下手なペテン師と至心な賊子の感想

48095/坑さん
評価:☆☆☆
~身捨つるほどの 祖国はありや~
 ペテン師である彼女が、実は一番、今まで騙されていた。
 もしエレナ中尉に会わなかったら、ヒルデは(それはそれで不幸なことだけど)わだかまりを抱えずに生きていけたんじゃないか。いや、ヒルデはけっしてそんなことは思わないだろうけども。このふたりの出会いが生み出したものを考えると切ないです。
 この作品を読み終えたあと、寺山修司のこんな句を思い出してしまいました。
『マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや』
 もし私がアオリ文を考えるなら、この句から引用するかなあ、なんて思いました。
北埜とらさん
評価:☆☆☆
>「報いもろくにないままニンゲンに見下されて、一方的にこき使われるなんてポケモンの生き方じゃない。そうであっちゃいけない。私はそう思っているし……そう思ってる自分に、嘘をつきながら生きていくつもりもない。嘘つきになって生きるくらいなら、正直者として死んだほうがマシさ」

 エレナ中尉のこの言葉。本作で取り扱われているのは戦争という環境下における人間以下の兵器・駒として扱われているポケモン達ですが、これはこのまま、一般トレーナーに捕獲されているポケモンたちの言葉である、と言えるような気もします。本作の訴えるメッセージというのは、もっと大きな、現実世界における何らかの抑圧?に対する反骨的なものなのかな~(曖昧)と思いつつも、トレーナーモノを描くポケ二次創作屋や或いは原作にも対する問いかけ……のような受け取り方もできるなあと感じました。報いもなく一方的にバトルに身を投じさせられるポケモンたちは、一体どんな正義でそんなことをさせられているのか、的な。う~ん……。私もよく考えます。
 最後にヒルデ少尉がエレナ中尉に幻影を見せるシーンが凄く好きです。「おかあさん」の一言でぶわあ鳥肌が立ちました。中尉の最期の言葉がいいなあ、「自分に嘘を、ついちゃダメだよ」。彼女は、ヒルデ少尉が己に対してもペテンを打っていることを、本人にさえ分かっていなかったような気持ちを、ずっと察して、ヒルデ少尉を救うために話をしていたんじゃないかと感じさせられる最期でした。ただ、これからも戦いに身を投じるより他にないヒルデ少尉にとって、それが本当に救いとなりえたのかは、どうなんでしょうね。彼女はこれからどうするのだろう。
 この感動のシーンで終わらないところなんですよね、この作品は。ここから更に一段、読者を叩き落してくる。これが戦争モノ……と思わせるような読後感。知らなかった頃にはもう戻れない。悪態をつきながら、でも、戦うしかない。ドロドロとして黒く、そして熱く燻るような感情の中で、物語は終わる。地の文の雰囲気とのミスマッチが、最後の悪態のインパクトを掻き立てるようでした。
 個人的な印象ですが、申し訳ない、少し物語に置いてきぼりにされたような印象を受けました。ですが、それはこの作品が戦争モノだから、ということではないような気がします(ポケモン×戦争モノという点では、段々と訓練されつつありますからね!笑)。ひとつは地の文の敬語口調です。先ほど悪態のインパクトとのミスマッチが良かった、という話をしたのですが、こと序盤においては、この敬語口調の語りで戦闘のシリアスさを欠いてしまっているようで、うまく緊迫感の中に入り込むことができませんでした。もうひとつは展開の急さです。ヒルデ少尉が「この世界の醜さと美しさを。自分の心に従うことの尊さを」エレナ中尉に教わった、というような流れだったのだと思うのですが、「自分の心を欺いていたこと」は学んでも、そこから上記に至るまでの過程は随分飛躍してしまったような印象です。私の読解力不足でしたら申し訳ありません。
 良い題材だけど詰め方が少し甘かった、という印象ですが、滑り込み投稿であることと関係しているのかな? お疲れさまでした。ひとつ余談なのですが、めっちゃいいなと思ったポイントがあり、

>「そのようだね。でもニンゲンの連中は2ヶ月くらい蔵で寝かせてから出すらしい。そうしたほうが美味いらしいんだ。全くニンゲンってやつはさ、そういうことだけしてりゃいいものを――」

