違和感の箱庭の感想

ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
面白かったです。ストレートに面白かったです。読む前からツイッターで話題になっていたので覚悟して読みましたが、これは面白かったです。
「耳」に関する言い回しが多かったですが、意図までは読み取れませんでした申し訳ありません…ユカリちゃんのポケモンの言葉を聞き取れないというところで耳鼻科の話を出したのはわかるんですが…。この世界ではポケモンと意思疎通することが絶対大前提なので、ポケモンと暮らしていくうえで大事だってことが強調されてるんですかね…。

初っ端からいきなりポケモンが堂々としゃべっててびっくりしました、大抵の作品では限られた一部の人間しかそういう設定を持っていないことが多いですが、この作品では全くの逆でした。どうしたんだろうと読み進めるとウルトラホールの先の別の世界の人間ということで、そういうことか!と膝を打ちました。違う世界の人間、という設定をうまく使えているところ、すごいと思います。
道具の効力とかがまったく違っているところも面白かったです、自分の世界の常識が通じないということはトレーナーとしてやっていくうえでかなりしんどそうですが、コラッタとうまくやっていけてるように乗り越えていけたらいいなあと思いました。

「考え方は人それぞれ」という言葉の解釈も素敵でした。取捨選択して自分にとって肯定したいか否定したいかが大事…心に刺さりました。
これまでは何となく自分と違う意見にぶつかったときに逃げの一手として使っていた言葉でしたが、もっと深く意見と向き合って、自分はそれをどう受け止めるのか考えなくちゃなあと思わされました。

素敵な作品をありがとうございました!
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
読み進めて行くたびにタイトルの意味が分かってくるのがとってもゾクゾクしました。
ユカリちゃんとメイリちゃんの異文化交流みたいな関わり、とってもいいなぁって思いました。
メイリちゃん自身は一体このいろんな可能性のある世界に対してどう思いたいのか、って結論も非常に納得のいくものだとわたしは思いました。
29962字の執筆、大変だったかと思いますがお疲れ様でした!
逆行さん
評価:スキップ
自作です。自作だーーーーーーー!自作だよーーーん!自作だぜイエ~~~~イ!!自作だああああああああああああああ。自作だぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!自作自作自作自作ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!評価はスキップぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆☆
異世界の少女と、異世界へ来た少女の出会い。
あるいは、少女と、異世界から来た少女の出会い。

描写される違和感の数々には感心するばかりです。本当に上手い小説です……!

