立ち止まって振り返っての感想

葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆☆
草の香り、うだるような夏の暑さ、広がる青空、そよぐ風、桃の味……
本企画の作品の中、私の五感に最も強くイメージを与えた作品です。
シンプルながらも、大変味わい深く、魅力的な作品でした。素晴らしかったです!

ところで、ラランテスの配色は、お菓子屋さんと実に似合いますね。

好きポイント
・五感で感じられる文章。どこまでも暑い夏と、田舎道。そして桃……
・穏やかなラストシーン
・ポケモン用のお菓子ばかり売れている。向こうの世界ではありそうな話です。
終夜さん
評価:☆☆☆☆
突っ込みでリーフブレードを繰り出すお茶目なラランテスさんかわいい。
夏の陽射しが眩しい、ノスタルジックな一作をありがとうございました。
森羅さん
評価:☆☆☆☆
爽やかで少し寂しさを含んだ一品! 秋口の今日この頃読むことになってしまったのが残念なほど。夏ってエネルギッシュな感じがまず最初に来るんですけど、こうなんというか夏って取り残されそうな不安が無性に襲ってくることがあってそう言う意味で「夏の日」なお話でした……!! オボンから夏ミカンの匂いがしてきます! 
おばあさんが整備していた想い出のオボン畑は荒廃し、けれどナツミさんの想い出は色あせない。時間の流れと共に変わったものと変わらないもの。その対比が美しく、素晴らしいです。最後の「そう言いながら優しく微笑むと、両の手を合わせて静かに目を閉じた。」の文章で「ああ、ここはお墓の前なのか」と気づくのもとても素敵でした。
Ryoさん
評価:☆☆
朝ドラでめっちゃやってそう…画が浮かぶ…幼少期から色々と周りを騒がせ、成長して洋菓子店に就職して、店を持った後も経営のこととかスイーツへのこだわりとかに色々悩みつつ…みたいなことやりつつ基本は明るくて爽やか、みたいな。主人公の快活な性格がそう思わせるのかもしれません。
しかし舞台が舞台なのでその話題が出てくること自体は問題ないのですが、作中で出てきた豪雨災害ってまだ現実で笑い話にできるレベルではないのでは…?実際主人公とおばさんみたいに自分らの家とかが被害にあってなかったんなら会話としてはこれくらいになるんだろうけど、そこでそのリアルさ要るかなぁ…という気は凄くします。
せっかく変わる景色と変わらないものみたいなテーマにしているんだから、現実にあった、人が亡くなったり町の様相が変わったり産業が壊滅するレベルの災害に半端に触れるくらいだったら、中心にその話題を入れて真正面から取り組むくらいの姿勢はほしかったと思います。
Pさん
評価:☆☆☆☆
思い立ったら勢いで思い出の場所まで行ってしまうエネルギー満点の主人公、彼女が今一度自分の原点で気持ちときっかけを見つめ直す話にこれ以上相応しいタイトルはないと思います。
新たな建物が建つことが少ないために田舎の景色が幼い頃と変わらないこと、しかし新たなものができるよりも古いものが消えていくほうがずっと多いこと、そしてその中で新たな取り組みが芽生えていることと田舎を巡る流れにはとても覚えがあり、都会に出てこそいないものの主人公に親近感を感じながら読むことができました。
お店に帰った後の主人公は心機一転、オボンを使ったお菓子の開発に猛然と取り組み始めそうです。次は墓前にそのお菓子が並んでいるところまで目に浮かぶ。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆
変わりゆく情景の中で変わらない心の部分を素晴らしく文章化していてじいんとしました!