 そう、――貯蔵するんですよね! 酸を抜くための追熟!! これが差し込まれていたのは個人的に超性癖ポイントでした……!! GJです!!笑
 投稿お疲れさまでした!
あまもさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
読み終わったあと、思わず、面白かった…!とソファに倒れました。ありがとうございました!こういう戦場もののジャンルは大好きなのでとても楽しめました。いろんなことを偽りながら生きていく。私達にも当てはまることのような気がして、苦しくもなり、それでも下手なペテン師でも生きていかなきゃ、そして、何か私にもできるはず、と思わされました。でも「ちくしょう」ってきっと言わずにはいられないこんな世界。素晴らしかったです。そしてヒルデさんのキャラが大好きです…!
花鳥風月さん
評価:☆☆☆
航空団ネタ的なものは非常に疎いのですが、とてもきめ細やかに書かれているなぁって思いました。
自分に嘘をついちゃダメだよ、っていうところがこの作品のテーマのようなものなのでしょうか。とても心に刺さります。
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆☆
最初に言うのを我慢したちくしょうを、最後の最後で向け先を変えて言うのがいいですね。
ハードな戦争モノの世界観が好きですね。ロボットアニメの7話~9話くらいを見てるような感覚でした。
ゾロアークの幻影が強そうだけど万能じゃなかったり、ポケモンの能力と火器を合わせた戦いが新鮮でした。ドキドキしました。
相手がデカすぎて、ヒルデには恐らく世界を変えることは恐らくできないんじゃないかな、と何となく思います。彼女もまた、戦場に生きた一人ですね。
森羅さん
評価:☆☆☆☆
最初と最後が「ちくしょう」で繋がっているのが良いですよね!! 「ちくしょう」という言葉そのものが「畜生(=ポケモン。もしくは自分達)」ということなのかなと邪推してしまいましたが、どうなんでしょうか……。内容的には非常にハードで、R15付けても良かったのではないかと思ってしまいました。なんというか、作者様は戦闘機と戦争を書かれるのがお好きですか?? 結構生き生きというかノリノリで書かれた感じが文章からにじみ出ていて、「趣味なんだろうなあ」と。
ニンゲンに隷属(作品の内容的にはこちらの言葉の方が意図として適切かと思いました)して、戦争をするポケモンたち。「エースパイロット」という肩書を、勲章を、栄光を、与えられてニンゲンのために戦争をすることに対し何も疑問を抱かなかったゾロアークの彼女に、「それは間違った認識だ」と一石投じるエレナさん。彼女は本当に属している軍の人間も敵である人間も「味方ではない」という認識なんでしょう。なんというかこう、根本にある問題提起は「with love」と同じもので、非常に深いなと思いました。そして、「with love」とテーマは同じですが、結末が真逆なんですよね。彼女がこれから何を変えて行けるのか、どう爪痕を残していけるのか。非常に気になります。
ところで、銃器の扱い等をポケモンの手足で上手くできるのだろうかと少し引っかかってしまいました。
Pさん
評価:☆☆☆☆☆
最初で押し殺した「ちくしょう」を、誰にも聞こえない声ではあるけれど最後で言えるようになること。そのほんの僅かな成長の過程を多くの字数を費やして書ききった作品と思います。
駆逐航空団のスターという肩書き、名家の出身という身分に相応しい振る舞い、ゾロアークの「イリュージョン」、見えないようにされていた人間からポケモンへの差別、軍という組織が主人公を利用していたこと、何重にも掛けられたペテンの意味がずしりと重く響きます。
その重みは一人で覆すにはあまりにも大きすぎるということまでも丹念に描かれ、主人公の「ちくしょう」がただ唯一の救いという終わり方にはこの上なく納得できるものの、非常に苦い後味は好みが分かれるものと思います。
しかし作中で描かれた軍ポケモン輩出用の牧場、パイロットとなるため長いたてがみを切ったゾロアークなどの設定はとても面白く、語られてはいないものの主人公こそがエレナの子供のような、幼い頃からの精神的教育と遺伝的な身体の強さを併せ持った存在なのではないかと考えさせられました。主人公の母の描写からして彼女の方は野生で生きてきた人なのかなという印象があります。
秋桜さん
評価:☆☆
文章も上手く、設定もしっかりしていて、物語も強固。ただ、すいません只々私の好みから外れ過ぎていました。
下手なペテン師という言葉がもう少し語呂が良かったりしたらもう少し好みでした。
あすぺふさん
評価:☆☆
戦争で徴兵されるポケモンたち。
戦争の様子が非常に詳しく書かれていて、良かったです。
円山翔さん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
周りを騙し続けたペテン師だからこそできたことと、ペテン師だからこそできなかったこと。嘘を言うなと言えなかったのは、そういうことなのかなぁと思ってみました。人間はいつだってそう。自分たちの都合のいいように情報を操作し、味方を斬り捨て、種族の違う者をぞんざいに扱って。この物語を読むと、ポケモンにそう言われても仕方がないように思ってしまいます。
照風めめさん
評価:☆☆
作者さんの文章力や構成力はひしひしと感じます。
ですが、申し訳ありませんがわたしにはこの作品が合わなかったとだけお伝えします。
単純に性癖が違うといえばその一言で終わりなのですが、それもどうかと思いますので、具体的な記述を以下にしていきます。
作者さんの主旨と大いに逸れていると思われますので、お断りな場合はささっとスクロールしてなかったことにしてください。

