No rain, no rainbow.の感想

円山翔さん
評価:☆☆☆☆
雨が降らなければ虹は見えません。というように、「君」を失った悲しみが、気付かせてくれたことがある。そういうことでしょうか。勘違いだったらごめんなさい。お話が進むごとに▼が一つずつ▽に変わっていく仕掛けが面白かったです。もしかして、これは白くなるごとに「僕」とアシマリ(オシャマリ、最後にはアシレーヌ)との心の距離が近付いている、ということを表しているのでしょうか。同時に、「僕」が「君」の所に行くまでのカウントダウンなのでしょうか……
しろあんさん
評価:☆☆☆☆☆
素敵な作品でした……!
ルルの悲しさや恨めしさの一つ一つが文章で丁寧に伝わってきて、自然と感情移入してしまいました。そんな中でも取り残されて一匹になってしまったアシマリの事を気に掛けるルルの姿が優しくて良いなと思いました。
そして個人的に最後の文章がめちゃくちゃ好きです……!無くなったイムアを想う気持ちと、アシレーヌと一緒なら悲しみを乗り越えていけるという気持ちがすごく伝わってきて、とてもすっきりした終わり方になっているように感じます!
乃響じゅん。さん
評価:☆☆☆☆
死んでしまった若いトレーナーに置いていかれてしまった、幼馴染とパートナーの出会いのお話。王道を行く手堅い構成に、作者さんの力量が発揮されていたと思います。
主人公の内面から描いていく一貫した姿勢が非常に良い印象を受けました。静かな説得力があったと思います。三角が物語の進行に合わせて段々明るくなっていく演出もいいですね。
個人的に少し残念だったのは、イムアとの会話のシーンもあるのに、彼の存在が印象にあまり残らなかったことです。何故だろう、と考えると、彼との会話のシーンに、地の文での描写が無いこと、一つの台詞が長い為ではないか、というところでは無いかと思いました。

「うん。僕はイムアほど旅に関心があったわけじゃないし、ポケモンバトル自体、皆のように自信は持てなかった。だから、生まれ育ったここで暮らしていきたいって願った。それだけだよ。皆が皆、旅人になる必要もないでしょう?」

の台詞の部分は、

「皆が皆、旅人になる必要もないでしょう?」
 僕は伏し目がちに答えた。僕はイムアほど旅に関心があった訳でもなければ、ポケモンバトルも得意ではない。

のように書くと、彼との会話が主人公の内面と繋がっているように感じられるかな、と思いました。
水のミドリさん
評価:☆☆
桃色の温泉に浸かっているような甘くて苦い酩酊感。全編主人公の心理描写が展開され、それがゆるやかに変化していく散文のような作品でした。短くまとまっているところも好印象。
ただやはり抽象度が高すぎる気がしますねえ。冒頭で『君』の性格描写があるわけですが、正直あんまり人物像がつかめません。アシマリと初めて食べた甘いマラサダはお気に入りで、試練を成し遂げた日はいつも食べる……みたいな、具体的エピソードとして添えてあると見えてくるのですが。主人公についての説明も乏しいですし、脳内で再生する映像はもやをまとった謎の人物が悲壮に暮れている、みたいな絵の連続なのでちょっと退屈してしまいます。
あまもさん
評価:☆☆☆☆
果敢に向かっていくも破れる勇ましいイムアさんの姿に、置いていかれたと思ったルルさんが印象的でした…。華やかではないけれどルルさんらしく強かにトレーナーとして成長していくのかなと思わされました…ルルさん好きです…!