好きポイント
・主人公が(こちらから見れば)異世界側の住人ってところが良いですね。
 冒頭で読み手が「ん?」となる描写に納得ができました。上手いなぁ……
・「『モンスターボール』のことを『ポケモンボール』って呼ばないのはなんで?」
 確かに……
・「『ポケモンセンター』のこと『モンスターセンター』って呼ばないですよね……」
 確かに……!
・ラストで畳みかけるように描写される「違和感」、そしてあの世界での「常識」の数々。
・謙虚なマスクネーム。読みやすかったですよ!
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆☆☆
物語の随所に散りばめられた違和感を、寄せ集めて答え合わせをする。
実はウルトラホールを隔てた異なる世界だったとは。
面白い構成だと思いました。
森羅さん
評価:☆☆☆☆☆☆
最初、僕もこれは完全な二次創作もので(すみません、よくわからない表現になりましたがなんとなく言いたいことは分かって頂けるかと……!)、よく長編などに出てくる「ポケモンと人間の会話が可能な世界観」で書かれたものだと思ったんですよ。ユカリちゃんが出てくることで、この「ポケモンと話せる世界」の違和感が浮き彫りになり、「道具の使い方が違う」ことが明かされ、それらの「当たり前だったこと・常識のはずのこと」の「違和感」にメイリちゃんも気づいていく。大阪オフの話になりますが、「この(メイリちゃんの)世界は二次創作の世界で落ち込んできたユカリちゃんはゲーム世界の人間だよね」という解釈が(それが作者様の意図されたものなのかどうかはわかりませんが)本当ならば、二次創作をしてる側の人間としては正直ぐっさりザックリと抉られました(そう言う意図で書かれたもので無かったら申し訳ありません)。心が苦しい……! 導入部の「耳」の描写からの、「ポケモンの言葉がわからない」に繋いでいくのも上手いなあと思います。面白かったです!!
水のミドリさん
評価:☆☆☆☆
文体に作者様の社会に対するひねくれた視線がありありと見えて感服です(褒めてます)。普通「人それぞれ」って言葉に対してここまでつっかかることないじゃないですか。それをよく書きますわほんと……。
違和感の答え合わせシーン、ふたりの会話が続くだけなのに安心感がすごい。読み手の中にわだかまっていたがんじがらめの糸がほつれていく感じ、とてもほっとしました。ぶっ飛んだオボンの設定を生かしたラストカットも鮮やかで素敵。ユカリの冒険、私たちにとってバグった初代赤緑版で遊ぶみたいな楽しさに溢れているんでしょうねえ。当人にとってはたまったもんじゃなさそうですが、アネ゛デパミ゛とか普通にいてもおかしくない世界ですもの。むしろそういう“もうひと捻り”が欲しくなっちゃいます。だってなんでもアリじゃないですか、街を出ようとしたら見えない壁があって、実はほんとうに箱庭なんですよここ、で切ったってなんの問題もない。ラストもっと遊べたんじゃないですか?
タイトル読んでからの冒頭で、肌寒い日に氷点下キンキン系アイス食べていることがイチバンの違和感でした。毒で死ぬ世界観に毒状態のエネコロロが放置されていたり(ポケモンと相互意思疎通できるなら日常生活で毒にならないしまずはぐれなさそう)、作者様が本来意図されないところで読者に違和感を抱かせてしまったのがもったいなかったかしら。ここのしこりが残されたままだと、↑の違和感答え合わせで全部スッキリー、ってわけにもいかなかったので。
終夜さん
評価:☆☆☆☆☆☆
捕食されるポケモンの声が聞こえるのって、現実の(ポケモンが喋っている言葉を言語として理解できない)私たちからすると卒倒しそうな場面ですが、それさえもこの世界にとっては違和感のない単なる日常に過ぎないのですね……はひい、おっかないなあ……。
マスクネームにびびりましたが、ラストまで非常に読みやすく、面白かったです。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆☆
・ポケモンたちとの会話はとても可愛らしかったですが、作品全体はとてもシュールな雰囲気でしたね。
・その世界での設定にはなにか元ネタがあったりメタ的な要素があったりするのでしょうか?それがとても気になります。
リングさん
評価:☆☆☆☆☆
ポケモンは公式で数多くの平行世界があることが示唆されていますし、場合によってはメガシンカやフェアリータイプがない世界、悪タイプや鋼タイプがない世界なんてのも存在するわけですからん、もしも異世界からそんな訪問者が現れれば、自分の世界が正しいのかどうか、疑問に思うこともありそうですね。
そんな場所でも普通に生きていこうとするユカリちゃんは強すぎませんかね……
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ポケモンの言葉がわかるのが普通の世界という逆転の発想に脱帽しました!ヒトツキがかわいい…。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ポケモンのことをモンスターと呼んでいるところで、違和感ってこれのことかな、と思い、そういう世界か、と納得していたら、そこからさらに物語が発展していく。マスクネームから察せるように文字数ギリギリの骨太作品で、これだけじゃ終わらないのが良いですね。
メイリの冷めた口調が、このストーリーの扱うメタさとマッチしており、ひいては物語を読者の心に限りなく近づける役割を果たしていると思います。テーマとの噛み合わせが絶妙だったと思います。
また、世界の違いに対する具体例を挙げる数が尋常じゃないんですよね。それがこの物語の構成の根幹を担っているのはタイトルから見てもそうなのですが、それにしてもこの数は凄まじいです。よく考えたなぁ〜、と感心してしまいました。きのみの超常現象が強すぎる……!笑
ただ、この作品はもう一つ裏テーマを含んでいるな、と感じます。カイさんのツイッターでの感想だったと思うのですが、「考え方が人それぞれ」ということは、我々二次創作でポケモンの世界観に対してどういうアレンジをするか、という意味ではないかと仰られていた時、非常に腑に落ちるものがありました。要所要所でポケモンのネタやこの界隈で生まれたものなどを彷彿とさせる出来事が挟まれていたり、単語が選択されたりすることから、そういう意図は少なからず含まれているのではないか、と思います。そこまでこの話を読む相手のことを想定して書いたのかと、ゾクッとしました。(そこまでの意図でなければすみません)
大切なのは、自分がどうしたいのか。そして何より、楽しんでいくこと。非常に清々しいメッセージのこもった作品だったと思います。
Pさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ボールに入る存在を「モンスター」と呼び、人とモンスターはお互いの言葉を解し、人々は12歳からトレーナーとなることを許される世界。二次創作においてはよくある小さな差違から始まり「毒で本当にポケモンが死んでしまう」という意見が分かれそうなところが描かれ、そこから「ポケモンのふえで火傷が治る」、「一般人にも普通に化石を復活できる」という我々から見れば噴飯ものの現象が発生し始めと、段階を踏んで描かれる「違和感」の表現がとても巧みでした。
その果てにあるのが「オボンには雨乞いの効果を打ち消す力がある」。まったく想像もしなかった方法でお題のイラストを作中風景にするそのアイデア、何を食べたら思いつくんでしょう。やっぱり柑橘でしょうか。