・エンタメとして読むには話がキツかった。キツくても読める作品はあるが、本作ではキツいシーンに対するケアがされていなかった。
・悲劇性を前面に押し出し過ぎているため、少し胸やけをしてしまった。キャラクターの動きについていくことが出来なかった。
・一人称視点が作品に対して機能出来ていない。心理描写はしやすいと思いますが、その反面動きのあるシーンで躍動感が得られず、常時もさっとした雰囲気がありました。

作者さんの実力でしたら良作を書けることは既に裏打ちされています。それでも常にホームランを打てるとは限りません。あくまで一人がそう思っているんだな、と思って頂ければ幸いです。
葉穂々さん
評価:☆☆☆☆☆
何でポケモンが戦闘機で戦っているんだ……とは思いましたが、リアルな動物が銃を手にして戦う作品は現実にもありますし、この作品もその類のものなのでしょう。
読み物として面白いだけでなく、ポケモンの能力もストーリーで重要な役目を果たしている。
とても楽しめた作品でした!

好きポイント
・ポケモン×軍事モノ。無理があるようで、意外とすんなり入り込めます。
・エレナ中尉が今際に見た、下手くそで優しいペテン。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆
人間が起こす戦闘の影で注目されない犠牲や戦いがあることをこの作品からじんわりと考えさせられました。
カイさん
評価:☆☆☆☆☆
ポケモンが人間と同様に武装して戦闘するという独特な世界観ですね。そして「ヒト」と「ポケモン」の間には明確な差別がある。その存在を全く知らなかったヒルデがエレナとの出会いを通じて徐々に真実を知っていき、最後には世界に対する無力感に苛まれる姿が、けれども小さくてもいい何かを残してやろうと決意する姿が、大変印象的でした。冒頭口にできなかった「ちくしょう」を、最後につぶやくというのがその象徴で、ぐっときました。上手いなあ。
これは私たちの社会にある差別意識の比喩でもあると感じました。「世界」という敵はあまりにも実体がなく壮大で、それでもちっぽけな一人一人が何か行動していくしかないんだろうなと、思わせてくれる作品です。
終夜さん
評価:☆☆☆☆
ゾロアークの誇りである長い髪を切り、戦場へ赴く主人公ヒルデ、娘と引き離されたエレナ中尉……彼らを思うと、胸が痛いです。
人間の醜さも際立ち、読んでいて結構つらかったのですが、ヒルデがこの先「エレナ中尉の見たかった世界」へ近付けることをそっと願っております……。
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ジェット機じゃなくてプロペラ機が飛んでいるということは、時代背景は割と昔のことになるのでしょうか。ポケモンのいる世界だし何とも言えませんが。
あまり詳しくはないですが、WW2の戦闘機にはちょっぴり興味があるので、なんとなく一式陸攻を乗機に重ねてました。爆弾とか桜花を吊り下げることもありましたし。あれは七人乗りなので多分モデルは他にあるとも思うのですが…。

戦争が題材とあって、かなり理不尽というかあっさりとしていながら過激なシーンが目立っていました。エミリエは被弾して不時着した時にはもう事切れていますし、エレナは友軍に誤射されて最期を遂げる…「戦争だからどこでも起こり得る」といえば一言ですが、過酷なシーンが現実的によく書かれていたなあと思いました。
タイトルにもある「ペテン師」はゾロアークの幻影だったのですね。下手くそと言われてしまったヒルデでしたが、中盤ではエレナの言葉をしっかり受け止めてシンプルなイリュージョンで敵を欺き、最後にはエレナのために「下手くそな」幻影を作り出す…このシーンとっても好きです。好きな漫画でも同じようなシーンがありました。悪役が決して泣かないことを決めた主人公を泣かせるために、故人に化けて最期を遂げるシーンがあるんですが、あれと重なる…嘘っぱちのものだとわかっていても、心が動くに決まってますよね。ヒルデさんのできる最高の下手なペテンだったと思います。

