理想郷は遥か遠くの感想

うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆
重く苦しいと思わせるような内容の中に、ひと時の輝かしい時間を取り入れる手法がバランスが取れていたと思います!
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
良かった…すごくよかった…。さいしょからはじめる、でぞわっときましたし、そのあとヒカリちゃんに聞こえた声もぞくぞくしましたし、ヒカリちゃんはゲームの正規ルート通りにクリアしたわけですが…急にヒカリちゃんが遠くに入ったような、客観的に見ているような気持になり切なさが増しました…。記憶が消えているというのがなんとも苦しいものですね…。そして私の好みの話になってしまいますが、日香梨さんと早菜さんのキャラクターがすごく好きでした。
終夜さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
日香梨ちゃんと早菜ちゃん、二人とも幸福にはなれない……しかし巻き戻った日香梨ちゃんはそもそも早菜ちゃんと出会う機会を失っているので、それを知ることもない、と。
唯一真実を知っているディアルガ自身、誰にも伝えられないのがまたつらいところですね。
彼女たちそれぞれの感情が重くのしかかってきて、ただただこのストーリーを書ききった作者さんすごいな、と圧倒されました。
巻き戻った後、ヒトツキはどうなったんだろう。
個人的にはどこかでひょっこり、楽しく過ごしていると願いたいです……重厚な作品をありがとうございました。
カイさん
評価:☆☆☆☆
日香梨さんはヒカリさん?第4世代主人公?どういう世界線なんだろう?と思いながら読んでいたのですが、終盤でぞくりと氷解しました。【レポートに たくさん かきこんでいます】などの原作ゲーム表現の使い方がとても上手いです。ヒカリの「どこか満たされない気持ち」はたぶんずっと満たされることがないし、早菜は救われないのだろうなという「もう戻れない感」が、機械的なデータセーブのメッセージに過不足なく鮮烈に表現されていたと思います。

でも私が一番早菜さん救われないなと思ったのは、日香梨がどこに戻るか考えている時に、旅立ちの時を選んだところです。衝動的にテンガン山に登るという暴挙に出てまで日香梨が変えたかったのは、「早菜の死」ではなく「早菜の死によって受けた自分の苦痛」だったんだな、と。

良くも悪くもディアルガが人間臭い神様で、ちょっと親近感が持てます。
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆☆☆
初めは全く気が合いそうになかったのに、すぐに友達に。逆にこういう組み合わせの方が仲良くなりやすいのかもしれないですね。
そして絵を通して、旭谷日香梨と向出早菜の友情が芽生える作品かと思いきや、早菜のたった一つの糸が切れてしまう。かなり衝撃的でした。
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆☆
何れにしろ、救われなかった早菜。
一つを選べば、一つを取りこぼす。時間逆行ものの残酷さを垣間見た話でした。
日香梨と共に登頂に臨んだヒトツキもまた、逆行後の世界では、ヒカリと同様に、早菜と出会うことはなかったのでしょうね……


好きポイント
・「日香梨」と「ヒカリ」
・「レポート」といったメタ描写。
・どこまでも切なく冷たい、シンオウの冬の物語。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆
・都合よく過去と未来を変えることは出来ないという話の落とし所はとても好きです。最後の語りも自分は好きです。
・この悲しい連鎖がどこから始まっているのか、と、思わず考えてしまいました。主人公がタイムリープする決心をした友人の自殺が、元を返せば主人公がポケモンをギンガ団に奪われたトラウマを払拭できなかったからであり、しかし主人公がムクバードをギンガ団に奪われていなければ、友人は一度目の自殺から助からなかった、そう考えるとどうあがいても友人が自殺をする未来を変えることは出来なかったのではないかと思います。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ネタバレから入る感想で申し訳ないのですが、「日香梨」ちゃんとプラチナ主人公の「ヒカリ」の像が一致した時、めちゃくちゃ痺れました……!! これも一種のどんでん返しモノなんでしょうけど、もう本当に「あああうあああやられたああああ」みたいなそんな感じでした。本当に素晴らしかったです……! 日香梨ちゃんと早菜ちゃんの青春話のようなところから始まり、けれど導入のテンガン山のシーンから何かが起こるのだろうと思ったらまさか……! と早菜と日香梨が仲たがいを起こしたあたりから本当に怒涛の展開で、ツイッターで評価が高い理由も納得の一言でした!! 物語の構成の話になりますが、ムクバードの使い方やシンオウならではのディアルガの時渡りネタも非常に巧みで、無駄な構成がないなと膝を打つばかりでした。ああ、嫉妬してしまう! そして、結末もですよ。結末も、まさかああいうシメになるとは思っておらず、大阪オフの時の話になりますが、ある方が「日香梨が分岐点をあそこにしたのは『自分自身が』傷つきたくなかったからだ」と言っていたのがもう本当に、多分その通りなのだろうと思ってしまうのがこう……胃に穴が開きそうです……。本当に、素晴らしいの一言です。読ませてくださって有難うございます。
一葉さん
評価:☆☆☆☆☆☆
やるせないくらい皮肉な話で、結局誰も救われてないって言うのがもやもやしつつも良かったです
主人公ってつまりヒカリの事かー!ってなった時はおぉってなりましたけど、さいしょから、ゲーム本編通りの道を歩みだした時にあれってなって、これは早菜に会えないんじゃって思いましたが、まさかそれ以上の結末
何も知らなければ幸せになったように見えるのに、一順前を考えると不幸にしか見えない、本当に願った事は叶えられなかったのが皮肉で切ないです
しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
やば……ラストのオチで「うわああああ」ってなってしまいました……!
