関係性の復活が予想される。聞いていた話から残酷な世界に咲いた美しさ的な話を予想していたけれど。
どっちかが死ぬ的な。

序盤、脳にも肉体にもダメージが深そうな記述が重々しくありますが(すごいことだと思います)、このあと回復したのでしょうか。
それとも、ダメージが深い事実も忘れているだけで、ほんとは語り手っていうか主人公はもうすぐ死ぬ運命にあるのかなあ?

語り手とキルリアは街のために自己犠牲ができてしまう人間だったんですね。
『(自分を大事に思ってくれているひとたちのことにも関わらずに、)
自己犠牲が”できてしまう”、』と二次元キャラを表現するネット上の書き込みもありますが、その辺どうお思いでこの作品書いたのでしょう。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆
テーマBの涙腺崩壊枠。ストレートにシリアス→希望の未来へ繋いでいく物語がとても暖かで、素敵でした。削れていく記憶、失われた想い出。脱水症状を起こすほどの涙は失ったものの大きさを伝えてくれて、なんというか作中の医師の立場(立会人)に読者を引きずり込んでくれました。お題の消化方法もとても素敵ですね。この発想はなかったです。本当に彼らの記憶は「とてもありふれていて、どうしようもないくらいに美し」かったです。僕は実は改稿前を読んでいないのですが改稿前の文章は黒での塗りつぶしがなかったそうですね。塗りつぶしが無かった方が、あった方が、と意見は様々のようですが、僕は(改稿前を読んでいないので全く説得力はないのですが笑)黒塗りで破損していく記憶を表すのはとても好きでした。
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
とても好きな雰囲気の物語です。
しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆☆
うう、切ない……私こういうのに弱いんですよね……!何気ない日々も、失われる寸前になるととても美しい記憶になるという……ね……
主人公のキルリアに対する想いも本当に美しくて、涙が出そうになりました。キルリアは主人公と再会したとき何を思ったのかな……?
彼らにはもう一度素敵な記憶を作って欲しいなと思います。良い作品でした……!
48095/坑さん
評価:☆☆☆
 記憶をなくしても、キルリアの瞳をルビーみたいだと思う感性は消えなかった。きっと二人はこれからトランプしたりオセロしたり、ポケモン語の習得に励んだりするんだろうなと思うとほっこりしました。
はやめさん
評価:☆☆☆
 記憶の転移ってすごいな! 医療的アプローチが合ってるのかどうか自分には分からないので、そこは触れないようにします。
 お題の使い方が面白いかなと。記憶違いでなければ、確か初稿段階では■による記憶のぼかしは無かったと思います。再読したら徐々に消えていく描写? があるんですね…これは上手いなと思いました。
 ふたりにとってはゼロからのリスタートになるわけですが、きっと仲良くやっていけるという気がしました。
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆
 臓器移植した患者に記憶や趣向が引き継がれる云々は実話を元にしたのでしょうか。まあ科学的に証明されているわけではないようですが、切り口はとてもすきです。現代ではその件に対して色々と説が飛び交っているようなのに対し、この作品の世界は解明積みでさらに応用をして記憶をいじくる技法が確立しているみたいですね。様々なポケモンが存在する世界ならばそれも可能でしょうし、作品がここからどう展開されていくのか楽しみでした。
 いやあ、まさか、こうくるかあって感じでした! 断片記憶を新しいものから古いものへ順に開放していく感じ。記憶が消えていく主人公の状態ともかみ合っているんですよね。記憶のある最初の方は新しい方のお記憶で、記憶を失った終盤の方の記憶は『君の名前は』。記憶の抽出が終わってからの現実世界では、記憶がもとに戻ったキルリアを前にして、失った記憶の古い順番から再生される流れ……。ベタですけどすきです。作中では『新しい記憶→古い記憶→また新しい記憶へ』という風に、なんというか説明が下手で申し訳ないのですが、往復している感じをうまく表現できていると思いました。カーナビをいじくるキルリアがかわいかったです。
 作品投稿、お疲れ様でした!