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆
坂の街、島々を繋ぐ橋、「カフェ しまなみ」ってことはモデルは尾道でしょうか。しまなみ街道は自動車で通ったことがありますが景色が綺麗ですよね。お店が休みだからとはいえ突然新幹線で出かけようなんて言い出した時は驚きましたが、何となく納得しました。西行きの新幹線で1時間半ってことは神戸あたりに住んでるんですかね、なんかお洒落なお店が多そうだ…。

帰省とは少し違って、自分の原点となった景色を巡りに来たナツミちゃん。思い出の畑の中で空席になった切り株を見つけたシーン、とても好きです。何とも言えない寂寥感のような感情がこみ上げてきます。世界は変わっていくんですね…。
男性の「挨拶しにいってやってくれ」ってセリフも好きです。多くを語らずして意図を伝える、こういう一工夫が光っていて素敵だなあと思いました。

読みやすい長さにまとまってはいましたが、もうちょっと文章量を上げて描写を増やしてみてもいいかもしれません。リアリティある世界観はとてもいい感じなので、例えばナツミがお店を開くまでの様子をもっと細かく書いてみるなどしてみるともっと深みが出たかもしれません。
すっきりとした夏らしい作品でした。ありがとうございました。
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆
三日三晩続いた大雨やその後の猛暑、マスクネームからこの作品の裏テーマは今年の西日本豪雨ですね。テレビで見た濁流に沈む倉敷の街並み、安芸の土砂崩れや避難所での映像……。この惨状は本当に自分の住んでいる国で起こっていることなのか、と受けた衝撃は未だ色褪せておりません。作者様は被災地に住んでいらっしゃるのでしょうか、そうだとしたら心中拝察いたします。
大雨が続いた、というところで↑に気づき、それ以降は豪雨災害を念頭に置きながら以降のストーリーを追っていました。しかしどうも天災のお話は舞台設定だけだった様子。『思い出の味をたどりパティシエとして新作を生み出す』というメインテーマが災害の話と遠すぎず近すぎずで、意識しているのかしていないのか最後まで読んでもしっくりきませんでした。おそらく作者様は豪雨災害は舞台を匂わせるキーワードだけにとどめておきたかったんじゃないのかな。でも深読みしてしまう読者は、物語が豪雨につながるんじゃないかと囚われて読んでしまうんですよ……。そっちに意識を流されないためにも、メインテーマをしっかり伝えたいなら舞台は広島でなかったほうが賢明でしたかねえ。読み手の頭に余計な情報をちらつかせないのも小説のテクニックだと思うのです。
思い出と変わらぬ切り株にはたどり着くのだけれど、畑は荒れ果て座っていたはずのおばあさんはもういない。これいいですよね。変わらない景色と、変わってしまった景色。私の脳内に災害の下地が刷り込まれているせいだとも思いますが、思い出の夏と変わらず立ち上る入道雲や土砂を寄せただけで元通りとは言えない災害の爪痕とか、変わったもの変わっていないものをただただ緻密に並べていくだけで読み手は圧倒さていたんじゃないかしら。舞台が具体的な土地だと提示されていたので、それに合わせて描写ももっと細かく書きこんで解析度を合わせたほうがうまく空気感に馴染んでいたかなと思います。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆
・優しいストーリーでした。舞台がほんのりと想像できるところも好きです。
カイさん
評価:☆☆☆☆
ナツミさんまだお若そうなのに、店のオーナーやってるってすごいですね。きっと並々ならぬ情熱と行動力の持ち主なのだと思います。そういう背景があるから、思い出の中に何かを見つけ、オボンのジュレをお供えした彼女はきっと前に進むことができると、そう感じさせてくれるお話でした。初心忘れるべからず。私も自戒します。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆
インプットがないと、アウトプットってできないんですよね。再確認しました。根を詰めすぎてもいいものは生まれない。時々気分転換もしなきゃなぁと思いつつ、気付けば気分転換だけで時間が過ぎて何も生まれなくて、というのが怖くて、中々踏み切れないこともあるわけですが……
もしや、この作品の作者さまは瀬戸内の出身なのでは!?と思ってしまいました。
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆
ゆったりした、でもきらきらした純粋さが感じられるお話で心洗われました。私もこうやって時々振り返って、ああ今の私があるのはこの人のお陰だなと、感謝しながら生きていきたいです…!変わっていく世界が寂しくもあるけれど、それで悲観しすぎたり後ろ向きになったりはせず、前を向いて自分らしく進んでいる感じのするナツミちゃんが好きでした…!
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆
ふとした休みに、心の原風景を求めるお話。しみじみとした語りが良いなぁ、と感じました。
過去最高の暑さだけでなく、大雨の被害といった今年の夏の出来事をポケモン流にアレンジして上手く取り入れられておられたと思います。
世界は変わっていく。身近な無常観が表現されていたと思います。
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
とっても柔らかくて優しい雰囲気の文章という印象でした、すごく好きです。
昔過ごした場所を訪れると変わってないものと変わってしまったものってありますよね……!