上手い感想の言葉が出てこないんですけれども、日香梨と早菜の関係の描き方がとても上手いな、と感じましたね。お互いに深い事は詮索しないという関係、それがずっと続いていたからこそ、終盤でそれが崩れていってしまう様子が強く印象に残りました。
ホントにお話の書き方が上手い作品で、とても楽しめました。良かったです!
照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆☆
や、やられた!! まさに会心の一撃的カタルシス! 今大会カタルシス最優秀賞です! 字数をめいっぱい使った力溢れる作品でした。
最初の名前と舞台となっている場所でまさかな……? と思っていたんですが、そのまさかさ!
導入から回想の流れも好きです。この回想部分が物語の大半を占めているのですが、この長い溜めなくしてはこの作品の魅力はないと思います。
日香里と早菜の邂逅と交友が良いですね。この、べったりくっついてる訳ではなくサバサバしてるんだけど、それでも半ば互いに互いを依存しあってるみたいな……。好きだなあ。
心理描写もすごく丁寧に描かれていて、グッと来るものがありました。
そしてついに早菜がギンガ団員の娘だと分かり、告発、そして悲劇までの流れにはもう唖然とする他ありませんでした。
そして冒頭部に戻るように、やりのはしらでディアルガに嘆願。日香里の選択はまさかの、さいしょからはじめる。
ここでうわあああやられた! と思いました。これまでの現代調から、レポートをはじめとした急にゲーム調に雰囲気が差し変わるのも巧い。原作通りに旅を進めるヒカリ自身は、今度はうって変わって輝かしい半生を歩んでいく。その中、早菜は人知れず命を落とす。
ディアルガも語っていましたが、本来の望みであった二人の救済は、タイトルが如く遥か遠い理想郷だったのだなあと感じました。
折角手塩にかけてきたキャラクターなのに、救済の道を与えないという作者さんの決断は天晴れです。Ifモノだからこそ、この悲しさが強く響いたと感じます。
最後のディアルガの語りについては扱いがとても難しいと思います。
作品の余韻を残して終わらせるのもアリですし、ある種第三者の後書き(著書解説)のようなものでもあります。
ここを蛇足と捉えるかどうかはとても個人差があり、難しい所なのですが、わたしの所感としては流石に解説し過ぎかなと思いました。一から十まで言わずとも、一と十だけであった方が良かったような、そんな風にも思えました。
ポテンシャルとしては抜群だったのですが、評価はこのようにさせていただきました。
それでもこの作品を読めて切に良かったも思います。ありがとうございました。
まーむるさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
なんで主人公にだけフリガナがついていないんだろうと思ったらヤラレました。
いやー、全く気付けなかった。
過去を変えても未来が良い方向に変わるとは限らないというところでシュタゲ味を感じて、そしてその無情な結末も妥当であり、空しい読後感を残すところで良かったです。
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
だれもわるくない、だからこそ救われない物語でした……つら。怒涛の展開が最後までノンストップで、時間を戻してニューゲームで本家の冒頭へ繋げるとは思ってもみませんでしたよ。難しい言葉を使わず、リズムをつけて趣深く読ませてしまう文体もすごいなあ。個人的に登場人物ひとりだけで内省するシーンってダレる印象なのですが、それすら感じさせない心意気が見えました。

 ああ、胸糞悪い。
 あれから、世界というものががらりと変わってしまった気がする。トレーナーを辞めて戻ってきて、フタバタウンに居づらくなって、転校先でそれを知られてしきりに根性なしだと揶揄されて、言い返すことすら逆効果で、何か不都合が起これば私のせい、私と関わったらへたれがうつるなんて風潮までできて、孤立して、それでもなお馬鹿にしてくる相手に逆上して、傷害沙汰にまで発展した挙句また引っ越しをして、そんな流れを何度も繰り返すことになった。

とくにこの長文だいすきです。胸糞悪さが乗り移ったようなリズム感と、光景が眼に浮かぶような端的さ。日香梨の立ち位置をはっきりさせてくれることで、早菜との対比が明確に整理されました。
最終章、神目線のダメ押しも効果的。時系列が複雑だったり諦念の表情のフラッシュバックが抽象的だったりと頭を使う伏線が多いなか、象徴として使われていたオボンと虹を解説してくれるのは読者への優しさを感じます。早菜のもとにムクバードが巡り回ってこないことで、時間を巻き戻したとて彼女を救えないとは気づかない日香梨。もし記憶を保ったままの彼女に真実を伝えたなら、凄惨な絶望にさいなまれることは想像に難くないでしょう。レポートにたくさん書きこんでいる幸せそうな姿と落差がありすぎる。それを知っているのもディアルガと読者だけ。読後感まで救われないとはなんとまあ……。