春さん
評価:☆
 脳の破損で記憶を徐々に失うって実際のところあるんでしょうか? 脳の破損部位っていうと記憶よりも運動能力や聴力視力、反射などへの影響の方が先な気がします。記憶が徐々に失われていく……というより、外傷による結果なら、一気にぶっ飛ぶ印象です。記憶ってどの記憶がどの程度消えていくの? 記憶と一口に言っても、色々あるでしょう。それに記憶が失われていくのなら、付添いの人がいなくていいんですか。記憶が定かではない人間を独りで入院させるのは危険すぎるでしょう。それに医師が判断するとすれば客観的な部分だけだと思うので、「君の記憶は徐々に失われていく」と宣告するのは難しいのでは? 記憶が失われていると判断できる線引きはどこに? 普通に「記憶がぶっ飛んだらしい」と話すのでは駄目だったのか? いまひとつそこら辺の理由付けが難しいのなら、わざわざ医師に宣告させなくても「原因不明」として記憶が失われていくことに関して主人公に勘付かせた方がリアリティがあったのでは?どうも序盤のその点が気になっていまいち集中できません。それに手術には術前の準備や打ち合わせが存在します。ましてや難しい術式なら相応の準備が必要になる。意思決定をして「じゃあ今日やろうか」は事実上不可能かと。いくら切り開いたりしない手術だからといって、早すぎやしませんか。ついでに言うなら麻酔で眠っている人間に水飲ませていいと思ってるんですか。肺に水が入って誤嚥ですよ。誤嚥性肺炎に繋がりますよ。脱水の危険があるなら点滴繋ぐなりしたらいいじゃないですか。ちょうど寝てるんだし。麻酔かかってる人間を独りで放置するのもあかんでしょう。麻酔がかかってる人間は舌がのどに詰まって死ぬこともあるんですよ。ていうか手術室に置いてくのは邪魔極まりないじゃないですか。病室に戻しましょうよ。
 全体的に突っ込みどころがあり過ぎてなんともいえません。よく知らないことをふわっとした想像で書くと碌な事にならないと思います。最低限の下調べは必要だと思いますし、無理だと思うならわざわざ書かない。突っ込みにくい状況を作ることを意識した方がいいのでは。記憶に関する手術だけなんだし、無理に病院に突っ込まなくても怪しげな人物が怪しげなポケモン使ってなんかしたら交換できたとかでも良かったじゃないですか。その方がまだマシだったと思います。
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 切なくなるお話でした。しかし疑問も残りました。主人公は徐々にキルリアとの記憶をなくしていくと医師に告げられ、キルリアはすでに失くしてしまっているんですよね。ふたりともそれほど脳にダメージを受けている状態なので、一方に記憶を移植をしたとしてふたたびその記憶が薄れていく可能性はないのでしょうか。主人公は自分の完全の記憶がキルリアから失われたという辛さを知っているのに、記憶の移植でその同じ苦しみをキルリアに背負わせるということは考えなかったのでしょうか。自己犠牲精神の美徳よりもなんだか、主人公の意思一つですべてを決定されてしまったキルリアが不憫だという印象のほうが残りました。キルリアとの記憶が抽出され、淡々と呼び起こされていく場面展開、大切な思い出や想いがぼやけていく、伏字の表現が悲しかったです。ふたりの「初めて」の生活の多くの幸福が訪れますように。投稿、お疲れ様でした。
浮線綾さん
評価:☆☆☆
 切ないけれど希望を感じさせますね……
逆行さん
評価:☆☆☆
 一言で言うならば「考えるな感じろ」というお話でした。たぶんあまりこういうお話は面倒くさいことを考えて読むべきではないのだと思います。 
 冷静に考えると記憶の移植をするとかできる訳ないんですよ。そう。現実的なことを考えてしまうと、途端にこのお話に入り込めなくなってしまう。ある意味読み手側の読む時の態度によって大きく印象が変わる小説だなあと思いました。自分も何回かこのお話を読みましたが、読むたびにコロコロ印象が変わります。 
 この話の凄い所は記憶をなくしていくときの演出でしょう。キルリアとの思い出を一枚一枚提示していき、更には記憶が失われていることを示すために所々、穴埋めにしている。こんなやり方があるんだなあと感服しました。 
 途中で『ポケモン語』を習得していたのだなってことも分かるし、各エピソードから二人の関係性が分かります。ポケモンと人間の恋愛的な小説を読むとこっ恥ずかしくなることも往々にしてあるのですが、このお話はそこまでベタベタしている訳でもなく程よい感じで良かったです。いやベタベタはしてるんですけど、断片的な記憶として描かれているので割とあっさりしている感じでした。 
 ちょっと分かりにくい箇所もあるかなあ。ヤルキモノに襲われた→キルリアと主人公は記憶を失った、って流れが最初は理解ができなかったです。キルリアと主人公が両者とも脳にダメージ受け、生きてはいるが記憶を失っている/失いかけている、っていう状況があまりにも「そんな馬鹿な」って思ってしまって、頭に疑問符が浮かんでしまった所があります。どっちかが記憶失ったとかならまだ分かるんですけど、両者ともっていう所が「そんな状況あるのかな」って思ってしまうんです。ヤルキモノが記憶を失わせるように意図的に攻撃していたのかなあ。 