叔母さんが年を重ねた顔というところは当たり前のハズなのに心がじゅわっとなりました。
あすぺふさん
評価:☆
お菓子の店を経営しているナツミが、故郷に帰り、お菓子作りの原点に一度立ち戻って、再出発する。
農家にとって、我が子のように育てた作物が自然災害で一瞬のうちにダメになってしまうのは相当悲しいことだと思いました。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆
あ~~良いですね。確かに大人になってどんどん失っていくものはあります。もちろん得るものもたくさんあるんですけど、あの頃の感性とかは今もう無いなぁって思う事、よくあります。
特に初心忘るべからず、という言葉もありますし、一番最初に思ったことやきっかけは大事にしないといけませんよね。
それってとても簡単で、大切な事なのに、つい忙しいだのあれやこれやと尽きない欲望があるとすぐ見えなくなっちゃうんですよね。
ナツミもお菓子作りが好きでやってるのに、本来売りたい人間向けの物ではなくポケモンの物ばかり売れるのは、やっぱちょっとフラストレーションが溜まる所ですよね。でもこの子機器貸し出しで儲けるあたり、商才は結構あるなと思います。
ラランテスも可愛くてキャラクターにも味がありましたね。
このお話の主題はとても好きなんですが、全体的に少し弱いと思ってしまいました。良くも悪くも、「浅く」終わってしまっているので、作者さんの好み次第ではあるのですが、深さを作っていった方がいいのではないかと思います。
もっとナツミにはぐっとぐっと悩んで、そこから解決する際に一気に解き放たれる。そういう心情の上下方向のパルスがあった方が、カタルシスが出てくるのではないかなと思います。程度にはよりますが、もう少しちょっとオーバーなくらい悩んでも良かったのではないでしょうか。(例えば、このままだと店の顧客が奪われるくらいピンチ、とかお菓子を作ることが嫌になってきている、とか)
ところでナツミは何歳なんでしょう。数十年前、って言ってるから三十代にさしかかってるのかなあ? わたし、気になります!
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆
 過去から現在へ、時の流れとともに変わっていく情景の対比、そしてそれを見つめるナツミの心理描写が印象的なお話ですね。
 思い出を振り返ることで、自分の原点を思い出したシーンが心に沁みます。冒頭で新作を考えるナツミの苦悩が存分に描かれていただけに、"現実を見るようになって、現実しか見ていなくて。毎日毎日同じことの繰り返しで、何とかお店を回すことしか考えていなくて。"という文章の重みが強く伝わってきたように思います。
 ナツミが思い出を振り返って、変わっていく世界を見て、どんな結論を出したのかがちょっとぼやけている点がマイナスかなと思いました。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆
 美しい思い出、そこから感じる人と人との繋がり、加えてポケモンのいる世界ではヒトとポケモンの繋がりというのも見えてくるようで、しみじみと感じながら読ませていただきました。おばあさんとの思い出をきっかけに洋菓子作りを志すというのはとても運命的なものを感じますね。
 万物は流転する、という言葉が頭に浮かんできました。ナツミさんにとっての日常は、「目まぐるしく変わっていく」ようでその実「毎日毎日同じことの繰り返し」だった、と気づいたということでしょうか。毎日忙しく働いていると、そういうことに気付きにくくなりますよね。そんな状況から「出かけよう!」となった流れ、個人的にはとても好みです。
 主人公ナツミとラランテスのコンビも、軽妙な調子で良いと思います。その微笑ましい(わざをぶっ放したりは危なっかしいとも言えますかね……笑)やりとりと、後半のしんみりしんみりした雰囲気とのギャップというのは上手く演出なさっているのだと思います。ナツミさんの心情描写も上手いと思いましたし、分量としても多すぎず少なすぎず、というちょうどいい塩梅だと感じました。