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ずっしりと胸に来るお話でした。俺もBテーマで悪の組織に向けられる冷酷な世界を書きましたが、この作品もかなりキツかったです…。
お互いに割と希薄な感じでつるんでいたのに、まさかこんなに深い闇を抱えていたなんて。両親の自殺、周りからの迫害の目、そして耐えかねて早菜ちゃんまでも自殺へ…現実にも犯罪者の子供が同じような運命を辿ることがあるだけに、とてもリアルに描かれているなあと思いました。

>「オボンの実」とは、旭谷日香梨の求める理想であり、「真に自分を認めてくれる相手が欲しい」という願望だった。
 「虹」とは、向出早菜の求める救済であり、「ずっと離れず傍にいてくれる相手が欲しい」という希望だった。

この二つは現実に決して両立せず、絵画の中に描かれた理想郷としてしか実現しなかった…この流れは美しかったです。まさにタイトル通りのストーリーでした。
【さいしょから はじめる】の選択肢でもう一度苦労して巻き戻す道を選んだにもかかわらず、今度はギンガ団の娘として迫害され続けた早菜が日香梨と出会えず救済される道がなくなってしまった…ディアルガは予め警告してはいましたが、読んでいてつらかったです。
「可哀想」って、自分が相手より上にいると確信した状態じゃないと出てこない言葉なんですよね。だから早菜ちゃんは、自分に対等な立場で救いをもたらしてくれると期待してたところを裏切られてしまって、命を絶ってしまった…もし日香梨ちゃんが違う言葉をかけられていたら、ずっと早菜ちゃんと寄り添えるような関係を築けていたら、「オボンの実」と「虹」は両立していたのかなあ…。

深みのある素敵な作品でした、ありがとうございました!
コメットさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
これはもう上手いと言わざるを得ない。原作の設定をそう活かしてくるかっていう驚きももちろんです。なのですが、そうまでして頑張って結局辿り着いた新たな道も、二人で並んで歩めない世界なのだと思い知らされるラスト、胸が締め付けられる思いでした。こういう確実に全員が救われるわけでもないラストは好きなのですが、それはそれとして、タイトルの意味を突きつけられた瞬間の寂寥感と言ったらもう他に類を見ない感じです。そう感じてしまうくらい、それまでの二人が仲良くなる過程などの描写が素晴らしく、世界観に引き込まれて感情移入したのも確かです。本当素晴らしい物語をありがとうございました!
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆
この文章全体を貫く寒々しい感じ…凄く好きです。
イントロが雪山で始まってるから、舞台がシンオウの秋〜冬だからというのもありますが、日香梨と早菜の纏う空気や学校内の景色やクラスメイトへの冷めた視線、メイン二人の一見気の置けないように見えて、お互いの領域に踏み込むことが決してできない、薄氷の上に築かれたような関係が全て、統一された雰囲気を持って描かれているのが好印象でした。
そして、やりのはしらのシーンの後。「日香梨」が私たちのよく知る「ヒカリ」になった途端、戦慄しました。主人公が救済されるシーンなのに、ひたすら残酷で、恐ろしい。ただ、私には、これが彼女の本来の運命だったように思えます。最初、日香梨がトレーナーを辞めてなお、ろくな装備もなくやりのはしらにほぼ単独で登っていく姿に違和感があったのですが、本来はチャンピオンになるような器の人物だったからこそ、こんな無茶をしてまでディアルガに会い、運命を変える(この場合は元に戻す?)ことができた、というような気がしてならないのです…
そして、どちらの選択をしても救われなかった早菜。私は彼女がどうすれば助かったのか未だに分かりませんが、ただ何となく、この物語の中では救われないのだろう、ということは分かります。理由としては、これは日香梨の物語であり、ヒカリの物語だから…というあやふやな言葉しか出てきませんが…
このやりのはしら以降の展開、非常に読者それぞれで考えがいのあるものだと思うので、ディアルガが独り言を言うシーン以降はもう少し読者に委ねさせて欲しかった、余韻が欲しかった、という気持ちがあります。なんだか「この話の解説」を書かれてしまっているようで、そこだけが本当に惜しかった。
ただ、ラストシーンまでのところは本当に雰囲気、ストーリー共に練られていて好きでした。特に日香梨のキャラクターはバックグラウンド含め本当に稀有で、コンテスト全体を通してもかなり印象に残るキャラクターでした!
Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆
お題となった絵を二人の少女が幸せに並び立つ「理想郷」とした解釈、そしてそこに至るまでのギンガ団によって運命を狂わされた少女達の過ごした日々と、その果てにある血を吐くような激白と死。
それは以前から鬱屈や後悔、無力感を抱えて過ごしていた主人公に「時間を遡りたい」と決意させるだけの力をこちらにも感じさせてくれる重厚なもので、そしてそれが叶ってなお現実にならず、むしろそれだけの想いがあったのに主人公に認識されることさえなくなってしまった「理想郷」とこの話がその名を冠するに相応しいものだと強く認識させられます。
【さいしょから はじめる】、レポートといったゲーム中の言葉の使い方も面白く、この話の主人公=ゲーム本編の主人公という要素をより引き立てていると感じました。
【さいしょから はじめる】の後の主人公はそれよりも前で見たややひねくれた部分が残りながらも、レポート内容の段階ではそこが伸びることなく成功体験を積み重ねずっと素直になった姿として描かれており、本編主人公から想像される人物像と大きく離れたこの話の主人公と同一人物であるということを矛盾なく示せていると思います。
この話の核はタイトルにもなっている「理想郷」であり、ディアルガの語る絵の中の「理想郷」と少女達を重ね合わせた解説をうまく理解できるかが大きなポイントとなってくると思いますが、比喩が何重にも重なる当該のシーンは一読ではやや理解しづらく、没入を削ぐ部分もあったかと思いました。
しかし時間を遡ってさえ二人が共に幸せになる世界は訪れず、それが逆に逆行を願った本人の記憶にさえ残っていない幻となってしまった皮肉の苦さは胸に染み渡るようで、この話は強烈に記憶に残るものへ昇華していると思います。
秋桜さん
評価:☆☆☆☆☆☆
うわあああああああ……うわあああああああ……と読み終えてなりました。凄い。
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
『さいしょから はじめる』に鳥肌が止まりませんでした。なるほど時間を巻き戻すってそういう……!
ゲームの進行上主人公は悪の組織の野望を打ち砕きますが、もしも悪の組織に屈していたら、というifの世界線を垣間見ることができていい意味でぞわっときました。
早菜ちゃんがどうあがいても救われない、というのは心が痛いところですが何故か納得できてしまうのは何故でしょうか。今でもその答えを考えています。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
「芸術に優劣はないでしょ。文学にも、音楽にも。生き物は統一された機械じゃないし、価値観は人それぞれ。好いと思うものを好いと言っていい。それを否定する道理はない。でも、それを好いと言う人のそんな気持ちをコケにするのは駄目。例えそれが、創った本人であっても。わたしが好きだって言ったのを、どうしてわざわざ、好かれないとか、劣等だとか言って、否定しようとするの?」(本文より引用)

この気持ちを忘れないようにしなければ、と。何かを褒められたことを否定するのは、褒めてくれた人の感情を否定することに他ならないから。

【さいしょから はじめる】のところでぞくっとしました。「ヒカリ」という名前が、そういう方向に繋がっていただなんて。物語を巻き戻して何もかも初めから始めるというを、「ヒカリ」を操るプレイヤーではなく時を操る神に操らせるだなんて。思いもよりませんでした。最後にディアルガが語ったオボンと虹の意味。その関係性。二つが揃うことは決してないのだということ。本当に、両立できなかったのかなぁと思ってしまいますが、二人の関係性を考えればそれは確かなんですよね……そうでないと否定したいわけですけれども。
はじめからおわりまで心にぐさりと刺さるシーンがたくさんあって。とてもとても考えさせられました。悪い気分ではありません。むしろ。私の貧弱な想像力では及ばない遥か高みの思考に触れられた気がして嬉しいのです。
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 8、9、ガンと頭を突かれ、【さいしょから はじめる】でぶわっと総毛立ち、10・11と鳥肌が止まりませんでした。初読の衝撃が最も大きかった作品のはこの作品だったと思います、日香梨=ヒカリだと気付かず読み進めて得をしたような気分でした笑。しかも読み返してみると幼馴染の存在とか母親がコーディネーターであるとか、予想を立てるに至れそうな伏線もしっかりと撒かれているんですよね。なのに気付かせない技量は凄い、いやもしかすると私以外の読者さんたちは気付いていたんでしょうか……!?笑 こういうゲームメタ的なものをうまく使っている作品は、本当に痺れますね。素晴らしい急転直下でした、いやああかっこいい……!!