序盤で喉の奥にしまい込んだ「ちくしょう」をラストに持ってくるところ、下手なペテン師は下手なりに世界に爪を立てて反抗できるのだと奮起するところ、綺麗にまとまっていてとてもよかったです。
この世界ではポケモンとトレーナーのような対等な関係ではなく、ニンゲンがポケモンの力を好きなように使い、戦争においても優劣をつけて使役する、かなりニンゲンに寄った世界でした。その世界の犠牲となったエレナを見てもなおヒルデがその意志を継ごうとする、荒野から立ち上がっていくような前向きさが垣間見える良い作品でした。ありがとうございました!
水のミドリさん
評価:☆☆☆
アッ書きたいことだけ書いた作品だ! 戦争、戦闘機、銃器、流血に死に鬱展開おまけにポケ百合、ここまでくるといっそ潔いぜ!!!
これだけ重々しく読者を寄せ付けないタグ付け(ポケ百合を除く)なのに、まさかの全文ワタクシ視点 。戦闘機にまつわる専門用語がお嬢様口調で並べ立てられるのは新鮮ですねえ。あまり抵抗感もなく、わからない単語もサクサク飛ばしながら読めました。この発想の転換は素晴らしいものです。
なのにゾロアーク嬢、死なせたグランブルに「ごめんなさい」って呟くだけなんですかせめて黙祷とか簡易な墓作ったりしないんですか。一瞬の判断がものをいう航空戦で「ちくしょう」と口を滑らせなかったことに安堵し、あまつさえ眼前の戦闘に集中せず軽い回想に入ってしまうあたり、主人公がいちばん自分たちポケモンの命を薄っぺらく見てるんじゃないですか。軽い文体だけにもっと生に執着してくれないと共感できません。
ここからは書きたいことだけ書いた作者様には無用の、戦争に造詣の深くない私の超個人的感想です。ポケモンが人間に軽んじられ戦いの道具としてこき使われる、という構図、まさにゲームのポケモンバトルですよね。この作品が戦争という簑を借りたポケモンバトルへの壮大なメタファーになっていた! のなら本当舌を巻いていました。そうでなく戦争を書きたい、戦争を軸にシッカリ物語を展開させたいなら、本作ではまだ甘いかなって印象。戦闘機が撃墜されるのも、戦友が味方に撃たれる展開も、戦争物をそこまで読まない私でも正直想像しやすい、言ってしまえば具体性の伴わない陳腐な物語、です。雨と敵襲をしのぐため即席の防空壕を作って虫を食って飢えをしのいだとか、そういう戦場の生々しさが読みたいなあ。戦闘機まわりの描写が詳しかっただけに、オボンの残された小屋だとか、そういうのが御都合主義的というか。撃墜されて四肢欠損しないあたりそういう生々しいのは作者様の趣味じゃないんだなぁって思いました。あとゾロアークさん、わざわざ戦闘機に乗らずとも、ジュカインにそうしてあげたように死にゆく負傷兵に幸せな幻影見せるだけでも戦地で重宝されると思うんですよ……。ルカリオは物資の支給よりもその索敵能力でもっとやれることあるだろって思っちゃうし、まあそれを詰め始めるとなにも書けなくなっちゃいますよね。
Ryoさん
評価:☆☆☆
まず、世界観の説明がないのが読んでいて辛いかなぁと思いました。最初の機体に乗っているのが実は人でなくゾロアークで、幻影を見せる力によって戦場で生き残っている、という事が明かされるシーンは非常に鮮やかで印象に残るものであるため、そこで、人もポケモンもいつ終わるとも知れない戦争の中にいて銃や飛行機で戦っている、というような説明を簡単にでも入れるといいのではと(争っている国の名前などがなかったのは、ストーリーラインがシンプルになって良いと思いました)
また、話を通して伝えたいことは理解できるのですが、人でやったほうが良いのでは、という思いが強かったのもまた事実です。テーマが差別と権利、それも人権の話だと私は感じたからです。
(ここから多分、凄く難しいことを要求すると思います)
作中のキャラはポケモンだから人権という言葉は不適当かも知れませんが、とはいえ扱いは限りなく人間に近い。この世界のポケモンは言葉も通じるし道具の扱いも遜色ない、思考の方向も同じ、扱いは格下だが軍や国家のシステムに一個人(?)として組み入れられている、というのは、武器を使えるとかそういうレベルでなく、姿が違うだけの人間と言えるくらい人間に近いですよね。
でも、この作中のポケモンと同じ仕打ちを受けた沢山の「人間」がいて、今も存在する事を、私は現実の世界で見知ってしまっています。それでどうしても、同じ人間同士ですら解決できていない問題を、人の姿をポケモンに変えただけのもので再現する必要があるのだろうか、と思ってしまうのです(こうした考えは、この作品でなくても時折思うことがあります)
しかし、雨の降り続く荒涼とした戦場の風景の描写や、エレナ中尉が心の内を吐露する場面で感じたやるせなさ、同士討ちの銃撃戦の虚しさが一度に昇華されるような幻影のシーンは、胸に迫るものがありました。
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 私はフィクションとしてのアクションや軍事物は好きなほうです。書いたことのある小説に殺人鬼や話し合いの通用しない悪党を登場させたことはありますが、あくまで作り事、茶番や娯楽の一要素とくくりを設けているから出来ていることで、現実で起きている戦争や猟奇事件ははっきり申し上げて嫌いです。何を好きこのんで、領地を侵し合い他人と殺し合わなければならないのか。平和ボケと罵られようと、争いのない社会が一番良いと思っています。そんな私の持論は感想向きでないのでどうでもいいので、本題に入ります。専門用語が多いので、私のような知識が乏しい人間は理解度が怪しいです。作者様が分かる人にだけ分かればいい、というスタンスなのでしたらそれでよいと思います。ポケモンが人間に混じって戦闘機を操縦し、戦争に参加できる世界観だとうことはおおよそ把握できました。しかしヒルデたちが引きずりこまれることになった戦争の原因が具体的に明記されておらず、世界と戦っている、戦っていたと総括されてしまうとスケールが壮大すぎて、感情移入が難しいと感じました。ヒルデの悲壮感が、人とポケモンの格差に向けられたものなのか、戦争そのものなのか、エレン中尉を喪失なのか、「ちくしょう」の一言でまとめられてしまうと、結局どこに焦点を当てて読めばよかったのだろうという疑問が残りました。スターと称賛されるほど美しく可憐な女性兵を主人公に据えたことには、戦争に翻弄される者の内に抱える強さや脆さを表現しやすくしたい意図が作者様にあったのかもしれません。しかしヒルデの心理描写が比較的淡々と説明に多く割り当てられているので、残念ながら葛藤の熱があまり伝わってこなかったように感じます。ペテン師の意味が途中の幻影と、ラスト付近の哀しく切ない幻影の複数にわたって活用されているところがいいなと思いました。投稿、お疲れ様でした。
フィッターRさん
評価:スキップ
 拙作A型です。
 まずはじめに。流血シーンが多くR-15指定が妥当なこの作品ですが、僕のミスのためにR-15指定なしでの投稿となってしまいました。ご迷惑をおかけしたことをこの場を借りてお詫びします。申し訳ありませんでした。

 さて、この作品ですが執筆過程が拙作史上最高に波乱万丈な作品でした。
 執筆し始めたのは8月も始まったばかりの頃だったのですが、執筆中に拙作B型『冒険のはじまりだ!!』の構想がまとまり、そちらの方をなるべく早く投稿したかったことも相まってまる1週間放置することに。
 1週間で出来上がったはいいのですが、執筆に想像以上に手こずって思うように進まず、気づけば9月に入って締切まで残り1週間、締切日の9月9日は青森旅行の予定を入れていたので、それまでにはなんとか完成させるぞ! と意気込んで執筆を進めるなか――招かれざる客がやってきました。
 9月6日0308時、北海道胆振東部地震発生。震度5弱の直下地震と全道停電に見舞われ、復旧まで1週間はかかるとの情報。これはもうだめかもわからんね、とマジで思いました。
 幸いなことに我が家は同日午後には電気が復旧してくれたのですが、気が休まらずにまる1日執筆が滞ってしまい、ついに青森出発の日。
 こちらも中止の覚悟を決めていたのですが予約していた交通手段は早々に復旧したため無事決行、結局旅行中の宿の中、締切30分前に本作はどうにか投稿と相成りました。こんな過酷な執筆もう二度とごめんです。皆様も今後はどうか余裕を持った執筆計画をお持ちください。

 今回はオボンのイラストがテーマということで、柑橘類といえば地中海! という発想の元いつものように頭の中のアイデア貯金から、かねてより温めていたクレタ島の戦いをベースにしたお話のアイデアを引き出し、それをテーマに合わせて加工するといういつも通りのスタイルで完成させました。
 被害者当人も気づかないほどにカモフラージュされ、社会に潜む差別的構造をテーマに据えたので、期せずしてポケストフェスの『鳩の恩返し』とは綺麗に正反対な作品になりましたね。執筆期間はおよそ1ヶ月です。
 以下、様々な小ネタを箇条書きで。

・タイトルはもともと『うそつきのきつね』というシンプルなものでした。ですが、作中で使った『下手なペテン師』というフレーズが気に入ったので、どうせならこっちをタイトルにしよう! と投稿1日前に改題(ついでに『下手なペテン師』というフレーズが作中に出てくる場面も増やしました)。そして大急ぎで執筆を進める中、今作はバディものなんだから、エレナ中尉に対応する言葉もタイトルに入れたほうがよくね? と思い立って、その日のうちにWeblio類語辞典とにらめっこして『下手なペテン師と至心な賊子』というタイトルが生まれました。
『ししんなぞくし』という読みの心地よさから決めたのですが、もうちょっと馴染みあるの言葉にしてもよかったかな? とも思っていたり……

・出てくる兵器の型番などは今回もバッチリ決めているのですが、今回は登場人物以外の固有名詞を使わないという縛りプレイに挑戦したので、文中では名前を出しませんでした。
 作風でバレバレとはいえあまりにモロバレルすぎるのもアレかなと思いましたゆえ。

・と言いつつマスクネームはハワイティ杯、ポケストフェスに引き続き登場兵器が由来になってます。
 ヒルデが乗っていた"駆逐機"は名前をBf110というので、そこから図鑑番号110番のポケモン、マタドガスの中国語呼称をマスクネームにしました。中国語の表記ってなんかカッコいいですよね。

・いつもは最初から最後まで順番にお話を書いていくスタイルをとっているのですが、今回は冒頭とラストシーンを最初に書いて、その間を埋めていく形で執筆しました。
 勢いで書けるバトルシーンを最後に持ってきたおかげで追い込み執筆でもどうにか形にする大きな一助となったのですが、途中まで書いて後で書きたそうと思って放置し、そのまま書き足そうと思ったことを忘れてしまい尻切れトンボの文章として投稿してしまった箇所がひとつあるという、冬ごもり中のリスのような凡ミスをもやらかしてしまいました。

・恒例の煙草は出しても良さそうな雰囲気のお話でしたが、敵中での逃亡というシチュエーションゆえ今回は使いませんでした。
 今思うとラストシーンでヒルデ少尉に吸わせてもよかったかも。

・エレナ中尉の娘が色違いな理由を考察してくれている方がいらっしゃったようですが、本当のことを言うと意味はメタ的なものしかありません。拙作恒例の他作品との連動要素です。僕の他の作品を見ている方なら分かっていただけるはず。