我々から見るとどんどん荒唐無稽な光景になっていく作中世界で生まれ過ごしてきた主人公でさえも、別世界の存在を知り「この世界は本当に正しいのだろうか」と悩み始める姿、そしてその末に掴んだ「例え他の世界があったとしても、私の世界を否定してはいけない」という結論は創作にも通じるもので、この話自体を創作への応援歌のように感じました。
しかし生まれてこのかた14年過ごした世界よりも、行ったこともなくただ伝聞でしか知らない世界の方を主人公が「正しい」と認めてしまうこと、ポケモンの言葉が理解できないのはまったく事例の存在しないことにもかかわらず「ポケモンとの絆が足りない」「愛情がない」とされることが多いとの言及があるなど、時折「私たちの知っているポケモン世界」の認識がベースらしき部分があり、違和感を違和感として捉えていない主人公の視点が好きだった身としてはやや残念に思いました。
しかし普通に出されれば受け入れられたかどうかも怪しい、ポケモン本編から大きく外れた作中世界に見事愛着を湧かせるその手腕は比類なく素晴らしかったです。個人的なお題クリアアイデア賞。
照風めめさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
もうアイデアが最高です。ありそうでなかった、完璧な作品だと思います! 面白かったです!!
タイトルの「違和感」が頭に残っていたはずなのに、序盤でいきなりポケモンが喋ってることに対して全く違和感を感じてなかったんです。そこでようやくモンスター。モンスターって、なんやねん。そう思って読み進めていたらまさかのウルトラホール! 思わず手を叩いて「あー! そういうことか!!」と叫びたくなってしまうほどの衝撃でした。
それにしてもユカリちゃん、振り切ってこの世界で生きていこうとするのが逞しすぎる。メイリと一緒に突っ込みたくなります。
ウルトラホールのせいもあるけど、普通でない生き方するのってめっちゃ勇気がいると思うんですが、それでも一所懸命な姿に成長して大成してほしいなあと思います。
モンスターやボールのリユース、毒などもそうなんですけど、オチのところのオボンの使い方が抜群に面白かったです。どうやったらそんな発想になるんだ……。
でもこの作品はそれに留まらないんですよね。
考え方は人それぞれ、というかなり難題なテーマに真正面から切り込んでいくのは凄いです。思春期ならではだなあ、と思いました。
確かに考え方は人によって違うし、様々な価値観はある。それを全て受け入れるとパンクするのは確かだけど、ここでスパッと自分にとって大切なものをきちんと大切だと思えるように考えられるのが素敵だなあ、と思いました。
>砂地獄っていう例の物騒な名前の技、結構怖かったよ
ちょいちょいシュールなギャグが垣間見えるのも好きです。確かに物騒だけど……笑
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆
まず、とても読みやすかったです!サクサクっと読めるのに深い、素晴らしいです。そしてこれは完全に私個人の考え方になってしまうのですが!違っていましたら申し訳ありません。メイリちゃんがもやもやしていたのは、あらゆるものを全部肯定したい、でも好きじゃないものもあるという狭間にあったからなのかなと思いました。周りのことを優先してしまうあまりに、自分の物差しを持てなかったところに、ヒトツキの言葉はありがたかったように思います。食べず嫌いをするのではなく、まずは食べてみて自分で好きか苦手か判断してみるのがいいんじゃないかな、ということなのでしょうか、面白かったです。
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
なんかもううまいですね…。タイトルからどんな話がくるんだろうと身構えていたけど、予想を遥かに上回るストーリーに舌を巻くしかないです。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
ごめんなさい、私どうしてもこの作品で提示されたテーマからは程遠い知的レベルの「面白い!」しか連呼できない…だって本当に面白かったんですよ…!
この作品を読むまで私は、ウルトラホールとか異次元の世界っていうのは、それこそ自分には理解も及ばない、想像もつかないような別世界で、そんなところからやって来た人やUBと仲良くなることについて、難しく考えすぎてしまう節がありました。
しかし、この作品を読んでそんなモヤモヤは吹っ飛んでしまいました。こんな簡単なことだったんだ、って思ったんですよ。簡単と言った割に言葉で説明できないのが我ながら分かってないだろうとツッコミ入れたくなるんですが…この感覚は分かります。すっきりとまとまった数学の公式を目にした時の気持ちです。公式が何を指しているのかは数学脳じゃないので説明できなくても、世界を構成する定理がこんな一行の数式で表せるんだ、という気持ちは起こるんです。それくらい、ウルトラホールの先の世界についての解釈が、変わったというか変わりつつあるのを感じます。
あとこの、オチに至るまでの「違和感」の配置がめっちゃ良くて、人とポケモンが話せる、っていうのは、それはそれで一ジャンル、くらいのメジャーな違和感なんだけど、その影に「十二歳で旅立ち」「モンスターと呼ばれるポケモン」とかの、メジャーな違和感の前では見逃してしまいそうな違和感を地味に配置していく。
このメイリの世界が実はユカリから見れば異世界だった、というネタばらしをしてからは、もう悪ふざけ的に違和感の正体、これは全部異世界だから起きていたんだよってことを次から次に明かしていって、そうか異世界だからなんでも起こるんだな、人それぞれの世界があるんだな、よかった、で、普通終わらせるのに、終わらない。
しっぽをふるでダメージが入る。ポケモンの笛でやけどが治る。違和感を通り越してメチャクチャの様相をきたしてきた世界に、今度はその世界を当たり前と思って過ごしてきたはずのメイリ自身が違和感を懐き…っていうのが!なんかもう凄い!確かにここから先考え始めるともう気が狂いそうになる!
この、考え方はそれぞれで肯定できる部分と「なんでもあり」で済ませた結果自分の世界や考えがめちゃくちゃになってしまう境はどこだろう、っていうのと、途中で出てきた、意見を戦わせて言い争いをしていいレベルってどこまでなんだろう、っていう疑問は、根っことしては同じというか、よく考えたら私もこの感想欄を書いてるときに実は同じようなことで何度も悩んでいることに気づきました。「このセリフはおかしい気がするけど、全体から見ればそこまでじゃないな」と「ここでこのセリフは何かおかしいとはっきり言いたい」の基準というか…でもいつまでもそんなこと言ってたら、星も感想も何も言えなくなるんですよ。極端な話、それこそなんでもありで「すごくいいと思います、☆7」とか、さすがにやらないけどやって良くなってしまうんですよ。
そして、自分で考えた結論は、やはりメイリと似たようなものだったんですよ。私の基準で思ったことを書いて星を振るのが結局は一番いいんだっていうことに。そこから先の、喧嘩になるかも知れないけどどうしようとかは、言い方とかそういうことでうまいこと調節しつつ、どうにか頑張っていくしかないんだなっていうことに(まあ作中ではそこまで言ってないけど、私自身の思いとして)。
実はこの作品の感想Aの最後にしたんですけど、凄く晴れ晴れとした気持ちで書き終えることができました。今ならオボンの実かじって虹出せます。文句なしに☆7です。ありがとうございました。
カイさん
評価:☆☆☆☆☆☆
これはポケストカーニバル全作中、最も私の心に刺さる主題を扱った作品でした。