 冒頭シーン、日香梨が雪山をのぼっている部分ですが、無論最初は何が起こっているのか分からなかったんですね(私が「やりのはしら」とそこに棲むポケモンを結び付けられない程度のファンであることも理由かもしれません)。で、どこだったろう、確か美術室で片峰と会話しているあたりだったような気がするんですが、冒頭のことをふっと思い出したんですよね。そして冒頭の日香梨が何をしようとしていたのか悟ったんです(この時点で早菜の自殺まで予見していた訳ではありませんが)。ぞっとしますよね。ぞっとしながら読み進めて、ああなって、こうなって、あああ~……ッ!! ってなって、それで9に至るカタルシスですよね。もうこの時点で「ああこの作品めっちゃ凄いわ完敗だわ」と思ってたんですが、からの10ですよね、っこれもう~……凄かったです……うまく言語化できず本当に申し訳ないのですが、打ちひしがれました、圧倒されました、完敗でした。完全試合です。お手上げです。いやはや素晴らしい……!!
 物語の構造に度肝を抜かれた訳ですが、十分な字数をかけて綿密に描かれる二人のキャラクターや関係性も、その後の展開を見せる上でこれ以上ない形に仕上げられていると感じました。作中ほとんどのシーンに纏わりつく陰鬱な雰囲気、諦念、その中にちらついているようにも見えた一抹の明るさや希望、そして現れる激情と氾濫するような心理描写、これらを描きあげる硬めの文体がまた巧みなことですよ。からの11のヒカリの冒険レポートの女の子らしさとのギャップなど、堪らないものがあります。文章表現も本当に素晴らしかったです、学ぶところしかない……。
 12のディアルガの語りは、分かるような分からないような……という感じで(脳みそパッパラパーで申し訳ない……)、物語の余韻とするには少し長すぎるかな? という気もしましたが、言いたかったのは最後のワンフレーズなのだということで大いに納得しました。人智を超越した神と呼ばれる存在でありながら、とある一人の少女の死に対して、無能さを覚えているのかな、ディアルガは。それとも「神であるからこそ」でしょうかね。ディアルガを取り扱ったこの作品の「死」の扱い方が本当に凄い、作中で早菜が死ぬことに対しての必要性と言いますか、死を描くからこそ面白いんだという説得力が凄まじいんですよね。その点も含め、極めてハイレベルな作品だと心から尊敬します。
 もう一つ。これは作品の本筋とは少しズレる感想になりますが、

>「芸術に優劣はないでしょ。文学にも、音楽にも。生き物は統一された機械じゃないし、価値観は人それぞれ。好いと思うものを好いと言っていい。それを否定する道理はない。でも、それを好いと言う人のそんな気持ちをコケにするのは駄目。例えそれが、創った本人であっても。わたしが好きだって言ったのを、どうしてわざわざ、好かれないとか、劣等だとか言って、否定しようとするの?」

 この台詞、このシーンが素晴らしかったです。
 二人の関係性を強化するためのエピソードとして何故この話を選ばれたのか、作中の意図としては申し訳ないことにうまく読み取ることができていないのですが、このシーンを読んだ時、いや~、なんっていうか……「言いたいことを作品で語った」みたいなロックな魂を感じて……勝手にめっちゃ痺れました。よって私もこれに関して多くは語りません、とても良かったです。私もこうありたいものです。作者さん、ありがとう!!
 強烈なインパクトを残した作品でした、この作品を描きあげられた作者さんの気迫すら感じられる出来栄えでした。文句なしの名作です! ブラボー!!
 投稿お疲れ様でした!
雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆
 読み終わった後、何ともやるせない気持ちになる話でした。どう頑張っても、二人が救われる未来はなかったのですね……。しかしTwitterにて「時間を戻したのは自分のためだった」というものを目にし、確かに彼女を助けたかったのであればあの言葉を言う前に戻れば済むことに気がつきました。
 この事実が更にやるせない気持ちを大きくしますね……。ディアルガはモヤモヤを抱えたまま彼女の元で過ごすのでしょうか。いつか事実をちょっとした弾みで言ってしまいそうですが、仮に言ったとしても今の彼女には「意味のないこと」になってしまうのですよね……。
 色々と考えさせられる作品をありがとうございました!