 もっと面白くできるな、と思ったのは主にストーリー構成です。思い出の場所はまだあるだろうかというドキドキから、目的地にたどり着いたときの喜びを得て、そこからの「切株のところにいたおばあさんがいない」という空虚感をもっと演出してほしいなって感じました。刈り払っている間の感情は、おばあさんがまだそこにいてほしいと、変わっていて欲しくないと、そう願っているように思えたのですよね(解釈違いだったらごめんなさい)。であれば、「辛いことも楽しいことも全部振り返る、それが思い出と再会するということだ。」これを一文で済ませずもっと膨らませるとより深みが出る良いシーンになると思います。その分、あくまでも好みに依るんですが、おばあさんとの思い出を回想するところは冒頭とか主人公が旅立ちを決意するところあたりに持っていって、「世界は変わっていく」といったくだりは目的地に着いた後のシーンにまとめるとか。
 あとは旅行の目的は「リフレッシュしよう」ということなので、しんみりした雰囲気で締めるよりは、リフレッシュした主人公の、先行きを感じさせるラストのひとシーンもあっても良かったかなあと。帰り道の道中とか、部屋に帰ってきてからもう一回ノートを開くとか。心機一転というほどではないにしても、この小旅行で得たものを活かして先に進むような描写があれば収まりが良かったかもしれません。
 最後に半ば蛇足気味ですが、この舞台設定……坂の街に渡船に豪雨に「しまなみ」……もしや……もしやモデルは尾道ですか!!! 「どこまでも続く海と、その向こうに大きな島と、そのさらに向こうに連なる島々まで繋がる橋が広がっていた。」っていうのは千光寺山からかな、それとも浄土寺の方からの眺めなのかな、なんて想像を巡らせていたり(見えるのかな?)。新幹線使ってもらってありがとうございますって感じです。新尾道駅の利用者数少なくて、お金かけて作ったのに見合わないとか言われてるっぽいですし……。まあ私の想像ですけれども! 全然関係なかったらごめんなさいね!!
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆
 立ち止まって振り返って、原点を思い出して前に進む。そんな流れがきれいに描かれていたと思います。
 供えたあのお菓子が今度の新作になるのでしょうか。気持ちの良い締め方だったと思います。
はやめさん
評価:☆☆☆
 洋菓子店を題材にしたパティシエ系の物語なのかな、という想像を最初に抱きました。人間洋菓子>>>>ポケモン洋菓子などの悩みなど、面白そうな要素に溢れていたので、そちらの方ももっと物語に絡めても良かった気がします、そうするとパティシエらしさがより誇張出来るかもしれないなと思いました。
> 「あはは、やっぱり草タイプでもこの日差しは眩しいか。」
> 思わず笑ったら、渾身のリーフブレードが振り下ろされて、慌てて身をよじって回避>した。
> いつもラランテスは文句がある時、ツッコミを入れたい時に、ナツミに向かってリー>フブレードを繰り出す。
> 勿論当たらないように、際どい位置で攻撃を出してくれるのだが、容赦のない本当に>ギリギリなので、いつか当たるんじゃないかと冷や汗が止まらなかった。
>「ごめんって!!」
 このくだりがなぜか妙に印象に残っていてw
 なんだかんだで仲良いんだろうなと思わせるくだりですね。猛暑に繰り出されるラランテスには気の毒ですがここはちょっと笑ってしまった……。
 大人になるにつれて知る過酷な現実、抱いた夢や理想との落差というものが、「変わっていく世界」というテーマを通して克明に浮かび上がっていたな、と思います。
 最初は多分、こうありたいっていう想いから出発するんですよね、きっと。その中でいつの間にか日々のルーティンをこなすことでいっぱいいっぱいになってしまっている。この作品のみならず、今って世の中全体がこんな感じの余裕を失った閉塞感に包まれているのではないかと、ひしひしと感じるものがあります。それが歳を取り、大人になることの正体だと考えると、少し、いや、かなり物寂しいショックがありますよね。
 この主人公、恐らく20~30代と推定しますが、その年齢を重ねたことでより変化に対する感受性が繊細なものになっているような気がします。
 ただ、このお話、着地点としてはまだ話の途中な印象を受けてしまいました。丁度、前半部分が終わったような。おばあさんの参拝をして、そこから主人公が「立ち止まった」あと、振り返って思い出と対決して、どのような結論を得るのか、という部分まで、まだパティシエ要素などを活かして展開出来たような気が読了感としては残りましたし、是非読んでみたいなと思いました。
逆行さん
評価:☆☆☆☆
 今年の夏は暑かったせいか暑さを強調したお話が結構多いですね。今となっては懐かしくもあるけど確かにしんどかったですもんね。クーラーつけて寝ると体調悪くなるので、自分も夏場はつけて寝るべきかいつも悩むんですよね。クーラーってつけっぱなしの方が電気代安いっていうのもあるし。でも頭痛くなるんだよなあ。 