 ……とかそういうこと考えてしまうとキリが無いんですよ。やっぱりそういうこと考えて読む小説じゃないんですよね。純粋にキルリアと主人公の関係性及び記憶が失われていく演出を楽しむ小説なんだって理解して読めば、素晴らしく感動できるお話なんですよ。 
 難しいですね。ちょっとどこを改善すれば良いのか具体的に示せなくて申し訳ない。ただ作者さんがこのお話でやろうとしていたことは理解できましたし、それはとても斬新で素晴らしいものであったと思います。
早蕨さん
評価:☆☆☆
 キルリアに自分の記憶を移すというのは、キルリアにとってとても残酷な話に感じてしまいました。 自分のことを覚えていない雅の姿にキルリアはきっとショックを受ける。でも、どっちにしてもその苦しみはどちらかが感じなくてはいけない。「やります」の一言までに、どうすればいいのかと揺れる描写やエピソードがもっと入っていてもいいなと思いました。■で記憶が消えていく様は面白いですね。視覚的にもわかって、もの悲しさが出ます。また、後半の各段落の頭についている番号は一体何を意味しているのでしょうか。僕の察しが悪いだけでしょうか……。
 あとは記憶を移す云々、そんなことができるのかとか、ヤルキモノに襲われて記憶がだんだん失われていくとか、そういう大筋をすんなり納得できるかだと思います。そういうものとして読める人は良いのですが、納得感をもたせられる何かがないと、気になる人は気になってしまうのだろうなと思いました。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆
 エピソードの番号がどんどん若くなっていき、最後には穴抜き状態になりつつも、伝えたいことを記憶の最後でしっかり伝える、その最後の一言がとてもシンプルで心に訴えかけてくる表現というところ、文章力の高さを感じました。一つ一つのエピソードも、医者の言ったように「なんでもない幸せ」というものであり、それを積み重ねてきた彼らの足跡、非常に暖かい記憶の数々というものを感じられる心地よい表現だったと感じています。
 記憶を移植する、というところに関しては、現実の私たちからすればオーバーテクノロジーでしょうが、ポケモンの世界ってよく考えればオーバーテクノロジー満載ですよね。モンスターボール然り、回復装置然り。その中にあって記憶を移植するという技術の可能性も、説得力は大きかったです。
 ただどうしても入り込めなかったのは、読んでいる間に一つ、頭から離れなかった漠然とした疑問でした。移植した臓器の影響でタマザラシに愛着が湧くようになった、という事例自体は非常に面白い発想だとは思ったのです。が、臓器移植によって移植元の記憶が移植先に移りうるということと、この作品の主人公の記憶を抜くことによって主人公の記憶が消えてしまうということが、どうしても私の中で繋がらず、二つの事例が両立しなくてですね……。本文中にない部分を現実の科学基準で補完してしまう癖のある私の読み方の問題なのだとは思います。
 改稿で穴抜きを追加したというところ、私たちの記憶力を試されているようで、それを計画的にやったということであれば、非常に興味深い試みだったと思いました。勉強になりました。
フィッターRさん
評価:☆☆☆
 ふたりが同じように記憶に障害をもたらすような外傷を負っているのはちょっとご都合主義展開かなと思います。しょうじき主人公の記憶喪失はなくてもこのお話、成立しそうだなとも思いますし。
 それと、雅視点の記憶をキルリアに移しても、それはキルリアの記憶として再現されるのではなく、雅という人間として生きてきた記憶がキルリアに移されることにはならないのか? 雅はなぜタオルのことだけは覚えていたのか? 見ていてちょっと疑問に思う所が多く素直に感動できない所の多い作品でした。雰囲気は悪くない感じなのですが。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 これは良かったです。最初はそうでもなかったのですが二度目を読んで完全に考えが変わりました。
 途中の記憶を虫食いにしているのが素晴らしい演出でした。読ませない、想像させるという素晴らしさですね。
 これは本当にどうでもいい指摘なのですが、事故後の主人公の一人称で話が進んでいくために、彼らが置かれた状況がどれだけ悲劇的な状況なのかが分かりづらかったです。
 事前に彼らの幸せな日常を描写するか、彼等の境遇がどれだけ悲しいことなのかを読者に伝える狂言回しの第三者がキャラクターとしていれば、もっとこの作品に乗れて星をもう一つつけたと思います。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆
 えっえっエモい……エモい!! 今大会のエモい枠は私は完全にこの作品でした。とっても好きです……!!