ラプエルさん
評価:☆☆☆☆☆
月虹、とはムーンボウのことでしょうか。実際に見たことはありませんが、写真で見るそれはとっても綺麗だったなあと…
ポケモンが一緒にいてくれたら夜の道も安心でしょうし、きっと感動も増すことでしょう。いろいろな描写から、「ポケモンがいる世界っていうのはこんな感じになるのかなあ」と何度も思わされました。

いわば野生ポケモンは天災にあたるのでしょうね、ギャラドスに出会ってしまったのは山の中でクマに出くわしてしまったようなものでしょうか。
親友の歩く道だけがぶっつりと切られ、そのパートナーがルル君の元へ。登場人物がみんな辛そうですが、やはり一番つらかったのはアシマリなんだろうなあ。イムア君と家族から切り離されて、突然ルル君の元でパートナーとして生きていくことを選ばされた…人間の身勝手に振り回されているのだからたまったものではないでしょうね。オボンの木へと急ぐアシマリはルル君と一緒にいる未来を受け入れられなくて逃げるように進んでいたのかなーとも思います。

慣れないポケモンバトルを乗り越えて、虹のかかる中を歩くふたり。拙い指示ではあるものの、この経験によってルル君についていってみよう、と考えが決まったのでしょうか。これ以降バトルの腕が上がることはなくともアシレーヌまで大事に育てられていること、もたれかかるほどなついているということから、現在のふたりの関係はかなり親密になっているのでしょうね。雨なくして虹かからず、タイトル通りに困難を乗り越えて進んでいく素敵なお話でした。ありがとうございました。
花鳥風月さん
評価:☆☆☆☆☆
多分他の方からも言われているかもしれませんが、場面転換の三角形が次第に色を変えているのはどういった意味合いなのでしょうか……??わたしは最終的にアシマリ(アシレーヌ)とルルくんの心の距離の暗喩かなと考えさせていただきました。
Ryoさん
評価:☆☆☆☆
冒頭からルル君の一人称で長く語られる、友を永遠に失った痛みが胸を突きました。
イムア君のアシマリ、本当に旅の始まりで帰ってくることになってしまったんですね…マケンカニとのバトルの様子でそれを表現するのが、ポケモン小説としてよかったなと思います。イムア君はギャラドスと対峙したのではなく、旅に出たばかりのアシマリを守ろうとしてああなったんじゃないかな、と想像しました。戦っていたらきっとどっちも無事では済んでいなかったでしょうから。
最後、大人になったルル君が、イムア君に言われたとおり、ルル君としての生き方をしながらアシレーヌと一緒にいたのが美しいなと思いました。日記をつけたり月虹の話をするちょっとしたところから、彼の思慮深くて内向的な性格が変わってないのが伺えます。
心に素直に伝わるいいストーリーでした。
葉穂々さん
評価:☆☆☆
傷ついた人とポケモン。残された者同士のパートナー。
穏やかな夜に読むことをお勧めしてしまう一作です。
これは、読むリラクゼーション……?

好きポイント
・終始穏やかな語り口。
・ポケモンの人選。この話には確かにオシャマリ/アシレーヌが似合います。
コメットさん
評価:☆☆☆☆
主人公の心理描写がメインを張る、しっとり切ない物語でした。本来のパートナーと今生の別れをしてルルの下に預けられたアシマリと、一つの危機の乗り越えを通じて心が通っていく。他人のポケモンを心を通わせるのは難しいはずですが、同じ相手の喪失を悲しむ者同士で繋がるものがあったのでしょうか。心が温まる話です。回顧録みたいな書き方ではあるので仕方ないのかもしれませんが、もう少し友人を亡くした辺りの心の動きがあると、もっともっと引き込まれた気がします。
rairaibou(風)さん
評価:☆☆☆☆
・とても読みやすい文章でした。
終夜さん
評価:スキップ
ルルとアシマリが雨宿りするだけじゃ物足りないな、と思ってマケンカニとの遭遇場面を追加したのですが、肝心のバトルがめちゃめちゃしょぼかった理由は作者が戦闘描写大の苦手な奴だからです……申し訳ありません。
拙い自作でしたが、読んでくださりありがとうございました。
あすぺふさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
マケンカニに勇敢に立ち向かうアシマリにポケモンバトルで亡くなった友人イムアを重ね、ルルは苦手だったポケモンバトルに心を開き始める。
イムアに対する深い哀悼の詩に表れたどうしようもない、のれんを腕押しするような気持ちに胸が締め付けられました。
全体的に心情描写が丁寧に描かれていてとても良かったです。
うにゃさん
評価:☆☆☆☆☆☆
ポケモンとトレーナーとの不格好な友情を描いた物語が心に響きました!
照風めめさん
評価:☆☆☆
ゲームやアニメ、様々なメディアでは普通に十歳くらいの主人公が平和に旅をしていますが、ポケモンという人智を超えた強大な存在や、悪の組織や悪い大人が蔓延った世界で、旅を成し遂げるっていうのは現実的に考えるととても難しいですよね。
であれば他殺や誘拐、あるいは事故のようなものが起きるのも然りかなあと思ってしまいます。
自らを落ちこぼれと自嘲してポケモンから離れて生活する主人公だけど、親友の死と共にポケモンと暮らさねばならなくなった。
別にこれに限らず、人間生きていれば本意ではないけどそうせざるをえないような環境下に置かれてしまうというのはままあることですよね。
でもそういう状況だからこそ成長のきっかけとなる。今までクローズしていた世界に異物が入ることで、世界は開けていく。
それこそまさに雨上がりの虹のようだな、と感じました。いいお話。
カイさん
評価:☆☆☆☆
イムアの喪失という共通の悲しみを通じ、ゆっくりでも確かに絆を育んでいく一人と一匹の姿が大変印象的でした。アシマリは水タイプなのに、大好きな主人を溺死させてしまって、辛いなんてもんじゃなかっただろうなあ……ルルに出会うことで彼女が救われて本当に良かったです。それはルルの側から見てもまた然り、なのでしょうが。
終盤でアシレーヌと戯れる描写がとても可愛らしくて好きです。ポケモンと共に生きるっていいなあ、と心から想わせてくれる温かな作品でした。
森羅さん
評価:☆☆☆
アシマリ(アシレーヌ)とルル君が大切な友人・相棒であったはずの「イムア」君を喪ったという事実を乗り越えていく話、で良いのでしょう。回想で出てきたイムア君の台詞、「そういうお前に惹かれるポケモンも、絶対どこかにいる、と思うんだけどなあ」がまさに最後回収されていて「おお!」となりました。章の区切りが段々白くなっていくのもまた粋です。全体的にお話はとてもきれいに纏まっているのですが、ルル君やアシマリの葛藤や悲しみといったものが非常に簡潔で、お話の核である「イムアという少年の死」の扱われ方が軽かったのが気になりました。もっと文字数割いても良かったのではないでしょうか。
ばすさん
評価:☆☆☆☆☆
ゆっくりと時間が流れていくような心地がして、
その流れに身を任せてしまいたい気持ちになりました。
僕とあの子の関係性、距離感が好きです。
猫村さん
評価:☆☆☆☆
しっとりと、少し寂しい感じの男同士の友情ものめっっっちゃ刺さりました。ありがとうございます。
Pさん
評価:☆☆☆☆
「苦しみのあとには幸福がある」というタイトル通り、友人のそしてトレーナーの死を乗り越える二人の姿は雨上がりの空のように爽やかな読後感をくれました。
10歳児が旅をする世界において、特に強力なポケモンの多そうなアローラではこうした事故もままあることなのでしょう。タイトルも元はハワイの諺とのことですが、悲しみを癒すためそうした時に唱えられる言葉なのだろうかとその出所までも想像が膨らみました。
虹が雨と太陽の作用でできることを考えると、太陽のような友人とその手持ちの水タイプというのにも深い意味を考えたくなります。
切々と綴られる悲しみと二人でいた頃の思い出は幼なじみが思いもかけず突然に亡くなったという心情、そして置いて行かれたという気持ちを伝えて余りあり、選択した重いテーマに負けない描写となっていると思います。
その部分に比べ、ともに置いていかれ新たなトレーナーを得たアシマリが主人公を受け入れるまではやや駆け足になってしまった印象を受けました。
何事も自信のない主人公の描写からして「心を開いていない」というのもまた主人公の自信のなさの現れだったのだろうかと思っています。
北埜とらさん
評価:☆☆☆