 テーマAの中では比較的短いお話でしたが、最後のセリフが綺麗でとても印象に残ったお話のうちの一つでした。最初に読んだときはそうでもなかったのですが、何回も読んでいく内に味が出ていく小説でもあると思います。 
 ポケモン達が凄く活き活きとしていたのが良かったです。野生ムックルとか勝手に部屋入ってくるんですねえ。人懐っこくていいですね。ラランテスのリーフブレードは怖いですね。間違って当たったら確実に死ぬな。うん。 
 道中の田舎の風景の描写はとても鮮明に描かれていて良かったです。世界は変われど、変わらない田舎町の風景を堪能することが出来ました。 
 最後にオボンの実をスイーツにして原点となったおばあさんのお墓の前まで持っていく展開は、とっても良いと思いました。ちゃんと主人公がスイーツ屋さんなのを活かしていてとっても良かったと思います。 
 欲を言えばもう少しどういうスイーツを作ったのかを具体的に描写していただけるとより印象に残るものになったのではないかと思います。 
 こういう小説は難しいなあと思います。特に事件性がある訳でもないし、淡々とした日常を書き込んでいくっていうのは。そういうものに挑戦して、三万文字作品に対抗できるくらいの余韻を残せるようなお話を書けるのは凄いと思いました。投稿お疲れ様でした! 
春さん
評価:☆☆☆☆☆
 ポロックとかポフィンって、人間が食べてもすごく美味しそうですよね。パティシエのお姉さんがポケモン用のお菓子も作ってる設定が、「短編連作で読みたいなぁ」と思うほど素敵に感じました。読みやすく、かつ自然と景色が浮かんでくるような優しい文章を書かれるのが素晴らしいです。
 思い出の景色を訪ねてみて、でもそれもまた変わっていくもので。変わるから見えるものと、見えなくなるものをゆったりとしたペースで教えてもらった気がします。想いでの畑が消える、というのも実際にありそうな話ですね。うちも、昔は辺り一面田んぼだらけだったんですが、最近はもう住宅街になっていて、少しばかり寂しいです。でも子供の頃と違っていて、ナツミちゃんは素敵なスイーツを作れるパティシエになった。タイトルにもあるとおり、彼女は立ち止まって、振り返ったんですね。そしてその続き、また前を向いて歩きだしたのかな? 
 話全体から、夏の暑い日差し、木陰の涼しさ、吹き抜ける風の匂いを感じるような、爽やかな短編でした。ありがとうございました。
雪椿さん
評価:☆☆☆
 タイトルの通り、立ち止まって振り返って、手から零れたものを思い出す話ですね。人間生きていれば何かしら忘れてしまうとは思います。しかし、その「忘れたものがある」ことすらも忘れてしまうこともあるかと思うので、無事に思い出せた主人公は運がいいと言えますね。私も何か「忘れたもの」がないか、少し気になってきました。
 こういう大切なことを思い出させてくれる作品をありがとうございました!
北埜とらさん
評価:☆☆☆
 ズバリ、モデルは向島ですね!笑 「坂の町」尾道から渡船で約10分、一人100円、自転車は10円。いやはやよく調べておられる、ナツミさんが尾道に降りたったあたりから私も心が躍りました。「よく調べておられる」、つまり近場にお住まいの方ではないのではないか? と考えたのは、新幹線の止まる「新尾道駅」から港までは、ちょっと歩いたくらいで辿り着く距離ではないからなのですが……笑 在来線のJR尾道駅からは歩いてすぐなんですけどね。だからといってそんなことで減点しないので安心してください、すいません知っている場所が取り上げられたのが嬉しくてつい……! それ以外の点では気になる場所もありませんでしたし、尾道のワクワク感が描写されていたので、個人的には大満足です。断水被害、桃の被害まで取り上げられていたりと、細部まで大変細やかでした。どうにしろ、丁寧に資料収集されているなあと思います、素晴らしいです。方言にも違和感なかったです。本当にモデル元にゆかりのある方でしたらどうもすいません。尾道、いい街ですよね、分かります。私もとても好きです。年に二回くらいは行きます。だから、この小説を読むことができてとっても嬉しかったです、ありがとうございます。ちなみに向島の地理には全く詳しくありません。
 仕事に行き詰まったナツミさんがラランテスと共に思い出の地を訪ね、ルーツと再会して前を向く。ストレートに良い話で、ナツミさんが「立ち止まって振り返って」をするその描写にも、私自身はっとさせられるものがありました。
>歳を重ねるごとに、色んなモノがこぼれ落ちて消えていってしまう。
>世界はどんどん変わっていくのに、脳裏に焼き付いていた景色はあの時から全く変わらず、その乖離が大きくなるにつれ、言いようのない淋しさを覚えていた。
 このあたりが好きです、人の心を描くことに非常に長けた作家さんなのではないかと思いました。素敵です。悩みながら進んでいくナツミさんを先導し、あるいは静かに寄り添っているラランテスも、良い相棒だなあ~と微笑ましかったです。
 心理描写だけでなく、情景描写も取り入れつつ、全体として丁寧に描かれているという印象を受けます。非常によく描写されているのですが、この作品はきっと「雰囲気」が重要な気がして、もっともっと雰囲気を出してもいいのかなとは感じました。駅を出てアスファルトに降り立った時の息詰まるような熱気。渡船で海を行くスピード、音、揺れ、水飛沫、島が近づいてくるワクワク感。叔母さんちの庭の明るさ。ナツミさんが住んでいるだろう都会と田舎の空気の違い、匂い、田舎に住んでいるポケモンたち、とか。この作品は文章が読みやすいのが良いところなので、もっとそういう深い空気づくりの描写を重ねていけば、より良い雰囲気になるかなあと思いました。
 また、ナツミさんがこの旅で得た「原点回帰」という収穫が、何かしらのはっきりした出来事が契機になっているというよりは、「道中で思い出した」という形になっているのも惜しいと感じます。このシーンは畑に辿り着くまで取っておいて、畑の景色(テーマイラスト)と再会したときにぶわーっと思い出すような形にしたほうが、盛り上がりを演出できたのかなあというような気がしました。しかし耕作放棄にまで言及されていて面白い。テーマイラスト、いっぱい草が生えていて、確かに農地にしては耕作放棄気味にも見えてきます笑。オボンを使ったスイーツを手にお墓参り、というラストシーンも情緒的でよかったです。この旅でナツミさんはきっと良い着想を得て自信を取り戻したんだろうなあ、というのが言外に感じられる終わり方でした。
 「何をやりたいのか」という芯がしっかりしていて、とても好印象な作品でした。そして大事なことなのでもう一度言います、ポケモン二次の大会の中で馴染みの景色に出会えるなんて嬉しいです、ありがとうございます。笑 尾道を取り上げてくれてありがとう! 尾道はいいぞ!!
 投稿お疲れさまでした!
早蕨さん
評価:☆☆☆☆
 やりたいことはわかりますし、お話としては綺麗だし、ラランテスもいいキャラしてました。ただ、写真を見つけ、昔遊んだ場所に向かい、もらったオボンを思い出し、その息子と会って、亡くなっているおばあさんのお墓にお菓子を備える。まだストーリーラインの弱さがある気がします。写真の見つけ方、オボンの思い出し方。おばあさんとの追加エピソード。何か足してあっても良いかなと。あの時の優しい味が原点です、と言うなら、もっとそこに話を、テーマをもってきても良かったかなと思います。
 
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 ほんわかしていて、ちょっぴりほろ苦いお話でした。お菓子は実際に食べるのも、お菓子が出てくる作品を読むのも大好きです。働く人を主人公にした作品も好きです。なので、ナツミさんがポロックやケーキを作る場面やお店に立って切り盛りする場面をもっと読みたかったと思いました。ラランテスの気心知れたパートナー感がいいですね。ところで、お墓参りをするのにお供えの手製ジュレを持っていくのはおばあさんも喜ぶと思うのですが、いくら管理が出来なくて手ばなす予定とはいえ、他人様の畑で勝手にオボンを採って料理に使って大丈夫だったのでしょうか。おばあさんも息子さんもそのことで怒るような人柄ではなさそうですが、ちょっとハツミちゃんが常識外れというか、突拍子もない行為に感じました。おばあさんとの思い出も変わっていく景色も、たとえ非力な人の力では止められなくても、これからもずっとナツミさんの心の中で息づいていくのでしょうね。投稿お疲れ様でした。
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆☆☆
わやさん
評価:☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
一葉さん
評価:☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆
秋桜さん
評価:☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