 トンデモ設定からのトンデモ科学なんですよね、この作品。例えば記憶が消えていく症状は記憶を操る系ポケモン(オーベムとか、後はそれっぽいエスパーポケモンとか)を起因にしたらもっと説得力が出たんじゃないかなと思うんです。でも、そうでなくたって、すっごいグッとくるんですよ。「一体どういう状態なんだ……常識的に考えてそんなことになるだろうか……」というツッコミをしようと思えないくらいの破壊力に打ちのめされました。きっと、作者さんが書きたかったことがしっかり書ききれていて、そこがバシバシに伝わってくるからこそ、細部がどうでもよくなっちゃうくらい感じ入ることが出来たんだと思います。
 
>僕はなにも怖くないよ、キルリア。
>この幸せで困難もあって、順風満帆じゃなかったけど、それでも美しい思い出は二人のどちらかが持っていればそれでいいよ。
>そして僕の目が覚めた時、僕らの出会いを教えて。
>「おやすみなさい、キルリア」

 こ こ ! ! ! あっすごいコピーして貼り付けただけの動作で涙が出てきました、好きすぎる(感想の都合上消しましたが空行の使い方もまた大好きです)
 いやなんか何がいいって言語化するのも無粋に感じるくらいここがめっちゃ良かったんですよ(エモいエモい言ってる時点で言語化できるのかも怪しいんですが)。この部分だけで、彼がキルリアと共にどんな人生を歩んできたか、キルリアのことをどれだけ大事に思っているか、察することができるようじゃあないですか。文字数を使って滔々と語るよりも、察させることができれば、それは多分語るよりももっとたくさんのことを印象付けることが出来るんでしょうね、その情報の削り方がめっちゃ良い塩梅だと思いました。
 そんでここからの、ここからの~……ッ……ここからの……うっうっ……(コメント不可能)凄いですね何回読んでも涙ぐむってすごないですか??いやほんますごい思いますよ、ここからの演出がもう大好きで大好きで……お医者さんも言っているけれど、本当に彼らの思い出ってすっごく素朴でありふれていて、だからこそ美しくて、愛おしくて……。数字がどんどん減っていくのもああ待って切ないってなりますし、記憶が曖昧になっていく演出も……もうこれ……スゴイですよね。改稿前改稿後どちらも読ませていただいて、最初改稿されているのを見つけたときは「あああ~っ何書かれてたっけ! 改稿前が見たいなあ」と思ったんですが、このもどかしさこそが、このもどかしさこそが、雅くんの……そういうことですよね。だから改稿前も改稿後もどちらも大好きです。それでこの作品にめちゃくちゃ感動したのが、こういう形でお題を消化するという手法ですよね。この発想は本当にお見事でした、お見事以外の言葉がありません。美しかった……。三題すべての使い方を見たときに、私が一番好きだなと思ったのはこの作品でした。素晴らしい!
 語彙力低めの感想で申し訳ない、締め方もとっても好きでした。初めての生活……雅くんがそう言い切ってしまったら、キルリアにとってはもしかしたら歯がゆいこともあるかもしれませんが、この二人なら、きっと寄り添いながら、197をうんと上回るたくさんの新しい思い出を、作っていけるはずですから。幸せになってね……!!
 投稿おつかれさまでした!
小樽ミオさん
評価:☆☆☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆
風間深織さん
評価:☆☆☆☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆☆
きとらさん
評価:☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆
天波八次浪さん
評価:☆☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆☆☆
えびフライさん
評価:☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