ポリゴ糖さん
評価:スキップ
 自作であります。読んでいただきありがとうございます。
 何か夏の作品多いなー、と思ったので冬のシンオウを舞台にしてみました。
 私たちがポケットモンスターシリーズを遊ぶ時、悪の組織と呼ばれる者たちと必ず相対すると思います。彼らは敗れたあと、多くはゲーム中に出て来ません。悪が駆逐された後は、彼らに言及する者もなく、無用な諍いを起こす者もなく、実に平和な世界です。それはとても理想的な世界なのではないでしょうか。
 けれど現実はそうもいきません。組織という拠り所を失った彼らが、行き場を無くし路頭に迷うこともあるかもしれません。そういったところまで想像してしまうと、その理想的な世界は、彼らをあくまでも主人公に見えないところ、メタ的に言えば画面の外に追いやることでしか成立しないんじゃないかと感じてしまいます。一度そう認識すると、理想的な世界を旅していたはずなのに、どこかそんな世界を遠く感じてしまうという感覚、これを作品という形に作り上げたということです。いやはや、10年前や12年前に嬉々として遊んでいたあの頃とはどうしても物の見方が変わってしまいますね。
 イラストの要素である「虹」と「オボンの実」、どちらも美しく実に幻想的です。しかし私は、中央の一際大きなオボンの実に焦点を当て、他は背景に徹している印象を受けたのだと思います。「虹」も含め。私はその要素に彼女らのエゴを当てはめました。画面中央、焦点が当たるのはやはりオボンの実です。そして現実には往々にして、焦点の当たった限られたものしか拾われることはありません。常に画面の中心に立つ彼女のように。……とはいえ最後のディアルガの独白はこじつけのようになってしまいましたが……。
 執筆中にこの作品に向き合った期間は、何物にも代えがたいものだと信じております。もっともっと面白いものを仕上げられるよう、一層精進したいものです。
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 私はDPtが大好きなので、好きだからこそ読んでて辛くなる物語でしたね……セレビィもディアルガも時間遡行ができるのは種族の強みですよね。ヒカリが過去に戻りたいと強く願わせたのは、早菜の命を救いたいという動機だったはずですのに、時間を思いきり巻き戻したことで本来の目的をすべて忘れて、早菜と出会うこともなく早菜の自殺を止められるわけもなく、自分だけがスターダムを駆け上がったのは……ムクバードを奪われた挫折も早菜の記憶も、すべてを何もなかったことにしたい、という無自覚だったヒカリの独善的な想いが叶えられたとも言えるのでしょうか。だとしたら、ヒカリを責めることは誰にもできませんけれど、ヒカリのサクセスストーリーとその裏側の全貌を知るディアルガ視点に近い虚しさを覚えます。過去に戻れたところで万事がうまくいくとも限らない、万人の運命を変えられるとも限らないという、時間を操る手段がそうそう都合の良いものでないことは頭ではわかりますが、それでもやっぱりギンガ団の娘のレッテルを貼られて自殺した早菜があまりに、不憫です。二人が共に笑い合える世界が絵画のような、幻想の仲でしかありえないなんて。若い少女たちが背負わされるには残酷すぎる答えですね。投稿、お疲れ様でした。
春さん
評価:☆☆☆☆☆
 早菜ちゃん……(;ω;)ブワッ
 ヒカリちゃんの名前に気がついたのは中盤でした。気づくのが遅すぎる。そんでもって巻き戻しをかけて、そして「最初から」始める。巻き戻してからのシーンは、鳥肌が立ちました。すげぇ。
 早菜ちゃんの背景が壮絶すぎる。ヒカリちゃんと少しずつ仲良くなっていくシーンはほっこりしながら、でも「じゃああの雪山のシーンは?」とも思いながら読んでました。片峰が早菜ちゃんにやられたって言ったシーンも、「早菜ちゃんがそんなことするか!でたらめ言うなー!!」と思いつつも、結局本当のことで、ヒカリちゃんと一緒にショックを受けました。だから彼女は、ディアルガに会いに行ったのですね。早菜ちゃんとヒカリちゃんは、出会うべくして出会った二人だった。でも、巻き戻した後、出会う事はなかった……。内心、巻き戻った後に「これできっと、早菜ちゃんも救われるんだ!」とディアルガの警告を深く考えずに思っていただけに、早菜ちゃんが別のターンで自殺してしまい、これまたショックを受けました。そうか、ヒカリちゃんの運命が書き変わったから、こんな……。次にゲームを起動することがあれば、この短編を不意に思いだすかもしれません。
 彼女達、どっちも幸せになる道はないし、二人がそろって笑顔で過ごすこともない。両立しない二つが揃った絵のお話を、ディアルガは話しました。だから、「理想郷は遥か遠く」
 読み終えた後に、切ないような、やるせない様な気持ちになる短編でした。ありがとうございました。
灰戸さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 圧倒的でした。日香梨と早菜の出会いから仲を深める日常、そして、その日常が崩壊するまでが非常に丁寧で、大変感情移入しやすかったです。また、張り巡らされていた過去という伏線もあいまって、崩壊する前の疑念や崩壊したときの衝撃が強く、インパクトも大きかったです。
 そして、早菜を助けるために過去に戻るのかと思ったらそうならないのも驚きました。救うために過去に戻ったのに、救うどころかさらに短命で終わってしまい、二人の関係は天と地の差がついてしまうというのはなんとも皮肉な話ですね……。日香梨と早菜二人の世界を知っている分、あの二人の”世界”が戻らないことがとても悲しく、強く余韻の残る素晴らしい作品でした。