 穏やかに寄せては返す波のような印象を受けます。柔らかくて耳障りの良い言葉で、優しく丁寧に綴られた、歌うような物語。清潔なシーツにくるまれるような心地よさを感じました。僕が知る誰よりずっとひどい奴だ、恨めるものならば恨みたい、といった苛烈な感情が記されているにも関わらず、どこかそれを感じさせず、「綺麗な物語だなあ」という印象で完全にまとまっているんですよね。これは静けさのある語り口の所以であろうし、少年たち(少年……?なのかな?)の達観した落ち着きを感じさせる物腰・口調の所以でもありましょうね。毒気のない澄んだ作品だなという印象です。
 ルル、イムア、というキャラクタのネーミング、最後に出てくる月虹、また区切りとなっている▼にも、作中における意味が込められていることと思います。全体を通して、作者さんのキャラクタに対する願い・祈りのようなものが、丁寧に織り込まれた作品であるなと感じました。
 とっても綺麗にまとめられているがゆえに、(個性の殴り合いのような)A作品群の中で強く印象に残ったかというと、大変失礼な言い方にはなりますが、個人的にはそうではありませんでした。ただ何度も申し上げますが非常に綺麗に纏まっていたので、物足りなかったか、と言われると、そうでもありません。とても綺麗にまとまっていたと思います(四回目)。インパクトを残すことばかりが優れていることではありませんもんね。
 ですが、ここをこうすればもっと良くなるのでは? と思うポイントがあるとすれば、ルルとアシマリが近づいていく過程がもっと見たかったなというところです。「ルルのイムアに対する気持ち」「ルルにとってのアシマリの遠さ」というのはよく描かれていたと感じるのですが、それが近づく過程、――つまり、心を閉ざしてしまったアシマリに対して、ルルがどういうアクションをして、それにアシマリがどう応えるのか、というところを、もっと見たかったかな? という。進化後の甘えんぼムーブを見るに、ずっと甘えたかったんだろうなあ、という気持ちは察して余りあるところではあるのですが、じゃあ心を開けたのは何故なのか(アシマリ→ルル、だけではなく、お互いに、ということになりますね)というその部分を、作中の山場として、もっと大きな演出があってもよかったのかなという気がしました。
 ……という個人的な感想です。絶対にそれが必要だったとはちっとも思いません、あえて言うなら、という感じです。しつこいようですが、今のままでも、十分綺麗にまとまっている作品だなと感じています(五回目)!
 投稿お疲れさまでした!
雪椿さん
評価:☆☆☆
 少々暗い始まりからでしたが、最後は明るく終わっていいと思いました。最後の方で出てきた月虹が本編でも登場すれば「No rain」の部分を更に強調できてよかったかな、と思います。いや、このタイトルは雨や虹はないけど明るい未来には進めるというのを表しているので、月虹が出なくてもあまり問題はないとは思いますが(チャット会での記憶が曖昧なため、解釈が間違っていたらすみません)。言葉だけではなく、実物も出て欲しかったなと思ってしまったので書き足しました(すみません)。
 彼らが何てことのない日常を、穏やかに積み重ねていけたらいいですね。
逆行さん
評価:☆☆☆☆
 完成度の高いお話であったと思います。積極的なイムアと、少々と臆病なルルの比較。イムアが死んでしまってからのルルの成長。ルルをサポートするオシャマリ。本当によく纏まっており、スキがないお話であると感じました。 
 ストーリーの流れが本当に素晴らしかったと思います。最後はしっかりイラストと結びつけてくるし、タイトルも回収されていますね。ルルが立ち直るのが少々早いようにも感じましたが、でも彼に足りなかったのは本当にちょっとした自信なんだろうなあ、と思いました。たった一度の成功体験でも、ちゃんと人は前を向けるんだなあと。 
 マケンカニとのバトルも、すっごいしょぼいんですけど、でもこのしょぼさが初バトルって感じがして良かったです。マケンカニも強くないし、彼の力量に見合った『試練』だなあという感じでした。 
 文章力も非常に高く、心理描写が特に丁寧に描かれているというふうに感じました。冒頭のイムアに対する悲しみから一点し、終盤は前向きに生きようとする彼の成長が伝わってきました。 
 『眩しすぎる漣の輝きを目に焼きつけながら、無力な僕はやがて崩れ落ち、一人柔らかな砂浜の上で嗚咽を繰り返すものへと成り果てる。』 
 ここが一番の名文であると感じます。もう二度と友人とは会えないという彼の悲しみが伝わってくるし、表現力が非常に高いと感心致しました。 
 全体を通して非常に描き慣れている印象があります。これでも十分お話としては高いレベルで纏まっていると思います。ただ、出来ることならばもうひとつ、何か上乗せ出来るものがあればなあと思いました。 
 『月虹』のお話がちょびっとだけ出ていたと思うんですけれども、その辺りもうちょい掘り下げても良かったんのではないかと思いました。 
 さっきwikipedia見たんですけど、月虹って『これを見た者には「幸せが訪れる」「先祖の霊が橋を渡り祝福を与えに訪れる」』っていう言い伝えがハワイではあるみたいです。これを上手く設定として使って物語に組み込んだりできそうな気がしました。そういう工夫と言いますが、一つでも良いのでキーアイテムだったりキーとなる設定を加えればお話が少し個性的になるかなあと思います。 
 (実はもうすでに組み込まれているのかもしれません。その場合は、それに関する説明をもう少し詳細にして頂けると良いと思います) 
 たぶん、そこまでレベルの高くない小説コンテストであれば、このお話は満点をつけられると思います。ただ年々企画のレベルも上がってきており、ポケストカーニバルもハイクオリティーな作品がいっぱい集まってきています。 
 なので、他の作品と比較してしまうと、どうしても平凡さが目立ってしまうっていう所はあるかなあと思います。別にストーリーとかをもっと捻れって言っている訳じゃなくて、全体の作りは凄く良いので、後は周りの飾り付け、という感じですかね。
はやめさん
評価:☆☆☆
 初めてこの作品を読んだ時から、透明な文章だなと思っています。透明で、白いカーテンのようにたなびいている。が、そこには死の影がそこはかとなく、ちらついているんですね。
 旅立ったトレーナーが死ぬお話はポケモン二次創作で割とよく見かけます。酷でもなく、自然なことかもしれません。そもそもこれだけ危険な生き物たちがいる世界で暮らすというリスクを甘受する以上、致し方ないことかなと。
 友情もこれといったくすぐったさはなく、淡々と懐古するようで、綺麗な骨董品のようでした。なんとも抽象的な感想になっていますが、そうしたイメージを受けるような作品でした。ひとつ言えば、オシャマリ→アシレーヌは年月の経過を示す証としていいと思うんですが、せっかくの最終進化という大きな要素ですから、物語に組み込んでもよかったかもしれないなと感じました。オシャマリとアシレーヌの進化を展開に組み込み、対比あるいは全然異なった展開にすることで、更に映えたと思います。
早蕨さん
評価:☆☆☆
 亡くなった友人のポケモンを引き継いだ話。引き継いだポケモンとしてではなく、きちんとそのポケモンと向き合っている様がとても素敵でした。
レイコさん
評価:☆☆☆☆
 一人称の主人公がのっけから鬱状態で、その原因が誰もが大成すると信じて疑わない魅力をもった親友がポケモントレーナーの旅に出たことによる死で、読みながら画面が灰色に見えてきそうな勢いでした。文章が読みやすく引き込まれたからこそ、読者として主人公の悲哀に寄り添うことができたのだと思います。大切な人を失った痛みはルル一人のものではなく、イムアのパートナーだったアシマリと共有できたことで、お互いの心にあいた穴を埋め合えたことも、人とポケモンの相性を踏まえるなら必ずそういう関係を築けたとは言い切れない、生前のイムアが言ったような、ルルは旅に出なくてもったいない、「お前に惹かれるポケモンも、絶対どこかにいる」という言葉がここで証明されているんですよね。イムアの死に直接立ち会ったであろう、しかも遺族に引き取りを拒否されたりとさんざんな目に遭ったアシマリが、本能的にバトル好きな活発な性格で、自己評価の低いルルをぐいぐい引っ張っていけるお転婆な子でよかったと思いました。投稿、お疲れ様でした。
フィッターRさん
評価:☆☆☆☆☆
 トレーナーが事故死し、取り残されてしまうポケモン――というテーマは僕もポケストフェスで書いたことがあります。あの世界では往々にしてありそうなことですよね。
 取り残された人間と、取り残されたポケモンが、同じ人間と絆を結んでいたことを縁にして、新たな絆を結ぶ。受け継がれる絆の美しさと尊さを感じます。段落分けの参画マークが進むごとに白くなっていくのも、ルルの傷ついた心が癒えていく様子を視覚的に見せてくれているようで、素敵な演出だなと思いました。
 ちょっと気になったのが、11歳(アローラで島巡りに出る年齢だから11歳ですよね?)のわりにイムアもルルも口調が妙に大人びていること。ラストシーンで出てくる成長したルルとそこまで口調が変わっていないので、結構気になってしまいました。
48095/坑さん
評価:☆☆☆☆
 タイトルが素敵です。
 イムアののこしたアシマリに救われたルルをよく表していると思います。
ポリゴ糖さん
評価:☆☆☆
 しっとりとした雰囲気のお話ですね。イムアの死というものに対して、どういった感情を以て受け止めればいいのか良く分からず、不安定になっている若人の心の内というものを、心情描写にしっかり文字数を割いて丁寧に描写している印象です。その中に、「――どれだけ待っても、君の温かな笑い声はもう、聞こえない。」とか、「もはやこの世で、君と僕の時間が重なり合うことはないのだろう。永遠に。」とか、はっとするフレーズを差し込むことで、要所で締めているといった感覚です。
 バトル自体はささやかなものですが、ピンチの状況で心を通わせ、結果としてアシマリの心を開くところ、がっつり心理描写を積み重ねてきた後での山場としては効果はあったと思っています。自分はトレーナー向きではない、と語っていたとおり、まともに指示を出せないでいる様子が初心者トレーナーっぽいなと思います。
 ただ、アシマリを引き取ることに「断っておけばよかったかな」と考えるのに限っては共感できなかったところであります。イムアの家に居られない以上、野生に逃がすにしろ他の家に預けるにしろ、アシマリにとって新しい環境であることには限りないですし、選び得る中で最善の選択肢であったと考えると、そこを悔いるのは妥当なのかなあ、と。
 あとは、イムアの喪失、その悲しみを共有した上で、そのうえで二人はどこへ進んでいくのか、ふんわりしていて掴み切れなかったところであります。イムアの死から始まった停滞を打破するところを、もっと綿密に書いていただきたかったところ。バトルが得意でない以上、イムアみたいに旅に出るというのも確かに違うのですが、閉じこもったところから「自ら外の世界に触れ」るために動くところが個人的に欲しかったのかもしれません。
 喪失感、というものを上手く演出した、丁寧で濃厚な心情描写が印象的な一作です。
春さん
評価:☆☆☆☆☆☆
 しっとりとした気持ちになりたい時に読みたい短編。
 亡くなった人のポケモンを友人や家族が引き取る展開は元々かなり好きでしたが、その切なさを丁寧かつ繊細な文章で読ませていただける良作。イムアとルルの過去の回想、ルルからイムアへの残された者の想い、「どうして」という悲しみ、読み進めるほどにイムアの悲哀がじわじわと心に広がっていきました。