この作品の主題は「二次創作と原作」だと思います。
メイリの世界が「二次創作」、ユカリの世界が「原作」を象徴しているという考えです。
私がこの作品から受け取ったメッセージは

①二次創作は原作にとって違和感の塊である
②考え方・世界は無数にあり、重要なのは自分がどれを肯定するかである


特に①がね……ぐっさりきました。
メイリの世界(二次創作)はユカリの世界(原作)にとって違和感の塊、ということです。
実は最初に違和感として描かれるのはユカリのほうです。メイリの日常に、ユカリという違和感が入り込むわけです。ところが後半、ユカリが異世界の人間であることを明かしたシーンから、読者の中で違和感の対象が逆転します。
ポケットモンスターをモンスターと呼び、モンスターと喋ることができ、十二歳で旅立つメイリの世界。ポケットモンスターをポケモンと呼び、ポケモンと喋ることはできず、十歳で旅立つユカリの世界。
どちらが「原作」「二次創作」の世界であるか、読者には明白です。しかし同時に、そんな違和感の塊であるはずの二次創作を問題なく読み進めていたことにも気がつきます。
この違和感の塩梅が非常に巧みで、前半メイリの日常ではわずかな違和感(後半への伏線)を静かに丁寧に積み重ね、「二次創作によくある設定・表現かな」「タイトルの伏線かな」と思わせる程度にとどめているんですよね。そしてユカリの告白の直前に一気に違和感レベルを上げ(どくで死ぬ、キズぐすりで瀕死を治す)、違和感対象の逆転につなぐ。鮮やかですね~。

「二次創作は原作にとって違和感の塊である」
これがなぜここまで私に刺さっているのか、説明します。
ちょっと自作の話になってしまって申し訳ないのですが、私は「ハウとポケモン」というポケモン二次創作小説を書いています。一応サンムーン原作沿いと謳っておりまして。実際、ゲームを何度もプレイして、関連セリフは全部回収して確認して、小説中のどの表現が原作の事実か自分の想像か、その想像の根拠はどこにあるのかないのか、できる限り自分で把握して書いているつもりです。それが私の原作に対する、ハウに対する誠実さであり愛だから。できるだけ違和感をなくしたいから。
……でもですよ。
どんなに私が原作に忠実にやったつもりでも、違和感なくしたつもりになっても、結局二次創作は「違和感の塊」でしかないわけですよ。だって原作とは違う世界だから。
資料めっちゃ調べて書いた二次創作も、ポケモンの呼称やどうぐの効果をわざと原作と変えた二次創作も、この意味では同次元なんです。
私は結局、自分にとって都合のいい違和感を寄せ集めた箱庭で、安穏と暮らしているだけなんですよ。

誤解のないように言っておきますが、もちろん自作を原作として認めてほしいなんて思っているわけではないです。私だっていち二次創作者ですから、自作が原作とは違う世界だということは、はなから承知しております。自分だけの箱庭でぬくぬく過ごしていることは分かっています。ただですね、その事実をこういう作品の形で真正面から突きつけられた時、真っ直ぐ心臓に刺さったな~~~って、そういう話です。
おそらく今手掛けている作品が、原作沿いと称して相応の努力はしているつもりなだけに、余計刺さったんでしょうね。自作が原作とは違う世界だと承知していると言いながら、やっぱり私は心のどこかで、傲慢だったのかもしれません。自作と原作が同じ次元にあると思いたかったのかもしれません。
それを戒めてくれたという点で、「違和感の箱庭」には頭の上がらない思いです。


ここまでが前半。
「二次創作は原作にとって違和感の塊である」としつつも、「考え方は人それぞれ」とどちらも認めるパートですね。メイリもユカリもお互いの違いを楽しんでいる描写があります。これは原作と二次創作、あるいは二次創作同士の共存の、一種の理想形を描いていると考えられます。原作・二次創作関わらず、私の世界もあなたの世界も素敵だよねって言い合えたら、いいですよね。
しかし、です。この作品のすごいのは、もう一歩踏み込んで問いかけと解答を試みているところです。いくら「考え方は人それぞれ」で、どの二次創作も素敵なんだとしても、じゃあポケモンをモンスターと呼び、喋ることができて、ポケモンの笛で火傷が治るっていうめちゃくちゃな設定にした世界を「ポケモンの二次創作」と認めて本当にいいの?「考え方は人それぞれ」でどこまで許すの?ということを、身を挺して問いかけてくるわけです。
その答えが主題②