・この作品もテーマB作品同様、書いているときに殆どBGMはかけていませんでした。
雪椿さん
評価:☆☆☆☆
 戦争の話。
 出てくる内容がR15に指定されていてもおかしくないようなものなのですが、やはり付け忘れたのでしょうか。人間よりも遥かに能力が高いポケモンが人間よりも下にされる。真実を捻じ曲げられる。
 色々と考えさせられる話でした。
逆行さん
評価:☆☆☆☆
 人間とポケモンがほぼ同じような能力なのに、様々な面でポケモンの待遇のほうが悪いという問題は悲しいものです。この世界はポケモンも殆ど人間並の知能を持っているのに、どうして差別されてしまうんでしょうねえ。むしろポケモンのほうが技持ってる分戦場では活躍しているのでしょうに。なのになかなか出世できず、食事とかにも差をつけられてしまっているというのは悲しい現実です。 
 他のポケモン達が自分達が冷遇されていることについてどう思っているのか気になるところです。エミリエとかはどうだったんだろう。やはり他のポケモンもそれで当然だと思い込んでしまっているのでしょうか。人間達からそういう教育を施されているのかなあ。もしくはモンスターボールによる洗脳なのだろうか。このあたりに本作品の闇がある気がする。ポケモン達みんなが疑問を持てば良いのに。敵軍のポケモン達も同じように疑問を抱いていて、敵と意気投合する、なんていう展開があっても良かったかもしれません。 
 やはりと言いますか、ちょっと専門用語が多くてついていきにくい部分も正直ありました。こういう専門用語がたくさん入ったお話は、どこかでそれらに対して詳しくない人物を出すと分かりやすくなるのではないかと。詳しくない人物にこれはこうだと説明する形を取ることによって、読者にも説明することができると思うです。そういう分かりやすくする工夫が欲しい所ですかね。 
 終わり方がとても好きでした。「ちくしょう」って言うことで、社会に対する本当に僅かな爪痕を立てようっていう主人公のささやかな抵抗が伝わってきて良かったです。 
 ゾロアークやルカリオの能力を駆使するところも上手いなあと。幻影を見せたり、逆にその幻影を波動で見破ったり面白いなあと思いました。 
 後一番良かったのがゾロアークが幻影の力を使って娘を見せるシーンです。ここが一番書きたかった所なのかなあって思いました。このシーンだけでも十分評価できると思います。
はやめさん
評価:☆☆☆
 一ポケモンでは社会構造を覆せない、無力感に包まれる作品でした。この読後感はむしろ好みです。ただ、かなり人を選ぶ作風ではあるなと感じましたが、それは作者さんも恐らく承知の上でしょう。
 自分は変えられない社会構造の中でも、それに反骨主義を掲げながら精一杯生き抜いていく者の姿が好きなので、胸に突き刺さるものがありました。
 最初、この作品はポケモンオンリーでいくのかと読んでいたところ、途中から姿を見せた人間の使い方が効果的だと気付きました。この二種族を対比し、捉えにくい上下関係を築き上げることで、戦場に赴くゾロアークの「逆らえない兵士感」を出すにあたって、より一役買っていると思います。
 また、幻影と波導の料理法が上手く、どちらも印象的でした。幻影は誰かを喜ばすためにも用いることができ、戦いで嘘をつくペテン師にもたったひとつの、それでいて小さな小さな救済になっています。
 波導はルカリオが戦場に出ると、やはりというかこれだけ映えるものだなと。
 タイトルの「ペテン師」という単語も、無理なく作中で生きた言葉になっていたと思います。嘘をつき、虚偽を魅せていくことでしか生きていけない。しかし生き続ければ何か変わるかもしれない。報われないようで、薄く儚い希望をも差し込ませているようなラストが、大会中でもなかなか見られない空気感を醸し出した一作でした。
早蕨さん
評価:☆☆☆☆☆
 ポケモンでやる意味あるのでしょうか。とか、そんなことを考えてる余裕なんてありませんでした。良い意味で、パワーのある作品だったと思います。
 ヒルデの考え方をエレナが変えていく様、その描写、展開は大いに納得感のあるものでした。エレナは世界と戦っていた。世界というか、抗いようのないルールや権力が暴走し無残な結果をもたらすのは誰もが知っている歴史の事実ですし、エレナがそうだったようにヒルデもまた似たような最期を迎えるのかもしれません。自分に嘘をついて生きるよりかはいい。嘘をつくくらいなら死んだっていい。そう思うことは理屈では理解できますが、絶対に娘に会いたいという気持ちだってヒルデにはあったはずです。自分の生き方を突き通せば死んだっていいと、そう思っているのでしょうか。難しい問題だと思いますし、何を言ってもだれかに噛みつかれる気しかしません。それでも、死んでもいいというのだけは好きではないなと思いますし、ヒルデとエレナにもそう思っていて欲しくないなと思いました。
ポリゴ糖さん
評価:☆
 タイトルにもなっている「下手なペテン師」というキーワード、役割としては良かったのではないかと思います。出会ったシーンだとヒルデ少尉に対して、ラジオを聞いているシーンだと上官に対して、「詰めが甘いよ」というニュアンスであることがよく伝わるキーワードだと思いますし、ヒルデ少尉と対照的な物の見方をするエレナ中尉のキャラクターを示すうえでも一役買っているかと。