 かなり書き慣れている印象。自分の文体をしっかり確立されてると思いました。ポケモンらしさ、からは少し離れているとは思いますが、現代小説的な雰囲気の中に、綺麗にポケモンという存在が溶け込んでいると感じます。視点のブレもなく、「僕」の心情の変化という意味で始めから終りまで、タイトルに沿って清流がごとく見事にストーリーが展開していっています。「僕」の視点に寄っているため、アシマリが何を考えているのかは分かりません。すべて「僕」の予想でしかなく、彼女の悲しみや想いは「僕」を通して推測するしかない。でもアシマリの想いは、態度から十分に窺い知れました。何も語れないからこそ、無言の切なさが伝わってきたのだと思います。「僕」の心情の変化だけでなく、アシマリとの心の交流も話に織り込まれていたのかな。
 書くかどうか少し迷いましたが、最後、数十年後のルルのシーンは少し蛇足感があるかなと個人的には感じました。イムアは死んでしまって、でも彼は未来に思いを馳せた少年だった。なので全てが終わってしまった数十年後から過去を振り返るよりは、死んでしまったイムアの冒険を引き継ぐように、ルルとアシマリがこれから歩んでいく、未来を想わせる〆方でも良かったのかなと。最終シーンで〆る形で。でもここは、本当に個人の趣味嗜好の範疇の話だと思います。過去を振り返る形式で〆たことで、長い人生の一ページを追憶するルルと一緒に、迷いや悲しみのあった過去を懐かしむような気持に浸れるとも考えます。あと、イムアとルルの会話シーンがちょっと地の文っぽいかな、と。話し言葉より書き言葉っぽかったので、やや精彩を欠く印象がありました。
 もしかして違うのかもしれないですが、シーン切り替えの際に「▼▼▼▼」が並んでて、それがだんだんと「▽▽▽▽」と色が変わっていく演出はルルやアシマリの心境の変化と合わせていたのかな~と思いました。こう、だんだんと明るい方へ向かっていくみたいな。死した後もイムアはルルを見守ってそうな気がします。ていうか、絶対オボンの実を落としたのはイムアだ! 間違いない!(歓喜)
 あとルルとイムアの名前はハワイ語から取ったのかな?と考察しました。二人のいた地方はアローラ地方なので、それにちなんで……かな。「ルル=穏やか、平和な、静けさ、隠れ家」「イムア=前へ、前に」。それぞれのキャラクタにぴったりあった素敵な名前だと思います。イムアは少ししか出なかったけど、わずかな登場でも生命力を感じる眩しいキャラだったし、ルルはとても穏やかで控えめな少年なのがよく分かりました。
数十年後のシーンで月虹の話題が出たのは、ハワイのマウイ島における「見た者には幸せが訪れる」という言い伝えからネタを引っ張ったのかなと思います。これは彼らが今、幸せだという暗示?ストーリー全体として、風景がルルの現状・心情とリンクしているところに作者さんの技量を感じました。ルルの心によって、見え方が少しずつ違っている……ような……。細やかな演出が上手で、文の細部まで丁寧に書かれていると感じました。
砂糖水さん
評価:☆☆☆☆
リングさん
評価:☆☆☆
わやさん
評価:☆☆☆☆
灰戸さん
評価:☆☆☆☆☆☆
シガラキさん
評価:☆☆☆☆☆
さねたかさん
評価:☆☆☆☆
ionさん
評価:☆☆
ゾイシアさん
評価:☆☆☆☆☆☆
一葉さん
評価:☆☆☆
不壊さん
評価:☆☆☆
BoBさん
評価:☆☆☆☆☆☆☆
秋桜さん
評価:☆☆☆☆☆
浮線綾さん
評価:☆☆☆☆☆
Lienさん
評価:☆☆☆☆☆☆
クーウィさん
評価:☆☆
586さん
評価:☆☆☆☆
まーむるさん
評価:☆☆☆☆☆
トビさん
評価:☆☆☆☆☆
じゅぺっとさん
評価:☆☆☆
伊雑アゴバルさん
評価:☆☆☆☆☆