「考え方・世界は無数にあり、重要なのは自分がどれを肯定するかである」

きちんとここに落としたところが、非常に優れていますよね。
前半、自作が違和感の箱庭であることを突きつけられてぶっ倒れた私も、終局で与えられたこの解により、改めて「自分の世界(自作)を自分が肯定して愛さないでどうするんだよ…」と目の覚める思いでした。なんかもうこの作品にはいいように気持ちを揺さぶられた心地です。作者様が狙ってたのか私が深読みしているだけか分かりませんが、狙ってやっていたとしたら本当にすごい。今これをご覧になりながらニヤニヤしておられることでしょう。

まあそんなわけで、私はこれからも自分の二次創作を「違和感の箱庭」だと戒めた上で、肯定して愛していこうと思います。もちろんそれを言い訳に使うことなく、真摯に丁寧に「原作」の設定や描写を確認しながらです。
メイリさんの世界については、申し訳ないですが原作の設定を大切にしたい派の私としましては、到底容認できる二次創作ではありません。通常であればね。しかしこの文脈で生まれたメイリさんの世界、この物語は、私にとって大切な「肯定したい世界」の一つです。この作品に会えて、メイリさんの世界が生まれてきてくれてよかった。本当にありがとうございました。


以上、「違和感の箱庭」についての独自解釈・深読み感想でした。作者様の制作意図とは全く違う発言をしているかもしれません。考え方は人それぞれだと思っていただけると有難いです。まあ肯定してやってもいいかなと思っていただければ、幸甚です。
灰戸さん
評価:☆☆☆☆☆☆
「ポケモンとしゃべれる(設定な)のかー」とか、「キズぐすりで瀕死治らないけど、そういうもんなのかー」「12歳で旅立つのかー、まあ、そういうのもあるよね」と、ん? と思いながらもずるずる読み進めた結果、それが明らかな違和感であることに衝撃を受けました。私が深く考えなかっただけなのか、それともん? ぐらいに思えてしまうそれこそ意図的な違和感なのか、するすると読んでいただけに衝撃もひとしお。
 キャラクタ同士の掛け合いも良いですね。とても読みやすくユニークも交えつつ進んでいく感じで好き。一番好きなのはえ? え? え? え? の下りでした。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆
「とりあえず自分のポケモンを持って見たらって」
→「とりあえず自分のポケモンを持ってみたらって」
持って見たら→持ってみたら

そう言うものに逆行する気概はない。
→そういうものに逆行する気概はない。
そう言うもの→そういうもの

 だから私は蛇足した。
 「まあでもヒトツキの意見も良く分かっているよ。考え方はそれぞれだよね」
(台詞の前の空白は不要かと)

こう唱えてオシマイにしようとしてからまだうだうだ言歯向かってくるような謀反者を
→こう唱えてオシマイにしようとしてからまだうだうだ歯向かってくるような謀反者を
言歯向かって→歯向かって

生息地体外の安全な場所で
→生息地帯外の安全な場所で
地体→地帯

「考え方はそれぞれ」って言う結論で丸く収めたくなる。
→「考え方はそれぞれ」っていう結論で丸く収めたくなる。
って言う→っていう

「えっと、昨日言っていた話しって何?」
→「えっと、昨日言っていた話って何?」
話し→話(前者は「話す」という動詞の活用形として用いる場合)

「え、だってどぐだよ」
→「え、だってどくだよ」
どぐ→どく(意図的でしたら申し訳ありません)

剣なのに、日本語をペラペラと話してる!」
→「剣なのに、日本語をペラペラと話してる!」
(台詞の最初に鍵括弧がありません)

『え、ここどこ?』
生き返ってカブトは自分がされたことに気がつかず、ひたすら周囲を見回していた。
(地の文の最初の空白がありません。意図的でしたら申し訳ありません)

そこから更に話しを深めようとしている。
→そこから更に話を深めようとしている。
話し→話(前述の通り)

『いや、ちょっと待って。なんでこんな頭痛くなるような話し延々と続けてるの』
→『いや、ちょっと待って。なんでこんな頭痛くなるような話(を)延々と続けてるの』
話し→話

これはもしかして。ユカリさんには、ポケモンの声が「ゲームで聞こえる声」に聞こえるのでしょうか。だとしたらピカチュウが「ピッカチュウ」で他のポケモンが電子音じみた音であることが頷けるわけなのですが……かと思えば、原作とは別の効果を持つ技や道具が登場したり、最後にはオボンのみが「あまごい」の雨を打ち消したり。考えてみれば、ヒトツキ先生がおっしゃる通り、「自分自身が肯定したいか否定したいかで物事を考えてしまう」からこそ違和感を抱くことになるのでしょう。こうなってくると私もどれが本当か分かりません。「しっぽをふる」だけで防御力が下がる?もっと太く固い尾を持つ者が「しっぽをふる」を使えば、子の作中のように攻撃になるのではないか?ゲームでは「ポケモンのふえ」は眠っているポケモンを起こすもので火傷を治すものではなかったのでは?しかしあの笛の音で本当にポケモンが目覚めるのか、そもそも音だけで状態異常を治すことはできるのか?同じように音を鳴らして他の状態異常を直すビードロという道具はどのような原理でそんな効果を発揮しているのか?と、考え始めたらきりがありません。誰かが定義してしまえば、その人にとってはその定義が「本当」になる。受け入れられない人にとっては「本当」ではないものになってしまう。作中で学んだこのことが、妙な恐ろしさを含んでいると思うのは私だけでしょうか。

そして、果たして私がここに書いたことは、「本当」なのでしょうか。
とてもとても考えさせられる作品でした。
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 違和感を違和感なく作品に盛り込むの、すごくいい。私、こういうの、とってもすきです。
 それと「考え方はそれぞれ」への違和感に、真っ向から向きあっているの、この子偉いなと思いました。私にはこういうテーマはとても扱えません。
 「大事なのはあなたが肯定したいか、否定したいかどうかだよ」と最終的にこの作品としての答えもしっかり出しているのも偉い。この剣は立派な剣。
 最後の最後に、違和感の世界を十二分に利用して(思いもよらない反則的なトンデモ設定を持ってきて)虹を映すの、もうほんと、ずるい! さいっこうの演出! ひええ! 素敵! 最高でした!
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 人間はポケモンの言葉が分からないという先入観があるので、冒頭で「えっ!?」と意表を突かれました。ユカリが世界線を飛び越えたのはアクジキングに飲み込まれたことが原因だそうですが、アクジキングの口の中がウルトラホールになっているという図鑑設定は見当たらないので、作者様のオリジナル設定でしょうか? ユカリはウルトラホールの先の世界に来られてワクワウしたらしいですが、私だったら突然似て非なる異世界にぽんと放り込まれたら、いくらメイリという友達ができても不安でたまらないと思います。そう考えると。ユカリは旅のポケモントレーナーになるために生まれてきたかのような、タフな精神の持ち主ですね。となると、ポケモンと喋れないほうがつらかったと聞かされたメイリの、「未知の世界にやってきて、頭がおかしくなる程懊悩して、それでもなんとか気を保って、この世界で生きていこうと前向きに決意をしたのに、モンスターと喋れないという壁にぶち当たる。その辛さは想像を絶するものがあるだろう。」という推測は、ユカリのあっけらかんとした告白と矛盾してる気がするのですが。これはつまり、口ではそう言っててもユカリの本心はただ強がっているだけ? 帰れるものなら帰りたい、という言葉がそれ以上でも以下でもない本音だとメイリが見抜いているということでしょうか。ポケモンと喋れる世界、ポケモン好きとしては私はこちらのほうが楽しそうですし意思疎通に困らなくていいなあと思います。木の実がもつ効果の違いと、その使い方で締めくくられるラストシーンが好きでした。投稿、お疲れ様でした。
雪椿さん
評価:☆☆☆☆☆
 タイトルの通り、数々の「違和感」が詰め込まれた物語でした。Twitterにてこの話は「原作と二次創作を表している」というものを見かけ、言われてみればその通りかもしれないと思いました。確かに二次創作は原作から見たら「違和感」しかありませんよね。
 「考え方はそれぞれ」ですが、思わずハッとさせらる作品でした。
春さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 サクレ美味しいですよね。サクサクサクサクレ。オボンサクレは、いったいどんな味がするんでしょうか。ユカリちゃんの世界のザクレとメイリちゃんの世界のザクレと私の世界のサクレはきっと、似ているけど少しずつ違う味がするのでしょうか。
 ポケモンと人間が普通に会話していたので首を傾げましたが、恐らくはこれは重要な意味を持つのだろうな、と思い読みすすめました。だってタイトルが「違和感の箱庭」でしたから、もう、ピンときた感じです。上手いタイトルだなぁと思います。ポケモンたちもたくさんお喋りしてましたけど、人間って言うより、やっぱりポケモンらしく話していて、安心しました。ユカリちゃんはいったい何者なんだろう?と思ったら彼女は私たちのよく知る世界から来た人だったんですね。逆に、彼女だけポケモンの言葉が分からない、というのは新鮮で面白かったです。ユカリちゃん、これから大丈夫なのでしょうか?彼女の今後が気になります。ユカリちゃんとメイリちゃん、並行世界を超えた友情ですね。ユカリちゃんはいつか帰るかもしれないし、帰れないかもしれない……。元の世界のポケモンが一匹でも一緒にいたらよかったのになぁと少し思います。世界に一人ぼっちというのは、心細いですから。だからこそ、メイリちゃんという事情を知る友達ができた事は幸運だったと思います。
 ヒトツキが最後に語ってくれた考えた方結構好きです。色々考え方がある。でもそこに正しいとか間違ってるとかはないと思います。大切なのはヒトツキが言う通り、「それを自分が肯定したいかどうか」。善悪の基準って、見る立場によって変わりますし。その時その時で考えていくしかないんだろうなぁと思います。凄く凄く、大事なことをヒトツキは語ってくれたと私は思いました。それに善悪だけで括っちゃうとバトルになりやすいけど、「私はその考え方が好き」「私はその考え方が嫌い」という基準なら、お互いに受け入れやすい様な気がします。それも人それぞれ。心が楽になるような気がします。
 マスクネームが「お時間のある時にどうぞ」でしたが、分量とは反比例して非常に読みやすく、サクサクと読み終えることができました。作者さんの技量の高さのなせる技だと思います。ありがとうございました!
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 まずこの世界観の作り込みが好きです。道具の効果が少しずつ違ったりするところが実に痺れました。そのどれもが実際にありえそうなんですよね。ラストに出てくるオボンの実の効果も、エアロックやノーてんきに通ずるところがありますし、無理がなさすぎずそれでいて違和感を抱く、絶妙な加減を感じます。読んでいる間、ポケモンと喋っていたりモンスターと呼んでいたりするところには違和感があったのですが、キズぐすりで瀕死のポケモンを回復するところとかつい流してしまって、「やられた!」と思いました。からの、私たちの良く知る(と思われる)世界からのユカリという訪問者と、その差異について語り合うところ、とてもワクワクする場面でした。随所で出てくるポケモンたちの会話も、ついクスリとしたり、微笑ましいなと思ったり、そういう点も含め、実に読み応えのあるお話でした。
 読んでいるとき、「バカの壁」という新書を思い出しました。自分の固定観念とか既存の常識に則って考え、理解できないもの、ならぬ理解しようとしなかったものに対し、おかしいとか異常だとか感じてしまうのは、その間に壁を作ってしまっているから、という要素、本作にも所々に出てきますよね(ポケモンと喋れない奴はトレーナー向きではない、という観念とか)。その壁の外から世界を見ることが相互理解の起点である、という点において、メイリとユカリの出会いは本当に貴重なものであったのだろうと思います。
 自分の観念にそぐわないものを見るとつい混乱したり怒りを覚えたりするものですが、メイリはユカリがもといた別世界も否定せずに肯定できる人間ですし、ユカリは一度パニックになったとはいえ落ち着いてからは受け容れようと動くことを躊躇わずに旅に出ていますし、メイリもユカリも、何と言いますか、どちらもできた人間だなあと思いました。
 「考え方は人それぞれ」という考え方、これが自分とは異なる観念の理解と肯定とを同時に意味すると考えてしまうと、「何でもありになる」というメイリの考えも分かりますし、私自身は肯定したものどうしで衝突が起こって身動きが取れなくなったこともあるのでとても理解・共感できるところでした。
 ヒトツキとメイリの何気ないやり取りみたいなのも好きです。お互いにあんまり遠慮しない関係性は、喋ることができるからゆえでしょうか。
 で、そういったストーリーであったり、ポケットモンスターシリーズ本編で出てこない設定であったり、そういったものがすんなり入ってくるのは、全体的に読みやすい文章だからだと思っています。説明が上手い、とも言えましょうか。
 読み応えがあり、そして考えさせられ、ラストの未来を感じさせる描写も美しく、非常に緻密に作り上げられた作品だと感じます。読んでよかったと思える一作でした。
早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 なるほどなあ。ウルトラホールというものは便利なものですね。
考え方はそれぞれについて掘り下げていくのはドツボ。自分が肯定したいかしたくないかとか、ほかに掘り下げるべきとこがある。たしかにその通りですね。いろんな意味で。
ポケモンが喋れる世界を読んだとき、現実の僕たちが当然のように動物と喋れる
世界を想像しました。なんかもう昼ドラ展開も真っ青な血みどろな世界がもっと開けっぴろげになりそうで、怖いですね。いかに人間は人間の都合しか考えていないのか、痛いほど思い知ることになりそうです。作中はもちろんポケモンがいる世界の話なので、ポケモンとトレーナー達は一応きちんと共存していますが、このテイストで昼ドラドロドロやったら凄そうですね……
北埜とらさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 ちょっともうこのラストシーンでのお題の使い方wwwwwwwいやこれはお題を使っていると言える……んですか!?www光り輝くオボン……虹……いや待て木はどこだ? 風が強くて落下の恐れがあるという部分……冒頭の戦闘シーンのイネ科の草むら……要素要素を各場面に盛り込んだという感じですか!? こんなのアリ!?www なのに結局は「この世界観に細かいことを求めてもなあ」と思わせてしまう、この破壊力……ッ!! なんなんだよもう!! こんな突拍子もない発想ができるなんて正直めちゃくちゃ羨ましいです……!!www 面白かった~!!
 突拍子もないと書きましたが、全然突拍子もなくないんですよね、計算された面白さなんですよね。「人間とポケモンが喋れる」という二次創作にありがちな部分から入り、読者に気付かせない程度の小さな違和感を積み上げていく。タネあかしをしたあとの、あれも、これも、そういえば……という気づきの連続は、まるでトリックアートでも見せられていたかのような面白さ。そこからの怒涛の違和感ラッシュはあまりにもシュールで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方ありませんでした笑。メインを(我々から見れば)「あちら側」の世界に据えていたのがなんとも面白い。「あちら側」の視点から「こちら側」に違和感を持っている主人公が、「本当におかしいのは自分のいる世界なんじゃないか?」という疑問を持ち始めるメタな展開が、「おかしいのはお前の世界だよ!」と突っ込みたくてウズウズしている読者一同を一層満足させたんじゃないでしょうか。
 この面白おかしい並行世界ネタの披露だけにとどまらず、「『考え方は人それぞれ』でなにもかも肯定してしまって本当にいいの?」という問答にまで持って行ったところが、この29962文字をシュールだけで終わらせない強さを生み出しているのだと思います。メイリちゃんが至ったこの疑問と解決について、個人的には、それまでの話と微妙にスムーズにまじりあわなかったのですが、おそらくヒトツキとの会話のみで終わってしまったからなのかなと。メイリちゃんのキャラクタ性なら、この件についてユカリちゃんと話し合って答えに辿り着くこともできたのかなあと感じるのですが、それをしなかったところにも何か作者さんの意図があるのでしょうか?
 女の子たち・ヒトツキ・野生含めたポケモンたちが皆ポップでかわいかったとか、そもそも「モンスターって呼ぶ」って発想どうやったら出てくるんだよとか、好きなところがたくさんあるのですが、一番は「モンスターボール」と「ポケモンセンター」の呼び方の違いに着目されていた点に、うまい! と膝を打ちました。いやあ面白かったです。今大会の大作枠は、どれも正攻法で話の重い感じのものが多かったので、この作品のポップさというのは大変に異彩を放っていたと感じています。純粋に面白おかしい読み物って感じで、凄く好きでした、ワクワクしました、オアシスでした笑。きっと締め切りの所以なのでしょうが、精密に積み上げられている前半に比べると、後半がウオオオオ!! って書きあげた感がかなり伝わってきましたので(すいません笑)、もし校正版が存在するなら、それもぜひぜひ読ませていただきたいと思える作品でした!
 投稿お疲れさまでした!
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 この作品ほど極端な例はそうないですけど、ポケモンってメディアが異なると設定が異なることが結構あるんですよね。分かりやすい例だとキャプテンという役職が存在しないアニポケとか。そういうのが好きな僕としては、かなりグッとくるお話だったと思います。ポケモンと人間が会話可能かどうかという、わりとありふれた所から初めてどんどん違和感を強めていくスタイルのおかげで、メイリが彼女の暮らす世界に違和感を抱くようになる過程が自然と頭に入ってきます。
 また、世界を隔てたメイリとユカリの違い、メイリが抱く世界への違和感の中に『考え方はそれぞれ』という価値観への考察を混ぜているのも巧みだなと思いました。
 "「考え方はそれぞれ」という考え方には、一つ卑怯とも言えることが潜んでいる。こう唱えてオシマイにしようとしてからまだうだうだ言歯向かってくるような謀反者を「自分だけが正しいと思っている奴」と、悪役認定することができるのだ。"というメイリの指摘、"『「考え方はそれぞれ」っていうことをいくら掘り下げたって結論は出ないよ。そこを考えたってどツボに嵌まるだけ。その考えの是非なんかより、もっと大事なことがあると思うよ』"というヒトツキの指摘、"大事なのは、私自身が肯定したいか、否定したいかだ。"というこの作品における結論、この3つが特に、考えたがりの僕の心には深く刺さりました。
はやめさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
 「この世界で人間と共存するポケットモンスター。彼らの喋る内容が分からない。彼らと会話することができない。そういう人がいる、という想像をそもそもやらないまま生きていた。私が想像力に乏しい人間なだけかもしれないが実際にそうなのだ」
 この文章に衝撃を覚え、一気にここから引き込まれていきました。そうきたか、と。続いて「そして私はユカリに物凄く興味を持った。モンスターと喋ることができないという不思議で神秘めいた特性に惹かれた。とても、面白い。彼女がなにゆえそのような特性を持っているのか、原因を追求したい好奇心が収まらなかった」とくるわけですが、ここも表現ひとつひとつが面白いです。
>「考え方はそれぞれっていう考え方は、本当に正しいのか」
 考え方を尊重して思考や議論を放棄するのが本当に正しいのか? という問題提起は目を背けたくなるぐらい嫌らしい着眼点(褒め言葉)です。今日のネット炎上を見ていると実にタイムリーなテーマだなと思わされます。
 この作品は世界観のあまりの奇抜さから、それ一本での勝負になっていると受け取られがちかもしれませんが、私はどちらかというと、「違和感」という感覚や疑問を由来として見出される、自分の価値観との戦いを描いた作品だと感じました。引き込まれるのはそうなのですが、この作品は楽しく読めるタイプの「引き込まれる」であって、圧倒的に頭をガツンと殴られるような怒涛の展開というのはあまり無いように感じます。ですので、これだけの題材とお話、世界観でこの文字数を使って物語を書き続けられるのは、純粋に読んでいて凄いな、まだ続くのか……と思いました。30000字企画作品とは珍しいタイプのストーリーラインだと感じます。これは素直に感嘆するしかないですね。
 「だが、戦いはそこで終わりでない。」から結構な分量の話が続きます。そしてこの考えを軸に、自分の世界に疑問を持ち始め、否定しかけたところで、「自分がどうしたいのか」という原初の疑問に立ち返り、本当の良い意味で「考え方はそれぞれ」を実践出来るようになったところは、メイリとユカリのふたりの物語として絶妙な着地点、帰結であるなと、感動を覚えました。何もかも常識の違う世界に投げ込まれて適応しようと必死にもがく中で、少しずつ自分に出来ることを行って、なんとかその世界で頑張っていこうとする心の強さを感じました。私がユカリだったら絶対にどこかで挫けると思います。二人とも、大変魅力的なキャラクターでした。
 今大会ではウルトラスペースやビーストを見かけないなぁと少し残念な気持ちでしたが、全ての違和感の理由づけとしてここでウルトラスペースを持ってきたのはお見事。この作品では、序盤意味ありげな事物への言及が、後に展開のエッセンスとして取り込まれている点が素晴らしく、作者の高い力量を感じます。それをカウントすれば割とキリのないレベルで細かい言及が後に活かされていることがわかります。それだけに誤字が色々と勿体無い気がしました。
 ポケモン二次創作として、まさにポケモンだから出来る要素をちりばめ、納得させる形に落としこんだ作品でした。
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
わやさん
評価:☆☆☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
一葉さん
評価:☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
秋桜さん
評価:☆☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