 このお話の一番の山場、ゾロアークの能力でエレナ中尉に娘の幻影を見せるシーンはぐっとくるものがありました。このシーンといい、ルカリオの波導のくだりといい、ポケモンの能力が活きている描写があると感心してしまいますね。
 ちょっとどきっとしたのは、「ニンゲンたちに淑女の幻影を見せながら」というくだりです。もしや常時ニンゲンに化けてた? と思ったんですが、よく考えれば序盤でも出ているような荒々しい言葉遣いをしないとかそういうところですよね、たぶん。
 厳しめの物言いになりますが、読んでいて違和感のある部位が非常に多かったのが難点です。その多くは単に好みと合わないだけなのですが、一つだけ、どうしても相容れない部分を挙げさせていただくと、死が特別でもない戦場という環境におけるエレナ中尉の死「だけ」を特別扱いするということに、共感できる要素を感じられなかったという点です。この物語の背景で死んでいる多くのポケモン兵や冒頭で死んだエミリエ、彼ら彼女らの死にどういった姿勢で向き合うのか、エレナ中尉が言うところの「嘘を吐かない正直なところ」は描かれているように思いません。戦時中という世界観やエミリエの扱い(喋るだけの余裕はあるのに遺体をほったらかしにしていると解釈してしまいましたし、そのシーン以降一度も顧みることもありません)といった要素からヒルデ少尉のシビアでドライな死生観を想定していた私としては、エレナ中尉の死に慟哭するシーンにはただただ強い違和感を覚えただけでした。ましてや自分は見向きもしなかった遺体の回収を銃弾飛び交う中で他人に要求する姿勢を、私はどう受け取れば良いのでしょうか。前からの知己というわけでもなく、死にいかに向き合うかその観念を論じたわけでもないエレナ中尉の死と、エレナ中尉と同様仲間であったはずのエミリエたちの死とを、180度違った扱いをするということ、これをどう解釈すれば良いのでしょうか。無理に子供を産ませられた者の死だけを悲しみ、他を悲しむ道理はないとでも仰るつもりでしょうか。死を扱う真摯さを一切感じられず、死を利用して書き手の道理を押し通そうとする姿勢すら感じられ、これに怒りをも覚えるのは、私だけでしょうか。
 何より、ヒルデ少尉自身がポケモンとポケモンの間で妥当と思えない扱いの差をつけてしまうことで、本作で描かれるニンゲンとポケモンの虐げ虐げられといった関係性を打破しようという決意も、空虚なものにしか受け取れません。
 せめて日当たりが悪く目につきにくい場所にエミリエを移動させる(させようとする)くらいはしてもらいたかったですし、例えばエレナ中尉も二つ名を持つレベルの兵士で前から憧れていたとか、エミリエを守れなかったことを受けて、今度こそエレナ中尉は守ってみせるみたいな決意とか、そういう描写があれば印象も少しは違ったかもしれません。
 どういうテーマで物語を書きたいか、というところはよく伝わったのですが、力み過ぎたような印象を受けました。できればもう少しその熱いパトスを統御した上で、細部の詰めをしっかりやっていただきたかったと思いました。
春さん
評価:☆☆☆☆
 この作品、R15指定の方が良かったような気がします。わりとエグイ話も入ってきますし。
 突然の航空戦。作者さんは戦争ものがお好き。それにしても主人公はこんな戦場でも淑女足ろうとするとは、変わりものの淑女さんですね。いえ、こんな戦場に淑女がいることがまずおかしいですが。と思いきや、淑女さんの正体はゾロアーク。ゾロアークさん、こんなところで何をしているのですか。
 ポケモンが戦争に使われた時代がありました。むかーし、プリンが銃を構えたイラストを見たことがありました。殺すための機械を使って、ポケモン兵士として戦う。人とポケモンが共にあった時代から考えてみると、ずいぶんと殺伐とした関係性になりましたね。ポケモンも人間も命を張って闘っているのに、階級はなかなか上がらない。正当に評価されない。子供を無理やりに産まされ、引き離される。やるせない話ですね。ポケモンは友達などという言葉はとうの昔に風化したのでしょう。
 この事件は、ヒルデの心に深い傷を残しました。世界の見え方が大きく変わりました。彼女はこれからどうなるのでしょうか……。戦争なんてこんなものだと、言われてしまえばそれまでです。彼女なりに、下手なペテンでもいいから、世界を少しずつ変えられるといいですね。
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ばすさん
評価:☆☆☆☆
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆
わやさん
評価:☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
一葉さん
評価:☆☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆☆☆
猫村さん
評価:☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆
コメットさん
評価:☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆☆☆☆☆
586さん
評価:☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