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆
 メタネタの使い方が凄くうまいと思います。"【さいしょから はじめる】"と"【レポートに たくさん かきこんでいます】"の使い方、特にDPtにしか存在しない【レポートに たくさん かきこんでいます】を使ってくるあたりが凄く刺さりました。ヒカリの歩む歴史はこの歴史で固定されてしまったんだなという無常感が伝わってきます。
 漢字表記を使うことで、初見ではゲーム主人公のことだと気づかせないようにしているところなど、お話の展開もすごく良かったのですが、ひとつ気になるところがありました。"「早菜がトレーナーを恨んでるのって」"というセリフがありましたが、それ以前に早菜が"トレーナーを恨んでいる"ことが分かる描写が見当たらなかったように思います。僕の読解力不足でしたら申し訳ありません。
早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 ヒカリの名前を見た時点でなんとなく時間が巻き戻るのは予想していましたが、こうくるとは思っていませんでした。戻って再会できるものだと思っていただけに、あまりに早菜が救われなくて苦しいです……。でも注目するべきはそこではなくて、順風満帆な誰もが羨む超エリートの道のりを歩んだヒカリの裏に、早菜を救い、大事な友人と再会できなかったことへの切なさは読者だからこそ、それこそディアルガの視点に立てるからこそ感じられる切なさです。早菜を救えず、自分だけ素晴らしい未来を歩むことをヒカリがもし知ったらどうなるのか。ヒカリはきっと、その輝かしい功績なんてかなぐり捨てたいくらい早菜のことを大切に思っていたと、そうであって欲しいと思います。
 何度も何度も戻って過去をやり直す、なんていう展開もなんとかゲートみたいでアツくはなるのですが、どうあっても救われない。救われないことさえ救いに行った人が認識できていない展開は、納得感はあるし、どうしようもない事象をぐっと飲み込むしかない辛さを感じます。この辛さこそが小説の味なのでしょうし、この作品の素晴らしい魅力なのだと、僕は確信しています。
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 とても印象に残った作品です。うまく感想に書けないのですがすごく好きです。
 何も知らないはずのヒカリのレポートの中に、あの風景について書かれているのがほんとに切ない。冒険の中で探していた、行ったことがなくて、知らなくて、懐かしいところ。
 読み終えた後にタイトルを見返して、
「理想郷はない」とは言い切ってなくて「遥か遠く」とあるから、本当はどこかにあったはずなのではと思ってしまいました。
 ヒカリはやりのはしらであの景色を思い出しかけたようですが、もし、もしも、その時に完全に思い出せていたら、間に合っていたのではないか。
 早菜が、まったく見知らぬ「ヒカリ」の言葉に簡単に耳を貸すとは思えないけれども、それでもそこに、理想郷への道があったような気がしてしまう。
 でも、仮に道があったとしても、彼女たちには遥か遠くて辿り着けなかった。
 理想郷、遠すぎます。
逆行さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 いやあ構成がとにかく素晴らしかったです。ラストのオチね。まさかこういうことだったとは! 全くゲームの中の世界観だということを匂わせないような設定のお話で、まさか『さいしょからはじめる』が出てくるなんて思ってもみませんでした。割と『さいしょからはじめる』が出てくる二次創作というものはよく見かけるものではありますが、こういう世界観で出すっていうのは新しかったのではないかと思います。 
 レポートを抜粋する所も良かったですねえ。なんかもう鳥肌が立ちました。ディアルガに頼んで過去からやり直したりとか、一つ一つの要素はよくある物なのですが、それらを組み合わせることによって全く新しいものを作り出しているような気がしました。作者さんはきっと他の人の二次創作を良く読んでいる人なんだなあって思いました。 
 さりげなく入っていたムクバードの伏線がお話にさらなる面白みを与えていたのが、更に更に凄いと思った所でした。そうだよなあ。ムクバードがいなかったらこうなっちゃうんだよなあ。主人公は栄光を勝ち取ることができましたが、しかし見えない所ではたくさんの死や悲しみがあるものなのですね。結局二人とも幸せになれる道はないのでしょうか……。 
 オチのインパクトは確かにとんでもなくすごかったのですが、ちょっと中盤が間延びしていたかなあっていうのは正直ありました。二万文字ぐらいで書いていただけたら自分は一番心地よく読めたかなあって思います。勿論長く書けば書くほど結末の衝撃度はアップするものなのですが。でも途中で読むのを止めてしまわれたらなんともならないっていうのもあるし。 
 ここは考え方の問題ですかね。衝撃度を重視するか、途中で離脱されるリスクを回避するかっていう所。自分だったら後者を取りたくなる所なんですが。 
 このお話では神であるディアルガが登場する訳ですが、このお話に抱いた感情もまさしく「神々しい」と言ったものでした。凄すぎて読み終わった後にため息をつきたくなったのはこのお話だけでした。恐らく作者さんが長年温めてきたとっておきのネタだったのではないかと思います。
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆☆
 「ポケモン」二次創作であることを追求し、またシンオウ地方だからこそ出来る物語だと感じました。これが他の地方では、この作品の展開は出来ないと思います(ディアルガがいる、ということも大きいですが、それ以外にも上手く周辺要素を昇華しているので)。大会がポケモン二次創作の出来を競い合うものだという前提に則ったとき、私は作者さんがそれとしっかり向き合って、シンオウ地方しいてはダイヤモンド・パール・プラチナへの愛情を注ぎ込まれたであろう珠玉の一作として評価したいと感じました。私事ですが、シンオウの二次創作はいつか書いてみたいと思っていましたが、完敗です笑 私にはこれだけのものは書けませんわ。
 物語の主人公・旭谷日香梨。ヒカリ、というルビから、この名前を用いることに何かしらの意味があるだろうと憶測をつけながら、読みました。それが最後に発揮されましたね! すごい。このどんでん返しという点では、今大会他作品の追随を許さないでしょう。ほぼ30000字近い中、二人の関係性に26000もの分量を費やしておられるのですね。少し長い気もしましたが、このぐらい二人の描写をきちんとしているからこそ、時を巻き戻してでもやり直したいという鮮烈な想いに入り込めるだけの最後の圧倒に、心を持っていかれる驚きが生まれるのだと思います。
 更に、残りの4000ほどで一気にゲーム世界へと引き戻すような逆転図式が展開されます。ゲームメタを逆手に取る作品は数あれど、それを効果的に使うことはかなりむずかしいと、自分は考えています。ですが、この作品はメタでなければならない、と思わせるほど完成度が高く、二次創作としてこういうものを書いてみたいなあとつくづく思わされます。
 また、ハクタイを舞台に据えたことで、ギンガ団と無理なく結びつけることが出来、早菜の孤独と同調するような森の洋館? の活かし方、またディアルガ登場へのスムーズな導線を張っていたと思います。
 あと、この作品では「可哀想」という言葉の使い方が非常に印象的でした。可哀想、という言葉や同情は時に人を苦しめる刃にも成り得るんですよね。断罪してくれた方が余程気が楽になる、という早菜の気持ちは非常になんというか、痛く感じ入るところがあります。唯一の友人ともいえる日香梨にうわべだけの「可哀想」という同情を寄せられては、裏切られてしまったような気持ちになるのも無理は無いなと。でも、あなたには言って欲しくなかったとか、あなたには言われたくなかった、こういう想いというのはやはり信頼している間柄ならあると思うんですよね。私もあまり「可哀想」という言葉は良い響きを持っていない印象があるので、この使われ方に違和感を抱くことはありませんでした。突き放し、自分と対象を客観視し、それでいてどこか上から見られているような、同じ立場だと思っていた者には辛い一撃。
 さて、後半まで含めて本当に素晴らしい小説だなと思ったのですが、ひとつ終盤で勢いを落としてしまった部分があります。それはディアルガの独白で、独白自体は別に締めくくりとして上手く使えばビシッと物語全体を整調出来ると思います。ただ、「虹」「オボン」といったテーマイラストを口で説明しようとしているのがちょっと情報過多かなと。この物語であれば、せいぜい余韻をにおわす、ぐらいで懇切丁寧にやらなくても良かったのかなと思いました。というのも、かえって説明を詳しくしようとして、分かりにくい比喩になっている気がしてしまって、こんがらがってしまうならば、いっそこの部分は省くか、もっと簡潔に書いてしまうかの方が、全体の中にここだけ、という違和感をもたらさずに済んだのかなあというのが、個人的な読了感です。
 しかし、それを差し引いても10以降は凄まじいです。ヒカリは救われたようで、全く救われていない。早菜はどのみち自殺を免れない。でも、酷なことに、チャンピオンにまで上り詰めたヒカリは、もう早菜を必要とはしないかもしれない。うーん、なんて残酷な結末なんでしょう。『理想郷は遥か遠く』――二人が救われる道は、本当に全く無かったのだろうか? 全てを手に入れるというのは、傲慢な選択肢なのでしょうか。救われないものがあるからこその美しさ。作者さんの頭の中を覗いてみたいですね……。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆☆
10段落目で名前がヒカリだった意味に気付き、鳥肌が立ちました。レポートをたくさん書き込んでいます、のメッセージに重みを感じました。失われた未来の5、6年分を含んでいるのですよね……
ムクバードが奪われたことで、日香梨はトレーナーとしての自分を殺され、早菜の命は救われた。まるで天秤のような奇妙な因果関係を、どちらも救われる方向に変えることは出来なかったのかな、と考えてしまいます。
日香梨が何故そのタイミングまで時間を戻したのか考えると、やはり全ての後悔の始まりだったからなのかな、と思いました。
早菜に会うことが無ければ、彼女を傷付けた後悔もなかった、と考えてしまうのは暴論でしょうか……。
やっぱり日香梨の夢と早菜の命は天秤のようだと感じます。早菜の命はムクバードの存在があってようやく日香梨の夢と釣り合ったのに、ムクバードは日香梨の方に乗ってしまったために大きく傾いてしまったのかなぁ、と。
ディアルガも憐れむような皮肉な運命ですね……。
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆☆
茶兎さん
評価:☆☆☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆☆☆
わやさん
評価:☆☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆☆